週末起業でも確定申告は必要?青色申告・白色申告の選び方や注意点を解説

創業手帳

週末起業は収入に応じて確定申告が必要!


起業に興味があるものの、いきなり独り立ちすることには誰でも不安を感じるものです。そこで週末起業をして、経験を積んだ上で独立をする方法があります。

週末起業をはじめるとなると、本業とは別に収入が発生します。収入の金額によっては確定申告が必要です。

この記事では、週末起業で確定申告が必要になる条件や注意点などを解説します。週末起業の利点も紹介しているので、起業に興味がある方はぜひ参考にしてください。

創業手帳では多くの人が確定申告においてつまづきやすいポイントをまとめた「確定申告ガイド」をリリース!青色申告と白色申告、どちらを選んだほうがいいのか、メリット・デメリットなどをわかりやすく解説。また所得税の申告のみならず、消費税の確定申告についても解説しています。無料でお読みいただけますので、是非ご活用ください。

また副業の確定申告について、どのくらいの売上だったら必要になるか、計上できる経費についてなどを解説した「副業確定申告ガイド」もあわせてご活用ください。

創業手帳では、「税金チェックシート」もご用意しています。税金で損をしないための方法をチェックできます。週末起業であっても節税のための対策は必要です。こちらも無料ですので、ぜひご活用ください。

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週末起業とは?


週末起業は、会社に属したまま事業を立ち上げ、休日や就業前後の時間でビジネスに取り組むことです。
普通の企業と異なり本業の収入を得ながら、自分のビジネスで別に収入を得ることができます。
同じく本業を続けながら別に収入を得る方法には副業があります。副業は基本的に別の企業に雇われて働くことで収入を得る方法です。

一方、週末起業は自身が経営者となって事業をはじめ、収入を得るという違いがあります。

週末起業でも確定申告は必要?


会社員は年末調整があるので、医療費控除や寄付金控除などの申告が必要となるケースを除いて確定申告をする機会がありません。
しかし、週末起業をはじめるとなると、確定申告が必要になります。その条件と未申告のリスクをご紹介します。

週末起業で確定申告が必要なケース

確定申告は通常、年間所得が48万円以上になると必要となりますが、会社員は年末調整があるので給与分の申告は不要です。
しかし、週末起業や副業で副収入を得ている場合、その年間所得が20万円以上だと確定申告の対象となってしまいます。

所得とは事業で得た収入の全額ではありません。年間の売上げから経費や控除を差し引き、残った金額が所得です。

そのため、売上げが20万円以上でも経費を差し引いて20万円以下となれば確定申告は不要です。

所得が20万円を超えて所得税の納税が必要になっても、所得が少なければ税金の負担を軽減できます。
節税のためには経費の管理に徹底して、正しく計上していくことが大切です。

年間所得が20万円以上なのに確定申告をしないとどうなる?

税務署は、適切に確定申告や納税が行われているのか調査を行う役割があります。万が一無申告で、それが発覚すれば処罰を受けるので注意してください。
正当な理由なく期限内に確定申告を行わなかった場合、無申告課税や延滞税がプラスされ、本来よりも多額の税金を支払わなければなりません。

無申告課税は、本来支払う税額に一定の税率をかけた分が所得税に上乗せされます。
税率は税額によって異なり、本来の税額が50万円未満なら15%、50万円以上なら20%で計算します。
ただし、調査が行われる前に自己申告した場合、5%に抑えることが可能です。

延滞税は、申告が遅れた場合に発生する利息のようなものです。税率は申告を行うまでの日数分を支払う必要があります。
税率は期間によって変動し、納税の期限の翌日から2カ月以内なら7.3%、2カ月以降は14.6%で計算します。

週末起業は青色申告・白色申告のどちらを選ぶべき?


確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。実際に起業して確定申告をする際、どちらを選べばいいのか悩む人は少なくありません。
それぞれの申告方法の特徴を理解して選択する必要があります。

青色申告とは

青色申告は、事業所得・不動産所得・山林所得のいずれかの所得があれば利用できます。
また、利用するには税務署に開業届を提出し、さらに青色申告承認申請書の提出が必要です。

申請書は青色申告をする年の3月15日までが提出期限になります。事業開始日が1月16日以降となる場合、提出期限が2月以内となっているので注意してください。

青色申告では、10万円の控除または最大65万円の特別控除を利用できます。所得を大幅に下げられるので、節税メリットが大きいです。
青色事業専従者給与に関する届出書を提出していれば、事業に携わる家計を共にする親族に支払う給与を経費に計上できるようになります。
また、経費に地代家賃や光熱費、通信費なども含むことができ、範囲が白色申告よりも広くなります。
3年にわたって損失額を繰り越すことができ、翌年以降の利益と相殺することが可能です。

白色申告とは

青色申告承認申請書を出さなかった場合、白色申告が適用されます。
青色申告のような税制優遇はありませんが、帳簿や提出に必要な書類が少なく、比較的容易に申告を行えます。

所得の種類が事業所得・不動産所得・山林所得であれば、帳簿の作成・保存や収入内訳書の提出が必要となりますが、雑所得の場合は基本的に不要です。
ただし、2022年から法改正によって前々年分の雑所得を得ている事業に関する収入額が300万円以上であれば、レシートや領収書の保存義務が生じるようになったので注意してください。

週末起業ならどちらを選ぶべき?

