ダブルワークだと確定申告はどうなる?必要なケースや注意点を解説

創業手帳

ダブルワーク時の注意点も押さえつつ忘れずに確定申告をしよう


ダブルワークは、アルバイトやパートといった非正規雇用で仕事をしている人に多い働き方です。
ダブルワークをすれば、異なる仕事を経験できる上で収入も増やすことができます。
しかし、所得に応じて確定申告が必要になる点に注意が必要です。
ダブルワークで得た所得税の確定申告と納税を怠ってしまうと、支払う税金の負担が増えるペナルティを受けてしまいます。

そこで今回は、ダブルワークにおける確定申告が必要なケースややり方、注意点などを解説するので、ぜひ参考にしてください。

更に副業における確定申告について詳しく知りたい方は「令和5年分 副業確定申告ガイド」を無料でご覧いただけますので、これを参考に確定申告の有無ややり方などを是非学んでください。



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ダブルワークとは


ダブルワークは、2つの仕事を掛け持ちする働き方です。ダブルワーク=副業と捉える人もいますが、細かい違いがあります。
まずは、ダブルワークの特徴についての解説です。

副業とダブルワークの違い

ダブルワークの名称に明確な基準はなく、一般的に複数の仕事をしている状態を意味します。
そのため、副業と似た意味合いがありますが、細かい違いで使い分けられていることが多いです。
ダブルワークは、ほとんどがアルバイトやパートなど非正規雇用の仕事を複数掛け持ちしているケースを示しています。
例えば、正社員にならず日中はコンビニで働き、夜は居酒屋で働くというスタイルがダブルワークに当てはまります。

一方、副業は本職が正社員で、空いた時間を活用して副収入を得ている状態を示します。
例えば、平日はサラリーマンとして会社で働き、就労後や休日のみ別の仕事をしているという働き方をしている場合は副業と呼ぶことが多いです。

正社員がダブルワークを行うのは難しい場合も

正社員はパートやアルバイトと比べて、ダブルワークが難しい傾向にあります。理由のひとつは、労働時間の自由度です。
パートやアルバイトは「週〇日から」「1日〇時間から」と、正社員と比べて労働時間の自由度が高めなので、シフト次第では2つの仕事を掛け持ちすることが可能です。

また、正社員の場合、仕事の掛け持ちを会社が認めていないこともダブルワークが難しいといわれる理由になります。
機密情報の漏洩や競合他社の勤務により自社の利益に影響が出るといったことを危惧して、ダブルワークを禁止にする企業は少なくありません。
ただし、企業側が副業やダブルワークを完全に禁止することはできないといえます。なぜなら、労働時間外の時間の使い方は個人の自由であるためです。
しかし、本業に支障が出たり、企業に不利益をもたらしたりするダブルワークは就業規則違反となるため、注意しなければなりません。

ダブルワークについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
ダブルワークとは?言葉の意味や社会保険・確定申告についてまとめました

ダブルワークで確定申告が必要となる3つのケース


所得がある人でも、確定申告が必要なケースと不要なケースがあります。ダブルワークの場合、必要となるケースは3パターンに分けられるので、詳しく解説します。

1.2つ以上の会社から給料を受け取っている場合

2つ以上の会社に属し、給与所得を得ている場合は確定申告をしなければなりません。会社に属している場合、毎年年末調整が行われるので、本来確定申告は不要です。
しかし、年末調整はひとつの会社でしかできません。

給与所得が複数ある場合、すべての給料を合計した上で所得税を計算し、確定申告をする必要があります。
1社で年末調整を受けているケースでも、ほかの会社で給与を受け取っている場合は忘れず申告してください。
正しく確定申告をすれば、払いすぎている税金の還付を受けられる可能性があります。

2.会社の給料とは別に年間20万円以上の収入がある場合

ダブルワークの収入が給与所得ではなく、雑所得や事業所得、不動産所得などに該当するケースがあります。
給与以外にほかの所得(経費を差し引いた金額)が年間20万円以上ある時も確定申告が必要です。

年末調整では、その会社で受け取っている給与から所得税が計算されます。副収入が含まれていないため、確定申告で正確な所得税を求める必要があります。
ただし、給与以外の所得が年間20万円以下であれば、確定申告は不要です。

3.アルバイトを掛け持ちしていて年末調整がない場合

掛け持ちしているアルバイト先で年末調整がない場合、確定申告が必要です。年末調整が行われないと、所得税の精算がされない状態になります。
そのため、確定申告で正確な所得税を計算しなければなりません。

