トライアル雇用助成金で採用コストを削減!概要・対象者・助成額などを解説
試用期間3ヶ月で求職者の適性を見極められるトライアル雇用助成金!
業界未経験者をいきなり正社員で採用するのはリスクが高い…と思う方へ、「トライアル雇用助成金」をおすすめします!
企業と求職者双方にとって最適な雇用関係を築くための補助金です。助成金は条件を満たすことで支給され、補助金に比べて難易度は易しい傾向にあります。
この記事では、トライアル雇用助成金のメリットを活かすため、申請方法から注意点まで重要なポイントを解説します。
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この記事の目次
トライアル雇用助成金とは?概要・目的
トライアル雇用助成金とは、中小企業やスタートアップの経営者が新たな人材を採用する際のリスクを軽減するための制度です。
厚生労働省が提供しており、企業が求職者を一定期間(原則3ヶ月)試しに雇用することで、その求職者が企業に合うかどうかを見極められます。
目的は、採用のミスマッチを防ぎ企業と求職者双方にとって最適な雇用関係を築くことです。
トライアル雇用助成金は新しい求職者を試しに雇用し、その適性を確かめるための給与の一部をサポートします。
企業は採用のリスクを抑えながら、積極的に最適な人材を見つけ出せます。
トライアル雇用助成金の3つのコースについて(対象者・利用条件・助成額)
トライアル雇用助成金は、以下の3つのコースがあります。
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- 一般トライアルコース
- 障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース
- 若年・女性建設労働者トライアルコース
コースによって求職者や利用条件が異なるので、注意が必要です。
どのコースが自社に適用できるかを判断できるように、ここで各コースを詳しく解説します。
トライアル雇用助成金:一般トライアルコース
一般トライアルコースの目的は、就職が困難な求職者を対象に無期雇用への移行を前提とした一定期間のトライアル雇用を支援し、早期就職と雇用機会を創出することです。
企業と求職者双方にメリットをもたらす制度です。
企業は採用のリスクを軽減し、求職者は実務経験を積めます。
受給対象者 | 次のいずれかの要件を満たし、紹介日に本人がトライアル雇用を希望した場合。 ①紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している ②紹介日の前日時点で、離職している期間が1年を超えている※1 ③妊娠、出産・育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で、安定した職業※2に就いていない 期間が1年を超えている ④ 生年月日が1968年(昭和43年)4月2日以降の者で、ハローワーク等で担当者制による個別 支援を受けている ⑤ 就職の援助を行うに当たって、特別な配慮を要する※3 |
事業主の利用条件 | ・ハローワーク等の紹介により雇い入れること ・原則3ヶ月のトライアル雇用をすること ・1週間の所定労働時間が通常の労働者の1週間の所定労働時間(30時間以上(※4)と同じであること |
助成額 | 支給対象者1人につき月額4万円 (※対象労働者が母子家庭の母等または父子家庭の父の場合は5万円) |
※1 パート・アルバイトなどを含め、一切の就労をしていないこと
※2 期間の定めのない労働契約を締結し、1週間の所定労働時間が通常の労働者の所定労働時間と同等であること
※3 生活保護受給者、母子家庭の母等、父子家庭の父、日雇労働者、季節労働者、中国残留邦人等永住帰国者、ホームレス、住居喪失不安定就労者、生活困窮者、ウクライナ避難民、補完的保護対象者(出入国管理及び難民認定法第61条の2第2項に規定する補完的保護対象者の認定を受けている者)
※4 対象労働者が日雇労働者、ホームレス、住居喪失不安定就労者の場合は20時間以上
参考:厚生労働省 トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
トライアル雇用助成金:障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース
障害者トライアルコースの目的は、障害者の早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることです。
障害者トライアルコースは、障害を持つ求職者に特化した2つのコースがあります。
「障害者トライアルコース」と「障害者短時間トライアルコース」です。
