雛形でチェックする技術提携契約書作成のポイント

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雛形で学ぶ!技術提携契約書入門

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(2015/12/15更新)

創業したり、新たなビジネスを展開する際に、自社だけで完結するとは限りません。場合によっては、他社に技術を提供したり他社と協力して製品開発を行ったりというケースも出てきます。そんな時に必要になってくるのが「技術提携契約書」です。今回は、この技術提携契約書の雛形をふまえながら、そのポイントを説明します。

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技術提携契約とは

技術提携契約は、各企業がそれぞれ保有する技術を相手に公開・貸与することによって、その技術を使って製造しようと思っていた製品を製造、あるいは新しい技術や製品の開発を行うための契約です。

この技術提携契約は、各企業が一からノウハウを作り上げることなく、他の企業のノウハウを利用できることから、製造開発期間の短縮や、費用などの開発のための負担減らすことを見込める点でメリットがあります。

※下記リンクから技術提携契約書の雛形をダウンロードしてください。

目的

第1条
本契約は、甲乙相互が発展するために、新製品・新技術の開発を甲および乙が協力して、推進することを目的とする。

技術提携契約は、甲乙がそれぞれ保有する技術を相手方に貸与するとともに、新製品や新技術の開発を協力して行うことを定める契約となります。

もっとも、今回は甲と乙が相互に技術を交換することとしていますが、甲乙の一方が他方の技術について、金銭を対価として貸与を受ける内容の技術提携契約も存在します。その場合、1条にて目的とする技術について明記する必要があります。

業務の範囲

第2条
本契約により提携する業務の範囲は、甲および乙が、共同または協力して行う新製品開発のための企画・研究・開発・設計・生産、販売業務とする。

2.本契約は、甲および乙が単独で遂行可能な新製品開発等を規制するものではないことを、甲乙双方は確認する。

甲と乙がどこからどこまでの業務について協力をするのか、その範囲を定めなければ、際限のない契約となってしまいます。

そのため、具体的にどこまでの範囲の業務について、両者は協力関係を持つのかについて規定することとなります。

場合によってはより具体的な事業名などを掲げることもよいかと思います。

もっとも、協力関係に立つということは、すべての業務や開発活動についても歩調を合わせる必要があることを示すわけではありません。

そのため、協力関係にありながら、両者は独自の開発を行うことができることを2項で確認的に規定しています。

設備の利用

第3条
甲および乙は、事前に相互の利用可能設備項目を相手方に提示し、たがいの施設に立ち入り、設備の利用をすることができるものとする。

甲と乙は協力関係に立ち、新製品や新技術の開発のために、互いの技術を公開、利用しながらその研究を行っていきますが、その前提として、相手方の設備や施設を利用できる状況にする必要があります。

他方で、企業としての絶対秘密はたとえ協力関係にある相手に対しても公開できませんので、設備や施設の利用に関しては、あらかじめ互いに利用を可能とする設備施設をリストアップした項目を作成し、それに従って、設備の利用を行なっていくのがよいでしょう。

この場合、どのような設備が項目に含まれるべきかについては、提携する業務の範囲によって定まるため、この項目については別途両者の協議を要します。

知的財産権

第4条
本契約にもとづいて行う個々の業務の過程で発生する知的財産権については、原則として発明または考案した者の所属する企業に帰属するものとする。

2.発明または考案した者が、甲および乙双方に存在する場合は、両当事者の共同出願とする。

3.前二項の場合において、甲および乙が第三者に知的財産権の実施を許諾するときは、事前に甲乙協議のうえ、決定するものとする。

まず原則として、技術提携関係にある最中であったとしても、甲乙が独自に発明、取得した知的財産権については開発元の企業に帰属することを1項で定めています。

もっとも、発明が甲乙独自のものではなく、両者の協力のもと発生した場合は、知的財産権は甲乙の共有にあることを定め、特許権などの産業財産権としての登録を行う場合は共同出願とすることを2項で定めています。

3項では、前2項に置いて取得された知的財産権を第三者に利用させることを許諾する場合は、甲乙協議の上行うことと定めています。

この点については、1項によって独自に取得した知的財産権についても第三者に利用を許諾する場合は、協議の上なされる必要があることに注意する必要があります。

これは、甲乙が技術提携関係という密接な協力状態にあることから、一方の技術が第三者へ流れることによるパートナーへの打撃をできるだけ小さくするよう努める必要が、両者にあると考えられるからです。

侵害防止義務

第5条
甲および乙は、本契約の存続期間において第三者が契約相手方の特許権等の権利で、自己も利用できるものについて侵害している場合、またはそのおそれがあることを知った場合、直ちに甲に通知しなければならない。

2.前項の特許権等の侵害またはそのおそれがある場合には、甲および乙は契約相手方に警告を通知するとともに侵害の防止に努めなければならない。

甲乙は、技術提携関係の下、相手方の権利の一部について利用することができるようになりますが、その場合、自己も利用している相手方の権利を侵害する第三者を発見した場合は、迅速に相手方に対して通知し、何らかの制裁活動が取れるよう報告し合う義務があることを本条では規定しています。

また、現に第三者により権利が侵害されている場合のみならず、近い将来第三者からの侵害を受け得る可能性がある場合も、両者は互いに警告の通知をもって、相手方へ報告する義務があることを定め、第三者とのトラブルが深刻化、顕在化するのを防ぐことが求められます。