ただし、ダブルワークでの給与の合計が103万円以下であれば、確定申告は不要です。確定申告では基本控除48万円が適用され、所得額を減らすことが可能です。
また、給与所得であれば最低55万円の給与所得控除も適用されます。
つまり年間103万円以内であれば、基本控除と給与所得控除により相殺されるため、基本的に納税と確定申告をする義務はありません。

ダブルワークをしている人の確定申告の時期


所得税の確定申告と納税の期限は、翌年2月16日~3月15日までです。
各日付が土日や国民の祝日・休日に該当するようであれば、期間にズレが生じるので、毎年期限をチェックするようにしてください。

ダブルワークをしている、していないに関係なく、定められた期間に申告・納税をしないと本来支払う税額に延滞税や無申告課税がプラスされるので注意が必要です。
ダブルワークの場合、ひとつの仕事をしている人よりも多忙になり、確定申告の準備を後回しにしてしまうケースがあります。
気付いた時には期限ギリギリで、間に合わないという事態になってしまう可能性も高いです。
脱税やペナルティを回避するためにも、時間に余裕を持って準備を進め、期間内に申告と納税を行うことが大切です。

確定申告では、申告漏れや記入ミスなどが少なくありません。
初めてで不安がある人は、税務署の窓口や電話相談、確定申告相談会などで相談しながら、申告書を作成するのがおすすめです。
また、費用がかかりますが、税理士に確定申告書の作成を依頼する方法もあります。

ダブルワーク時における確定申告のやり方


ダブルワークで確定申告が必要となれば、提出書類の準備から申告までの流れを事前に把握しておくことが大切です。ここで、確定申告の大まかな流れを解説します。

1.必要書類を準備する

まずは、確定申告書の作成や提出に必要な書類を揃えます。主に必要となる書類は以下のとおりです。

必要書類 補足
確定申告書 税務署の窓口や相談会会場、
本人確認書類 マイナンバーカードの写し(両面)、またはマイナンバーを確認できる書類(通知カードや住民票など)の写し1点+公的な本人確認書類(運転免許証や健康保険証など)の写し1点
収支内訳書 ひとつの会社から給与を受け取り、それ以外の副収入がある場合(提出は不要)
必要経費の領収書やレシート ひとつの会社から給与を受け取り、それ以外の副収入がある場合、もしくは取得の種類が雑所得と事業所得のみの場合(提出は不要)
各種控除証明書 年末調整で受けた控除は提出不要

確定申告書、本人確認書類は提出が必要な書類です。
確定申告書は、税務署の窓口や確定申告書相談会の会場、国税庁のホームページでダウンロードするなどの方法で入手できます。
生命保険料控除や地震保険料控除などの所得控除を受ける際は、毎年発行される各種控除証明書も必須です。ただし、年末調整で控除を適用している場合は不要です。

ダブルワークの働き方によっては、収支内訳書や必要経費の領収書・レシートの内容をもとに、正しく所得の合計や所得税を算出しなければなりません。
これらの書類は、確定申告書の作成に必要であり、提出は不要です。

2.申告書に記入する

入手した確定申告書に必要事項を入力していきます。掛け持ちしている仕事の収入がすべて給与所得であれば、総収入として給与の合計額を記入します。
会社で年末調整を受けている際は、源泉徴収票をもとに申告書を作成していくので、確定申告が完了するまでなくさないようにしっかり保管してください。

ダブルワークの収入が雑所得や事業所得であれば、経費を差し引かなければなりません。
必要経費の領収書やレシートをもとに、収入から経費を差し引いた所得額を求め、給与と合算した金額を記入してください。

確定申告書は手書き以外に、国税庁の確定申告等作成コーナーを使ってオンライン上で作成することが可能です。
必要事項を入力していくと自動で所得税が計算されて書類に記載されるので、初めての人でも簡単に申告書が作れます。
また、作成途中に保存ができるので、印刷後に間違いが見つかっても簡単に修正できます。

3.期限までに提出する

確定申告書が完成したら、住んでいる地域を管轄する税務署に必要書類を提出してください。窓口に直接持参する場合、閉庁時は時間外収受箱に投函して提出できます。
また、郵送で提出することも可能です。郵送する際は、A4サイズを折らずに入れられる角形2号がおすすめです。

確定申告書は提出用と控え用の2通りになっており、窓口であれば収受印を押してもらった上で、控えが返却されます。
しかし、郵送では自動で控えを返却してくれるわけではないので、控えが欲しい時は宛先を記入と切手を貼り付けた返信用封筒の同封が必要です。
控えは折り曲げても問題ないため、返信用封筒はA4が三つ折りで入る長形3号でも問題ありません。
また、切手代は、定形郵便物であれば25g以内なら84円、50g以内なら94円を貼り付けてください。

