DAO(分散型自律組織)とは?特徴と代表的な銘柄について解説
近年注目されているDAO(分散型自律組織)。メリット・デメリットを理解して購入しよう
DAOは分散型自律組織といい、近年注目を集めている組織形態のひとつです。
中には、名称だけ聞いたことはあるが内容はわからない、気になっているが何を購入すべきか悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
今回は、DAOの特徴やメリット・デメリット、実際に購入する場合のポイントなどを解説します。購入の検討に役立ててください。
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この記事の目次
DAO(分散型自律組織)とは
DAOが近年注目されている背景には、DAOの特徴や仕組みが影響しています。まずは、組織形態と仕組み、注目を集めている理由を解説します。
DAOは中央管理者のいない組織
DAOは、「Decentralized Autonomous Organization」の頭文字を取ったもので、「ダオ」と読みます。
分散型自律組織を意味する組織形態のひとつです。
端的に説明すると、暗号資産投資家による組織であり、同じ目的を持つ投資家たちが集まって、持ち寄った資金を共同で管理し、プロジェクトを進行していきます。
特徴的な点は、組織のあり方です。
誰でも参加できる組織であり、中央管理者が存在せず、メンバー全員が平等に発言権を持っています。
運営上のルールや決定事項はすべてオープンになっており、透明性の高い組織です。
また、インターネットへアクセスができれば世界中の誰でもDAOに参加でき、国籍・人種・年齢・性別に関係なく所属できます。
DAOの仕組み
ガバナンストークンを用いて意思決定を行います。
ガバナンストークンはDAOで発行されている仮想通貨で、これを購入することにより、プロジェクトに対しての発言や、意思決定に関する投票に参加できます。
意思決定に際してはガバナンストークンで投票を行い、過半数以上の賛成があると、スマートコントラクトにより実行される仕組みです。
スマートコントラクトは、ブロックチェーン上のシステムで、契約の自動化を意味します。
設定されているルールに従い、自動的に取引きが実行されるため、投票結果がそのまま反映されます。
DAOが注目されている理由
注目される背景には、DeFi(ディーファイ)の発展があります。DeFiとは、分散型金融と呼ばれるブロックチェーン上で構築された金融システムです。
DAOは、このDeFi市場で活用されているため、注目度が上がっています。
また、NFT(非代替性トークン)やメタバース(仮想現実)とも関連性が高いため、これらの普及によってDAOが注目をより集めています。
また、誰でも作ることができ、参入しやすい点も特徴です。インターネットへアクセスできる環境であれば、ブロックチェーン上に誰でも作成できます。
今後さらにDAOが注目されることで、様々なプロジェクトに投資が集まると予測されます。
DAOによって運営される組織も増えていき、比例してガバナンストークンの価格も上昇するでしょう。
DAOのメリット・デメリット
中央管理者が存在せず、誰でも参加できる組織ですが、メリットとデメリットの両面があります。それぞれの内容を見ていきます。
DAOのメリット
まず、DAOに関するメリットは3点です。
透明性が高い
透明性が高く、メンバーであればソースを閲覧可能です。
トークンを保持していれば誰でも参加可能であり、意思決定された内容はスマートコントラクトにより実行されます。
そのため、いつでもメンバー全員が内容を確認できます。
透明性が高いことにより、不正が難しい点もメリットです。
マネジメント型経営であればトップダウンで業務が行われるため、意思決定の過程はメンバーに明かされないケースも少なくありません。
しかし、DAOでは全員が意思決定に携わり、かつ、情報を閲覧できるため、不正ができない仕組みとなっています。
平等性が保たれる
主権を持つ中央管理者がおらず、平等性が保たれている点がDAOの特徴であり、メリットです。
マネジメント型組織の場合、管理職からの指示によって部下が動くため、主体性を持った行動を取りにくいのが難点です。
