メトリクス管理で企業が変わる!データ活用で社会の変化に対応しよう!

創業手帳

メトリクス管理なら課題の洗い出しから改善まで効率的に実施可能


勘や経験に頼った事業は、うまくいっている時は良いものの、そうでない時にすぐに行き詰ってしまいます。
メトリクス管理は、活動で得られるデータをわかりやすく数値化した「メトリクス」を活用した管理手法です。

「メトリクス管理」は、プロジェクトの可視化からスタートして、メトリクスセットの測定、進捗管理の流れで実施します。
適切に管理するには、スピーディーさや正確さ、透明性も重要です。課題の洗い出しから改善までメトリクス管理を活用してみましょう。

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知っておきたいメトリクス管理の基礎知識


多くの企業で、計画やスケジュールに沿ってタスクが進行しない、進捗が出ないといった悩みが聞かれます。
そのようなときにこそ取り入れていただきたいのがメトリクス管理です。

メトリクス管理を導入することによって、今までは認識できなかったような課題や改善点が見つかることもあります。
まずは、メトリクス管理がどのようなものなのか、その目的や注目されるようになった背景を紹介します。

メトリクス管理とは

メトリクス管理とは、メトリクスと呼ばれるデータを活用して、プロジェクト管理を行うことを指します。
メトリクスとは、様々な活動で得られるデータを定量化して、定量化したデータをわかりやすく加工したもののことです。

活動や成果物を一度データにして見える化したうえで、計算や分析といった加工を加えて数値に変換します。
得られたメトリクスをもとに、業務や工程などのプロジェクトを管理していくことがメトリクス管理です。

メトリクス管理の目的

メトリクス管理の目的は、情報を可視化することで客観的にプロジェクトを進めることを目的としています。
計画されたプロジェクトや事業をスケジュールに沿って進めるためには、メトリクス管理は有効な手段です。
仕事の中には、勘や経験といった主観的なものを使って進めるものも多数あります。
しかし、これらのデータは社員同士で共有しにくく、主観的になってしまうことが難点です。

メトリクス管理では、必要な情報に、計算や分析といった作業を加えることで、その事業に関わる人々が進捗状況を把握しやすくなります。
特に、大勢が関わるような事業、他社、他部署と共同で行うような事業においては、メトリクス管理が重要です。
進捗を数値データとして共有しやすく、各責任者も把握しやすいからです。

メトリクス管理の種類

メトリクス管理は大きく区分して2種類あります。それぞれ種類ごとの解説を確認してください。

ソフトウェアメトリクス

ソフトウェアメトリクスとは、ソフトウェア開発で主に使われる言葉です。
ソースコードの規模や保守性といった品質を定量的に評価することや、その際の評価手法・基準などの体系がソフトウェアメトリクスです。
スタートアップでメトリクスといった場合には、多くの場合ソフトウェアメトリクスを指しています。

システムの品質やソースコードの規模、複雑さや保守性、永続性から成果物を評価するものと、設計における品質測定であるプロセスメトリクスがあります。
ソフトウェア開発では、新しい技術や開発手法が次から次に現れます。
ソフトウェアメトリクスを使うことによって、効率的な開発手法やユーザーからの満足度といった一定の目標を定め改善可能です。

バイオメトリクス

バイオメトリクスは、生物におけるメトリクスを指します。
例えば、指紋や眼球の虹彩、声紋といった身体的特徴を数値化し、本人確認ための認証に使用されています。
バイオメトリクスが活躍するのは、主にセキュリティ分野です。

金融機関やSNSなど、個人のプライベートな情報を安全に扱うには個人認証が欠かせません。
暗証番号やパスワードなどの自分で設定する個人認証と比較して、バイオメトリクスを活用した個人認証はなりすましの難易度が格段に高くなります。
安全性が求められるログインシステムや施設の入退館システム、スマホ端末のロック、金融機関の本人確認にもバイオメトリクスが活用されています。

メトリクス管理とKPIとの違いは?

