残業を減らすには?残業時間が減らない8つの要因と企業が取り組むべき対策方法

創業手帳

残業時間を減らすには業務環境の見直しが必須


人件費削減や過労死リスクの回避、働き方改革の推進などにより、残業を減らそうという流れがある一方で、思うように残業を減らせないと悩んでいる企業もあるでしょう。
そこで今回は、なぜ残業を減らせないのか、考えられる要因を8つ解説します。
あわせて、残業を減らすことで得られるメリットや企業が取り組むべき対策方法もご紹介するので、「業務環境の見直し方法を知りたい」「残業時間を減らしたい」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

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残業を減らせない要因8つ


残業を減らしたほうが良いことはわかっているのに減らせない、その要因はどこにあるのか。ここでは、考えられる8つの要因をご紹介します。

1.残業する人を評価する社内文化がある

「残業をする人ほど仕事をしている」と評価する社内文化や風土があることも残業を減らせない要因のひとつです。
このような文化や風土が残っている企業の場合、残業をする人は、それだけ多くの仕事を抱えている、任せられた仕事に一生懸命取り組んでいると評価されます。
実際はそれほど忙しくなくても、残業をしているというだけで、仕事熱心と思われます。

同じ仕事量であれば、うまくやりくりし、時間内に終わらせ、定時に帰るほうが自己管理がしっかりできていると評価されるべきです。
しかし、このような企業では残業に対する意識改革が行われない限り、残業が良しとされる風潮が残るため、残業の削減は期待できません。

2.会議の件数が多い・時間が長い

会議が多いことも残業が減らない要因のひとつです。近年、オンライン会議や、様々なコミュニケーションツールが普及したこともあり、皆で集まる会議は減少傾向にあります。
しかし、完全になくなったわけではありません。
オンラインツールが発達した今でも、皆で集まることを目的とした関係者全員参加の会議や、結論が出るまで終わらない会議は存在します。
こうした会議は、ひとつひとつの時間は短くても、いくつも積み重なれば長時間になります。

さらに、会議のための準備時間も含めると、日中の大半を拘束されることになるため、結果としてしなければならない仕事が終わらず、残業につながるのです。

3.想定外のことが起きると柔軟な対応ができない

想定外のことが起きた場合に対応できる体制が整っていないことも、残業が増える要因として挙げられます。例えば、日頃業務を担当している同僚が急に休みを取ることになった、クレームやトラブル対応が重なったなどです。
想定外のことが起き、手間取ったり、無駄な作業をしてしまったりするほど時間がかかり、残業につながります。日頃から備えていないと柔軟に対応するのは難しいでしょう。
トラブルによる残業を減らすには、臨機応変に対応できるよう、体制を整えておくことが大切です。

4.業務が属人化している

属人化とは、業務を担当している社員以外は、その業務の詳細や進め方がわからなくなっている状態です。勤続年数が長いベテラン従業員がいる企業で、起こりがちな問題です。
ひとりの従業員が何十年も特定の業務を担当している場合、上司をはじめ、周囲の人も業務内容や進め方を把握していないことが多々あります。
そうなると、業務が終わらずベテラン従業員が残業することになっても、ほかの従業員は何をすれば良いのかがわからないため手伝えず、結果として残業の増加につながります。

また、それが本当に必要な残業なのかどうかの判断もできないため、残業を減らすのも難しいです。

5.仕事量が多すぎる

そもそも仕事量が多すぎる場合、時間内に終わらせるのが難しいため残業につながります。
ひとりあたりの仕事量が多くなる原因は、人員が足りない、仕事量が個人のスキルやレベルに合っていないことが挙げられます。
業務経験が少ない従業員にスキルやレベルに見合っていない仕事量を任せたり、とにかくひとりあたりの担当量が多すぎたりする場合、時間内に終わらせるのが難しいため、残業せざるを得ません。

残業を減らすには、個々の能力に合わせて適切な仕事量を割り振る必要がありますが、人材が足りていないなどの理由から改善が難しいケースもあります。

6.社内コミュニケーションがうまくできていない

上司や部下、部署やチームのメンバーなど、社内でのコミュニケーションがうまく取れていない場合、確認や報告がうまくできず、無駄な作業や手間が発生する可能性が高まります。
特に、テレワークの場合、わからないことがあって質問をしても、すぐに回答が得られないことがあります。