事業所得を得ている週末起業家であれば、青色申告の要件を満たしていることになります。
承認の申請が必要となりますが、最大65万円の控除を受けられることは大きなメリットです。

前述したとおり経費の範囲が大きくなる、赤字の繰り越しができるという特典もあるので、事業所得が多く税金が高くなってしまう人や損失が出てしまった人は青色申告がおすすめです。

ただし、青色申告は作成が必要な帳簿や提出書類が多いため、白色申告と比べて処理が煩わしくなります。
特別控除を受けるためには、複雑な複式簿記で記帳しなければならない点もデメリットです。
さらに、最大控除額である65万円を適用するためには、電子申告をする必要があります。

一方、白色申告は事前の申請は不要で、家計簿感覚で記帳できる単式簿記で問題ありません。
起業した時点は慣れないことが多く、複雑な経理処理が必要となると経営者の負担が大きくなります。
まだ事業をはじめたばかりで所得額が小さく、まずは経営に慣れることを優先したい人は白色申告でスタートするのがおすすめです。

週末起業をはじめる前に知っておきたい確定申告時の注意点


本業を続けながら事業をするとなると、忙しい中で確定申告の準備をすることになります。
いざ申告しようとした際にトラブルが発生しないように、確定申告時に気を付けたいことを知っておく必要があります。
その注意点は以下のとおりです。

確定申告には期限がある

確定申告の期限は、例年2月16日~3月15日(15日が土曜日・日曜日の場合は月曜日まで)です。1日でも遅れれば延滞税が追加されてしまうので注意してください。

また、消費税がかかる取引きを行っている場合、消費税・地方消費税の確定申告が発生します。
個人事業主は、1月1日から12月31日までの消費税・地方消費税を計算し、3月31日(土曜日・日曜日の場合は月曜日)までに申告と納税が必要です。

法人は、事業年度が終了した翌日から2カ月以内が申告期限となります。個人事業主と法人では、申告・納税期限が異なるので注意してください。

確定申告の期限は年によって変わる可能性もあるので、毎年国税庁のホームページでスケジュールを確認してください。

必要書類は漏れなく作成・準備する

確定申告書をはじめ、様々な書類の作成と提出が必要です。必要書類が不足していると差し戻しされ、再提出しなければなりません。

青色申告では青色決算申告書、白色申告では収支内訳書の作成が必要です。青色決算申告書は、損益計算書と貸借対照表で構成されています。
帳簿をもとに売上げ・勘定科目ごとの経費・所得金額などを記入します。収支内訳書も経費関連の内訳を記す項目があるので、間違いなく記入してください。

このほかにも確定申告時には、以下の書類提出や提示が求められます。

  • 本人確認書類
  • 所得の証明できる書類
  • 各種所得控除・税額控除の適用を証明できる書類

本人確認書類に関しては、マイナンバーカードがあれば1点で確認が済みます。
マイナンバーカードを所持していない場合は、個人番号がわかる書類と身元確認ができる書類をそれぞれ1点ずつ提出・提示してください。

本人確認に使える書類は以下のとおりです。

  • 個人番号の確認書類:通知カードや住民票の写しなど
  • 身元確認書類:運転免許証・健康保険証・パスポートの写しなど

提出時の混雑を避けたいならe-Taxを活用する

確定申告は管轄の税務署の窓口や郵送だけではなく、e-Taxを使ってオンラインから提出することができます。
申告期限が間近になると窓口は混雑しやすいので、それを回避したい時におすすめです。

青色申告で最大65万円の控除を受けたい時もe-Taxでの申告が必須です。
e-Taxソフトや確定申告書作成コーナーで書類の作成から申告までできます。
電子申告では、社会保険料控除証明書や生命保険料控除証明書など、第三者が作成書類の提出を省略することが可能です。

また、確定申告のやり方にはマイナンバーカードをカードリーダライタやスマートフォンから読み取る方式と、税務署で発行するID・パスワードを使って申告する方式があります。
詳しい申告の流れはe-Taxの公式サイトを事前に確認して、準備を進めてください。

確定申告の内容を間違えたら改めて申告・請求を行う

確定申告書を提出した後にミスが発覚した場合、期限内であれば訂正申告ができます。
改めて申告書や必要書類を作成し、表題の余白に赤字で「訂正申告」と記載した上で期限内に提出してください。
電子申告もe-Taxソフトから内容の修正から再提出までできます。

再提出する場合、納める税金と還付される税金は再提出した確定申告書に記載された金額が反映されます。
すでに納税や還付が行われており、書類内容と異なれば精算・納付手続きも行ってください。

期限を過ぎている時は、申告期限から5年以内に更正の請求をします。
本来の税額よりも多く申告していた時は「所得税及び復興特別所得税の更正の請求書」、逆に少なく申告していた場合は「申告書第一表」と「申告書第二表」を作成して、所轄の税務署長に提出しましょう。

多く申告していた場合、審査に通れば還付を受けられます。少なく申告したことにより追加で納税が必要になった際は、申告書を提出する日までに納めてください。

週末起業で住民税を納付するには?


