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環境負荷の低い農業の普及に取り組む「坂ノ途中」が「パナソニック」と資本提携

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2023年6月28日、株式会社坂ノ途中は、資金調達を実施したことを発表しました。

引受先は、パナソニック株式会社がSBIインベストメント株式会社と共同で運営するコーポレートベンチャーキャピタルファンド(パナソニックくらしビジョナリーファンド)です。

坂ノ途中は、新たに農業をはじめた新規参入者をパートナーに、化学合成農薬や化学肥料を使用せずに育てられた農産物の流通販売を手がけています。これにより、新規参入者が生産する、大規模流通に乗らない少量不安定な農産物の価値を消費者に届ける、バリューチェーンの再構築を目指しています。

仕入れた農産物は、自社EC、定期宅配、リアル店舗、スーパーなどの小売店といった多様な販路を通じて販売しています。

今回のパナソニックとの提携により、パナソニックのコールドチェーン技術を活用し、農産物流通における鮮度管理能力の向上、CO2排出量削減、フードロス削減などに取り組みます。


世界的に有機栽培が推進されているのは、従来の農薬や化学肥料を使う慣行農業が環境負荷が高い営農であり、今後持続的に農業を展開し食料を生産していくには、環境負荷が低い方法に転換する必要があるからです。

しかし日本においては、かなりの割合の農家が慣行農業となっています。

日本において有機農業が拡大しない理由はいくつかあります。たとえば、日本は高温多湿の気候であり他国よりも病虫害の被害に遭いやすい、病虫害のリスクを抑えるため非効率的な多品目栽培をとる必要があり有機農業の大規模化が困難である、有機農産物は高付加価値であるものの栽培にコストがかかり慣行農業よりも収益が低下してしまうといったことが挙げられます。

2020年において有機農業がすべての農地に占める割合は0.6%とかなり低い割合となっています。とはいえ、2010年から比べると51%増加しており、今後のさらなる拡大が期待されています。

また、日本の農業では農業人口の減少も課題となっています。農林水産省の「令和3年新規就農者調査結果」によると、2021年の新規就農者は5万2,290人で前年に比べて2.7%減少しています。一方、49歳以下は1万8,420人(前年比0.2%増)とわずかながらも増加しており、若年層の人口増加に期待がかけられています。

さらに、こうした若年層は有機栽培などに取り組むケースが多く、今後の農業の発展のためには有機栽培に取り組む若年層の農家を支援することが重要です。しかし、有機栽培は収量が少なく、さらに安定しないことから、販路を確立することが困難であるという課題を抱えています。

坂ノ途中は、こうした新規就農者に対し、収量が少なく安定していなくても農産物を適正な価格で継続的に販売できる仕組みを構築することで、農業を始めやすい・続けやすい世界の実現を目指しています。

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カテゴリ 有望企業
関連タグ コールドチェーン サステナブル パナソニック バリューチェーン 坂ノ途中 新規就農 新規就農者 有機栽培 株式会社 流通 環境 環境負荷 生産物 資本提携 資金調達 農家 農業
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