短期継続融資とは?メリット・デメリットや利用する際のポイントを解説

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短期継続融資は実質的に返済期限を延長させる方法


資金は企業の血液に例えられる一方で、借入れにより調達した事業資金の返済に困る企業は多くあります。
そういった企業におすすめしたいのが短期継続融資です。短期継続融資は実質的に返済期限を延長できる資金調達手段であり、資金繰り改善に役立ちます。

金融機関から短期継続融資を持ちかけられることもありますが、利用するときにはそのリスクについても知っておかなければいけません。
短期継続融資のメリット、デメリットを紹介します。

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短期継続融資とは、期日一括返済で契約期間が1年以内の短期融資


短期継続融資とは、借入金があるときに手形貸付などの書換手続きを通じて融資を継続することで返済期限を延長する手法を言います。
短期継続融資は、契約期間が1年以内で期日に一括返済することが条件です。

短期継続融資は、短期転がし(短コロ)と呼ばれることもあります。
期日に一括で返済する形式の融資を受けて、期日が到来したときに同じ形式の融資を再び受ける書き換え手続き繰り返します。
運転資金不足をサポートできる手段であり、支払いと入金の間を埋めるときに利用可能です。

例えば、買掛金の支払い期限が30日、売掛金の入金までに60日ある場合、買掛金の支払いが先になってしまうため間の30日間資金が不足してしまいます。
その期間に短期継続融資を行うことで、資金を補填できます。

手形貸付とは

短期継続融資に使われている手形貸付は、約束手形を担保としてお金を借りる資金調達方法です。
借主は、金融機関あてに約束手形を振り出して、その約束手形を担保にお金を借ります。

手形貸付は、住宅ローンのつなぎ融資や企業の短期運転資金として活用されています。また、従業員の賞与や納税といった季節的な資金需要に対応するのにも適した方法です。
手形という担保があり金融機関の事務手続きが少なく、スピーディーに資金調達できる点がメリットです。

短期継続融資の歴史と将来性

短期継続融資という融資の形式は、昔から広く使われてきています。
しかし2002年に金融庁が『金融検査マニュアル別冊』を改訂したときに必要な資金を超えるような短期継続融資が問題視されるようになり、多くの金融機関が短期継続融資を控えるようになりました。
短期継続融資が受けられなくなった結果、中小企業は信用保証協会の保証による証書貸し付けに切り替えることになりました。
しかし、証書貸付は利息と元金返済の負担が重たく、企業の資金繰りを圧迫してしまいます。

そこで2015年には、『金融検査マニュアル別冊』が再度見直されました。正常運転資金のために、短期継続融資を活用することは問題ないことなどが明らかになりました。
現在は、資金需要に柔軟な形で応じること、更新の際に会社の業況や実態を把握して継続の可否を判断するといった形での運用がおこなわれています。
短期継続融資に対して消極的な金融機関もあるのも事実です。しかし、今後は中小企業が自ら資金調達手段を提案する方向性が期待されています。

適切な形で短期継続融資を活用すれば、中小企業の資金繰りや経営にも良い影響が生まれます。
企業と金融機関とが円滑にコミュニケーションをとりつつ短期継続融資をを活用すれば、より柔軟で機動的な資金循環が期待できるでしょう。

短期継続融資を受けるメリット


銀行からの提案もなく、短期継続融資について知らない事業主も珍しくありません。ここでは、短期継続融資を受けるメリットについて紹介します。

事業が存続する限り実質的に借入金の返済が不要になる

一般的な融資の形として証書貸付が使われています。これは金銭消費貸借契約書を交わして融資を行う方法です。

証書貸付では、基本的に毎月定期返済しなければなりません。
そのため、せっかく融資を受けているのに返済があるせいで資金に余裕がなく収支バランスが改善されないケースがあります。
一方で短期継続融資であれば、定期的な返済は必要ありません。短期継続融資は正常な運転資金に対する融資であり、借入金を売上から返済可能です。
事業が継続している限りは、返済期限に借り入れを継続すれば、実質的に返済することがありません

