一人会社と個人事業主の違いとは。一人でも法人にするメリット・デメリット
一人会社って何?便利なツールで一人会社の経営を効率化するのがおすすめ
●一人会社と個人事業主の違い
●一人会社の設立手続きと費用
●一人会社のメリットとデメリット
●一人会社か個人事業主か選ぶ際のポイント
●一人会社向けの便利なツールとサービス
社員がいなく、社長一人だけの会社を通称「一人会社」と言います。一人で仕事をするという意味では、個人事業主と何も変わらないと思うかもしれません。
しかし、会社という法人形態にすることで、個人事業主とは異なる点が多々あります。
法人化を検討中の方のために、一人会社と個人事業主の違い、一人会社のメリット・デメリットを紹介します。
また、一人会社を設立することにしたら、一人会社に合ったツールも積極的に取り入れ、作業の効率化を図ることも大切です。労務、総務、経理など分野ごとに業務を楽にするツールも検討してみましょう。
起業後には、税務署や県・市町村などへの届け出や、法人口座の開設、各種ツールの導入などを検討する必要があります。「冊子版創業手帳」では、会社設立前から設立1年後において、何をしなければいけないのかをスケジュールとしてまとめています。
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この記事の目次
一人会社とは
一人会社とは、社長が一人で経営している会社のことを言います。会社の中には社長しかおらず、社員や他の取締役はいません。それでも法人として成立する、れっきとした会社組織です。
一人会社とはどんなものか、新会社法の仕組みや設立形態の選択肢とあわせて解説します。
新会社法になり一人会社が増えた
一人会社が増えた背景には、旧商法から新会社法に変わったことがあります。
旧商法では、株式会社を設立するためには資本金1,000万円、取締役3名以上という厳しい条件がありました。新会社法から必要な資本金は1円に、取締役は1名に変わり、条件が大きく緩和されたのです。また株式会社のほかに、合同会社という法人形態も設立可能となっています。
旧商法では株式会社を設立する条件が厳しく、法人を立ち上げる個人事業主は少ないのが現実でした。新会社法によって条件のハードルが下がり、一人会社の増加を促したのです。
一人会社の形態とそれぞれの違い
一人会社として設立できる会社形態には、以下の3つがあります。それぞれ設立時の費用や経営方法に違いがあるため、適した法人格を選んでください。
会社形態 | 必要な人数 | 設立費用 |
---|---|---|
株式会社 | 取締役一人 | 約25万円 |
合名会社 | 無限責任社員一人 | 約10万円 |
合同会社 | 出資者一人 | 約6万円 |
3つの一人会社の形態には、設立後の経営方法にも違いがあります。株式会社は株主から資金を調達し、そのお金で事業を行いますが、合名会社や合同会社の出資者は社員一人からです。
少額の資金から始められるのは合名会社・合同会社の利点ですが、複数名から資金を調達しやすい株式会社の方がスケールの大きな事業には適しています。また合同会社は知名度が低く、株式会社ほどの社会的イメージ、信用度はありません。
株式会社は経営者と出資者が完全に分離しており、事業運営にもそれが反映されます。出資者と経営者が同一となる合名会社や合同会社は、意思決定のスピードこそ速いものの、経営の視点だけでは会社を動かすことが難しくなるでしょう。
一人会社と個人事業主の違い
一人会社と個人事業主との大きな違いは、法人か個人かです。法人格を持った会社なのか、個人で事業を行っているのかで、法的な立場やできることの範囲が異なります。
ここでは一人会社の中でも株式会社にフォーカスし、個人事業主との違いをみていきましょう。
事業を始めるときの手続き
法人である一人会社と、個人である個人事業主とでは、事業を始める際の手続きに大きな違いがあります。
個人事業主の開業は税務署へ開業届を出すだけですが、株式会社として一人会社を立ち上げるには法務局へ登記申請が必要です。また、一人会社は開業時に資本金の払い込みも必要になるため、株式発行などで調達しなくてはなりません。
銀行口座の開設の必要性も、一人会社と個人事業主とでは異なります。個人事業主は屋号が含まれていない個人名の口座が使えますが、一人会社は法人のため、法人名で銀行口座を開設するのが一般的です。