「障害者トライアルコース」は通常時間での勤務を想定し、「障害者短時間トライアルコース」はパートタイムでの勤務を想定しています。
【障害者トライアルコース】
受給対象者 | 次の①と②の両方に該当する者であること ①継続雇用する労働者としての雇入れを希望している者であって、障害者トライアル雇用制度を理解した上で、障害者トライアル雇用による雇入れについても希望している者 ②障害者雇用促進法に規定する障害者のうち、次のア~エのいずれかに該当する者 ア紹介日において就労の経験のない職業に就くことを希望する者 イ紹介日前2年以内に、離職が2回以上または転職が2回以上ある者 ウ紹介日前において離職している期間が6か月を超えている者 エ重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者 |
事業主の利用条件 | ・ハローワーク等の紹介により雇い入れること ・雇用保険被保険者資格取得の届出を行うこと |
助成額 | 支給対象者1人につき ①対象労働者が精神障害者の場合、月額最大8万円3か月、月額最大4万円3か月(最長6か月間) ②1以外の場合、月額最大4万円(最長3か月間) |
【障害者短時間トライアルコース】
受給対象者 | 継続雇用する労働者としての雇入れを希望している者であって、障害者短時間トライアル雇用制度を理解した上で、障害者短時間トライアル雇用による雇入れについても希望している精神障害者または発達障害者 |
事業主の利用条件 | 対象労働者を次の①と②の条件によって雇い入れること ①ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること ②3か月から12か月間の短時間トライアル雇用をすること |
助成額 | 支給対象者1人につき月額最大4万円(最長12か月間) |
参考:厚生労働省 障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース
トライアル雇用助成金:若年・女性建設労働者トライアルコース
このコースは、建設業界での雇用に特化した助成金の1つです。
利用条件は、他コースと同様にハローワーク等の紹介により雇い入れることです。
雇用する労働者は、労働時間の半数以上を現場作業しなくてはいけません。
受給対象者 | トライアル雇用助成金(一般トライアルコース、障害者トライアルコース)の支給対象となった労働者のうち、次のいずれの要件にも該当する者。 イ トライアル雇用の開始日時点で35歳未満の者又は女性 ロ トライアル雇用期間に主として建設工事現場での現場作業(左官、大工、鉄筋工、配管工 など)又は施工管理に従事する者※1 |
事業主の利用条件 | 一般トライアルコースまたは障害者トライアルコースの支給決定を受けた中小建設事業主 |
助成額 | 支給対象者1人につき月額4万円 |
※1 設計、測量、経理、営業などに従事する者は対象外。
参考:厚生労働省 建設事業主等に対する助成金 支給要領 トライアル雇用助成金 若年・女性建設労働者トライアルコース
トライアル雇用助成金のメリット・デメリット
トライアル雇用助成金を最大限に活用するためには、いくつかの重要なポイントを把握しておく必要があります。
ここでは、メリットとデメリットを詳しく掘り下げます。
メリット:採用コストを削減できる
新たに人材を採用するには、採用担当者の人件費や求人広告費などの採用コストがかかります。
しかし、トライアル雇用助成金を利用すればお金も時間も節約可能です。
トライアル雇用助成金の条件には、「ハローワーク等の紹介で雇い入れること」があります。
ハローワークを経由することで、自社で求人広告を出したり応募者を選考したりする手間が省けます。
ハローワーク側で紹介先の会社に合った求職者を選考するため、仕事内容や社風に合った人材を見つけやすいです。
また、採用した人材の給料の一部を助成金でカバーできます。
3ヶ月間トライアル雇用で適正や能力を見極め、一人あたり月4万円の支給です。金銭的なサポートがあることで、新しい求職者を積極的に採用できます。
トライアル雇用助成金は、人材を探すリスクを減らし、同時に経済的な負担も軽くする制度です。
メリット:採用のミスマッチのリスクを抑えられる
トライアル雇用期間を経て本採用に至ることで、採用時のミスマッチリスクを大きく抑えられます。
採用前に求職者の適正がわかれば長期雇用にもつながるでしょう。
トライアル雇用制度は、仕事の経験が不足しているか、就職に障壁がある人々を対象としています。
求職者もトライアル期間を利用して、仕事内容をより深く理解し、その職場で長期間働くことが自分に合っているかを判断できます。