メトリクスと似た場面で使われる言葉がKPIです。
KPIは「Key Performance Indicator」のことで、重要業績評価指標と訳されます。
組織の目標を達成するために重要となる業績評価の指標がKPIです。

達成状況を定点観測して、目標を達成するために必要な組織のパフォーマンスの動向を把握できます。
もしも目標値とギャップがある場合には、組織の行動が想定された方向に向かっていないため、修正が必要です。

メトリクス管理もKPIも観測されたデータを組織の効率化に活用するものです。
しかし、KPIは重要指標としてピックアップされているものを指します。
つまり、メトリクスのうち、目標達成のために重要指標とされたものがKPIです。

KPIについて、詳しくはこちらの記事を>>
KPIとは?KGIとの違いや起業独立にも大切な目標設定のコツを解説

メトリクス管理が注目される背景

メトリクス管理が注目されるようになった背景には、情報技術の発展が挙げられます。昔と比較して、取得できるデータの量、可視化された情報量は飛躍的に増えました。
そのため、ビジネスのために把握しなければならない情報も増加傾向にあります。

戦略や事業計画の達成可否は、様々なデータ、要素が絡み合った結果であり遅行指標です。
メトリクスはデータを扱う手法です。
企業戦略や事業達成に紐づいたメトリクスを設定し、メトリクスの動向を意識して運営することで、効率良く戦略や事業計画にアプローチできます。

また、メトリクス管理はSaaS業界でも使われます。SaaSは、「Software as a Service」の略称です。
クラウドサーバーにあるソフトウェアをインターネット経由にユーザーが利用するサービスです。

SaaS業界は、営業プロセスに分業制を採用していることが多く、リード獲得から商談、契約、更新までの売上に至るKPIを分解して、細かく進捗を把握しています。
様々なSaaS企業が、長期的な成長、売上拡大のために独自のメトリクスを設定しています。

メトリクス管理の流れ


メトリクス管理は、事業の進捗管理、状況をデータにして現状を把握するために有効な手法です。
しかし、メトリクス管理を行うためのノウハウがない企業もたくさんあります。
ここでは、どのような流れでメトリクス管理するのかを順番に紹介しています。

1.プロジェクトの・見える化・可視化

メトリクスを設定するためには、まず管理するプロジェクトや事業全体のうち、どこを測定するのかを考えてピックアップします。
なお、見える化・可視化とは、管理する対象をより見えるようにして管理しやすくする、施策の効果を上げられるようにすることを言います。

考え方は、プロジェクトの最終的なゴールからの逆算です。
ゴールに到達するために、中間地点、途中経過で何が達成できていなければならないかを考えてみましょう。

まずは、中間地点や途中経過の達成を測る指標をメトリクスとして可視化します。
そして、それを達成するためにどうすれば良いのかを考えることで細分化していきましょう。
プロジェクトの達成のために、どのような要素が絡んでいるのか、どのような順番で実行されるべきなのかを考えてメトリクスに落とし込みます。

何を測定するのかはメトリクス管理の成否を握るポイントです。
手間をかければいくらでも増やせるものの、測定対象が増えれば逆にプロジェクトの効率を下げてしまうかもしれません。
必要最小限の測定項目を定めるようにしてください。

2.メトリクスセットを測定する

事業、プロジェクトを管理するために必要最低限の測定項目は「基本メトリクスセット」と呼ばれます。
具体的には、プロジェクトへの入力である工数、プロジェクトから出力される作業要素、それと作業成果物、不具合・課題、という4つの項目です。
これらの項目を測定すると、プロジェクトの進捗を効率良く、効果的に把握することができます。

工数を算出するには、メンバーがどれだけの時間を作業に費やしたかを算出します。
人材は事業における大切な資源です。どれだけのリソースを使って作業を進めたかがわかります。

作業要素は、作業の進捗具合や必要となるタスクを示します。
作業ごとに着手日や完了日を決めておくことで、スケジュール通りに進行しているかがわかるでしょう。

作業成果物は作業によって生み出されたもの、作成された文書などのアウトプットを指す言葉です。
不具合・課題は、作業や成果物の品質を示します。
そうした不具合・課題のようなマイナス要素を計測しておかなければ、ゴールに到達するまでの間に損失が大きくなってしまうことがあります。