事業を始めるのにかかる費用
事業を始める際の手続きが違えば、かかる費用も一人会社と個人事業主では異なります。
個人事業主の場合、事業開始に主だった費用はいりません。自分が仕事を始められる状態であれば、0円からでもスタートできます。
一人会社として株式会社を設立するには、登録免許税や手数料として約25万円が必要です。さらに資本金の払い込みも済ませなくてはなりません。資本金は1円からでも構わないものの、対外的な印象を考えれば相応の金額を用意するのが無難です。
事業の運営にかかる費用
継続的に事業運営を行うためには、ある程度の費用が不可欠です。個人事業主よりも、一人会社の方がコストを要する傾向にあります。
一人会社の方が費用負担が大きくなるのは、事務処理の煩雑さや税金面が主な理由です。法人の確定申告は専門知識がいるため、依頼費用を払って外部に任せるケースも珍しくありません。赤字でも税金の支払いが必要など、法人として事業を維持するための費用がかかりやすくなります。
資金の調達方法
事業に必要な資金調達ですが、有利なのは株式会社の形態を取る一人会社です。個人事業主の場合、法人よりも資金調達の方法が限られます。
補助金・助成金やクラウドファンディングなど、一人会社は多岐にわたる方法から選択が可能です。株式会社であれば、株式や社債の発行で調達することもできるでしょう。
個人事業主で融資やクラウドファンディングを募ることも不可能ではありませんが、社会的な信頼度や知名度においては法人格に劣り、不利な面が多くなります。
会計・事務の処理方法
一人会社と個人事業主とでは、会計や事務の処理方法に差があります。経費にできる範囲、赤字の繰り越し期間、確定申告の内容などが主な違いです。
経費として認められる範囲が大きいのは一人会社であり、さまざまな費用を計上して節税効果が狙えます。赤字の繰り越しに関しても、個人事業主は3年までなのに対し、一人会社は10年まで可能です。
税金の申告が必要なのは法人・個人に限らず共通ですが、具体的な手続き方法や必要書類が異なります。法人である一人会社の方が書類が多く、専門知識が必要な処理が多くなるのが通常です。
社会保険への加入
法人である一人会社の場合、社会保険への加入義務が生じます。個人事業主の場合はいくつか選択肢がありますが、国民健康保険に入るか、既存の社会保険を継続することになるでしょう。
社会保険料は会社と被保険者がそれぞれ負担し合いますが、一人会社であれば意味合い的にはすべて自分で負担することになります。
例外となるのは、役員報酬がない、あるいは報酬額が社会保険料より低い場合です。該当すれば社会保険への加入義務は発生せず、国民健康保険を利用することになります。
事業の廃止・継承
事業の廃止・継承においても、一人会社と個人事業主とでは違いがあります。費用面や手続きのしやすさなどが例です。
事業を廃止する際、個人事業主は費用がかかりませんが、法人である一人会社の場合は手続き上7万〜8万円かかります。
事業継承の手続きがしやすいのは一人会社です。個人事業主の場合は届出や資産所有権の移行などで手間がかかりますが、一人会社であれば会社としての手続きを済ませるだけで継承できます。
社会的な信用度
個人事業主は社会的信用度が低いため、取引を避ける企業もあるのが現状です。
一人会社は会社法の法律に基づいて運営されており、社会的信用度は個人事業主より高くなります。そのため、社会的信用度の高い一人会社は、銀行融資や人材採用でメリットがあります。
お金の流れ
お金の流れも、個人事業主と一人会社では大きく異なります。
個人事業主は、事業で得た収益がそのまま事業主個人の財布に入り、事業のお金と個人のお金を一緒に扱います。
一方で、一人会社の収益は会社の収益として扱われるため、事業主の収入は報酬や給料の形で支払われます。
課税される税金
個人事業主と法人では、以下のように課税される税金の種類が異なります。
個人事業主 | 一人会社(株式会社) |
---|---|
所得税 消費税 住民税 個人事業税 |
法人税 法人事業税 法人住民税 特別法人事業税 消費税 |
個人事業主の所得税は所得が増えるごとに税率が上がる累進課税なのに対し、法人税は会社規模に応じて税率が決まる一定税率です。所得が高くなるほど、法人である一人会社の方が税金の負担が低くなります。