季節性のある事業に利用しやすい

事業は、毎月安定して売上や入金があるものばかりではありません。観光業のように季節によって需要が大きく変動する業態もあります。
例えばスキーリゾート地では、冬に観光客が集中して夏は閑散期となります。また、農業のように季節によって出荷の時期が決まっているものもあります。
こういった季節性のある事業は、閑散期に収益が低迷して経営が安定しません。需要が急増する繁忙期やその準備の時期には、仕入れや経費がかさむため資金難になりがちです。
短期継続融資を活用することで、需要の増減に対応してビジネスを円滑に運営できるようになるでしょう。

短期継続融資を受けるデメリット


短期継続融資は、適切に使えば多くのメリットがあります。しかし、デメリットも把握して活用しなければリスクもあります。どういったデメリットがあるのか紹介します。

期日延長を拒否された際に資金繰りが一気に悪化する

短期継続融資は、期日の延長を継続していく点がポイントです。しかし、貸し手が期日の延長を拒否してしまえば資金繰りは悪化してしまいます。

通常の短期継続融資では、売上げから返済するため通常であれば継続融資を受けられます。
しかし、貸し手が何らかの事情で拒否することがあれば、企業は別の方法で資金を確保しなければいけません。
資金繰りが悪くなることで企業の経営にも影響を及ぼすリスクがあります

業績の影響で継続を断られる可能性がある

短期継続融資は、売上代金を原資として返済するため、金融機関側の視点に立てば回収可能性が高い融資といえます。
一方で、赤字企業に対して短期継続融資をしても赤字の補填に充てられてしまえば、金融機関が回収できなくなるかもしれません。

金融機関は、回収できなくなるリスクが高まれば継続に懸念が生じます。
短期継続融資は、業績が良ければ利用しやすいものの、業績が悪化したときには断られるリスクがある点には注意が必要です。

金融機関によっては短期継続融資に対して温度差がある

短期継続融資は、2015年の『金融検査マニュアル別冊』をきっかけとして金融機関では見直しの動きがあります。
しかし、金融機関によって短期継続融資の扱いに差があることは理解しておきましょう。

金融機関によっては短期継続融資は積極的に提案しない場合もあります。
金融機関側から提案されないときには、資金繰りを改善するために事業者自ら短期継続融資について相談することも検討してください。

短期継続融資を利用する際のポイント


短期継続融資を今まで利用したことがない企業も多いかもしれません。ここからは、短期継続融資を利用するときに知っておきたいポイントをまとめました。

短期継続保証は各都道府県で制度が異なる

短期継続融資には、継続時に延長を拒否されてしまうリスクがあります。このリスクに対応するために利用をおすすめしたいのが、信用保証協会の短期継続保証です。

信用保証協会は、各都道府県に設置されている公的機関です。
事業者が信用保証協会に短期継続保証を交渉を行って事前に了承を得られれば、金融機関と短期継続融資を受けるときに信用保証協会による短期継続保証を受けられます。
つまり、短期継続保証を受けることで継続が拒否される懸念なく短期継続融資が利用可能です。

ただし、短期継続保証は、都道府県によって制度が異なります。
制度によっては、利用するための条件が厳しかったり、継続が5年間の期限付きとなっていたりするケースもあります。
また、短期継続保証が用意されていない信用保証協会もあるので、短期継続融資を受ける前に利用する信用保証協会の短期継続保証について確認しておくようにしてください。

債権・資産などの内訳を金融機関に開示する

短期継続融資を返済するときの、最終的な原資は売掛債権や棚卸資産です。金融機関が審査をするときに重視するのは、返済が可能かどうかです。
そのため、短期継続融資を受けるときには、最終返済原資である債権や資産の内訳を開示するようにしてください。

もしも返済原資となる資産が不良債権や不良在庫、架空在庫であれば回収可能性が低くなってしまいます。
金融機関が懸念なく融資するには、債権や資産の情報開示や説明が効果的です。
得意先や入金サイクルを開示するほか、実際に在庫の状況を確認してもらう方法もあります。金融機関との信頼関係を構築するためにも虚偽の申告はしないようにしてください。