しかし、DAOの場合は、メンバー全員が積極的に意見を出し合い、出された意見から投票で決議を行うため、特別に誰かの意見が優先されることはありません。
そのため、組織の平等な運営を促進できます。
ガバナンストークンによる資金調達が可能
意思決定を行う投票の際に使用されるガバナンストークンは、通貨として資金を集める役割も担っています。
現在組織されている多くは、ガバナンストークンの発行で資金の調達を行っています。
プロジェクトが有望であれば、ガバナンストークンを発行することで、より多額の資金を集められるでしょう。
DAOのデメリット
メリットがあれば、同時にデメリットも存在します。デメリットは主に以下の3点です。
意思決定に遅れが出る
メンバー全体の意見によって意思決定を行うため、意思決定に時間を要します。
トップダウンによる決定であれば組織構造が垂直的なため、平等性は保たれませんが、スピード感を持った対応は可能です。
これは通常の投票を行う場面だけでなく、ハッキングや欠陥が発見された場合においても同じことです。
直ちに対応しなくてはならない場面であっても、投票の結果から意思決定を行うため、迅速な対応がとれません。
トラブル対応が遅くなることは、デメリットといえます。
法整備が不十分
できたばかりの新しい組織形態のため、世界的に法律の整備が追いついていません。そのため、日本だけではなく、各国で法整備が不十分な状態です。
現段階では消費者保護やセキュリティに関する法律が行き届いておらず、例えば、ハッキングに遭ったとしても、必ず被害総額が補償されるとは限りません。
そのため、何らかのトラブルがあった場合、法廷闘争に発展する場合もあり、法整備は今後の課題です。
ハッキングの危険性がある
ブロックチェーン上での取引きとなるため、ハッキングの危険があります。
実際、2016年にイーサリアムブロックチェーン上の「The DAO」という分散型投資ファンドがハッキング被害に遭い、約360万ETS(当時の価格で約52億円相当)を盗まれる事件が発生しました。
この事件では、メンバーの同意によってブロックチェーンをハッキング前に戻すことで、資産を取り戻しています。
ハッキングリスクがある上。法整備も不十分というデメリットがあるため、危険性を理解して参加しなければなりません。
代表的なDAOの銘柄
現在多くのDAOが組織・運営されています。そのうち、代表的な銘柄を5点紹介します。
MakerDAO
「MakerDAO」は、現存するDAOの中でも歴史のあるプロジェクトです。
「Dai」というドルのステーブルコイン(仮想通貨)を発行でき、イーサリアムブロックチェーン上での借入れ、貯蓄が可能です。
また、暗号通貨の技術開発も行っています。従来は暗号資産の価格が不安定で、借入れは簡単なものではありませんでした。
そのような状況で、「MakerDAO」は返済額が見通せるような仕組みとして作られたものです。
「MakerDAO」のガバナンストークンは「MKR」といい、価値の高い通貨です。そのため、近年では投資の対象として注目を集めています。
BitDAO
「BitDAO」は、DeFiやNFTに関わる将来性の高いプロジェクトへ資金提供をするために設立されたものです。
これから伸びが期待されるものへ出資し、バックアップするという内容で注目されています。
設立時には「PayPal」創業者のピーター・ティール氏など、多くの著名人や投資家が出資をしていることでも有名です。
また、シンガポールの仮想通貨取引所の「Bybit」が全面的に支援しており、年間10億ドルの資金提供が行われているといわれています。
Usebraintrust
「Usebraintrust」は、フリーランスの労働者と企業をつなぐ仕組みを供給するものです。
従来はフリーランスで仕事を見つける場合、専用のマッチングサービスへ登録することが一般的でした。
しかし、フリーランスと企業をつなぐ段階で、マッチングサービスという仲介業者を排除する仕組みを作ったのが「Usebraintrust」です。
企業はDAOへ数%の処理手数料を支払い、所属する労働者は賃金の20%を還元する仕組みです。
そのため、労働者は価格を上げなければ給与を稼ぐことができません。
また、新メンバーを招待することによりトークンで報酬を受けられるため、仕事ができる人が集まる仕組みです。
Bitcoin
