東大生ノート術のYouTubeでバズる「みおりんカフェ」のみおりん|学生時代に始めた分野で独立するまで

創業手帳woman

自分の武器は意外なところにある。起業を目指すなら知っておきたいスモールスタートのコツと自分の価値の見つけ方

みおりんカフェ

創業手帳の読者の中には、「いずれ独立したい」という思いで会社に勤めている方も多くいるかと思います。

今回の記事では、そのような想いを抱きつつ大学を卒業して都内の一部上場企業に就職し、1年半後に退職、独立を果たし本まで出版される事になった、YouTubeやブログで勉強法やノート術について情報発信をしている、みおりん氏にお話を伺いました。

みおりん

みおりん
東京大学法学部を卒業後、1年半のIT企業勤務を経て2020年に独立。
地方公立校から自宅浪人で東大受験をした経験をもとに、
《ごきげんに勉強する》のコンセプトで勉強法やノート術について
ブログ「東大みおりんのわーいわーい喫茶」およびYouTube「みおりんカフェ」にて発信中。
2021年3月、著書『東大女子のノート術 成績がみるみる上がる教科別勉強法』が発売予定。

※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください

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就活をきっかけに立ち上げたブログと個人サービス

わたしは勉強法やノート術に関する情報発信活動を本業とするために独立へと至ったのですが、そのきっかけは大学時代の就職活動に遡ります。

就活中に言われた一言

わたしはもともと起業や独立をしたいという気持ちがあり、就活では「3年以内に独立までの力がつくかどうか」という視点で企業を探していました。面接でも、将来独立したいという気持ちを正直に伝えていました。

その中で、ある会社の人事担当の方にこんなことを訊かれました。

そんなに起業したいなら、なぜいまやらないの?

わたしには当時学生起業をしたくない明確な理由があったのですが、一方で怖いからやっていないという部分があることも否定できませんでした。そこでわたしは、起業というほどではないけれど、「起業の練習として、自身でマネタイズできるものを作りたい」と考えるようになりました。

起業の練習として始めたアフィリエイトブログ

就活ではWeb系を中心にさまざまな会社を見た末、最終的に都内のIT関連企業に就職することを決めました。一部上場企業でありながら小規模で、いい意味でガチャガチャとしたチャレンジングな社風がとても魅力的でした。

そして就活を終える頃、起業の練習の第一歩としてブログアフィリエイトに挑戦してみようと考え、留学や英会話などの分野でマネタイズすることを目的にブログを立ち上げました。大学3年生の頃から長期インターンでつけていたSEOライティングの知識と、少し前まで休学してチャレンジしていたカナダでのワーキングホリデーの経験を活かそうと思ったのです。

そんな中、当時全力を注いでいた教育関係のアルバイトでのプロジェクトが、会社都合により突然終了することに。「まだまだ教育関係で発信したいことがたくさんある!」と思ったわたしは、自分のブログのテーマに「勉強法」を加えることにしました。

これが現在も発信をつづけている、「東大みおりんのわーいわーい喫茶」というブログです(いまでは勉強法がメインのサイトになっています)。

卒業までの1年間、全力で勉強法について発信

大学の最後の1年はブログで200件近い記事を書き、並行して個人での学習サービスも提供していました。これは簡単に言うと「勉強版RIZAP」のようなもので、生徒さんの勉強計画を一緒に作ったり、勉強のモチベーションを維持するための面談や進捗管理をしていました。スモールビジネスではありましたが、どのように価格設定をするかや、どうしたらサービスを知ってもらえるかなど考えることがたくさんあり、多くの学びを得ることができました。

そして卒業と同時に、ブログや学習サービスはすべて停止。これは会社での仕事に全力投球して結果を出すために自ら選んだ道でした。

会社員として働いた1年半

2019年4月、内定先の会社に総合職として就職。怒涛の会社員生活が始まります。

営業からWebまで泥臭く経験

1カ月の新卒研修後、わたしは新規事業の部署に配属され、ルールもオペレーションもないような環境で揉まれながら泥臭く仕事をしました。もともとWebの仕事をしたくて入った会社でしたが、修行のために初めは電話営業や訪問営業を経験。その後Web専任となり、死にかけていたサイトを再構築するところからメインの担当として携わらせていただきました。

Webディレクターとしては、コンテンツマーケティングやその他SEO施策のディレクション、リスティングをはじめとしたWeb広告の運用などを幅広く経験しました。このときに得た知識は、現在独立してからも役立っているなぁと感じます。