トライアル期間で求職者の適正だけでなく、社風に合っているか、社員とのコミュニケーションをとれるかを判断しましょう。
メリット:任期満了後の契約を選択できる
トライアル雇用の期間満了後は、正式な契約を結ぶかどうかを企業が選択できます。
通常の採用では試用期間を設けるケースがあり、1〜3ヶ月が一般的です。
しかし、試用期間は正社員と同様の雇用契約を結びます。選考中ではないため、簡単に解雇できると考えるとトラブルのリスクがあります。
トライアル雇用助成金を使えば、正式に雇用する前に一定期間(原則3ヶ月)「お試し」雇用可能です。
この期間でじっくりと見極め、採用を判断できます。
デメリット:申請の手間がかかる
トライアル雇用助成金を利用するには、申請手続きがあることが通常の採用と異なる点です。
慣れていないとこの手続きは大変に感じるかもしれません。
ハローワークへトライアル雇用の求人募集を出した後、紹介を受けた求職者と面接します。トライアル雇用が開始したら2週間以内に実施計画書を提出します。
トライアル雇用の終了後、2ヶ月以内に支給申請をします。
期限内に提出しないと助成金を受給できなくなるので、限られた期間で注意が必要です。
トライアル雇用補助金を受給するには、決められたタイミングで書類提出があり、管理や調整が必要です。
しかし、この手間をかける価値は十分にあります。
申請手続きを乗り越えられたら、その後のメリットは大きいのです。
デメリット:求人対応や人材育成の負荷が高くなる
求職者の中には業界未経験や社会人経験に乏しい求職者の応募もあり、きめ細かな対応が長期にわたる可能性があります。
トライアル雇用助成金を活用するためには、ハローワークを通じて求人を出す必要があります。
多くの応募があった場合、これらの対応には相当な時間と労力が必要です。
さらに、トライアル雇用を通じて採用した新入社員に対しては、その期間中に適切な指導やサポートを提供する必要があります。
トライアル雇用助成金の利用は短期的には負担が増えるかもしれませんが、適切な人材を確保し育てるための貴重な機会です。
トライアル雇用助成金の申請方法
トライアル雇用助成金の支給を受けるには、手続きの流れや必要な書類を正確に理解しなくてはいけません。
事前に情報を把握しておくことで、申請に際しての準備を効率的に行えます。
トライアル雇用助成金申請と雇用の流れ・手順
トライアル雇用助成金の雇用から申請までの流れを事前に確認しておくことで、限られた期間での申請をスムーズに準備できます。
採用を決めたら以下の手順で進めていきましょう。
1.ハローワークにトライアル雇用の求人を出す
ハローワークに求人を出す際には、制度利用を考えているトライアル雇用であることを伝えます。
求職者はあなたの会社の求人情報を見ることができ、ハローワーク担当者は適した求職者を選定します。
2.求職者に対して面接を行い採用する
応募してきた求職者と面接をしましょう。
この段階で、求職者のスキルや会社への適合性を評価し、トライアル雇用で採用するかどうかを決定します。
3.トライアル雇用で採用後、実施計画書を提出する
採用が決まったら、2週間以内に「トライアル雇用実施計画書」をハローワークに提出しましょう。
この計画書には、トライアル期間中の具体的な業務内容や目標が記載されます。
4.トライアル雇用を原則3ヶ月実施する
原則3ヶ月間、トライアル雇用を実施します。
この期間は、新しいスタッフが職場に適応し、その能力を発揮できるかを見極めるためのものです。
5.トライアル雇用終了後、助成金支給申請を提出する
トライアル期間が終了したら、助成金の支給申請である「トライアル雇用結果報告書兼トライアル雇用助成金支給申請書」をハローワークに提出しましょう。
この申請には、トライアル期間中の活動報告や評価結果が含まれます。
6.助成金が支給される
申請が承認されると、一括で助成金が支給されます。
トライアル期間中に発生した給与費用の一部として使用できます。
トライアル雇用助成金の申請プロセスは、一見すると少し手間がかかるように思えるかもしれません。
しかし、この手間をかけることで、新しいスタッフの採用におけるリスクを大幅に軽減し、会社の成長に貢献する人材を見つけられます。
トライアル雇用助成金申請に必要な書類
トライアル雇用助成金では、主に2つの申請手続きがあります。
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- トライアル雇用実施計画書の提出
- トライアル雇用結果報告書兼トライアル雇用助成金支給申請書
それぞれの手続きで必要な添付書類の一覧を確認してみましょう。
トライアル雇用実施計画書の添付書類
