ストレージは情報の保管だけじゃない?!機能や種類を知り、業務効率アップに役立てよう!

創業手帳

ストレージの役割やおすすめサービスについて、ITツールマスターがスタートアップ目線で解説

(2020/07/25更新)

社内外で多くの情報が飛び交う現在のビジネスにおいて、情報を保管するためのストレージは非常に重要な役割を持っています。しかし、ストレージについての知識がないために、余計なコストや運用の手間、情報漏洩リスクを抱えている企業も多いものです。

現代のストレージは、情報を保管するといった基本的な役割に加えて、情報管理や情報の活用といった業務の効率を高める積極的な機能を有したものが増えています。ストレージについて理解し、そのポテンシャルを引き出す運用ができれば全社的な業務改善も可能です。

本記事では、スタートアップ企業向けに、ストレージについての基本知識や選び方、おすすめのストレージについて紹介します。

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ストレージの定義と役割

まず、ストレージとはどのようなものか、その定義と役割について解説します。

ストレージとは「情報を保管する倉庫」

「ストレージ」とは、さまざまなデバイスにおいて情報を保存しておく装置のことで、「補助記憶装置」と呼ばれることもあります。パソコンならハードディスクやSSDなどのディスク、外付けのUSBメモリやSDカードなども広義のストレージです。

ストレージは簡単に言えば「情報を保管する倉庫」ですが、情報の保管や利用のためにさまざまな機能が備わっています。

ストレージの役割

ストレージがの持つ機能は、情報の「保管」「共有」「保護」と、大きく3つに分類されます。それぞれについて簡単に紹介します。

情報の保管

ストレージの基本的な機能は情報の保管です。個人向けのストレージは数十~数百GBほどの容量ですが、法人向けのものになると、数TB~数十TB(TBはGBの1000倍)ほどの容量が求められます。
・情報を保存するだけでなく整理して取り出しやすくする
・ストレージの容量が不足してきたら利用頻度の低いデータは別のディスクに移す
・トラブル発生時に備えてデータのバックアップをとる
などの機能も大切です。

情報の共有

ストレージには情報を保管するだけでなく、情報を取り出したり、共有したりする機能も求められます。ストレージ内のファイルを共同で編集したり、URLからアクセスしたりするといった使い方ができると便利です。法人向けのストレージでは、複数人が同じタイミングでアクセスすることも多々あります。スムーズな使用のためには、ハードウェアやネットワークに処理能力が求められます。

情報の保護

経営資源でもある情報をしっかりと保護するのもストレージの大切な役割です。法人向けのストレージでは、サイバー攻撃に対する対策やアクセス権管理のための機能、ログの取得・監視機能を提供しています。また、情報を盗まれたり改ざんされたりしないよう暗号化した安全な通信が行われています。

法人向けストレージの種類


ストレージには多くの種類がありますが、ここでは法人向けのストレージに絞り、据え置き型とオンライン型に分類して紹介します。

据え置き型(オンプレミス)ストレージ

据え置き型のストレージとは、社内のサーバー室やデータセンターに設置するストレージです。初期費用や設置スペースが必要ですが、パフォーマンスが良く、容量あたりのランニングコストが安いのが利点です。一方、管理者が必要不可欠で、サーバーやネットワーク、セキュリティに関する知識が求められます。

そのため、IT技術者や設備を自社で抱えている企業や、大規模な企業において利用されることが多いです。

オンラインストレージ

オンラインストレージは、インターネット上のクラウドに設置したストレージです。据え置き型と比較すると、初期費用が安く、設置スペースが不要で、拡張性(=容量の増減)が高いといった特徴があります。容量あたりのランニングコストが高いですが、サーバー本体やネットワークなどのインフラ管理をあまり気にしなくて良いのが利点です。

そのため、人材が少ない中小企業やスタートアップに多く用いられるほか、契約から利用までの期間が非常に短いため短期のプロジェクト業務でも利用されることがあります。

スタートアップ企業のストレージ選び4つのポイント

法人向けストレージの種類からもわかるように、それぞれ特徴があり、企業規模や事業形態によってストレージに求めるサービスは変わってきます。ここでは、スタートアップ企業目線でストレージを選ぶ際に大切なポイントについて解説します。

個人任せではなく「企業」で管理できるものを選ぶ

企業におけるストレージは、組織として保有する情報資産を保管するために利用します。しかし、ストレージを会社で管理する姿勢をはっきり示さないと、従業員が個人用のストレージを使ってしまう可能性があることに注意しなくてはなりません。
無料のストレージサービスや、アプリの付属サービスとして提供されるストレージも多数あります。これらを従業員が自由に使うなら、情報漏洩のリスクが高まり、従業員の退職の際には情報の紛失・盗難の一因となってしまいます。

