自動販売機の設置方法とは?費用や流れ、注意点などをまとめて解説!
自動販売機ビジネスは個人でも始めやすい
近年、副業やスモールビジネスの選択肢として注目を集めているのが「自動販売機ビジネス」です。
初期費用が比較的安く、運営に手間がかからない点から、個人でも気軽に始められるのが魅力です。
また、設置する場所や取り扱う商品によっては、安定した収益を見込めます。
しかし、自動販売機ビジネスを始めるにあたっては、設置方法や費用、運営上の注意点を理解しておかなければなりません。
今回は、自動販売機の設置を検討している人に向けて、導入までの流れや費用の目安、設置時のポイントなどをわかりやすく解説していきます。
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この記事の目次
自動販売機ビジネスを始めるメリット
自動販売機ビジネスでは以下のメリットを得られます。
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- 店舗を開業するよりも低コストに抑えられる
- 無人で24時間365日運営が可能
- 余っているスペースを活用しやすい
- 店舗前の設置で集客効果が高まる
- 地域や店舗の防犯対策につながる
- 災害時にライフラインを確保できる
自動販売機ビジネスには賃料や内装費などをかけなくても良いため、初期費用を抑えられます。
また、無人で24時間365日稼働できることから、人件費をかけなくても運営することが可能です。
すでに店舗を持っている場合には、店舗前に自動販売機を設置することで、店舗の存在を認識してもらいやすくなり集客効果が高まります。
また、自動販売機の照明は夜間の防犯対策としても活躍してくれます。
さらに、災害が発生した場合には、自動販売機から飲料を確保することも可能です。
最近の自動販売機には、災害時に飲料を無償提供する機能や、電光掲示板に災害情報を流す機能が備わっており、ライフラインが断絶された場合にも役立ちます。
自動販売機の設置方法
自動販売機を設置する方法は、主に以下の3つから選ぶことになります。各設置方法について解説します。
レンタル
自動販売機の設置業者に依頼し、本体をレンタルして設置する方法です。
自動販売機を購入するよりも初期費用を大幅に削減でき、メンテナンス・修理などが含まれていれば追加のコストがかからない場合もあります。
また、契約期間を比較的自由に変更すれば、短期間だけ利用することが可能です。さらに、金融機関からの審査も不要なので導入しやすいという魅力があります。
ただし、長期的に運用するとなると毎月のレンタル料金の支払いが積み重なり、結果として割高になる可能性が高いです。
リース
自動販売機を顧客に代わってリース会社が購入し、月々のコストで運用する方法です。
毎月一定の費用がかかりますが、初期費用が発生せず、リース料は経費として計上できます。
レンタルと似ていますが、リースは長期的に自動販売機を運営したい場合に向いています。
なお、リースは中途解約できません。また、金融機関から審査を求められることもデメリットといえます。
購入
自動販売機本体を購入し、自社で運営することも可能です。
販売する商品や価格などを自由に決めることが可能で、長期的に運用することでレンタル・リースよりお得になります。
自動販売機の購入には高額な初期費用が必要です。ただし、毎月発生するレンタル・リース料はかかりません。
長期的に運営することが決まっているのであれば自動販売機を購入しても問題ありませんが、初期費用が高額になりやすいことから、一般的にはレンタル・リースが選ばれています。
自動販売機を設置する際の流れ
ここからは、自動販売機を設置する流れについて解説します。
1.自動販売機を設置するために準備を整える
まずは自動販売機の設置に向けて準備を整えていきます。具体的には、設置場所と目的を明確に決めておくことが大切です。
以下のポイントを押さえて、適切な設置場所かどうかを確認してみてください。
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- 自動販売機を置くのにどれくらいのスペースが必要か
- 利用する人はいるか
- 近くに電源はあるか
- 近隣の自動販売機との間隔に問題ないか
ただし、自動販売機を設置する目的によって、場所や種類は異なります。
2.自動販売機の運営会社を決める
設置する準備がある程度整ったら、次に自動販売機の運営会社を決めます。
運営会社は飲料メーカーだけでなく、専業のオペレーターや自動販売機の販売業者などが該当します。各運営会社の特徴は以下のとおりです。
特徴 | |
飲料メーカー | ・商品の補充、売上管理まで対応可能 ・販売手数料は高い傾向にある |
専業オペレーター | ・複数メーカーの商品を取り扱える ・販売手数料がかかる |
販売業者 | ・適切な仕入先を選定できれば利益率が向上する ・商品補充や売上管理は自分で行うことになる |
3.契約オペレーターを決める
自動販売機を依頼する企業が決まったら、次に契約オペレーターを選定します。
契約オペレーターには、業者に委託する「フルオペレーション」と、オーナー自ら運営・管理する「セミオペレーション」があります。
フルオペレーションは、所有する土地を企業に貸し出して自動販売機を運営することで、本体の管理・運営業務は不要です。
利益は売上本数で変動しますが、1本15~20%程度のマージンを受け取れます。
セミオペレーションは、自動販売機の設置や、運営・管理を手がけるのが特徴です。利益を確保できますが、経営方法を誤れば赤字になる恐れがあります。
4.契約を締結させる
契約オペレーターを決めたら、契約手続きに移行します。契約書の内容に問題がないか確認し、契約を締結します。
契約書を読んで納得のいかない部分や疑問点があれば、質問をして納得した上で契約を締結してください。
5.設置に立ち会う
契約が締結すると、自動販売機のラッピングや商品を決めます。
設置当日は、オペレーターのルート担当者・営業担当者と一緒に立ち会うのが基本です。