競合製品取り扱いの禁止

第6条
甲および乙は、本契約により開発した製品等と同一または類似した製品の開発、販売をしてはならない。

2.甲および乙は、同一または類似の製品の取り扱いを行う場合は、相手方の書面による承諾を得なければならない。

甲と乙は互いに技術を交換した上で、新製品新技術を共同開発、あるいは独自に開発していくことになります。

この場合、本契約に基づく協力関係で開発された製品と同一または類似の製品を当事者の一方が開発、販売できるとすると、開発によって生まれた利益の分配バランスが不均等になります。

例えば甲乙が協力してA製品を開発し、甲が独自にA製品と類似したB製品を開発し、それぞれ販売したとします。この場合、A製品とB製品は市場で競合しますので、需要を按分することになります。

そうなると、甲はB製品の利益を独占し、A製品の利益の半分を得られるところ、乙はA製品の利益の半分しか得られず、全体としてみるとはるかに甲の方が利益を獲得していることになります。

これは、契約の相手に対して大きな不利益を与えるため、本条ではこのような競合製品の取り扱いを禁止し、2項にあるように、相手方の承諾を得た場合のみ、許容されるとしてあります。

製造物責任

第7条
甲および乙が、共同開発した製品の欠陥に起因して第三者の財産および身体に損害を及ぼし、または及ぼす可能性が生じた場合、相互にすみやかに連絡し、製品の回収、原因の検査、修理、交換その他により、適切に処理解決しなければならない。

2.甲および乙は、前項の損害につき紛争が発生した場合、その処理解決に協力するものとし、これら処理解決に要した費用の分担は甲乙協議して定める。

甲と乙が協力して開発した製品が第三者に対して損害を発生させた場合、問題を迅速に解決するために、相互に連絡を取り合い、製品の回収や検査などのアフターケアを適切に行うことを本条では定めています。

この場合、問題の処理に当たった一方が負担した費用などはどのように両者の間で分担するかという問題については、2項により、別途協議の上定めることとしています。

秘密保持

第8条
甲および乙は、本契約に関連して知りえた他の当事者の技術上・経営上の一切の秘密を、他の当事者の書面による承諾がない限り、第三者に漏洩または開示してはならない。ただし、以下各号はその限りではない。

①他の当事者から知得する以前にすでに所有していたもの。
②他の当事者から知得する以前にすでに公知のもの。
③他の当事者から知得した後に、自己の責によらない事由により公知とされたもの。
④正当な権限を有する第三者から秘密保持の義務を伴わずに知得したもの。

2.前項の規定は本契約終了後○年間継続する。

技術提携契約を締結することにより、甲乙は相互の技術交換、または企業秘密の開示を行うことによって、企業として強い結びつきを得ることになります。

この場合、当事者以外の第三者に対し本契約に基づいて獲得した相手方の秘密情報、および、契約関係を契機として手に入れた重要な情報が漏洩しないよう秘密を保持する義務があることを定めています。

もっとも、1項各号の場合は例外として定め、甲乙両者に秘密保持の過度な負担が及ばないよう配慮しています。

この秘密保持義務は、販売提携契約が終了したとしても数年間継続することを定め、情報獲得を目的とした販売提携契約を排除できるよう定めています。

有効期間

第9条
本契約の有効期間は、平成○○年○○月○○日より満1年とする。ただし、期間満了の○ヶ月前までに、当事者の一方又は双方より、書面による契約条項の変更又は解約の申入れがなされない場合は、同一の条件にてさらに満1年自動的に更新されるものとし、以後も同様とする。

2.本契約の有効期間中であっても、甲又は乙は、相手方に対し〇〇ヶ月の予告期間をおいて、本契約を終了することができるものとし、この場合、損害賠償義務は生じないものとする。

技術提携契約は継続性の強い契約ですが、定期的に契約を更新するかどうかの意思確認の機会を設ける必要があります。

そのため、契約の有効期間を1年と定め、満了一定期間前までに何らかの申入れをしない場合は、自動的に更新する旨定めています。

もっとも、何らかの利益状況の変化で契約を終了する必要が生じた時のために、一定期間の予告期間を相手に通知すれば契約を終了することができるとしています。

専属的合意管轄

第10条
甲及び乙は、本契約および本契約に基づく個別契約に関して裁判上の紛争が生じた場合は、○○地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることに合意する。

専属的合意管轄とは、契約当事者の間で裁判が避けられないような紛争状態が発生した場合に、一体どこの裁判所で裁判をするのかということについての取り決めになります。

日本全国に裁判所があるわけですが、原則として義務の履行をしなければならない場所から最寄りの裁判所、あるいは、義務を履行しなければならない者の住所から最寄りの裁判所で裁判をすることとなります。

しかし、インターネットが普及した現在、遠隔地間の企業同士の取引も考えられるところ、わざわざ遠く離れた裁判所に足を運ばなくてはならないとなると、大変な労力となります。

そのため、紛争が発生した場合はこの裁判所で裁判をしようと予め取り決めをしておくことで、遠くの裁判所に出向くことがないようにするものです。

規定外事項

第11条
この契約に定めのない事項又はこの契約の条項の解釈に疑義を生じたときは、甲乙協議の上定めるものとする。

契約の最中に、契約書に書かれていない内容についてトラブルが生じた場合、あるいは契約書の条項について、解釈の相違が生まれた場合、甲乙間で協議によって穏便的解決を探る旨定め、トラブルの深化をなるべく防ぐことができるよう定めています。

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(監修:徳川綜合法務事務所 行政書士 石川裕也
(編集:創業手帳編集部)

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