岸田政権の所得税・住民税減税概要は?過去の減税政策の効果もあわせて解説

創業手帳

岸田政権が減税に追い込まれた背景や経緯、減税によって期待される効果はいかに!?

岸田政権が所得税・住民税減税政策を打ち出したことが話題になっています。しかし、所得税・住民税減税政策を打ち出した背景や効果などについて、ご存知でない方もいるでしょう。

そこで本記事では、岸田政権が今なぜ所得税・住民税減税政策を打ち出したのか、どのような施策なのか、過去の減税政策ではどのような効果が出たのか、今回の減税施策で期待できる効果は何か、などをまとめてご紹介します。

個人での会社経営においては税金のことで多くの方が悩まれています。なぜなら、税金は制度を有効に使えるかどうかで支払額が変わってきてしまうにも関わらず、制度そのものが分かりにくいからです。

「創業手帳」は税金で苦労されている皆さまの悩みを解決したいという強い想いを持つ多数の税理士や専門家と提携しています。また「税金で損をしない13の方法チェックシート」を作成。是非あわせてご活用ください。

※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください

岸田政権は24年6月に1度だけ減税を実施する予定

岸田政権は現在、24年6月に1度だけ減税を実施する予定です。しかし物価高の状況次第では、2年になる可能性もあると言われています。

減税方式は基本的に定額で4万円、減税するということです。所得税は1人あたり3万円、住民税は1万円、それぞれ減税します。さらに、納税者の配偶者や扶養者も対象となります。例えば、納税者が家族3人を養っている4人世帯のケースですと、計16万円分の減税になります。

住民税非課税世帯の場合、減税できる金額がそもそもありませんが、そうした世帯には1世帯あたり7万円が給付されます。

しかし、所得税と住民税の納税金額が4万円未満の個人もいます。そうした世帯には首相が「丁寧に対応する」と言及しているだけで、どのような対策が実施されるかは未定です。

過去の所得税減税対策

実は過去にも何度か、所得税減税が実施されたことがありました。そのときの施策についてご紹介します。

1998年の橋本内閣「定額減税」

1997年、当時の自民党・橋本龍太郎政権が山一証券の破綻やアジア通貨危機などの影響を受けた不況を打開するために、減税施策を実施しました。総規模は2.8兆円、所得税・住民税を合算して一人あたり年間3万8000円の減税になりました。一時は減税方針を取りやめていた橋本龍太郎首相が突然減税施策を再開して実施したことで政権は混乱し、結局橋本政権は退陣に追いやられました。

定額減税は、手取り所得50万円の人であっても、手取り所得1000万円の人であっても、同一の3万8000円が減税となるため、低・中所得者層へのメリットがより大きく感じられる施策です。

1999年の小渕内閣「定率減税」

1999年、自民党・小渕恵三政権下では、99年から所得税を一律20%減税する「定率減税」施策を実施しました。年間2.6兆円規模の減税で、2007年まで施策実施は続きました。

上述した定額減税と比べて、定率減税は高所得層の方がメリットを感じやすい施策です。例えば、手取り所得100万円の人が20万円の減税よりも、手取り所得1000万円の人から200万円減税される方が、金額も大きく、心理的インパクトも大きいでしょう。

なぜ岸田政権は所得減税を打ち出したのか

なぜ岸田政権は所得減税を打ち出したのか、その狙いをご紹介します。

物価高による賃金引き上げが追いついていない

ウクライナ危機やコロナ禍などが引き金となり、食料やエネルギー、素材などが供給不足が発生し、世界的なインフレが続いています。そんな世界情勢が引き金となり、長年デフレが続いていた日本でもインフレが始まりました。

総務省によれば、8月の消費者物価指数は前年同月比3.1%上昇し、12ヶ月連続で3%以上の上昇となりました。伸び率は横ばいになっているものの、着実にインフレが起こっている状況です。

このように、企業の供給においてはインフレが起こっているものの、最終消費者となる国民=労働者の賃上げペースは緩やかです。結果として、インフレが好景気につながらず、多くの国民が苦しんでいます。

経団連が発表した2023年の賃上げ率の最終集計によると、30年ぶりに大企業平均で3.99%の高水準になりました。経団連の十倉雅和会長は「来年度は4%を超えたい」とも述べており、大企業の賃上げは着実に始まっています。

しかし、当然ながら、賃上げの余裕がある企業は限られています。利益率の低い中小企業などは、賃上げに踏み切れていない企業も多いでしょう。

そこで岸田政権は、物価高で苦しむ日本国民をサポートすべく、1回限定の減税を打ち出した、というわけです。

税金の徴収増による国民への還元

財務省によると、2022年度の国の税収は71兆1374億円で、前年比6.1%増と過去最高になりました。一方、岸田政権は防衛増税などの各種増税に踏み切ったことで、国民からは「税収は上がっていて物価も上がっているのに、さらに増税とは何なんだ」と怒りの声が上がったのです。

そうした批判を受けて、岸田政権は「国民に還元したい」とこれまでの姿勢を転換し、減税施策を打ち出した、という経緯があります。

しかし、国民の声を聞いたにもかかわらず、「姿勢がブレている」「増税したいのか減税したいのかわからない」と批判され、岸田政権の支持率は低水準で推移し続けています。

所得税減税によって期待できる効果

所得減税によって手取り収入が増えれば、それだけ国民の消費意欲が促されるかもしれません。しかし、橋本減税、小渕減税ともに国内経済全体への影響はそこまで大きくなかった、と評価されています。未曾有のインフレの中で、国民がどこまで消費行動を取るかは未知数です。

以上、岸田政権の減税などについてご紹介しました。

減税施策は、今のところ2024年6月に一度だけ実施される予定です。減税の経済効果に期待しましょう。

関連記事
副業収入にかかる税金はいくら?課税対象になるラインや税金の計算方法を解説
個人事業主の平均年収はどれくらい?計算方法や手取りを増やすコツも解説!

(編集:創業手帳編集部)

創業手帳
この記事に関連するタグ
創業時に役立つサービス特集
このカテゴリーでみんなが読んでいる記事
カテゴリーから記事を探す
今すぐ
申し込む
【無料】