作業にかかる時間は30分~1時間程度で、設置が完了したらオペレーターの担当者から使い方などを説明してもらえます。
6.販売を開始する
設置後に補充した飲料が設定温度になったら、いよいよ販売開始です。通常であれば2~3時間程度で完了しますが、季節によってはもう少しかかる場合もあります。
設定した温度になると、押しボタンに表示されていた「準備中」の表記が消え、販売できるようになります。
自動販売機の設置にかかる費用
自動販売機を設置するのに、どれくらいの費用がかかるのか気になる人も多いでしょう。
そこで、自動販売機の設置にかかる費用相場について、フルオペレーションとセミオペレーションごとに紹介します。
フルオペレーションの費用相場
フルオペレーションの場合、契約条件によっても異なりますが、基本的に業者が無償で貸与してくれます。また、設置場所の条件で変動はあるものの、設置費用は発生しません。
初期費用がかかりませんが、電気代と業者への手数料は必要です。
自動販売機にかかる電気代は、本体が節電仕様かどうかで異なります。節電仕様の場合は、1カ月の電気代が1台あたり約2,000円~3,000円で済みます。
一方、節電仕様ではない自動販売機であれば、1台あたり約4,000円~6,000円はかかるため、維持費を抑えたい場合は節電仕様がおすすめです。
ただし、冬の期間は温かい飲み物も提供するケースが多く、電気代が高くなってしまうので注意してください。
なお、業者に支払われる手数料として、売上から約20~30%が差し引かれます。1カ月300本売れた場合、飲料の平均価格が150円とすると、売上金額は45,000円です。
業者の手数料が9,000円~13,500円が差し引かれ、31,500円~36,000円を売上として得られます。
セミオペレーションの費用相場
セミオペレーションでは、自動販売機本体の購入から設置工事まで、必要な費用をすべて設置者が負担することになります。
自動販売機を購入した場合、新台だと70万円~100万円、中古なら30万円~50万円程度かかります。
レンタル・リースを選択すれば初期費用を抑えられるため、初期費用をできるだけ抑えたい人はレンタル・リースを選択してください。
設置工事には3万円~5万円程度かかりますが、設置場所付近に100V電源がない場合は電源工事の費用も必要です。
商品の購入や補充、在庫管理などはすべて自分で行うことになりますが、フルオペレーションのように手数料は発生しません。
ただし、レンタル・リースで本体を入手した場合は月額料金がかかります。また、電気代に加え、自動販売機のメンテナンス・修理費用なども負担する必要があります。
自動販売機を設置する際に気を付けたいポイント
自動販売機ビジネスを始めるにあたって、気を付けたいポイントを事前に確認しておいてください。
据付基準は必ず守る
自動販売機は自由に設置して良いものではなく、据付基準を守らなくてはなりません。
JIS(日本産業規格)に基づく据付基準では、全質量1,000kg以下(幅2,000mm以下・奥行き1,000mm以下・高さ2,200mm以下)の床置式を対象に、据付方法や耐震性能、転倒防止のための安全率確保などが決められています。
屋内外に問わず、地震・強風などによる転倒を防ぐために、法的に据付基準を守ることに対する義務があることから、専門の設置業者に依頼することが大切です。
自動販売機を設置できない場所がある
自動販売機はどこでも設置して良いとイメージするかもしれませんが、実際にはそうではありません。
自動販売機が設置できない場所もあります。例えば、以下に該当する場合は自動販売機が設置できないので注意が必要です。
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- 狭い歩道や建物の入口など
- 許可が下りていない私有地・公有地
- 土地の用途が適していない
- 景観条例によって設置が制限されている
- 電源を確保できない
- 突き当たり・行き止まりの道
- 車道と歩道の間にガードレールがある場所
狭い歩道や建物の入口など、物理的に十分なスペースを確保できない場所には設置できません。
なお、商品を補充する際に自動販売機を開ける必要があるため、その分のスペースも確保する必要があります。
食べ物・酒類の自動販売機を設置するには許可・届出・免許が必要
自動販売機には食べ物や酒類などを販売できる機種もあります。
しかし、商品によっては許可や届出、免許を取得する必要があることに注意が必要です。
例えば、自動販売機で食品を販売する際には自動販売機による販売業の届出が必要ですが、店舗でつくった冷凍の商品を自動販売機で販売する場合には冷凍食品製造業の営業許可が必要です。
また、酒類の販売に対しては、他の自動販売機とは異なる法律が適用されます。原則として、一般酒類小売業免許を持っていないと酒類の販売は認められていません。
宿泊施設にある酒類の自動販売機は、例外措置として免許を持っていなくても販売できますが、購入者の年齢確認を行う「改良型」を導入する必要があります。
トラブル発生を防ぐ対策が必要
自動販売機は基本的に無人で運用するため、周りにゴミが散乱したり壊されたりする可能性もあります。
放置していると近隣住民から設置者にクレームが届く可能性もあるため、前もって対策を講じることが大切です。
また、周囲から事前に了承を得た上で自動販売機を設置すればトラブル回避につながります。
周辺環境が悪化すると収益の低下にもつながってしまうため、こまめに掃除を行うようにしてください。
まとめ・自動販売機の設置方法を知って空きスペースを活用しよう
自動販売機は24時間365日無人で稼働できることから、個人でも始めやすいビジネスのひとつです。
購入には多額の初期費用がかかりますが、レンタル・リースをうまく活用することで、初期費用を抑えつつ自動販売機ビジネスをスタートできます。
自分が所有する土地に空きスペースがあれば、自動販売機の設置を検討してみてください。
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(編集:創業手帳編集部)