FinT 大槻祐依|SNSを最大限に活かす!ものづくり日本のいいものを国内外へ発信

創業手帳woman
※このインタビュー内容は2023年04月に行われた取材時点のものです。

大学在籍中に起業。熱狂と強みがあればどんな困難も乗り越えられる!大切なのは視座を高めて学び続けること

早稲田大学在学中に受講した「起業家養成講座」をきっかけにビジネスに興味を持ち、FinTを起業した大槻氏。さまざまな困難を乗り越えて、現在は「みんなの強みを活かして、日本を世界を前向きに」をパーパスに、クライアントとスタッフがwin-winのバランスを保てるように事業を展開しています。

SNSを駆使して日本の「いいもの」の魅力を発信する想いや、SNSの魅力について創業手帳代表の大久保がお話を伺いました。

大槻 祐依(おおつき ゆい)株式会社FinT 代表取締役
1995年生まれ。早稲田大学在学中の2017年3月に起業。「みんなの強みを活かして、日本を世界を前向きに」というパーパスのもと、Sucle(シュクレ)というブランドで若年層女性向けSNSメディア(総合約90万フォロワー)の運営や、SNSマーケティング事業を展開。主要事業であるSNSマーケティング事業にて、大手企業を中心に累計200社以上の企画、撮影から運用までサポート。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

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起業のきっかけは何気なく受講した講座から

大久保:早稲田大学在籍中に起業されていますが、その経緯を教えていただけますか。

大槻:早稲田大学では、文化構想学部に在籍していました。元々、異文化に触れたいという気持ちで選んだ学部ですが、特に何かを学んだとか研究したと言えるものはないかなと思います。

大学1年生のときに、比較的簡単に単位が取れそうと思い受講した「起業家養成講座」で、初めて大企業やビジネスに出会い、起業に興味を持ちました

大久保:起業される方の中には、とりあえず起業される方と、長くやっていくつもりで起業される方がいらっしゃいますが、大槻さんはいかがでしたか。

大槻:起業前は就活もしていましたが、起業したときは継続的にやっていく気持ちでいました。起業と同時に休学していたので「新卒チケット」は残したままでしたが、就職することは考えていませんでした。

大久保:「新卒チケット」は、就職する場合はほとんどの人にとって大きなチャンスといえるかと思います。一方で、起業するという選択肢もあって、そのどちらを選ぶかで悩んでいる学生の方も多いですよね。

大槻:そうですね。おっしゃる通りですが、最近は「新卒チケット」はあまり関係なくなっていると私は思っています。起業したいという気持ちがあるなら、若いうちからチャレンジして、失敗したとしてもそこから就職を考えればいいかなと思いますね。

起業後にやってきたさまざまな壁

大久保:学生ベンチャーの場合はピボットを繰り返すといわれますが、起業当時の事業はどのようなものでしたか。

大槻創業は「若者とお金を近づける」というビジョンで金融系の事業をやっていました。若者が金融知識を持つことによって、世の中が変わっていけばいいなと思っていたんです。

ところが、その事業に対しての強みというものが私たちにはありませんでした。金融系の経済学部などであれば違ったのかもしれませんが、そこに私がやる意味も感じられずにいました。

大久保:金融事業は比較的年齢層が高くて、一番ハードルが高いというイメージがありますよね。

大槻:そうですね。起業した頃を振り返ってみると、もっと違う方法があったかもしれないと思いますが、当時は自分が熱狂して、かつ、自分の強みだから波に乗れるみたいなものがなくつらかったです。

やはり、起業にはいろいろな壁があって、つらいことがたくさんあるんですよね。いろいろな壁やつらいことなどが出てきたときに乗り越えられる理由が、私は熱狂できることや強みだと思います。

大久保:確かに、自分自身が熱狂していないと他の人を巻き込むことは難しいですよね。

大槻:はい、そう思います。

大久保:手応えを得られたのが今の事業だと思いますが、そう思われた瞬間というのは何かありましたか。

大槻:SNSマーケティングで最初に行ったInstagram運用代行事業で、結果が出たときですね。いろいろな企業のInstagramのコンサルティングをしたり、Instagramの運用代行の成果をきっかけに紹介していただいたりして、すごく反響があったんです。たくさんの方から話を聞きたいと問い合わせが増えたタイミングで、これはチャンスだと思いました。

▲現在のお取引企業様 一部

ファンが生まれるSNSの魅力とは

大久保:InstagramなどのSNSは、完全にオープンではないけれども、ある程度開かれた世界というところが素晴らしいと感じているのですが、SNSの魅力について、どのようにお考えですか。

大槻マーケティングの観点で考えると、双方向性のコミュニケーションをとれることが魅力だと思っています。これまでは、一方通行のコミュニケーションが多かったと思うんですよね。CMなどの広告の場合でも発信したあとのフィードバックが直接的にはないものが多かったと思います。

ところが、今は発信側が発信したあとにお客様の反応を見ることができます。お客様とコミュニケーションを取れるので、発信だけして取り残されることがありません

コミュニケーションからファンが生まれることもあるので、それはSNSの面白いところですし、楽しいところだと思いますね。

大久保:テレビは規模の大きい企業がCMを放送しているイメージがありますが、InstagramなどのSNSは起業したてのベンチャー企業がトライしやすいというのもありますよね。

大槻:そうですね。SNSは予算を大きくかけなくても、小さいところからでも始められます。結果としてクリエイターも多く生まれていますし、ひとりひとりの力次第で伸びていけるという点もやりがいがあるところです。

流行り廃りがあるSNS!次にくるのは?

