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2022年4月4日株式会社カンリー 辰巳 衛 / 秋山 祐太朗|Googleマップ、HP、SNSなどの集客媒体に発信する情報を一括管理できるシステムの開発が注目の企業
Googleマップ、HP、SNSなどの集客媒体に発信する情報を一括管理できるシステム「Canly」を提供しているのが、秋山祐太朗さんと辰巳衛さんが2018年8月に創業した株式会社カンリー(旧社名:株式会社Leretto)です。
店舗を構えてお客様にサービス提供をしている事業者さまにとって、店舗への集客増加に向けた販促活動はとても重要です。
現代においては、折込チラシやポスティング、店頭呼び込みなどのオフライン施策だけではなく、自社ホームページの運用やSNSの活用などオンライン施策の実施も欠かせません。
消費者はGoogle検索やSNSなどを状況に応じて柔軟に使い分けることで情報の収集を行っています。
最近ではGoogleマップ上での検索を行うことで、周辺の店舗情報が位置情報と共に入手できるようになっており、今まで以上に「店舗探索⇨来訪」までのフローが便利になっています。
店舗運営者は、消費者の店舗探索行動の変化に合わせて、適切な集客媒体で自店舗の情報を発信し続けることによって、顧客を獲得していくことができます。また、収集した顧客の声をもとに自店舗のサービスを改善し続けることでリピーターの創出に繋がります。
しかし、運用する集客媒体が多くなるほど管理・更新の工数が膨大になり、リアルタイムでミスなく情報更新していくことは困難になります。
特に、運営している店舗数が多い事業者様であればなおのこと、各店舗の情報管理に多大な労力がかかり情報更新が追い付かず、お客様の不満を生んでしまったという声も少なくありません。
だからこそ事業者にとっては、工数をかけずに情報媒体の運用を行う座組みを構築することが店舗ビジネスの発展において重要になります。
上記背景より、店舗集客に関わる様々な集客媒体を一元管理できるシステムに、今注目が集まっています。
それが、株式会社カンリーが開発する『Canly』です。
株式会社カンリーの秋山祐太朗さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。
・このプロダクトを開発するに至った経緯について教えてください。
共同創業者である辰巳は総合商社勤務時代に接待の幹事を、私(秋山)は銀行員時代に社内宴会の幹事を頻繁に行っており、幹事業務の非効率さに大きな課題を感じていました。
2018年8月、最初は私達の原体験を元に宴会幹事代行事業を始めました。
その後、幹事代行サービスをシステム化し、2019年12月、宴会場や接待で使えるお店効率的に見つけることができるビジネスマンに特化したグルメ予約サイト(サービス名”Leretto”)をリリースしました。
ただ、このサービスは「初期費用ゼロ、固定費ゼロ、成果報酬ゼロ」という飲食店にとって全くデメリットのないモデルにも関わらず、殆ど受け入れられませんでした。
飲食店にとっては、ぐるなびや食べログのようなポータルサイト、facebookやinstagramといったSNS等の集客媒体が多数存在しており、「これ以上媒体を管理したくない、管理工数を削減したい」という悩みを抱えていたからです。
そんな最中、コロナウイルスが日本に到来。飲み会需要がなくなりグルメ予約サービスでお世話になっていた店舗がどんどん潰れていくのを目の当たりにしました。
弊社の経営状態も悪化しており、店舗の方々を救いたくても救えない。この悔しさを胸に、2020年7月起死回生をかけてリリースしたのが「Canly」です。
まずは、ユーザの店舗来訪導線で今後最も伸びていくと予想されるGoogleマップ、SNSを中心とした媒体連携を開始し、店舗の情報整備、発信、分析の効率化の支援から始めました。実際に、コロナの影響でたびたび営業時間の修正が発生していた中で、店舗情報の更新を管理画面で一括で行える本サービスは多くの店舗事業者様に受け入れられました。
・このプロダクトの特徴は何ですか?