ちょっと話せば済むことでも、テレワークでは資料を用意したり、わかりやすいよう文章を考えたりといった手間もかかるでしょう。
その結果、業務効率が低下し、残業につながりやすいのです。

7.管理職が部下の勤怠を把握できていない

管理職が部下の勤怠状況を把握できていないことも残業が増える要因です。
労働基準法では、従業員の労働時間を把握する義務があり、管理職は部下の勤怠を把握できるよう体制を整えることが求められます。

しかし、勤怠ルールが曖昧だったり、そもそも勤怠管理システムが整備されていなかったりする場合、勤怠状況の実態を把握できません。
そうなると、従業員がどのくらい残業しているのかがわからないため、残業削減に向けた取組みを行うのが難しいだけでなく、だらだら残業するのを見逃すことにつながります。

8.クライアントの都合に合わせなくてはならない

クライアントの都合を優先しすぎるのも残業が増える要因として挙げられます。
仕事では、「問い合わせにはすぐに対応しなければならない」「仕様変更が頻繁にある」など、クライアントの都合に合わせなくていけない場面も多々あるでしょう。
クライアントとの業務時間にズレがあったり、調整がうまくできていなかったりする場合、先方の都合に振り回され、結果として時間外業務が増え、残業につながります。

残業を減らすことで得られるメリット


不要な残業を減らすことは、従業員はもちろん、企業側にとってもメリットがあります。ここでは、残業を減らすことで得られるメリットの詳しい解説です。

従業員のモチベーションが向上する

残業が減れば、その分プライベートに充てられる時間が増えます。
従業員は趣味や休息の時間をしっかり確保できるため、ワークライフバランスが改善され、仕事へのモチベーション向上が期待できます。

普段残業をしている従業員の中には、「周りが残業しているから帰れない」など、帰りたいのに帰れず、だらだらと仕事をしている人もいるかもしれません。
しかし、「仕事が終われば帰られる」と意識が変われば、仕事へのモチベーションが高まり、結果として生産性アップにつながります。

過労死のリスクを回避できる

度を越えた長時間労働は疲労が蓄積され、仕事のミスが増えたり、業務効率が低下したりと肉体的はもちろん、精神的にも悪影響を及ぼすかもしれません。

反対に、休息をしっかり取り、プライベートが充実すれば、従業員の精神面にも良い影響を与えることができます。
心身共に健康的になり、仕事にいきいきと取り組む社員が増えれば、社内の雰囲気も明るくなり、業務効率の向上や売上げアップも期待できるでしょう。
残業の削減することは、従業員の健康を守り、過労死リスクの回避に効果的だと言えます。

離職率の低下を目指せる

ライフワークバランスが重視される昨今、残業が多い企業はブラック企業と見なされ、従業員が定着しにくい原因です。
せっかく採用しても、すぐに辞められてしまっては、企業にとってかかった時間や手間の損失は測り知れません。
一方で、残業を削減するべく取り組んだ企業は、働きやすい企業であると評価され、従業員の離職率低下が目指せるだけでなく、新たに採用した従業員の定着率アップも期待できます。

社会的信用の向上につながる

残業が多い=ブラック企業とみなされる一方で、残業の少ない企業は従業員を大切にしている、労働環境の改善に力を入れているといった評価を得られます。
従業員はもちろん、世間からもホワイト企業であると認識されれば、社会的信用の向上につながるでしょう。
企業として社会的信用が上がれば、知名度がアップし優秀な人材を確保しやすくなったり、金融機関から融資を受けやすくなったりといったメリットが期待できます。

残業を減らすために企業が取り組むべき対策方法7つ


残業を減らすメリットがわかったところで、続いては企業が取り組むべき対策方法をご紹介します。自社にはどのような施策が効果的なのか、考える際の参考にしてください。

1.社員の業務内容の見直し

従業員が残業する原因が業務内容にないか、一度整理してみてください。もしも、以下に当てはまる場合、業務内容の見直しが必要です。

  • 業務が属人化している
  • 非効率な業務の進め方をしている
  • 個人の能力以上の業務が配分されている

業務内容の見直しには、「短時間で業務を行えるよう効率化する」「担当する業務配分を変える」といった方法があります。

例えば、能力以上の業務配分になっているのならば、担当する業務配分を変えるのが有効です。
特定の人しかできない状況であるならば、マニュアルを整備し、誰でもできるようにするのも良いです。
また、そもそも本当に必要な業務なのかを考え、不要であればその業務事体をなくすことも大切になります。