一人会社のメリット
一人会社は個人事業主とは異なる性質をもち、大きなメリットもあります。一人会社の設立を検討する人の多くは、このメリットを得る事を目的としています。実質的なメリットだけでなく、イメージ面の効果も高く、法人化は事業を拡大するためには欠かせないステップとなるでしょう。
印象が良く信用性も高い
一人会社は、個人事業主に比べて印象の良さと信用性の高さが際立ちます。
コストをかけずに手軽に開業できる個人事業主とは違い、一人会社は相応の費用を払って法人登記しなくてはなりません。登記内容は一般に開示されており誰でも閲覧できるため、社会的に見られている立場で事業を行う必要があります。
必要な手続きや立場の点から、一人会社に信頼を置くケースが多いのもうなずけるでしょう。取引先や金融機関からの印象も良くなり、融資や営業、雇用といったさまざまな面で有利に働きます。
個人事業主は手続きの軽さや法的な立場上、一人会社のような客観的な信頼性を担保する材料が少ないのが実情です。社会的な印象と信頼性においては、法人格を有する一人会社に分があります。
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有限責任である
株式会社や合同会社では、事業の責任や借金返済の責任はそれぞれの出資割合に応じた有限責任となっています。
個人事業主は無限責任者なので、事業を通して発生した債務全てを負うことが必要です。出資額以上の責任を問われない一人会社の方が、リスク管理しやすいのがメリットでしょう。
ただし、一人会社でも社長が個人保証した場合には無限責任になります。中小企業や一人会社の社長の多くは融資に当たって個人保証を求められることが多いため、注意が必要です。
節税効果が大きい
一人会社が個人事業主よりも有利なのは、一定の利益があった際の節税効果です。個人事業主で課せられる所得税は、法人の場合法人税となります。法人税は、収入が一定額以上になれば所得税以上の節税効果を期待することが可能です。
収入から経費などを引いた所得が800万円以上になると、法人の方が節税効果が高くなります。個人にかけられる所得税率は所得金額が増えるほど大きくなる上、法人にかけられる税率よりも増え幅が大きいのです。そのため、所得金額が大きい場合は法人税の方が節税効果が上がります。
また、法人は経費にできる範囲が広くなる点もメリットです。たとえば、役員報酬・退職金・生命保険料・出張時の日当などを経費にできるため、節税が可能となります。
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事業の選択肢が広がる
事業の選択肢においても、一人会社のメリットが大きくなります。個人事業主ではなく、法人でなければできない事業があるためです。
建設業・飲食業・運送業・人材紹介業などは、許認可が必要な事業の例となります。許認可には資本金要件があるため、法人であることが前提条件です。
個人事業主でも許認可を取得できるケースはありますが、法人と比べて難易度が上がります。さらに会社設立時は、再度許認可が必要です。
資金調達がしやすい
一人会社の場合、個人事業主にはない社会的な信用を活かして大規模に資金調達ができます。しっかりと資金確保できるか否かは、安定した経営に不可欠な要素です。
自己資金が少ないので調達を前提としている場合や、ゆくゆくは大きな事業展開を見据えている場合は、法人格を所有しておく方がメリットが大きいと言えます。
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一人会社のデメリット
一人会社は、信用度や節税のメリットがありますが、一方で組織の複雑化によってデメリットが生じることもあります。特に経費面でのマイナスが大きくなる恐れがあります。
確定申告などの事務処理が難しい
一人会社は、確定申告をはじめとする事務処理が難しいデメリットがあります。貸借対照表や損益計算書などの各種書類を作るには専門知識がいり、法人ならではの書類も必要です。会計に精通していない場合、税理士のフォローなくしては難しいことは否めません。
個人事業主であれば、白色申告または青色申告によって個人で確定申告を行うことも可能でした。簡単に書類作成ができる会計ソフトもあり、経理の知識がなくても自分だけで確定申告書を作ることができます。