「Canly」は店舗の営業情報や口コミ、キャンペーン情報の発信などを1つのデータベースで管理し、複数の媒体に一括で反映できるクラウドサービスです。
GoogleやFacebook、Twitterやホームページへの情報発信を効率化することで、「運用作業にかかる時間を削減」し、お客様にどういう情報を発信すべきか、お客様の声を元にどうサービス改善していくかなど、「店舗の方がお客様と向き合う時間を創出する」ことを目的においたサービスです。
弊社は上記に記載したような便利なシステムに加えて、お客様にどういう情報を届けるべきか、お客様の声を元にどのようにサービス改善をしていくかまで、専任のコンサルタントが運用サポートをしていることも大きな特徴になっています。
結局のところ、現場に落とし込みができないとシステムは意味が無いものになってしまうため、システムは必要機能のみに絞りUI/UXをわかりやすく、そして、丁寧な運用サポートを通して、現場で使いこなしてもらう(内製化)ことを第一に考えたサービス設計をしています。
・どういう方にこのサービスを使ってほしいですか?
前提として、店舗運営をされているお客様全てに我々のサービスは価値提供をできると考えておりますが、特にGoogleビジネスプロフィールやYahoo!プレイス、HPにSNSなど複数媒体の店舗情報の管理にお困りの方、そして、実店舗への集客向上に悩まれている方にぜひ使っていただきたいと考えております。
・このサービスが解決する社会課題はなんですか?
集客媒体に発信する店舗情報を管理画面上で一括管理できるようにすることで、店舗運営されるお客様の情報管理・運用工数を削減します。
そして、お客様に対してどのような情報を提供していくべきかのコンサルティングを通して、お客様にとってはお店探索がより便利に、店舗の方にとってはお客様が増え、サービス価値の向上に繋げることが出来ると思っています。
店舗運営されている方々にとって最も大事な時間は「お客様のことを考える時間」だと思っております。それ以外の作業時間を削減し、更には各媒体でのお客様の声を収集・分析できるようにすることで、「お客様と向き合い自社の付加価値を高めること」に時間を割いて行って欲しいです。
この好循環を加速させ、店舗をされるお客様が潤うことにより、新たな挑戦ができ、エンドユーザー様の生活が豊かになり、ひいては社会全体として豊かになっていく構造を創り出していきたいと考えております。
・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?
創業事業の幹事代行事業はなかなか収益には結びつかず、コロナの影響もあり、利益はほとんど出ませんでした。
資金ショートしかけた時もあり、その時は辰巳と秋山とで治験バイトをして生活費を稼いだという過去もあります。
そこから、創業期より今までお世話になってきた店舗のお客様にとって、時代を超えて必要とされるサービスを提供したい、助けたいという想いから「Canly」のアイデアに繋がりました。
・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?
