人材不足の解消方法は?原因とともに対策すべき7つのことを解説

創業手帳

人材不足の解消方法は企業に合ったものを選ぼう


多くの企業が人材不足に直面している状況です。また、今は何とかしのげていても数年以内に人手不足になる可能性が高い企業もあるかもしれません。
人材不足を解消する方法にはいろいろありますが、大切なのは企業に合った手段を選ぶことです。自社にどのような方法があっているのか参考にしてください。

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人材不足の社会的な要因とは


企業が労働力不足に悩むのは、決して企業側だけの問題ではありません。人手不足が社会的な問題となっている原因について紹介します。

労働人口の減少

日本は少子高齢化していて、労働力人口はどんどん減少しています。労働力人口とは、15歳以上人口のうち、就業者と完全失業者を合わせた人口です。
簡単にいえば、働く意思がある15歳以上の人口です。
若年層が少なくなれば労働力人口は減少し、企業も人材確保が困難になります。
今後は優秀な人材をどれだけ確保できるかが企業の明暗を分けるといっても過言ではありません。

人材の流動性が増し人材確保の難易度が増している

労働人口が減っていることに加えて、働き手の意識の変化も人材確保を難しくしています。
昔であれば、新卒で入社した会社を定年まで勤めあげるキャリアパスが一般的でした。
しかし、近年では転職を繰り返してキャリアアップしていく働き方を選ぶ人も増え、転職市場は活発化しています。

つまり、自社で活躍している優秀な人材もスキルを武器にして転職していく可能性があります。
転職市場の活況によって中途採用をしやすくなる一方で、労働力の流出には注意しなければいけません。
働きやすい環境や待遇を用意できない会社は、人材流出に歯止めがかからず人材不足になってしまうことがあります。

人材不足になりがちな企業の特徴


社会問題として労働力不足があったとしても、企業によっては人材不足に悩みんでいないところもあります。
労働力不足になってしまう企業とそうでない企業のどこに違いがあるのでしょうか。

採用にミスマッチがある

人手不足につながる要因として採用のミスマッチがあります。企業と採用者の認識に差異があり、人材が定着しないケースです。

例えば、業務内容や給与といった条件や企業の風土と求職者が合わないケースです。
採用した人材が定着しない場合には、ミスマッチがないかどうか、提示した条件が魅力的かどうかを考えてください。

職場環境や待遇が悪い

働きにくい職場に人は集まりません。職場で適切なマネジメントがされているか、人間関係や待遇に問題がないかをチェックしてください。
管理者や人間関係に魅力がない企業は、労働者のモチベーションが上がらず離職率が高まります。

人材育成が進んでいない

労働力となる人材を育てるための人材育成にも課題が潜んでいます。
労働生産性が低い企業の中には、人材育成に時間を割けず人手不足を起こしているケースがあります。
将来を考えて、マニュアル作成や研修といった人材育成のための時間を捻出してください。

人材不足が原因で起こる問題


労働力不足は、企業にとって致命傷となる問題です。労働力が不足するとどのような問題が起こるのかまとめました。

労働環境の悪化

労働力が不足すると、少ない人数で働くことになり、働いている従業員への負担が大きくなります。
負担が増えることによって職場の雰囲気や労働環境は悪化します。
具体的には、残業時間の増加や休日取得日数の減少、疲労による労働災害リスクの上昇などです。
そのままにしておくと人手不足が加速してしまうリスクもあるので、早めに業務不可を減らすための施策を考えてください。

企業の成長鈍化

人手が足りなくなれば、企業の事業継続や成長も危うくなります。企業が成長していくため、事業を拡大するための人的リソースが減少します。
ひとりでできる仕事量には限界があり、事業に携わる人間が少なくなれば事業縮小に陥るかもしれません。
売上の低下や業績悪化、成長鈍化につながってしまうでしょう。

従業員の過労による生産性悪化

人手不足によって、従業員の負担が大きくなれば生産性の悪化を招きます。過労によって労働環境が悪くなり、ミスが増えてしまうかもしれません。
過労によって起こった業務上のトラブルに対処するために人材が必要になります。人材不足が加速して、さらに従業員の負担が大きくなってしまいます。

従業員のモチベーション低下

企業の業績が上がらず、人手不足によって職場環境が悪くなれば従業員のモチベーションは下がる一方です。
従業員の負担が大きくなることで、新しい知識やスキルを習得する余裕もなくなってしまいます。
自分の成長が感じられないことで、意欲やモチベーションも減少してしまうのです。

人材不足を解消する7つの方法


人材不足対策は、着手してから現場での人手不足が解消するまでにタイムラグがあるので、早めの着手が重要です。すぐにできる人材不足の解消方法を紹介します。

1.業務の外注化

人手不足を解消するには、業務の進め方を見直してみてください。現状の業務フローを可視化して、外注や効率化ができないかを検討します。

業務を外注することによって、より必要性が高い業務に人材を集中させられるため、業務効率の向上が可能です。
業務の外注は、バックオフィス業務を委託するイメージがあるかもしれませんが、近年はシステム開発や営業といったスキルや専門技術を要する仕事の委託も増加しています。

2.ITツールの導入

人手不足を補うためにITツールも広く導入されています。
例えば、顧客や社内からの問い合わせ対応が多い場合には、チャットボットが役立ちます。
チャットボットは、あらかじめ選択肢や回答を設定して、問い合わせ対応を自動的に行うツールです。
チャットボットであれば24時間、365日対応可能なので、利用したい顧客にとっても便利です。

また、ルーチンワークをRPAで自動化する方法もあります。
RPAとは「Robotic Process Automation」の略称で、ロボットに自動的に操作を行わせるプログラムです。
データ入力やテキスト転記などルール化しやすい仕事を効率化するのに向いています