トライアル雇用実施計画の提出は、共通用様式第1号トライアル雇用実施計画書の他に以下の添付書類を提出します。
- 実施様式第1号トライアル雇用対象者確認票
- 実施様式第2号トライアル雇用助成金支給対象事業主要件票
- トライアル雇用期間に係る雇入れ通知書または雇用契約書等労働条件が確認できる書類
- トライアル雇用職業紹介証明書
- トライアル雇用に係る求人票
- 対象労働者確認票
- 対象労働者が母子家庭の母等または父子家庭の父であることの確認書類(該当する場合)
トライアル雇用開始日から2週間以内に提出しなくてはいけません。
雇用を検討しする求職者が応募してきたら、上記の書類をすみやかに準備しましょう。
トライアル雇用結果報告書兼トライアル雇用助成金支給申請書の添付書類
結果報告書兼支給申請書は共通様式が2種(様式第1号支給要件確認申立書および様式第2号助成金申請書)あります。
この2種の書類に加えて、以下の書類を添付しなくてはいけません。
- 受理印のある計画書の写し
- トライアル雇用労働者に係る出勤簿
- トライアル雇用期間中の賃金台帳
- トライアル雇用期間に係る雇用契約書もしくは雇入れ通知書
- 常用雇用へ移行した後の雇用契約書もしくは雇入れ通知書
上記の書類以外に、追加で必要な書類を要求されるケースがあります。
実際に申請する際には、申請窓口のハローワークで確認してみましょう。
申請書類や添付書類は、厚生労働省の『トライアル雇用助成金の申請様式ダウンロード』で取得できます。
トライアル雇用助成金の注意点
トライアル雇用助成金を活用する際、いくつかの注意点を理解しておく必要があります。
ここで注意点を把握することで、不必要なトラブルを避けられます。
一般採用の試用期間とは違う
トライアル雇用助成金は、就業経験が少ないまたは就業が困難な人々を対象にしており、実際の職場での適性を試すことが目的です。
これに対し一般的な試用期間は、すでに採用が決定した従業員の能力を確認し、配属までの準備期間です。
トライアル雇用 | 一般採用の試用期間 | |
目的 | 採用のミスマッチを防ぎ企業と求職者双方にとって最適な雇用関係を築くこと | すでに採用が決定した従業員の能力を確認し、正式な雇用に移行するかを判断 |
雇用形態 | トライアル終了後に雇用を選択できる | 他社員と同様の雇用契約をすでに締結している |
トライアル雇用では、トライアル期間終了後に正式な雇用契約を結ぶかどうかを企業が選択できます。
これは、トライアル期間を経て、双方にとって適切な関係を築けるかを見極めるためです。
一般的な試用期間の場合、試用期間終了後の雇用はあらかじめ前提とされています。
トライアル雇用助成金を利用する際は、これらの違いを十分に理解し適切な準備と計画をたてることが重要です。
トライアル雇用助成金は新しい求職者を試す絶好の機会ですが、運用は一般的な試用期間とは異なる点があることを覚えておきましょう。
派遣求人は対象者とならない
派遣求人に関しては、トライアル雇用助成金の対象外となることを理解しておくことが重要です。
トライアル雇用助成金の主な目的は、直接雇用を前提とした雇用機会の創出と、就業経験が少ない人や就業が困難な人々への職場での適性確認の機会を提供することにあります。
一方で、派遣求人は、派遣会社が労働者を企業に派遣する形態であり、直接雇用とは異なるため、この助成金の対象とはなりません。
トライアル雇用助成金は、新しいビジネスの成長を支える貴重な制度ですが、その利用には条件があります。
派遣求人は対象外であることを理解し、直接雇用を前提とした求人活動を行うことが重要です。
過去6カ月に離職者がいると助成金を申請できないケースがある
助成金は全ての企業では対象ではなく、申請できないケースがあります。
支給対象事業主の要件で注意したいものは、過去6ヶ月に離職者がいるケースです。
トライアル雇用を開始する前6ヶ月だけでなく、トライアル雇用期間中に離職者を出してもいけません。
離職者とは、雇用保険被保険者を事業主都合で離職させた者です。
将来的にトライアル雇用助成金を利用したい場合は、雇用管理において安定した雇用を心がけ、解雇を避けることが重要です。
まとめ・トライアル助成金で適性がある人材を確保できる戦略を!
トライアル雇用助成金は、採用コストを抑え人材のミスマッチリスクを減らせる制度です。
企業は最大3ヶ月、求職者の適性を試すことができますが、派遣求人の除外などの注意すべき点があります。
トライアル雇用助成金をうまく活用することで、企業は新しい求職者をリスクなく試し、長期的な雇用につながる可能性のある人材を見つけ出すことができます。
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