そのため、ビジネス用のストレージは企業で管理することを前提とし、利用者や利用状況をしっかり管理できるサービスを選びましょう。そして、従業員が個人的に他のサービスを利用しないようにしっかりとルールを策定することが大切です。

大容量は今や当然~使いやすさを重視~

昔と違い、今は多くのサービスで大容量のストレージが提供されています。そのため、ストレージの容量を中心にした評価では、サービスの優劣や特性を正しく把握できません。大容量であることは当然のものとして、使い勝手を中心に検討するのがおすすめです。
利用時の通信速度や検索性は一般ユーザーの使用感に影響が大きいですし、また管理者向け機能やセキュリティ対策、SLA(*)などが充実していると運用負担が軽減されます。

カタログスペックだけではわからない部分も多いため、無料のお試し期間を利用し、本格導入の前にテストを行うことをおすすめします。

*SLA:サービス提供事業者が契約者に対して示すサービス品質レベル

多少コストがかかっても、安定・安全なものを選ぶ

企業の大事な情報を保管するストレージは、動作が安定しており、また安全性が高いものを選ぶべきです。セキュリティ対策に加えて、障害発生時に備えたデータのバックアップや、復旧のための仕組みなどもよく確認する必要があります。
近年は従来の予測を上回る規模の自然災害も多いため、多少コストが上がるとしても安定・安全なストレージを選んだ方がよいでしょう。

アプリやルール、導入後の影響まで検討して選ぶ

現在のストレージでは、ストレージ内のファイルの直接閲覧・編集や、社内外からのアクセス、ストレージ内のファイルを添付したメール送信などが可能です。また、スマートフォンやタブレットなどの端末からでもアクセスできるものも増えています。多機能化は便利ですが、同時に多くのルールや高いリテラシーを必要とし、ユーザーに負担になる場合があります。
専用アプリのインストールが必要な場合や、必要なルールが多い場合に、ユーザーが利用を敬遠し、企業が許可していない別サービスを使ってファイルの保管・配布が行われることがあります。
多くの従業員が利用するストレージだからこそ、導入後に想定される変化に注意しましょう。

スタートアップ企業向けおすすめストレージ5選


以下、スタートアップ企業におすすめの法人向けストレージサービスについて紹介します。

Fleekdrive

画像引用元:「Fleekdrive」公式サイト

「Fleekdrive」はコラボレーション作業を推進するために、ファイル共有に注目して作られたオンラインストレージサービスです。安全・安定のインフラ上に、チームの共同作業を促進するためのさまざまな機能を提供します。オンラインの画面共有・編集ではチャット機能によるコミュニケーションができ、画像ファイルはAIが自動的にタグ付けして検索可能にしてくれます。さまざまな拡張子の画像や動画がブラウザだけで共有できるプレビュー機能はファイルの受け渡しを効率化してくれて便利です。

<費用>

プラン名 容量 人数 初期費用 月額費用 備考
Team 100GB~ 10人以上 ¥0 ¥500/ID 11人目から1人あたり+10GB
Business 2TB~ 10人以上 ¥0 ¥1,500/ID 11人目から1人あたり+200GB
Enterprise 無制限 10人以上 ¥0 ¥4,000/ID

※全プラン、無料トライアルあり(30日間)

<主な機能>
チャット機能、画像検索機能、高度プレビュー機能、PDFセキュリティ・透かし、ウイルスチェック、IPアドレス制限、ファイル・通信暗号化、その他

セキュアSAMBA

画像引用元:「セキュアSAMBA」公式サイト

「セキュアSAMBA」はamazonのAWS(*1)で構築されたストレージサービスです。外付けのハードディスクやNAS(*2)の利用と同じ感覚でクラウド上のオンラインストレージを利用できます。暗号化通信を行いながらも、通信速度が安定しているほか、ビジネスで必要とされる機能が豊富です。名前が示すようにセキュリティには特に力を入れており、セキュリティトラブルの予防や緊急時の素早い対応が可能になっています。導入前後のサポートも専任の担当者が就いてくれるので安心です。

(*1)AWS:Amazonが提供するクラウドコンピューティングサービス。業界最大手サービスのひとつで、多くのサービスがこのプラットフォーム上で運営されている。
(*2)NAS:ネットワーク( 有線・無線を問わない)での接続を可能にしたストレージ。複数人が同時に使用可能。