住民税は所得金額から計算されるため、週末起業によって所得が増えれば、支払う住民税が増えます。
住民税は確定申告が不要なケースでも免除されることはなく、自治体に申告と納税をしなければなりません。

確定申告をしていれば、確定された住民税が自動的に自治体に伝わります。そして、勤務先に確定した住民税が通知され、給与から源泉徴収されます。

この場合、自ら納める必要はありません。ただし、住民税が増えたことによって、ほかに収入を得ている事実が発覚してしまいます。
副業を禁止している会社の場合、住民税が増えたことを追及される可能性があるので注意してください。
会社にばれたくない時は、確定申告や自治体に申告する際に自分で納める(普通徴収)を選択しましょう。

週末起業をはじめる5つの利点


週末起業は所得に応じて確定申告をしなければならない手間がありますが、はじめる利点は多いです。どのような利点があるのか解説していきます。

1.ローリスクからはじめられる

週末起業では本業を辞めずに事業を行うため、リスクを抑えて起業できます。仕事を辞めた状態で起業した場合、はじめたビジネスでしか収入を確保できません。
収入は事業の成果に応じて発生するため、成果が出なければ得られず、不安定な状態に陥ります。

もしも事業に失敗すれば、無職となってしまいます。
その点、週末起業は本業と並行して行うため、失敗しても仕事や収入が途絶えることはなく、安心して事業をスタートすることが可能です。

2.本業以外の収入が見込める

収入を増やせることも大きな利点です。週末起業で増えた分は、生活費や子どもの教育費、将来の貯蓄などに回すことができます。
また、勤めている会社が業績不振となって給料やボーナスが下がる可能性がある際も、週末起業で稼いだ分でカバーすることも可能です。

経営者としてのキャリアを積みながら、より豊かな生活の実現に週末起業は適しています。

3.スキルアップにつながる

週末起業では、事業の立ち上げから営業、連絡、請求書の発行などあらゆる業務を経験することになります。
基本的に会社員は自分の役割を全うするだけなので、経験しない業務も多いです。

しかし、会社ではほかの部署の人たちがやっていた業務も自分で行うことになるので、実践を通してスキルアップができます。
独立ではなく転職を選択した場合、週末起業で磨かれたスキルがアピールポイントになる可能性があります。

4.将来的に独立も目指せる

週末起業ではじめた事業で、将来的に独立できる可能性があります。通常の起業であれば、自分や家族の生活費を確保することも含めて、利益を上げていかなければなりません。事業の成果が出にくい初期段階では、大きなプレッシャーとなってしまいます。

しかし、週末起業ならローリスクでビジネスをはじめられるので、独立のための準備期間にできます。
事業を展開していく中で手応えを感じ、安定して収入を得られるようになっていれば、独立のベストタイミングです。

5.本業に活かせる場合もある

事業によって得られる経験や知識、スキルは異なりますが、本業に活かせるものが含まれていることが多いです。
身に付けた知識やスキルを活かして本業に取り組むことにより、大きな成果を得られる可能性があります。

例えば、週末起業でマーケティングの知識やスキルが身に付いたとします。
本業が営業職であれば、マーケティングで重要となる分析スキルを使い、顧客を十分に理解しながら効率良く営業することが可能です。
それにより成約数や売上げがアップすれば、社内からの評価も高まります。

週末起業をはじめるのであれば、どのような知識やスキルが得られ、本業に役立つのかという点に注目して事業を選ぶのも良いかもしれません。

まとめ

週末起業は、本業の休みや空いた時間にビジネスに取り組むスタイルであるため、起業に興味があるけど失敗したくない人におすすめです。
収入によっては確定申告が必要になることを覚えておいてください。

無申告・未納税であることが発覚すれば、ペナルティで支払う税額も増えてしまうので、対象者であれば毎年忘れずに確定申告を行ってください。

創業手帳の冊子版(無料)では、経営者の確定申告や節税など税金に関する情報をはじめ、経営に役立つ情報を掲載しています。無料で取り寄せ可能なので、起業前後のサポートにご活用ください。

また、「税金チェックシート」も無料でご用意しています。税金で損をしないため何をすべきなのか確認できます。週末起業であってもするべき税金の手法を確認しましょう!こちらも無料ですので、ぜひご活用ください。

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(編集:創業手帳編集部)

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