経費にできる範囲が広い分、会計処理も煩雑になりがちです。支払う税金の種類が多く、それぞれ適切な計算方法を理解した上での作業が求められます。難しい事務処理と向き合うことは、一人会社の設立において避けられない点でしょう。
個人事業主・フリーランスよりお金がかかる
個人事業主やフリーランスと比較すると、法人である一人会社は必要経費がかさみます。設立時の費用だけでなく、事業の維持にかかる費用も含めて、一人会社の方が多い傾向です。
法人の設立には登記にかかる法定実費、会社の印鑑代などがかかります。資本金の払い込みも必要なため、事前に用意しなくてはなりません。1円から会社をおこせるとはいえ、資本金が極端に少ない会社は信用性が低くなる傾向があります。そのため、実際にはいくらかの資本金を準備しなくてはならないでしょう。
そのほかにもランニングコストとして、税理士費用や社会保険料が挙げられます。個人事業主は赤字になると所得税がかかりませんが、一人会社は赤字であっても法人税の支払いが必要なため、納税面での負担も大きいのです。
一人会社と個人事業主とでは、開業や事業の維持において費用面に大きな差があることから、計画的に設立を行わなくてはなりません。
個人と法人の資産を厳密に区別する必要がある
個人事業主と一人会社の違いとして、個人と法人の資産を厳密に区別する必要性が挙げられます。
個人事業主やフリーランスでは、事業で使った費用や事業で得た収入も、個人の銀行口座で管理することができました。しかし、一人会社の場合には個人の資産と法人の資産はきっちりと分ける必要があり、口座も分けなければいけません。
個人事業主では、生活費が足りない時に事業のお金を充てることも可能でしたが、法人ではできません。また、事業の収入は会社へ入り、自分はそこから役員報酬として定額の給与を受け取ります。給与の額も毎月一定にする必要があり、自分の都合で変えることはできません。
法人として認められると信用度が上がるのは、このように厳しく個人の資産と法人の資産を区別しなければならないのも、理由の一端となります。厳密に会社の資産が守られているからこそ、信用が得られるのです。
都市銀行や地方銀行、ネット銀行などさまざまな金融機関があり、金融機関によって強みやサービス内容が異なってくるため、どこで口座を開設すればよいのか迷ってしまうでしょう。お取り寄せ無料の「冊子版創業手帳」では、理想的な法人口座の開設方法について詳しく解説していますので、法人口座選びにも活用できます。
一人会社か個人事業主を選択するときの目安
株式会社などの法人格を取得して一人会社となるか、個人事業主のままでいるのかを選択する際は、いくつかの要素を目安としましょう。
基本となる要素を紹介するので、一人会社の設立で迷ったときの参考にしてください。
資金の調達規模で決める
資金調達の規模によって、一人会社か個人事業主かを選ぶ方法があります。より多くの資金を集めたい場合は一人会社、小規模で十分であれば個人事業主で問題ありません。
法人である一人会社の方が資金調達しやすく、融資やクラウドファンディングなどを利用して大規模に集めることが可能です。事前に受けたい融資の内容を確認し、法人が前提条件であれば前向きに検討するなども一手でしょう。
やりたい事業内容で決める
法人でなければできない事業の場合、一人会社を設立するほかありません。個人事業主を卒業する良い機会とも言い換えられます。
一人会社を設立して法人になれば、BtoBビジネスをはじめとする幅広い事業を展開可能です。信用性も上がるので、やりたい事業をやりたい形で進める環境が整いやすいでしょう。
顧客との取引条件で決める
取引先の条件として、法人であることを掲げているケースもあります。見込み顧客がいる状態で事業を始める際は、その顧客の取引条件と組織形態が合っているかを確認するのが得策です。
法人に限定して取引している顧客であれば、一人会社を設立する十分な理由になります。個人事業主のままでも良好な取引ができる場合、無理に法人化するメリットは薄くなるかもしれません。
所得額で決める
個人事業主のままでいると、所得が増えるほど所得税が膨れ上がります。一定以上の所得が安定して出ているなら、一人会社にした方が節税できるかもしれません。
