「自分会議」とは?本当にやりたいことの見つけ方|車椅子トラベラー×創業手帳 vol.3

創業手帳

人間の可能性の極限とは。車椅子で世界一周を達成した三代達也氏に聞きました


苦悩している自分を俯瞰することで、新たな道が見えることがあります。本当にやりたいことを見つけるためには、自分自身と対話することが重要です。

これは、「ここまではできる、ここからはできない」という思い込みをなくし、苦悩しているギリギリの状態だからこそ、切り拓けるものでしょう。

今回は、車椅子で世界一周を達成した三代達也氏に、苦悩の時代を乗り越えたことで学んだこと、さらに「自分会議」をすることの意義について聞きました。

三代達也(みよたつや)

1988年11月30日 日立市出身 川崎市在住。
18歳の頃バイク事故で首の骨を折り頸髄を損傷、両手両足に麻痺が 残り車椅子生活を余儀無くされる。 会社員の時に一人でハワイに旅行し、世界観が広がる。その後海外の暮らしに憧れを持ちLAやオーストラリアに短期移住。 帰国後会社員として再度働き、お金を貯めてから世界一周を決意。約9ヶ月間23カ国42都市以上を回り、世界一周達成。
現在は車椅子の旅人として全国で講演活動を行いながら、エイチ・アイ・エスユニバーサルツーリズムのスペシャルサポーターとして、国内外に赴き車椅子でも旅行しやすいツアー造成の監修などを行なっている。
2019年7月に光文社より「No Rain, No Rainbow 一度死んだ僕の、車いす世界一周」を出版。トミーヒルフィガーアダプティブオフィシャルサポーター。旅や車椅子の日常を発信する【Miyo channel】YouTubeチャンネルを運営

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苦悩の時代こそ、変わるきっかけになる

ー「本当にやりたいこと」を見つけるきっかけとなったエピソードを教えてください。

三代:僕は今でこそ「幸せ」だとはっきりと言えますが、たった4年前の2017年までは、人生でもっとも落ち込んだ時期にいました。

あのときの苦悩は、事故で入院したときよりも苦しかったかもしれません。今思うと会社員時代の僕は、自分が自分ではなかった気がします。

ちなみに会社を悪く言うつもりはありません。ただ自分がその環境にマッチしていなかった、それだけの話です。

ーそのときのご職業は?

三代:有名大学を卒業したエリートたちが集う商社に、高校中退(通信卒)の僕がパッションだけで面接に通って入社しました。

少しでも人の役に立ちたい!体は動きにくくとも僕がやれることで会社に貢献できれば!そんな思いを胸に入社してしばらく経つと、”とある違い”に落胆しました。

業務のレクチャーを受けても、僕には理解が難しい内容のものばかり。しかし、周りの社員はすぐにインプット&アウトプットできている……。

あれ……?そうか、勉強が足りないんだ!そう思って、気がついたら朝6時前に出社して、2時間ほど勉強してから仕事に取り掛かるようになりました。

それでも仕事についていけず、さらには手が動かないことによるスピード感の無さにも嫌気がさしていました。当時はこういった違いを実感するのが辛かったんです。

ー心身ともに限界のように思えますが……

三代:実際そうでしたね。段々と自分を卑下するようになって、周りの目を過敏に気にするようになって、気がついたら……

出社前に食べた朝ご飯を、会社に到着後すぐに吐いてから仕事を開始するという地獄のルーティンが始まりました。飲み会に行っても吐き、遊びに行っても吐き。

その頃は、まともな食生活からかけ離れていましたね。朝はカロリーメイトかカップ麺、昼はポテトチップス、夜は23時頃に近所のラーメン屋でドカ食い。

不摂生とストレスからか、背中の皮膚が真っ赤になり、痒くてボロボロにただれ始めました。

ーとても辛い時期でしたね、その後はどうなりましたか?

三代:そんな生活が数カ月。僕は心療内科に電話を掛けていました。会話はちゃんとできていたので、医者からは大したことないと思われたのか……

「落ち着く薬を出しましょうね〜」

と、錠剤だけもらって飲みましたが、いくら飲んでも吐く症状や気分は落ち着かず、ここが自分の限界だと知りました。

これは根本的に何かを変えないともう解決しないやつだなぁ。そう思って、静かに”とあること”を始めました。

僕の人生を変えた「自分会議」

ー今回のテーマでもある「自分会議」について教えてください。

三代:まず始めたのは、頭の中にA.Bの2人の自分を作って会話することです。

A「調子どうだ?」
B「いや、調子はよくないな……」

A「どうした?」
B「いや、仕事がうまくいかなくてさ……」

と言った感じです。傍から見たらボケーっとした僕が佇んでいるだけ。自分でわかりました。これは末期だと。しかし、会話をしていくと段々とスッキリしてくるのです。これは自分の中で大きな発見だったと思っています。

ー当時の実際の自分会議はどのように行っていたのでしょうか?

三代:こんな感じです。

A「もう、未来のことをアレコレと考えるのはやめて、過去を振り返ってみたらどうだ?今までの人生で一番楽しかったこと、自分が輝いてたときはいつだい?

