スキマバイトに確定申告はいる?必要なケースややり方などを徹底解説
スキマバイトを始めるなら確定申告について知ろう
隙間時間を活用してお金を稼ぐスキマバイトは、手軽さもあり人気が高まっています。
スキマバイトを活用すれば、より多様な働き方ができます。その一方、問題となるのが確定申告です。
「スキマバイトでも確定申告が必要なのか」「確定申告をしないとどうなるのか」などと疑問に思う人もいるかもしれません。
そこで今回は、スキマバイトにおける確定申告について解説していきます。
確定申告が必要になるケースや、確定申告で必要な書類一式などについて解説するため、スキマバイトでお金を稼いでいる人は参考にしてください。
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この記事の目次
スキマバイトは契約形態によって所得が異なる
1月1日から12月31日までの1年間の所得合計額と、それに対する所得税を算出して確定させる手続きを確定申告といいます。
確定申告することで、源泉徴収によって払い過ぎていた所得税が還付金として戻ってきますが、反対に払った所得税が少ない場合には納税を課せられる仕組みです。
スキマバイトをしている人の確定申告の必要性は、勤務先となる企業との雇用形態と所得によって変わります。
そのため、自分がどの形態で働いているのかを知ることから始めてください。
契約形態は「雇用契約」と「業務委託契約」の2種類
スキマバイトをする場合、企業との間で契約を交わしますが、その際の契約形態は「雇用契約」と「業務委託契約」の2種類があります。
雇用契約は、民法623条によって定義されている労働供給契約の一種です。
雇用主のもとで従業員が仕事に従事することに対して、雇用主は賃金を支払う約束をしたり、次のような条件を与えたりすることが義務付けられています。
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- 雇労働保険や社会保険への加入
- 有給休暇の取得
- 長時間労働の抑制
- 雇用条件の不利益変更の禁止
- 解雇権濫用法理
一方、業務委託契約は企業が実施している業務の一部を、外部企業や個人に委託する際に結ぶ契約を指します。
雇用保険とは異なり、法律で定義されているものは存在せず、請負契約・委任契約・準委任契約の3つを総称する言葉として使用されています。
請負契約は、依頼をした企業が成果物を完成した際に報酬を支払う契約形態です。
成果物は業務の種類によって様々なものがあり、建築工事であれば建築物、デザイナーであればデザインが成果物となります。
委任契約は、法律行為を委託する契約形態で業務の遂行や過程に対して報酬が支払われる仕組みです。
準委任契約は法律行為以外のことを委託する契約形態となり、委任契約も準委任契約も必ず成果物が存在するわけではありません。
委任契約として弁護士が挙げられますが、準委任契約はコンサルタントや医師、事務員などの職種が該当します。
給与所得と雑所得の違い
確定申告では、種類ごとに分けられている区分に、それぞれの所得を記入する必要があります。
所得の種類は全部で10種類です。
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- 給与所得
- 利子所得
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 退職所得
- 山林所得
- 譲渡所得
- 一時所得
- 雑所得
スキマバイトの場合は、給与所得や雑所得が該当します。
給与所得は、企業から1年間で受け取った給与合計額から給与所得控除を引いた金額です。
雇用契約であれば企業から給与が支払われるため、給与所得を申告書に記入していきます。
雑所得は、1年間の総収入金額から必要経費を引いた金額で、業務委託契約であれば雑所得で確定申告をします。
スキマバイトで確定申告が必要になるケース
ここからは、スキマバイトで確定申告が必要になるケースを解説していきます。
自分が当てはまっているかどうかを確認してみてください。
年収103万円超で源泉徴収されていない
年収が103万円を超えていて源泉徴収が実施されていない場合には、確定申告を行う必要があります。
スキマバイトの場合、日給9,300円未満であれば源泉徴収は不要です。そのため、企業による源泉徴収がされていないケースがあるかもしれません。
その場合は、納税者が確定申告で所得税を申告して納税する必要があります。
確定申告をすれば医療費や健康保険、国民年金や生命保険などの支払い分が控除されるため、納税額が減る可能性があります。
また、年収103万円超で源泉徴収されている場合は、勤務先で毎月所得税が天引きされており、年末調整によって正しい所得税額が精算されます。
年収103年超かつ2つ以上の勤務先から源泉徴収されている
年収103万円超で源泉徴収されている場合でも、複数の勤務先で源泉徴収されていれば、原則として確定申告が必要です。
勤務先で源泉徴収されていても、各勤務先の所得税を合算しなければいけないため、確定申告をすれば還付金を受け取れる可能性があります。