私達はミッション実現のための中間ゴールとして「店舗の顧客接点を最適化する」というビジョンを掲げています。ここでいう顧客接点とは「店舗と店舗を利用するお客様を結びつけるコミュニケーション手段」のことを言います。
例えば飲食店のケースを挙げてみると、GoogleマップやSNS、アプリなどの利用頻度が年々増加し、食べログやぐるなびなどのグルメ予約サービスの利用頻度が低下しており、背景にあるのがお客様の情報収集手段の多様化です。
その中で、コロナ禍だからこそ利用頻度が特に上がった媒体もありました。
Googleマップ、ECサイト、デリバリーサイトなどがその一例です。
これらの媒体の重要性が高まる中、店舗としてはいち早く状況の変化に対応できているかが、店舗ビジネスの明暗を大きく分けつつある状況です。
また、日本の人口減少が加速する中、人手不足もあり中々新しい媒体の活用が追いつかない、という店舗も多く存在しています。
人手不足に加えて、そもそも店舗の方々が「どの媒体を活用していけば良いかわからない」といった問いも生まれています。例えば、飲食店では従来の有料広告媒体と無料広告媒体の使い分けが必要になっており、いかに最適な媒体に対して最適なリソース配分ができるかが重要なテーマとなっています。
具体的には、従来飲食店は北海道の焼肉店をオープンする時に、食べログ、アプリ、インスタグラムを利用するべき、といった「経験と勘」から媒体のセレクトをしていたと思います。
しかし、将来的にはカンリーを通して「その飲食店で顧客接点を最適化するにはGoogleマップ、ホームページ、フェイスブックを使うことで集客効果が最大化される」というようなレコメンドができるようになるかもしれません。
このように、店舗の方々が顧客接点を最適化するために必要となる意思決定のサポートを行っていきたいと考えています。ですが、私達はまだまだ道半ばです。
顧客接点を最適化するために、まずは各媒体の分断された情報やデータを一つに集約する必要があります。
だからこそ、私達はカンリーを作りました。
店舗の方々は、カンリーを通してありとあらゆる集客媒体の情報をカンリー上に集約し運用を効率化、統合的な分析まで行うことができるようになります。これにより、店舗の方々が時代にあった最適な媒体(例えば、アプリ、HP、Googleマップなど)をもっと手軽に利用できる。
店舗の方々にとって最適な顧客接点を作ることができるインフラを創造していきたいと考えています。将来的には、どの媒体に対してどのくらいのリソース配分をするべきかが、一目で分かる世界を創っていきます。
・今の課題はなんですか?
事業も会社規模も急成長の角度で拡大中のため、人材不足が大きな課題の一つです。特に広範囲な領域でのエンジニア人材の採用に課題を感じております。
カンリーの掲げるミッション・ビジョンを達成するにはまだまだプロダクトが未完成であり、Saas企業として様々な市場のニーズに対応できるような、より高度なプロダクト開発をしていかなければいけません。
既存プロダクトへの機能追加や極限までエラーを無くしていくような開発など、上流から下流まで幅広く拡充していくための開発が必要です。
そのためには、スキルを持ったエンジニア人材はもちろん、当社の掲げるミッション・ビジョンを共に目指す志を持った、バリューを体現して頂けるような方々と出会いたいと考えております。
・読者にメッセージをお願いします。
何かに挑戦したい!と思ったときに意識してることは、弊社の行動指針の一つである「まずやってみろ」です。
新しいことを始める時、どんなに調査しようと、準備しようと不安な気持ちはなくなりません。ならば、実際にやってみて「結果」を見つけることが不安を払拭する唯一の手段だと思います。
「道を知る」と「道を歩む」は全く違うと思っています。一定考えたら、即行動。重要な精神かと思っています。
会社名 | 株式会社カンリー |
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代表者名 | 代表取締役 Co-CEO 辰巳 衛 / 秋山 祐太朗 |
創業年 | 2018年8月15日 |
社員数 | 57名(2022年2月時点) |
資本金 | 456,470,000円(資本準備金等を含む) |
事業内容 | Googleビジネスプロフィール・HP・各SNSの一括管理サービス「Canly(カンリー)」の開発・提供 SNS運用コンサル事業、インターネットメディア、広告事業等 |
サービス名 | Canly |
所在地 | 東京都渋谷区渋谷1-8-3 TOC第一ビル7F |
代表者プロフィール | **秋山 祐太朗** 代表取締役Co-CEO 2015年 早稲田大学社会科学部卒業。 新卒で三井住友銀行に入行。 個人・法人営業を経験後、SORABITO株式会社に転職。法人営業、新規事業立上げを経験。 **辰巳 衛** 代表取締役Co-CEO 2015年 早稲田大学理工学部卒業。 双日株式会社に入社。 与信・事業投資の審査、国内外の空港M&Aを経験。 2017年に米国公認会計士試験合格。 |
カテゴリ | 有望企業 |
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