年間売り上げが1,000万円を超えている、または年間の課税所得が800万円を超えているのが、一つの目安です。年間売り上げが1,000万円を超えると消費税の支払い義務が生じ、課税所得額が800万円を超えると所得税率が大きく上がります。
いずれも個人事業主のままではデメリットが増えるラインなので、法人化を検討するタイミングになるでしょう。
一人会社向けのツール・サービス紹介
ここからは、一人会社の経営をスムーズに行うために役立つツールやサービスを紹介します。
一人会社では、営業も事務もすべての実務を一人で行わなくてはなりません。便利なツールを利用して、少しでも業務負担を減らすことが重要です。
雑務に追われて本業がおろそかにならないように、効率化が可能なツールへのコストは惜しまず、「お金をかけるところはかける」のをおすすめします。
領収書をデータ化して会計処理を手軽に【Shoneboxed】
Shoneboxedは、紙の領収書をデジタルデータへ変換するサービスです。モバイルから領収書画像をキャプチャーするだけでインポートでき、膨大な領収書の管理を効率的に行えます。プレミアムアカウントを取得すると、専用の封筒に入れて郵送する方法でも処理が可能です。
読み込んだ領収書をもとに経費の分類や明細書の作成を行い、Web上から手軽に確認できます。名刺管理機能もついており、顧客の情報を整理整頓するのにも重宝するでしょう。
名刺のデータ化や管理に最適【Eight】
Eightは、デジタル名刺の交換・管理を実現するサービスです。名刺をデジタル化することで交換や管理にかかる手間を削減し、事業の効率化を促します。URLやQRコードを使ったオンライン上の名刺交換もできるなど、シーンを問わずに活躍するでしょう。
アナログな紙の名刺管理にも対応しており、撮影するだけで正確にデータ化が可能です。集めた名刺情報は名前や会社名、部署名で検索が可能なほか、タグによるグループ分けもできるため、管理を円滑にしてくれます。
デジタル名刺のデータは最新に保たれるので、転職や昇進の近況情報も見逃しません。アプリからもパソコンからも利用でき、外出先で情報が必要になった時もスムーズに対応できます。
大事な顧客を逃さない【やよいの顧客管理24+クラウド】
会計ソフトで有名な「弥生会計」の顧客管理システムです。一人会社の社長にとって大切な顧客の管理を効率化し、営業活動の精度を高めるのにも役立つでしょう。業種別の顧客管理台帳テンプレートが豊富にあるので、取引先が多くてもスムーズな管理が実現します。
対応履歴や顧客情報、予定を一画面で管理し、会社名や電話番号による検索も可能です。過去の販売履歴を記録することで次のアプローチのタイミングを見極められるほか、顧客情報から一括メール送信や宛名印刷等も行えます。
電話受付・秘書をお任せ【Lancers Assistant】
LancersAssistantは、日本最大級のフリーランスプラットフォーム「ランサーズ」の秘書・電話受付代行サービスです。ランサーズによる代行チームが自社の秘書業務・電話受付業務を担ってくれます。
秘書業務や受電業務だけでなく、請求書の発行やバナー作成、Web制作などの業務も利用可能です。自社に必要な内容を盛り込んだプランを選択できます。
フリーランスで利用してきた人にとってはなじみのある会社であり、システムも分かりやすいので導入の検討もしやすいでしょう。
経理事務をまとめて効率化【会計freee】
クラウド会計ソフトfreeeの法人向け会計ソフトです。個人の確定申告で利用する人も多いですが、法人向けソフトもあるため、一人会社設立後も使えます。
請求書発行や経費精算も一元的に行えて、効率化を図れます。プランによっては電話サポートも利用でき、個別の相談も可能です。無料で始められるので、使用感などを試してみてください。
まとめ・一人会社と個人事業主とは信用性や手続きなどに大きな違いがある
一人会社と個人事業主とでは、手続きや法的な立場においてさまざまな違いがあります。信用面や資金調達の面でメリットの多い一人会社ですが、設立費用やランニングコストなどのデメリットも理解しておかなくてはなりません。
節税効果が期待できるとはいえ、売り上げの状況次第では個人事業主の方が安くなることもあるため、トータルでの判断が必要です。今回紹介したツールなどもうまく取り入れ、経営に活かしてください。