ただし、勤務先によって源泉徴収されている箇所とされていない箇所があれば、納税が必要となるケースもあります。源泉徴収票を確認して申告してください。
20万円超の雑所得がある
業務委託契約によるスキマバイトをしていて給与以外の雑所得が20万円を超える際には、確定申告の対象となります。
申告をすれば還付金を受け取れるケースがありますが、所得税率によっては納税が必要になることもあります。
収入が雑所得のみ
事業所得や給与所得がなく、雑所得のみでの収入であれば、金額に関係なく確定申告をしなければいけません。
雑所得には確定申告が不要になる制度が設けられておらず、所得が発生した時点で申告の対象となります。
あらかじめ理解しておき、申告の準備を進めてください。
医療費控除や寄附金控除などの所得控除を適用したい
年末調整だけでは、医療費控除や寄付金控除といった所得控除の適用は受けられません。
そのため、スキマバイトによる収入が20万円以下の場合でも、所得控除を適用したければ確定申告をする必要があります。
確定申告では、すべての所得控除と納税控除の手続きを行えます。
年末調整では手続きできない控除を受けたい場合には、忘れずに申告してください。
確定申告で必要な書類一覧
確定申告時には提出が必要になる書類が複数あります。確定申告書が一例です。
国税庁のホームページで事前に入手できるほか、税務署や確定申告会場でも受け取れます。ほかにも本人確認書類が必要になります。
マイナンバーカードがあれば本人確認を行えますが、マイナンバーカードを所有していない人もいるかもしれません。
マイナンバーカードを所有していない場合は、マイナンバーが証明できる住民票の写しや住民票記載事項証明書、通知カードなどが必要となります。
また、以下のような本人確認書類のコピーも用意しなければいけません。
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- 運転免許証
- パスポート
- 身体障害者手帳
- 精神障害者保健福祉手帳
- 療育手帳
- 特別永住者証明書
- 在留カード
- 官公署から発行された書類 など
申告内容によっては以下の書類も必要になります。
・通帳
還付金を受け取る際には、申告書類を提出する人の口座情報を申告書に記入しなければいけません。
忘れないように持参してください。
・控除を証明する書類
社会保険料控除や住宅借入金特別控除、生命保険料控除、医療費控除といった控除に応じて、証明書が必要です。
医療費控除をする際には、医療費控除の明細書を別に用意しなければいけないため、事前に作成しておいてください。
また、医療保険者から交付を受けた医療費通知があれば、書類として添付すれば医療費控除の明細書を記載せずに済みます。
医療費の領収書は税務署から提出を求められるケースもあるため、申告期限から5年間は必ず保管しておいてください。
・源泉徴収票
給与所得があれば、勤務先で交付された源泉徴収票の内容を申告書に転記する必要があります。
源泉徴収票自体を提出する必要はありませんが、記載するためにも用意しておいてください。
・罹災証明書
災害によって住宅や家財に被害に遭った場合には、罹災証明書を取得できます。
申告の際に添付もしくは提示によって、雑損控除または災害減免法に定める税金の軽減免除の有利な方を選んで申告できます。
スキマバイトの確定申告の流れ
スキマバイトでの確定申告の流れは以下の通りです。
1.必要書類を準備して確定申告書を作成する
まずは、申告に必要な書類を準備し、確定申告書類を作成していきます。申告書には、第一表と第二表があり、それぞれ記載する必要があります。
配当所得や山林所得、株式などの譲渡所得などがあれば、第三表も作成しなければいけません。
申告書は、手書きのほかに確定申告ソフトを使っての作成も可能です。
確定申告書等作成コーナーを活用すれば、書き方を相談しながら作成できるので不明点がある場合には利用を検討してみてください。
2.税務署に確定申告書を提出する
申告書への記入が終了すれば、添付書類とあわせて税務署に提出します。
提出方法は以下の3種類です。
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- 税務署の窓口に提出
- 税務署に郵送で提出
- 電子申請で提出
窓口での提出では、書類に不備がないか簡単に確認してもらえるので安心です。
ただし、申告者が多い時期には混雑するケースもあるため、余裕を持って足を運ぶ必要があります。
3.期限内に税金の納付・還付を受ける
申告完了後は、申告書の内容に応じて所得税を納付もしくは還付を受けます。
以下の方法から選んで納税してください。
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- 振替納税
- 現金納付
- ダイレクト納付
- コンビニ納付
- スマホアプリ納付
- クレジットカード納付
- インターネットバンキング納付
還付金を受け取る場合は、預貯金口座や公金受取口座への振込みのほか、最寄りのゆうちょ銀行に出向いて受け取ることも可能です。
確定申告をしないリスクとは?