大久保:SNSは流行り廃りがありますが、今後伸びることが予想されるSNSは何かありますか。

大槻TikTokですね。今もすでにTikTokの滞在時間が伸びていて、バズることがすごく増えています。こうやって新しいプラットフォームが出てくることも、SNSの面白いところだと思います。

大久保:起業する際にInstagramやTwitterなどのSNSの発信について、アドバイスをいただけますか。

大槻コミュニティをつくって熱狂することができれば、ニッチな事業でも勝てるのがSNSだと思っています。InstagramでもTikTokでもファンを増やすための投稿を、事業の背景を語りながらどんどん発信していけるといいのではと思います。

サービスがどんな背景でどういう思いがあるのかなど、SNSを使って伝えていければ、共感を生んで購入につながるからです。

そのほかでは、わかりやすく発信することが大切です。自分たちが発信したいことだけを発信するのではなく、相手の目線に立って考えて発信するということです。

自分たちが発信していく場合は、複雑な情報になりがちです。シンプルなメッセージを継続して発信していくことが大事だと思います。

また、ただハッシュタグをつけて発信しているだけでは、見たい人がそこまでいなかったということにもなりかねません。みんなが見たくなるようなものを、どうやったらできるかという観点で考えるのが大切です。

大久保:今おっしゃっていただいたのは重要かつ当たり前のことだけれど、それがなかなかできない方が多いですよね。

大槻:そうですね、難しいと思います。私たちは常に死ぬほどSNSを見ているからこそできるんじゃないかと思います。

「好き」こそが最大の強み!

大久保:SNSの見方のパターンというものがあるのですか。もしくは、感覚的に見ているのですか。

大槻:当社には、あらゆる領域で専門的な知識のあるスタッフがいます。私たちは化粧品や食品メーカー、若者向けなど様々な取り組みをしているので、同じ事業の競合や関連するSNSは徹底的に見ていきます。

大久保:好きだからこそ、クオリティの高い結果がでるということですね。

大槻:まさにそうですね。好きなことだからこそ、こだわりきるみたいなところがあります。
新たな領域の場合でも、興味を持つことが大切だと思っています。それまで意識をしていなかったことでも、見ていくうちに好きになってそれが強みになるからです。

ただし、好きばかりでSNSを見ているだけでは、企画には落とせないので、思考力のかけ合わせも必要だと思っています。

また、クライアントさんが求めることをすべて受け入れるというよりも、ユーザーさんの気持ちを捉えることを大事にしています。そのうえで、クライアントさんに共感していただいてビジネスの形ができていったということですね。

マネジメントで大切にしていること


大久保:マネジメントに関してはいかがですか。学生で起業してスタッフを使うことは大変だったと思います。

大槻:そうですね、これまで大変なことは何回もありました。現在は社員が50人ほど、インターン生や業務委託の方を合わせると80人ほどの会社ですが、小さい壁も大きな壁もその都度乗り越えるしかないと思ってやってきました。

ただ、私が大事にしているのは、勇気を持って社員に任せるということです。自分が細かく管理しようとすると社員は成長できないですし、結局自分がやることになってしまいます。社員に任せたほうが、最終的には私がやるよりも良くなることが多いですしね。

そこを自分自身が理解できたところが、一緒に仕事をする仲間を増やすことができた理由だと思っています。

大久保:社長として自身のマネジメントで心がけていることはありますか。

大槻:起業当時は全体が見えていなかったと思いますね。今は、当たり前を疑って視座を高めながら、その場で満足せず常に学び続けることが大事だと思っています。それができれば、社長として強くなっていけるのではと思っています。

クライアントが気づかない魅力を発掘する

大久保:SNSで発信するお手伝いをされていますが、具体的にはどのようなものがありますか。

大槻:最近では、酒造メーカーさんのお手伝いをさせていただいています。YouTubeでお酒を製造している様子を配信したり、Twitterでお酒の魅力について発信したりして売上を伸ばしていますね。

大久保:地方の酒造メーカーさんの場合、すごいことや面白いことをやっていても当たり前過ぎてそれに気づいていなかったり、どうやって売っていったらいいのかわからなかったりということもありますよね。

大槻:はい、もったいないと思っています。なので、クライアントさんが気づいていない魅力など、SNSで発信していくことによって売上につながっていければ本当にうれしいですね。

大久保:地方の企業やSNSに慣れていない企業などのお手伝いをして、SNSの恩恵を受けられるようにする役割と、働く側で考えると興味がある領域のSNSを見ることが仕事につながるので、すごくバランスがいいですよね。

大槻:そうですね、今まさにそれができているかなと思っています。

ものづくり日本の「いいもの」を輝かせるために


大久保:今後の目標や事業展開について教えてください。

大槻:私たちは「みんなの強みを活かして、日本を世界を前向きに」というパーパスに基づき、日本にある「いいもの」を正しく届けるということを常に意識してやっています。

日本人は繊細さを活かしたものづくりが得意です。ところが「いいもの」が眠ったまま廃れていってしまう状況にあるのではと懸念しています。そこで、見せ方や発信の仕方、売る場所を変えることによって商品の価値を上げていくようにしています。

目標は、日本の「いいもの」をいろいろなところに届けることによって、日本が元気に前向きになることです。そのためには、日本にあるたくさんの「いいもの」を輝かせることが大事だと思っています。

今後は日本国内だけでなく、海外に向けて日本の「いいもの」を広めていくことを強化していきたいですね。

大久保:日本には世界に通用するような「いいもの」がたくさんありますからね。

大槻:そうなんです。ものづくり以外では、日本の食文化も海外に受け入れられると思っています。

大久保:最後に、読者の方にひと言メッセージをお願いします。

大槻:やり続けることが一番大変だと思います。自分のパーパスに沿って、やりたいことをあきらめずにチャレンジし続けていくことが大事ですね。

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(取材協力: 株式会社FinT 代表取締役 大槻 祐依
(編集: 創業手帳編集部)



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