ブログの再開とYouTubeへの挑戦

新卒1年目の年末、ちょっとしたきっかけがあり、わたしはブログでの発信活動を再開することにしました。

そして年が明けた1月、出来心でYouTubeに大学受験生時代のノートを紹介する動画をアップしてみることに。もちろんすぐには再生回数も伸びず、またそんなことを期待もしていませんでした。

ところが約1カ月後、この動画が突然バズり始めたのです。ちょうどコロナによる臨時休校が始まった頃で、自学ニーズが高まったこととも関係していると思いますが、このときは毎日数百人ずつ増えていくチャンネル登録者数にただただ驚くばかりでした。

少し継続してがんばってみようかなと思い、その後は週に1本程度のペースで動画を投稿。3月頭にはYouTubeでの収益化が始まり、ゴールデンウィークの頃にはチャンネル登録者数が1万人を突破したり、企業からの案件依頼も増えていきました。

YouTubeで工夫したこと

YouTubeはそもそもあまり観る習慣がないほどの初心者でしたが、少しずつ研究を重ねたことで着々とチャンネル登録者数や再生回数、収益を伸ばしていくことができました。さまざまな工夫をしましたが、特に意識していたのは次のようなことです。

ニーズを確かめてから投稿する

わたしのモットーは、「最も求められているものをベストタイミングで出す」です。

記事を公開してから流入が増えるまでに数カ月かかるブログと違い、YouTubeは即時的な反応のあるメディアです。また、投稿後に多くの再生があるとさらに多くの方のおすすめ動画として表示されやすくなるアルゴリズムなので、「自分が発信したいことだけどニッチなテーマ」よりも「いまこの時期に最も必要とされているテーマ」を選ぶようにしてきました。

視聴者のニーズを知るために使っているのは、公式LINEやSNSのDM(ダイレクトメッセージ)で送られてくるお悩み相談やYouTubeのコメント欄など。テスト期間に入った子が多いなと感じたらテスト勉強の動画を公開し、漢検の質問が増えてきたなと思ったら漢字の勉強法の動画を公開する、といった形です。

コンセプト・テーマをブレさせない

わたしのYouTube(やブログ)では、「ごきげんに勉強するヒントを届ける」をコンセプトに、勉強法とノート術について発信していますが、このコンセプトとテーマは絶対にブレさせないようにしています。

チャンネル登録者数が増えてきても、常に胸に置いているのは「この人たちはわたしのファンではなく、わたしの提供する情報を必要としている人たちだ」ということ。だからいくらYouTubeで流行っている企画であっても、チャンネルのテーマと合わないものは絶対に扱いません。わたしのチャンネルを観てくれているのは「勉強についての情報を得たい」と思って来てくれている人たちであり、そうした方々に勉強と関係のないプライベートな生活をお見せしても役に立たないと考えているからです。

タイトルと動画説明欄のSEO

もともと大学生時代に女性向けWebメディアのSEOライターをやっていたこともあり、検索からの流入という視点は常に忘れないようにしています。特にわたしのチャンネルはエンタメではなく情報提供のチャンネルなので、ブログと同様に「〇〇の勉強法について知りたい」と思って検索をかけた人に見つけてもらえるように工夫する必要があると考えています。

YouTubeでは、タイトルと動画説明欄(+サムネイル画像)の情報が大切と言われています。なるべく検索に引っかかるようなワードを散りばめたり、YouTubeのシステムにその動画がどういう内容なのかを理解してもらえるような説明文をつけるようにしています。

SNSと連携する

YouTubeを始めて、それまで大の苦手だったSNSにも力を入れるようになりました。それまでは動画やブログの投稿のお知らせをTwitterとInstagramで申し訳程度に流すだけでしたが、少しずつ各SNSの特徴やお作法に合ったオリジナルコンテンツも投稿するように工夫。それぞれ以下のようなことをやっています。

  • Twitter
  • …勉強法のtipsを毎日数回投稿

  • Instagram
  • …動画やブログの概要をまとめたノートや、学生時代のノートの中身を投稿

  • TikTok
  • …自分の勉強法を30〜45秒程度にまとめたショート動画や、ノートまとめをしている手元の動画を投稿

たとえばInstagramの投稿はこんな感じです。

手間はかかりますが、他の人にはないコンテンツを提供できるように心がけています。

衝動が抑えられなくなるまで

そんな工夫の甲斐もあってかチャンネルは順調に伸び続け、5月にはYouTube経由でわたしを知ってくださった出版社の方から「中学生から使えるノート勉強法の本を出しましょう」とお声がけをいただきました。本の原稿執筆や動画の投稿、公式LINEやSNSで視聴者さんからいただく勉強相談への返信などに追われるなか、わたしはこんな思いが強くなっていきました。

いまやっているこの活動を、平日の退勤後や土日だけじゃなく、もっと大きなリソースを投下してやってみたらどこまでいけるんだろう?