そのほかに、確定申告はe-Taxからオンラインで提出することも可能です。
オンラインから提出する際は、マイナンバーカードとそれを読み取るためのICカードリーダライタ、または読み取りに対応しているスマートフォンが必要です。

ダブルワークで確定申告を行う際に気を付けたいこと


ダブルワークの確定申告では、気をつけたい点がいくつかあります。その注意点は以下のとおりです。

確定申告が不要なケースでも申告したほうがいい場合がある

先に解説した確定申告が必要なケースに当てはまらない場合、基本的に確定申告は不要です。しかし、申告したほうがいいケースもあります。
そのケースは、確定申告をすることで税金の還付が受けられる場合です。
毎月の給与から源泉徴収されている所得税は、前年の所得に基づいて金額が計算されていますが、確定申告を行うことで1年間に支払うべき本当の所得税が明らかになります。
源泉徴収された所得税額が確定申告で計算された金額よりも多ければ、確定申告をすることで差額分が還付されます。
ダブルワークの給与が年間103万円以下で年末調整を受けていない場合、所得税を払いすぎているかもしれません。

また、年間10万円以上の医療費を支払っている場合、医療費控除を受けられるので、そのケースも確定申告を行ったほうがいいでしょう。

住民税の徴収方法を「普通徴収」にしておく

ダブルワークをやっていることを勤務先にばれたくない時は、住民税の支払い方法を普通徴収にするのがおすすめです。
普通徴収とは、自分で住民税を納税する方法になります。

源泉徴収の場合、申告されて所得に基づいて算出されて住民税が自治体から勤務先に通知され、毎月の給与から天引きされています。
つまり、ダブルワークの所得税を確定申告すると所得と住民税が増えるので、会社の給与とは別の収入があることが発覚してしまうのです。
しかし、ダブルワークの所得税を普通徴収にすることで、勤務先に発覚する恐れがなくなります。
普通徴収は、確定申告書の住民税・事業税に関する事項で、「自分で納付」に〇を付けることで適用されます。

所得税は不要でも住民税の支払いが必要

ダブルワークでも、給与が年間103万円以下であれば所得税の納税義務は生じません。しかし、所得税は不要でも所得を得ていれば、住民税の申告と納税が必要です。
所得税は国税であるのに対して、住民税は都道府県や市区町村に支払う地方税であり、税金の種類が異なります。
所得税の納税義務がないからといって、住民税が免除されるわけではありません。

確定申告をすると、自治体への住民税の申告も同時に行われます。しかし、確定申告をしない場合、住民税の申告が行われない状態になるので、自ら自治体に申告が必要です。
住民税の申告期限は、原則3月15日までとなっています。

雑所得も書類保管義務などが課されるケースがある

2022年の税制改正により、雑所得でも領収書やレシートといった取引きがわかる書類の保管や帳簿付けなどが義務化されました。
ダブルワークの収入が雑所得に該当する場合、2022年度分の確定申告から前々年の収入額によっては、一定期間書類の保存と収支内訳書の添付が必要となりました。

前々年の雑所得の収入額 書類の保存期間 収支内訳書の添付
300万円以下 不要 不要
300~1,000万円以下 5年間 不要
1,000万円以上 5年間 必要

ダブルワークが雑所得で、その収入が300万円以上であれば取引きを証明する領収書やレシート、帳簿を5年間保存しなければなりません。
また、1,000万円以上の場合、確定申告の際に収支内訳書の提出も求められます。
なお、書類保管等の義務は必要経費を差し引いた所得がベースではなく、収入がベースとなっている点に注意してください。

まとめ

ダブルワークや副業により複数の収入があると所得が増え、支払う所得税の金額も変わってきます。
期限内に確定申告や納税を行わないとペナルティを課せられたり、本来戻ってくる税金が返還されなかったりといったデメリットが生じるので注意が必要です。

ダブルワークをやっている人は、確定申告が必要なケースに該当するか確認して、正しく申告と納税を行ってください。
また、確定申告が不要なケースでも自治体へ住民税の申告は忘れず行いましょう。

創業手帳(冊子版)では、個人事業主や経営者が知っておきたい税金や確定申告に関する様々な情報をお届けしています。起業や経営に役立つ情報ばかりなので、ぜひご覧ください。




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(編集:創業手帳編集部)

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