創業手帳では、起業準備から資金調達まで、起業に関するあらゆる悩みを解決するガイドブック「創業手帳」を毎月発行しています。お取り寄せは無料です。
また、カテゴリ別×時系列で事業計画や、資金繰りなどすべきことが追えるようになっている「創業カレンダー」もご用意しております。こちらも無料ですので、併せてご利用ください。
創業手帳・代表 大久保の解説
(編集:創業手帳編集部)
一人会社は昔であれば「一人で大変」「さみしい」「スケールできていない」というイメージがありました。
しかし、昔に比べて一人会社の環境は大きく変わってきました。
それは主に、下記の点です。
1.一人での仕事を支えるサービスやツールが増えた
一つはクラウドサービスやオンライン秘書など、一人起業を支えるツールが増えたことです。
起業は、意外に雑務が多かったり、誰かに仕事を頼めないのがストレスだったりします。
最近では一人の起業を支えるツールが安価で増えてきました。
2.つながれる手段が増えた
起業家が他の人とつながる手段が増えました。代表的なものはやはりSNSでしょう。
会社という「強制的なネットワーク」から切り離されると情報量が落ち、社会的な認知度合いも低下しがちですが、SNSという武器が増えたのは大きいです。
オンライン会議も一般的になったので、より起業家が会社をやめてもつながれる手段が増えてきたと思います。
Youtuberなどのインフルエンサーは、拡大してくるとスタッフを雇うケースもありますが、究極の一人起業と言えるでしょう。
3.人間の数が減っておりたくさん人を雇う=善ではなくなってきている。
昭和の高度経済成長期は、人間の数がとにかく増えた時代でした。
安い賃金でも良いので、たくさんの人に雇用の場を提供する事が「経営者にとって絶対的な善」だった時代があります。
ブラックでも良いので、とにかくありあまる人材が働く場所を作る。
これが高度経済成長期の日本の仕組みであり、途上国では今でもある構造です。
今は逆に、出生数はピークの半分まで減ってきています。
こうした状況では、少ない人員で高い付加価値と高い利益、給与が払える形態が時代に合ってきていると言えます。
一人起業ではないですが、少人数経営の手法でファブレス経営と言う手段があります。
例えばメーカーでも工場を持たず、企画と設計だけやって、生産は外部に委託する方法です。
少ない人員で得意な分野に集中し、高い利益を上げる仕組みです。
日本で最も給料が高いと言われるキーエンスも工場を持たないファブレス的な経営になっていますし、アップルも実はiphoneは作っておらず、デザインとプラットフォームに特化しているので一種のファブレス経営です。
これらは事業規模が大きいですが、もし工場まで持とうとすると、今の10倍もの社員を抱える必要があり、今ほど高収益な企業にはなっていないでしょう。
少ない人員で柔軟に動ける状態を確保し、高い利益を上げることが大事なのです。
比較的少ない人員での経営の話をしましたが、その究極の形態が一人起業と言えます。
起業の場合、社員が社長の目の届く範囲を超えると、マネジメントが必要になってきます。
利益でいうと、スキルのモチベーションがマックスの社長一人がやっている時が一番儲かる、というのはよくある話。
中途半端な規模が一番経営が大変で、その後スケールして社長を超える優秀な人材をマネジメントできるステージになると、また楽になるという構図です。
スケールするには組織や人事の仕組みをしっかり作る必要がありますが、そのためにかなりの労力がかかります。
本来やりたかった「その仕事のプロ」ではなく「マネジメント・経営者」に仕事の内容を転換する必要があり、全く違うスキルが必要になってきます。
そのため、あえて得意なことをやるために一人起業にしておくというのも一つの手段です。
あるスタートアップとのインタビューで、今後究極的には「一人ユニコーンが生まれるのでは?」という話もありました。
一方で、一人起業の大変さは本人=事業になるので、病気や加齢で事業の継続性に問題がでる場合もあるほか、人員がいればチャンスを掴める場面でどうしても大きい手が打てないこともあります。
そのため一人起業の場合、長期的には採用を増やして組織化による安定化や、組織ができた会社へのM&Aなども考えていくケースが多いです。
とはいえ、一人起業がしやすい時代になってきたので、今後も一人起業は増えてくるのではないかと思います。