また、ビジネスパーソンとしてしっかり結果を残したいという気持ちの強かったわたしは、本来会社の仕事について寝ても覚めても考えているような人間でした。それが個人での活動と両立させようとするとどうしても難しくなり、そんな自分を許せない気持ちも強くなっていたのです。

収入の得られはじめた個人での活動。でもまだ完全に生計が立つほどではない。一方、会社のお給料はありがたいことにコロナ禍に左右されず安定していただけている。どうしよう、と悩みました。安定した生活に興味はなかったけれど、食べていけなくなるわけにはさすがにいかない…悩みすぎて、半分病みかけたほどでした(笑)。

最終的には勢いで上長との面談のアポを入れ、退職希望の旨をお伝え。9月末での退職が決定しました。

二本柱のフリーランス生活

そんなこんなで、現在わたしはフリーランスとして生活しはじめて約4カ月になりました。当初は「尻尾巻いて戻ったらすみません」などと古巣に伝えていましたが、YouTubeは2021年1月現在4万人を超える登録者数となり、あわせてブログのテコ入れも進め、なんとかこの道でやっていけそうな程度には軌道に乗せることができました。

いまやっているのは、本業としてのYouTubeやブログでの発信活動と、Web系の受託業務の2つです。受託業務では前職の会社や、大学〜前職時代にご縁のあった企業のお仕事をいただいています。本業だけでも生活はできるようになりましたが、どちらも違った学びがあるのでしばらくはこの二本柱でやっていけたらなと思っています。

夏頃から執筆を進めている書籍も、2021年3月に発売となる予定です。タイトルは視聴者さん投票で、『東大女子のノート術 成績がみるみる上がる教科別勉強法』に決まりました。中学生から使える勉強法とノート術を、実際のノート写真などもお見せしながら解説する本になっています。

今後のわたしの夢は、

  • 勉強法とノート術について日本一詳しい人になる
  • 日本一親しみやすい東大生インフルエンサーになり、多くの方の学習相談に乗りつづける
  • ごきげん勉強をサポートするような文房具ブランドを立ち上げる

この3つです。勉強のできる人ではなく「学びを楽しめる人」を増やすお手伝いができるよう、楽しい勉強法をたくさん届けていきたいと思っています。

意外なことが自分の武器に

以上、わたしが新卒で入社した会社を辞めて独立するまでの経緯をお話しさせていただきました。

もともと「起業したい」という漠然とした思いはあったものの、このような形で、そしてこのような早さで独立に至るとは自分自身でも正直まったく予想していませんでした。また本の出版に関しても、なんだかまだ夢のような気持ちがしています。

今回わたしが感じたのは、「意外なことが自分の武器になる」ということです。勉強法、なかでもノート術については、わたしはもともと自分の得意分野だとはまったく考えていませんでした。ですが、YouTubeでもブログでもSNSでもわたしのノートに興味を持ってくださる方は多く、企業様からもノートに関するコラボや依頼をいただくことがたくさんありました。そこでようやく、「ああ、ノート術はわたしが他の人より得意な分野なんだ」と気づくことができたのです。そしていまでは、ノート術についての本を出したり、集英社の雑誌『りぼん』でノート術特集の監修をさせていただくまでになりました。

自分の中では当たり前と思っていることでも、誰かにとっては「すごい!」「ノウハウを知りたい!」というものだったりします。これから起業や独立をお考えの方もいらっしゃると思いますが、もしまだ「これだ!」と思うテーマがないのであれば、これまで周りの方に褒められたことのあるものを、どんなに小さなことでも思い浮かべてみるといいかもしれません。思わぬものが仕事となることもあるでしょう。

わたしの経験談が、もしどなたかのお役に立てばうれしいです。わたしはこれからも「ごきげん勉強のヒントを届ける」ために精進してまいります!

まとめ

みおりん氏のように今は会社に所属されているものの、いつかは独立を夢見ている方は少なくはないと思います。

今回のみおりん氏の記事を読んで頂き、起業への第一歩を是非考えてみてください。

創業手帳冊子版では、多数の起業家インタビューを取り上げており、起業に至った経緯など、起業に迷われている方の背中を後押ししてくれる記事を多数取り上げております。無料での配布となりますので、是非ご活用ください。

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