スキマバイトでお金を稼いだら確定申告が必要になるケースがありますが、もし申告しなければリスクを負うケースもあります。
どういったリスクがあるのか確認してください。
無申告加算税が課せられて税負担が増える
確定申告の期限を過ぎた後に申告した場合や無申告の場合に課されるペナルティが無申告加算税です。
納税額が50万円までは納税額の15%、50万円を超える部分に対しては納税額の20%がそれぞれ課される仕組みです。
なお、税務署による調査通知を受ける前に自主的に申告をすれば、課税割合が5%まで軽減されます。
住民税を納付できない可能性がある
確定申告すれば、所得税と住民税の申告を同時に行うことが可能です。
反対に、確定申告をしていないのであれば住民税の納付書が送付されないため、住民税を納付できない可能性があります。
その場合には、税務調査を受けた際に所得税と住民税を一緒に徴収されてしまいます。
住民税は、納付期限を過ぎれば延滞税が課される可能性があるので注意してください。
確定申告が不要な人でも住民税の申告が必要となるケースもあるので、必要であれば申告を行いましょう。
各種所得控除を適用できない
確定申告をしなければ各種所得控除の適用を受けられません。
例えば、ふるさと納税の寄付金を控除するためには、1年間で寄付した金額を申告する必要があります。
申告をしなければ原則として寄付金控除が受けられないことに注意してください。
なお、寄付金控除を受けられるワンストップ特例制度もあります。納税先が5カ所以内に限り利用できる制度なので、活用を検討してみてください。
ローンや賃貸などの契約が難しくなる
各種ローンや賃貸の契約時には収入を証明できる書類の提出が求められるケースも多いです。
会社員であれば源泉徴収票を提出できますが、源泉徴収票がなければ非課税証明書や所得証明書によって収入証明を行います。
非課税証明書や諸特徴名所は確定申告をすることで発行できるので、申告をしなければ受け取れません。
証明書がなければ契約できない可能性もあるので注意してください。
確定申告の期限は?
確定申告の実施期限は毎年決められています。
1月1日から12月31日までの1年間で生じた所得を申告しますが、申告は翌年の2月16日から3月15日までの約1カ月間です。
準備が必要な書類も多く、窓口での申告は申告者で混み合うケースも多いため、余裕を持って準備を進めることが大切です。
申告が遅れそうな時は延長申請を行う
事情によって、期限までの申告ができない場合には、手続きによって期限を延長できる可能性があります。
その場合は、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を管轄の税務署に提出してください。
審査が実施され、妥当だと認められれば期限を延長できる仕組みです。
まとめ・スキマバイトでも確定申告を忘れず行おう
スキマバイトでも確定申告が必要なケースがあります。
自分の契約形態を確認し、申告が必要となる条件と照らし合わせて必要であれば確定申告を忘れずに実施してください。
万が一申告せずにいると、無申告加算税が課せられるほか、ローンや賃貸契約が難しくなる可能性もあります。紹介した流れを参考に、必要書類と併せて申告を行いましょう。
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(編集:創業手帳編集部)