<費用>

プラン名 容量 人数 初期費用 月額費用 備考
フリープラン 5GB 3人 ¥0 ¥0
スタートプラン 100GB 10人 ¥10,000 ¥5,000
ライトプラン 100GB 無制限 ¥15,000 ¥15,000
ミディアムプラン 300GB 無制限 ¥25,000 ¥25,000
ビジネスプラン 500GB 無制限 ¥35,000 ¥35,000 ※100GBごとの容量追加が可能

※14日間の無料トライアルあり

<主な機能>
暗号化通信、アクセス権設定、IPアドレス制限、端末認証、ログ取得、AD/LDAP連携、サブドメイン変更、ロゴ変更、その他

Dropbox business

画像引用元:「Dropbox business」公式サイト

個人・法人を問わず、世界的に有名なオンラインストレージの法人向けサービスが「Dropbox Business」です。チーム向けのプランでは所定の容量を利用者全体で共有して使います。セキュリティ機能が充実しており、企業の求めるセキュリティレベルでの設定が可能です。さまざまなデバイスに対応しているほか、多くのアプリやサービスと連携できるようになっているのも強みです。

<費用>

プラン名 容量 人数 初期費用 月額費用 備考
Standard 5TB 3人以上 ¥0 ¥1,250/人 チーム向け(※)
Advanced 無制限 3人以上 ¥0 ¥2,000/人 チーム向け(※)
Enterprise 無制限 3人以上 ¥0 要問合せ チーム向け(※)
Professional 3TB 1人 ¥0 ¥2,000 個人向け(※※)

※30日間の無料トライアルあり
※※14日間の無料トライアルあり

<主な機能>
暗号化通信、アクセス権設定、共有ファイルパスワード保護、2段階認証、デバイス制限、ログ取得、アカウント移行ツール、サービス連携、その他

Box over VPN

画像引用元:「Box over VPN」公式サイト

NTTコミュニケーションズの「Box over VPN」は、セキュリティにこだわりたい企業におすすめのオンラインストレージです。他サービスと比較してコストは高めですが、豊富な機能とシステムの安定性から高く評価されています。一度に5GBまで使えるファイル共有や、7段階のアクセス権設定、illustratorのaiファイルなどもアプリなしで閲覧可能なプレビュー機能などは非常に便利です。管理者向けのアカウントやデバイスの管理機能や各種のログ取得機能、セキュリティポリシーの設定機能なども充実しています。
<費用>

プラン名 容量 人数 初期費用 月額費用 備考
Business 無制限 5ID以上 ¥0 ¥1,800/ID VPN型は月額¥2,600/ID
Business Plus 無制限 5ID以上 ¥0 ¥3,000/ID VPN型は月額¥3,800/ID
Enterprise 無制限 5ID以上 ¥0 ¥4,200/ID VPN型は月額¥5,000/ID

※VPN型を利用する場合は、NTTコミュニケーションズのVPNサービスの契約が別途必要

<主な機能>
VPN通信、アクセス権設定、マルチデバイス対応、高度プレビュー機能、デバイス制限、ログ取得、サービス連携、その他

ownCloud

画像引用元:「ownCloud」公式サイト

「ownCloud」はLinuxサーバー上にオンラインストレージを構築できるオープンソースソフトウェア(OSS)です。容量や人数の制限がなく、ランニングコスト無料の高機能ストレージを構築できますが、インフラの用意とサーバー管理などは自社で行わなければならないため、知識のある担当者が必要です。
日本で公式代理店となっているスタイルズでは、サーバーの構築や運用サポートを行っているので興味があれば相談してみるとよいでしょう。
また、OSSなので自社製品に組み込んで開発することも可能です。

<費用>
ownCloudの使用料金は無料(容量、人数はハードウェアの制約が許す限り無制限)。
導入・運用のサポートは要相談

<主な機能>
暗号化通信、アクセス権管理、マルチデバイス対応、社内外ファイル共有、IPアドレス制限、デバイス制限、AD/LDAP連携、ログ取得、ワークフロー、その他

ストレージ選びで業務効率は大きく変わる!

ストレージは企業の持つ情報を保管するための装置です。情報を安全に保存・管理するだけでなく、いかに効率的に共有・活用するかが近年のストレージの差別化ポイントになっており、業務効率化につながる機能を備えたストレージが増えています。

ストレージ選びにおいては、情報の紛失や漏洩を防ぐためにもしっかり自社で管理できるものを選ぶとともに、使いやすさや、運用上のルール、業務への影響も考えて選ぶことが大切です。単純に容量とコストだけの観点で選ばず、無料トライアルを活用して使用感や各種機能まで確認しておきましょう。

自社に合ったストレージを選ぶことができれば、全社の業務効率を高めることもできます。「情報の保管」だけでなく「業務効率化」の観点から、一歩進んだストレージ活用をぜひ考えてみてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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