B「それは旅してるときかな、あの頃は自分が主人公になった気分で何が起こるかわからない、でもそんな瞬間瞬間にワクワクしてた。」

A「じゃあ旅すれば良いじゃん。」

B「いやいや、俺もう28だぜ?しかも前の会社辞めた理由も旅だったし。また旅で辞めるなんて言ったら、周りになんて言われるか……。」

A「28年生きてて旅が一番楽しかった、輝いてたんだろ?だったらやっぱり旅したほうがいいよ。」

A「前辞めたのは、ハワイに行ったあとにもっと海外を見てみたい!暮らしてみたい!っていう自分のための旅だったろ?そんな自分ベクトルの旅じゃなくて、誰かのためになるような旅にすれば良いんじゃないの?」

B「たしかに、今までの旅は全部自分のための夢とか挑戦とか、経験のための旅だった。」

B「でもこの人生で旅が楽しかったことを周りにシェアすれば、旅行記やバリアフリー情報を伝えられるような旅になれば……誰かの一歩に繋がるのかな……。」

A「誰かの一歩に繋がる旅、最高じゃん!それでいこう!」

自分のため、そして誰かのための旅が始まる

ー自分会議をしてから、どのように変わりましたか?

三代:一念発起して、会社を辞めました。さぁどうしようかな。考えました。どんな旅にしよう?今まで一つの国に長く滞在することはクリアした……

じゃあ今度は1日〜2日とか1週間とかで、たくさんの国境を跨ぐ大冒険にしよう。

そうしたら僕にとってもやったことのない挑戦だし、滞在する国が増えれば増えるほど、発信できる情報も多くなる。よし、世界一周しよう!

そう決意したものの、ノウハウがあまりにも無かったのです。そのとき、前に友人から聞いたことをふと思い出しました。

「HISにバリアフリー専門のデスクがあるらしいよ」

微かな記憶でしたが、調べてみるとバリアフリー専門のユニバーサルツーリズムデスクがあったのです!

ー自分会議によって、良い方向に行動力を発揮できたようですね。

三代:はい。すぐにHISユニバーサルツーリズムデスクのHPを見ました。すると、ウユニ塩湖やマチュピチュにも車椅子の方とツアーで行っている実績がある。これだ!!

しかもお問い合わせフォームがある、今までこういったフォームにメッセージを送ったことは人生で一度もなかったけど……。えいや!僕はいきなり長文で思いの丈をぶつけました。

車椅子単身で世界一周に行きます!理由は障害がある方に旅行に対する不安を減らしてもらいたいから、楽しさを伝えたいからです!以下略と。

ーHISさんから連絡はありましたか?

三代:かなり一方通行な内容だったので、返事が来るかな……と思っていたら、なんとすぐに電話がかかってきました!

HIS「三代さん、お問い合わせありがとうございます。これは本気ですか?」

三代「本気です。」

HIS「わかりました、では新宿のオフィスにお越しください。」

三代「はいっ!!」

いざユニバーサルツーリズムデスクに向かうと、奇跡的になんとお隣が世界一周デスクでした。トライアングルで相談して、経路や予算、行きたい観光地や国などをその場で決めました。

よし、良い感じだ!!たった1本のお問い合わせフォームへのメールだったけど、ちゃんと繋がった!僕は、この体験で行動することの大切さを改めて知りました。

そして旅をすると決めてから、目には見えませんでしたが、自分が少しずつ、ほんの少しずつ、でも確実に変わっていることを実感し始めました。

やりたいことをやるということが、ここまで自分を突き動かせるのだと驚きましたね。

決断という恐ろしさの後に光が待っている

ー苦難の時期を乗り越えて学んだことを教えてください。

三代:会社員として働いていると、「辞めます」って言いにくいですよね。

お金をかけて採用してもらって、たくさんの失敗をカバーしてもらって、飲みに連れてってもらって、慰めてもらって、人生経験を積ませてもらって、お金ももらって……。

頂いてばかりなのに、本当にお世話になった場所を辞める。僕にとって、もっとも苦しい決断でした。

でも、今回の経験をもとに一つ学んだのは、体を壊してまで続けていい仕事は無いんじゃないかなということです。これは僕の人生観にも繋がっています。

ーなにかを決断することに悩んでいる方へのメッセージをお願いします。

三代:人生というのは有限ですし、いつ事故や病気で体が動かなくなるかもしれない。これは、僕が身をもって経験しているので強く言えることです。

でも仕事を辞めたところで、やりたいことがない……。どうせ同じことを繰り返す人生なんだ……と思われるかもしれません。

そのときは、一度完全に自分をリフレッシュさせる期間を作っても良いかもしれません。今までどうしてもやりたかったこと、夢だったこと、楽しかったこと、輝いてたときのこと。

とにかく自分がもっとも楽な状態で人生を再度歩み始めてみると、まったく想像してなかった道や、新たな出会いが待っているかもしれません。

僕もあのときに勇気を出して決断した「旅」というものが、今の仕事になるとは正直そこまで思えていませんでした。

人生は何があるかわからない。だからこそ、体を大切に、心を大切に、今の人生を大切に生きていきましょう。

まとめ

多くの起業家は、思い悩むことや決断しきれなかった苦い経験があるでしょう。しかし、そんな苦悩した経験があるからこそ、自分をリフレッシュさせる期間を作る意味があります。自分会議により、ぜひ新たな道や自分の可能性を再発見してください。

三代さんのこれまでの経験を通して、行動ひとつで変わるきっかけを掴めること、果敢に決断して新たな道を拓く姿勢に感銘を受けました。

次回のシリーズ第4弾は「すべてのきっかけは、とあるSNSの繋がり」というエピソードをもとに、三代さんと創業手帳が人間の可能性の限界=地平線を探ります。

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(取材協力: 三代達也
(編集: 創業手帳編集部)

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