2.残業事前申告制度を取り入れる

残業する際は、上司に事前申告が必要な制度を取り入れるのも方法のひとつです。
「いつ」「どのくらいの時間」「なんのために残業が必要なのか」時間や理由を明確にしなければ残業できないようルールを設定してください。

申請内容は部署内で公開すること、許可がなければ残業はできないことなど、具体的にルールを決めることで、時間内に終わらせようと業務効率の改善につながるほか、残業しにくくする効果が期待できます。
また、事前申告制度にすることにより、上司は部下の進捗状況を把握しやすくなるメリットもあります。

3.ノー残業デーを設ける

ノー残業デーは、その名の通り、残業をしない日のことを指します。
残業をせず、定時で帰る日を企業側が設けることで、従業員はプライベートの時間を確保できる、ワークライフバランスの充実が期待できます。
ノー残業デーを設ける際に大切なのは、例外を作らないことです。ひとりでも例外を許してしまうと、ノー残業デーを設定する意味が緩んでしまいます。

しかし、仕事がたくさん残っている場合、終わらなかった仕事は後回しされ、ほかの日に残業することになります。
そのため、ノー残業デーを設定する際は、会社全体で揃えるのではなく、部署やチーム単位で業務計画に応じて決めることが望ましいです。

4.業務の進捗状況を常に共有する

部署内やチーム内で業務の進捗状況を共有することも対策として有効です。
専用のツールやシステムを使って、誰がどの業務を担当しているのか、進捗状況はどうなっているのか、常に共有できる環境を整えてください。
更新や確認が簡単にでき、誰でも閲覧できるものが望ましいです。

進捗状況を社内で共有できるようになれば、特定の従業員に業務が偏っていないかの確認も簡単です。
また、早い段階で業務に遅れが生じていることがわかれば、余裕のある従業員がサポートにまわすかどうかを判断する材料にも使えます。

5.勤怠管理システムを導入する

労働時間が自己申告制の企業は、勤怠管理システムを導入してください。
勤怠管理システムを使い、労働時間を可視化することで、仕事量や業務内容が適正なのか、判断する材料として使えます。
残業が多い人には減らすよう注意喚起することも可能です。

これから導入するのであれば、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットからも入力できる勤怠管理システムがおすすめです。
営業やテレワークなど、オフィス以外での労働時間も記録できるため、状況の正確な把握につながります。

6.業務の標準化を目指す

業務の属人化は、いざという時に業務を滞らせ、残業を増やす原因です。属人化を解消するためにも、業務マニュアルを作成し、業務の標準化を目指してください。
マニュアルを作成すれば、業務内容や手順、ノウハウを社内で共有することができます。
担当者が休んだり急な残業が発生したりした場合でも、ほかのメンバーがサポートに入れるため、残業の削減が期待できます。
もしも専門性が高いなど、標準化するのが難しい場合でも、必ずノウハウや業務を共有できる人や手段を講じることが望ましいです。

7.一部の業務を外部に委託する

業務が多すぎる場合は、一部を外部委託するのも方法のひとつです。近年、カスタマーサポートや製造、事務作業などの業務を代行するサービスも増えています。
必ずしも社内の人間に限らずとも良い業務については、外部委託サービスの利用を検討してみてください。
業務の大部分を委託できるため、高い残業削減効果が期待できます。

また、RPA(ロボットによる業務自動化)の導入を検討するのもおすすめです。
RPAでは、パソコンによる定型業務をロボットが自動化して行うため、作業の大幅な効率化が見込めます。

まとめ・残業を減らすには原因の分析と根本的な改善が必要!

長時間労働が問題視され、残業時間を減らすよう求められる昨今、どのような取組みをしているかは、従業員の離職率や社会的信用にも大きな影響を及ぼします。
従業員の仕事に対するモチベーションを上げ、働きやすい企業を目指すためにも、今回紹介した内容を参考にしてみてください。
そして、残業が減らない原因を分析し、残業を減らせるよう対策を講じることが望ましいです。

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(編集:創業手帳編集部)

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