3.採用活動の強化

人材不足を解消するために、採用活動の強化も効果的です。
採用基準を緩くすれば多くの人が応募してくれると思われがちですが、採用してからのミスマッチを引き起こすことがあります。
ミスマッチを減らすためには、採用活動の時点でターゲットを明確にしておかなければいけません

なかなか希望している人材と出会えない時には、アプローチの幅を広げてみてください。
今まで、ハローワークや求人サイトへの掲載をしていた企業もそれ以外の方法を採用できます。
例えば、採用イベントに参加したり、SNSを通じて発信したりする方法です。より広い層に企業を知ってもらって採用につなげられます。

シニアの採用の検討

シニアは、高齢化社会の日本において人口が多い年代です。
シニアを採用することによって、人手不足の解消になるだけでなく、シニアの経験や知識を現場で活用できます
シニアの採用には、行政のサポートもあります。助成金の支給があるほか、シニア採用についての相談も受け付けているので利用を検討してください。

シニア採用については以下の記事もご参照ください。

関連記事
シニア雇用にメリットはある?国の助成金や企業が準備すべきことを解説

外国人の採用の検討

在留外国人の採用も人手不足を解消する手段として使われています。
外国人を採用することは、単純に人手を増やすだけでなく、新しい文化や考えを取り入れるためにも効果的です。

ただし、外国人の採用には、労働ビザや居住環境の整備、言語サポートといった準備が必要です。
外国人労働者の能力を引き出すことによって、企業の国際的な競争力や成長力の向上にもつながります。

4.雇用形態のバリエーションを増やす

フルタイムで働く正社員や契約社員を探そうとすると、それだけで人材の幅が狭くなってしまいます。
育児や介護でフルタイム勤務が難しい人は決して少なくありません。
より多くの人が働けるように、中途採用やシニア採用、パートやアルバイトなどの働き方の枠を広げる方法も検討してください。

5.教育活動の強化

人材育成は、人材不足を解消し、企業の生産性を向上させる有効な手段です。
社内の人材のスキルや生産性が上がれば、企業の生産性が上がるだけでなく、社員の意欲や会社へのエンゲージメント向上にも貢献します。

人材育成制度には、様々な種類があり、社内研修やOJT、メンター制度などが一般的です。
また、資格取得サポートや外部で開催される講座への参加といった人材育成制度もあります。
人材育成は、単発で行うのではなく、従業員の成長に合わせて継続的に実施すると効果的です。

6.人事制度の見直し

人材を定着させるためには、人事制度の見直しも実施してください。女性やシニア、育児中でも働きやすい環境整備がされているかどうかをチェックします。

労働環境や再雇用制度の整備、フレキシブルな勤務体制の採用などがされているかもしれません。
また、柔軟なワークスタイルのひとつとして副業を解禁した企業も増えています。
実際の労働者の意見に耳を傾けて、どういった制度が求められているか把握してください。

7.労働条件や福利厚生の見直し

人材不足に陥らないようにするためには、在籍している優秀な人材の流出を避けることが大切です。
労働者は、自分のスキルや経験を自分で評価して、適切な給与、福利厚生を受けているかを判断します。

人手不足にならないように、定期的に労働条件や福利厚生が適切かどうかを見直してください。
人事評価制度は透明性があって労働者が納得いくものかどうか、実績が待遇に反映されているかなども確認します。
また、時短勤務制度やフレックスタイムのように、柔軟な働き方を選択できるかどうかも多くの労働者が重視する項目です。

人材不足を解消した3つの企業事例


多くの企業が人材不足に陥っている状況です。しかし、中には人材不足を工夫によって解決したケースも多数あります。どういった方法があるのか事例を紹介します。

事例1:高収益案件に仕事を絞って従業員の負担を軽減した

人材不足の企業では、残業で仕事をこなし、従業員の精神的、肉体的負担が多い企業もあります。
この事例では、人材不足になったことで収益や作業工程、受注基準を見直して、高効率、高収益な案件を選別して受注することを決定しました。

また、時短で働きたい層を採用するようになり、業務を細分化して本人の希望や業務量を考慮して配分するようにしています。
これらの取組みによって残業時間が減少し、少ない社員でも取組み前と同等程度の利益を維持しています。

事例2:シニア人材を無期限雇用して中核人材育成につなげている

労働力としての人材は確保できていても、将来の幹部候補や専門知識がある中核人材が不足しているケースは多々あります。
そこで、この事例では既存の高度な技術を有するシニア人材の積極的雇用を推進しました。

具体的には、定年年齢を60歳としていたところを、本人が希望して働き続けられる限り再雇用契約するようにしました。
再雇用者はフルタイムだけでなく週3勤務や短時間勤務を選択できるようにしたほか、産業医との連携で健康面でもサポートしています。
この施策の結果、シニア人材の活躍と、シニアから若手への技術指導も行われるようになりました。

事例3:多能工化を推進してテレワークを導入した

女性は、結婚や出産、育児や介護といった様々な局面で継続勤務が難しくなります。そこで、この事例では休みが取りにくい雰囲気の改善から着手しました。

休暇を取りやすくするために製造現場で多能工化を進めて、休暇中に業務をカバーできるようにしています。
また、テレワークを実施して、出勤が難しくても無理なく業務できるようになりました。
産休、育休制度を整備して働きやすい職場となり、女性社員の定着につながっています。

まとめ・人材不足の解消は働きやすい環境づくりにつながる

人材不足は多くの企業が問題視しているものの、どこから取組めばいいのかと悩んでしまうかもしれません。
人材不足を解消するには、会社のあり方や業務の進め方を見直す必要があります。
より働きやすい環境や生産性の向上にも、人材不足解消のための取組みが役立つでしょう。
様々な対策を検討してみてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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