スタートアップワールドカップ九州大会:優勝は医薬品開発のStapleBio!熊本で開催


世界最大級のビジネスコンテスト「スタートアップワールドカップ」の九州予選である「KYUSYU REGIONAL 2024」が、2024年8月27日(火)に開催され、優勝は人工核酸を使い創薬を手掛けるStapleBioに決定しました。

ステープルバイオの共同創業者・勝田陽介チーフサイエンスオフィサー(CSO)は「本当に嬉しいです!でも、ここまで長すぎた。薬を待っている人がいる。もっと早く薬を届けなくてはいけない。」と受賞の喜びとともに、気持ちを引き締めていました。ステープルバイオは共同創業者の谷川清CEOがビジネス面、勝田陽介CSOが研究者出身で製品開発を担っています。

「スタートアップワールドカップ」は、米ペガサス・テック・ベンチャーズが主催する世界最大級のグローバルピッチコンテスト・カンファレンスです。2017年から開催しており、今回で6回目の開催となります。熊本城ホールで開催され、九州大会という位置づけだが九州以外の全国からも多数の応募がありました。

世界100以上の国と地域で地域予選が行われ、今回九州予選で優勝した会社は、サンフランシスコで開催される世界決勝戦に招待され、投資賞金約100万ドルをかけて競います。

また、九州の主要都市の首長が会場に集結し、相互で協力を行う、九州スタートアップエコシステム創出宣言が行われました。

毎年スケールアップしていくスタートアップワールドカップ。今回、昨年受賞者のその後の展開も披露されたが日本と海外でインパクトがあり、こうした受賞が成長の弾みになることを実感しました。世界決勝戦でのStapleBioの活躍に期待です。

ファイナリスト

優勝! 株式会社StapleBio
疾患タンパク質の発現量やウイルス複製を制御することが出来る、血中安定性に優れた人工核酸「Staple核酸」を用いた希少疾病・新興感染症等の医薬品を開発。
効率的に創薬をする技術であり、より技術を協業各社に積極的に提供することで創薬市場を牽引したいそうです。
研究者らしい媚びない毅然としたプレゼンや審査員との受け答えはインパクトが有りました。
沖縄と熊本で事業展開。

2位入賞! 株式会社トヨコー
老朽化した橋梁などのインフラ構造物のサビや塗膜、サビの原因となる視認不可の塩分を高速で除去できる高出力のサビ・塗膜除去レーザー「CoolLaser」を開発。
腐食対策コストは社会問題になりつつあり4兆円の市場であり、特許も取得しているとのこと。浜松の塗装業の2代目が新たな業態に転換して挑戦しています。

3位入賞! PDエアロスペース株式会社
ジェット・ロケット燃焼モードの切替が可能なエンジンをベースに、従来とは異なり飛行機のように離着陸が可能な、完全再使用型の宇宙飛行機を開発。
一般空港から離着陸することができることで、宇宙空間への打ち上げコストを引き下げたいとのことです。

株式会社フツパー
工場での検品業務等の外観検査を自動化するAIや、設備保全・人員配置最適化AI、オーダーメイドのデータ分析AI開発サービス等、製造業向けAIソリューションを提供しています。
検査業務を自動化でき、値段は360万円で人件費1人以下という価格帯を意識しているそうです。


F.MED株式会社
動作の縮小化と手振れ制御により、医師の繊細な器具操作を正確に再現できるマイクロサージャリー(顕微鏡下で直径数㎜の血管をつなぐ手術)支援ロボットシステムを開発。
手術のロボット化でより高度な医療・手術を提供しています。手術ロボットの先駆けのダヴィンチとは領域で棲み分けていくことを目指しています。


ArchiTek株式会社
防水・防塵・ファンレスが必要とされる組込製品にも使用可能な小型・高速・低消費電力のエッジAIプロセッサ「AiOnIc®-chichibu」を提供。
ファブレスメーカーとして工場を持たない運営を展開しています。


株式会社Lily MedTech
圧痛や被爆リスクがなく、検査者のスキルに依存せず撮像できる3次元超音波乳がん検査装置「COCOLY」とAIを活用したMRIデータの読影サービスを提供。
乳がん検査は大きな課題になっているためこうした苦痛を軽減する技術の普及が望まれています。


株式会社エニキャリ
ルート・オンデマンド配送を統合した配送管理システム「ADMS」や手軽に即配を利用できるラストワンマイルのデリバリープラットフォームを提供。
配送の空き枠を活用するビジネスモデルです。


Terra Charge株式会社
電気自動車(EV)向けの充電サービス「Terra Charge」の運営及びEV充電器の設置から補助金申請・電気工事・運用管理システムまでをワンストップかつ無料で提供。
海外ですでにTerraグループとしての展開をしており、海外に通用する組織力が強みです。


WAmazing株式会社
訪日外国人旅行者がタクシー・宿泊施設・アクティビティの予約や、空港での無料SIMカード受取、決済等がワンストップで可能なプラットフォーム「WAmazing」を提供。
リクルート出身の創業メンバーを中心に起業しました。

株式会社FOMM
ドアから一切浸水せず、水害時には水に浮いて水面を低速移動できる4人乗り小型EV「FOMM ONE」を生産・販売。
元々、トヨタ系の軽自動車の開発を行っていた技術者が立ち上げた会社です。製造ではなく開発に特化しています。

イベント概要

日程:2024年8月27日(火)
会場:熊本城ホール
主催:ペガサス・テック・ベンチャーズ

大久保の視点
東京、関西で行われていたスタートアップワールドカップが九州にも進出ということで、よりスタートアップの裾野が広がっていくことを期待したいです。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。

解説者紹介

大久保幸世 創業手帳 株式会社 代表取締役

大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。

創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら
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