3.アクティビティとプロダクトの2軸で進捗状況を管理する

基本メトリクスセットのデータは、計画と実績を比較しながら乖離(かいり)を減らしていくようにします。
そのために使うのがアクティビティ軸とプロダクト軸です。

アクティビティ軸は、活動をどのような作業工程で進めるか定義したものです。
組織を構成するメンバーの活動に関するメトリクスで、工程それぞれについて焦点を当てて進捗管理をします。

プロダクト軸は、行動の結果としてあらわれるものを示す軸です。
例えば、開発チームであれば開発した各機能をプロダクト軸の項目として、最終目的である成果物に着実に近づいているかどうかを確認します。

アクティビティ軸の設定で着目するのは、結果ではなく工程です。開発段階を調査と計画、設計、実施、評価といった側面から見て、それぞれの進捗を管理します。

プロダクト軸の場合には、各段階で作られるべき成果物が順調に作られているかどうか、どこかに遅れが出て、最終成果物やほかの工程に影響を及ぼしていないかといった視点で進捗管理します。

アクティビティ軸とプロダクト軸の2つの軸で基本メトリクスセットに関連するデータを把握することによって、計画と実績の間にあるズレを特定しやすくなるでしょう。

メトリクス管理のポイント


メトリクス管理は、うまく運用できれば作業効率がアップし、事業やプロジェクトを円滑に進めやすくなる手法です。
しかし、メトリクス管理を導入したのに、効率化されない円滑にならないことがあります。
これからメトリクス管理をスタートしようとしている人は、下記のポイントに注意して失敗を防いでください。

データの抽出は正確に

メトリクス管理で起こりやすい失敗のひとつが、データの抽出が不完全であることや、必要なデータがそろっていないことです。
メトリクスを検討するために不可欠なデータが足りない、検討から漏れてしまっている場合に起こります。

必要なデータが揃っていないと、最終的な成果物とメトリクスが紐づかなくなってしまいます。
つまり、メトリクス管理上は順調なのに、実際の最終的な成果物は不十分といった事態が起きてしまいます。

精度が高いデータを集めるためには、まずメトリクスの洗い出しの時点で情報に齟齬がないか確認しましょう。
抜け落ちている視点はないか、ピックアップしたメトリクスが順調な場合に最終成果物に到達できるかを確認するようにしてください。

数値化を恐れない

メトリクスを細分化していくと、その作業に関わるメンバーや組織といった部分に到達します。
業務を遂行している人の中には、行動や成果の数値化に対して否定的な立場である人も少なくありません。

パフォーマンスに自信がない、組織がうまくいっていない時には数値化して問題が透明化してしまうことに不安を感じてしまう可能性があります。
メトリクス分析によって、周囲からの風当たりが厳しくなってしまうと考えてしまう人もいます。

加えて、問題の透明化や数値化を恐れるあまりに、データの共有に積極的になれない人もいるかもしれません。
データの共有に積極的でないメンバーがいると、正確な計測が難しくなってしまいます。
より正確なデータを集めるためにも、メトリクス管理を導入する際には、あくまで進捗を管理するためのもので、個人を評価するためのものではないと事前に説明しておきましょう。

分析はリアルタイムを基本とする

メトリクスを可視化されたことで、それを明らかにして改善に着手するのが遅くなっては意味がありません。
できる限りリアルタイムのものを分析して改善も実施するようにしてください。
しかし、メトリクスを細分化しすぎたことで、集計や分析に時間がかかってしまうかもしれません。

メトリクス集計に特別な知識やコストが求められる場合、メトリクス管理自体の負荷が大きくなってしまいます。
運用コストが大きいメトリクス管理は運用を続けにくく、さらにリアルタイムでの結果が得られません。
余りに負荷が大きい場合には、思い切って負荷を減らすようにデータを絞ることも検討しましょう。

加えて、スケジュールの都合上、改善に取り組む時間が取れない可能性もあります。
課題や改善点が発生することをあらかじめ見越して、スケジュールを組んだり、ミーティングやメンバーの調整を行うようにしましょう。

まとめ

プロジェクトや事業は長ければ数年にわたります。メトリクス管理は、長期的な目標を目指す時にも道しるべとして役立つ指標です。
メトリクス管理を成功させるポイントは、メトリクスの設計を正確に行うことです。
ゴールから逆算して適切な設計で、かつ作業負荷が大きくなりすぎないように注意してください。

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(編集:創業手帳編集部)

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