定期返済と使い分ける

短期継続融資は、定期返済がなく、金融機関側にとってはお金を貸し続けている状態です。
金融機関にとってのリスクもあるため、利率が高くなってしまうケースも少なくありません。
金利負担を減らすには、資金調達を短期継続融資に依存しすぎないように注意してください。短期継続融資と定期返済がある融資を使い分ける形です。

短期継続融資は、運転資金のように季節や外部要因によって資金バランスが崩れるときに適した資金調達です。
一方で定期返済がある融資は、資金バランスをコントロールしやすい設備投資のような費用での活用が適しています。

設備から生み出した収益で返済していくように計画できれば、資金繰りも圧迫しません。
資金調達をするときには、収益計画を立ててどの資金調達手段が適しているかシミュレーションしてみてください。

短期継続融資以外で経常運転資金を調達する方法とは?


運転資金の不足が見込まれるものの、短期継続融資を利用できない場合も考えなければいけません。経常運転資金を調達するために適した方法を紹介します。

日本政策金融公庫が提供する融資

日本政策金融公庫は、中小企業の資金繰り支援を目的とする政府系の金融機関です。
小規模企業や中小企業が利用しやすい融資制度が豊富にあり、資金使途が運転資金に特化した融資プランも用意されています。

日本政策金融公庫が提供している融資は、民間金融機関と比較して審査も緩やかで、借入れしやすい点も魅力です。
創業融資や新事業サポートのほか、無担保で借りられる融資や返済期間が長い融資も提供されています。
申し込みから融資の実行までには時間がかかるので早めに手続きをしてください。

プロパー融資

プロパー融資とは、銀行が提供する融資です。銀行に融資を申し込み、決算資料や事業計画書といった必要書類を提出して審査を受けます。
融資の上限額や金利、貸付期間は審査の結果によって決まります。

メガバンクは、全国に支店があって大きな金額の融資も扱っている点が特徴です。しかし、審査が厳しく、小規模企業や中小企業にとって審査が厳しい傾向があります。
また、必要書類が多い分、融資決定までに時間がかかるため、資金調達を急いでいるときには適さないことがあります。

制度融資

制度融資は、小規模事業者や中小企業サポートを目的とした各自治体と民間金融機関、信用保証協会が連携して提供する融資制度です。
信用保証協会が信用保証が受けられ、また地方自治体が信用保証料を一部補助してくれるので、まだ信用力や実績に不安がある事業者や、担保や保証を用意できない場合でも利用しやすい点が魅力です。

制度融資を受けるには創業年や自己資金といった条件はありますが、低金利、固定で資金調達が可能です。

銀行・消費者金融などのビジネスローン

ビジネスローンは、事業資金専用のローン商品です。銀行のほか、信販会社やクレジットカード会社、消費者金融でも提供されています。
オンライン申請できるので手軽に利用できる資金調達手段です。
一般的な融資よりも審査が緩く、申し込みから融資実行までの期間が短いのがビジネスローンのメリットです。
しかし、スピーディーな分、支払う金利が高いケースも多くあります。

金利の負担が大きくなれば経営を圧迫します。つなぎが必要な時や急な支払いが発生したときだけに利用を制限し、返済が滞ることがないように計画して活用してください。

親族や友人からの借入れ

資金調達手段として、親族や友人から借入れるケースもあるでしょう。
親族や友人からの借入れであれば審査が不要なうえ、交渉次第では無担保、無保証で融資を受けられます。

しかし、親族や友人からの借入れは人間関係を崩壊させるリスクがあります。
親族や友人から借入れるときには、借入れの事実を紙に残したり、第三者を介したりトラブルにならないようにしてください。

短期継続融資は正常な運転資金を補うための融資

企業が成長拡大を続けていくと、仕入れや経費として必要な資金は増大していきます。支払う金額が大きくなる分、資金繰りへの影響も大きくなっていくでしょう。
事業が成長拡大する時期は、チャンスであるとともに資金不足になってしまうリスクもあります。
短期継続融資であれば、企業の一時的な資金不足に柔軟に対応可能です。正常な運転資金を補うための融資として、短期継続融資を活用しましょう。



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(編集:創業手帳編集部)

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