「Bitcoin」は、中央管理者や管理する銀行が存在しない仮想通貨です。特定の管理者がいないため、決められたプログラムで運営されています。
「Bitcoin」による取引きは、ネットワークに参加しているメンバーによって処理と記録が行われます。
そして、ブロックチェーンへ取引きの記録が完了された後に、新しい「Bitcoin」が発行される流れです。
これらはすべてブロックチェーンにプログラミングされており、メンバー全員が閲覧可能です。また、「Bitcoin」の承認作業や、新規発行されたコインの受取りもできます。
PleasrDAO
投資家たちがNFTを共同購入することを目的に設立されたものです。価値の高いNFTに対して共同で投資をし、所有権を共有する仕組みを取っています。
「PleasrDAO」は、共同で購入したNFTを担保にし、DeFiの金融サービスである「CreamFinance」から、仮想通貨の借入れを行ったことが有名です。
NFTを担保にした借入れは「PleasrDAO」が初めての試みでした。
DAOの購入方法と作り方
実際に参加するためには、購入方法と参加方法を知っておくことが必要です。
また、誰でも作成できるというメリットもありますが、実際どのように作成・運営するのでしょうか。それぞれの方法を紹介します。
DAOの購入・参加方法
ここからは、購入方法と参加方法について、先に紹介した「MakerDAO」を例に解説していきます。
1.「MakerDAO」のAppへアクセスする
2.ウォレットを接続する
複数の選択肢が出てくるため、自分の持っているウォレットを選ぶ
3.仮想通貨「Dai」の発行
保有する暗号資産の中で、今回担保にするものを選択する
「Dai」購入後は、これを運用していく流れです。
「MakerDAO」のポータルサイトへアクセスすると、意思決定に関する投票への参加や投票状況が確認できます。
購入方法や参加方法は銘柄によって異なるため、検討しているものがあれば、詳しくチェックすることが大切です。
DAOの作り方・運営方法
自ら運営するためには、ガバナンストークンや投票メカニズム、資金管理・提案・投票のシステム、コミュニティなどの仕組みを用いて作成することが必要です。
そのため、こうした仕組みを提供するサービスを利用すれば作成できます。
DAOに関するアプリケーションは「Aragon」などが複数あります。
ガバナンストークンの発行や、それを利用して意思決定をする仕組みなどがあるため、種類と運営方法を確認することがポイントです。
DAOの銘柄を選ぶポイント
最後に、銘柄を選ぶ際のポイントを3点お伝えします。
将来性があり価値が上がる可能性
将来的に価値が上がる可能性のある銘柄を選ぶことが重要です。
銘柄ごとに特徴があるため、そこから今後の成長見込みを判断すれば、価値の上がる可能性のあるものを見極められます。
ただし、値動きを予測することは簡単ではありません。特に、短期的な動きだけでは判断できないため、初心者には難しい課題です。
そのため、まずは長期的に値上がりする可能性のある銘柄から始めてみることで、リスクを回避できます。
特徴を理解する
プロジェクトによって様々な特徴があります。分野や内容、携わっている人物などそれぞれに個性があるため、それを詳しくリサーチし理解しておくことが大切です。
基本的にはインターネットで調べれば出てきますが、情報がまったく出てこないものもあります。
情報が出ていないということはメンバーが少なく、場合によっては詐欺の危険性もあります。そのような場合は、安易に購入しないようにしてください。
最初は値動きが激しくないものを選ぶ
初心者の段階では、値動きが激しいものは購入を避けましょう。
値動きが激しいタイプの銘柄は、一獲千金を狙うギャンブル性の高いものです。そのため、投資や自分が組織に参加する趣旨からは外れてしまいます。
値動きのあるものは余剰の資金で楽しみ、基本的には投資目的などの安定した銘柄を選ぶことがポイントです。
まとめ
DAOは中央管理者のいない新しい組織形態として昨今注目を集めています。DeFiやNFTとの関連性も強く、今後さらに発展していくと予測されます。
ただし、法整備がまだ不十分な点など問題点を抱えていることも事実です。デメリットを理解し、銘柄の特徴を捉えた上で購入を検討してください。
(編集:創業手帳編集部)