業務効率UPのスタートアップ向けファイル転送サービスとは?無料サービスでも大丈夫?

ファイル転送サービスの機能や運用方法と5つのおすすめサービスをITツールマスターが徹底解説

(2020/06/23更新)

「メールに添付するファイルは~MB(またはGB)以内」といったビジネスマナーは、受信側・送信側双方のメールサーバーやネットワークへの負荷、ダウンロードの手間などから生まれたものでした。
ITインフラが高スペックになるにつれ、制限される容量もだいぶ大きくなりましたが、やりとりされるファイルサイズもどんどん大きくなっています。そのため、安全にファイルを送受信するための「ファイル転送サービス」は現代のビジネスに必要不可欠となってきました。

しかし、ファイル転送サービスは「慣例的に」「何となく」使われていることが多いサービスです。多くのサービスから、自社の運用状況に合ったサービスを選ぶことができれば業務改善も期待できます。

本記事では、スタートアップ企業を想定し、ファイル転送サービスに求めるべき機能やおすすめのサービスを紹介します。

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ファイル転送サービス利用のメリット

ファイル転送サービスは、大容量のファイルを送付する場合や、複数のファイルをまとめて送りたい場合などに使われるサービスです。ファイル転送サービス利用により、どのようなメリットがあるのか紹介します。

ファイルのスムーズな送受信でビジネスを効率化

ファイル転送サービスを利用するメリットは、ファイルの送信や受信をスムーズに行えることです。しかし、一般的なメールによる送付とはどのような点に違いがあるのでしょうか。

アップロード・ダウンロードを高速化

ファイル転送サービスでは、高機能なサーバーとネットワークが提供されるため、ファイルのアップロードやダウンロードの時間が短くなります。サーバーやネットワークなどのITインフラにはお金がかかりますが、ファイル転送サービスの多くは無料または低い費用で利用可能です。

ネットワークやシステムへの負荷の軽減

会社で利用しているメールサーバーで容量の大きなファイルの送受信を行うと、社内のネットワークやシステムに遅延やトラブルが発生する場合があります。そうなれば、ファイルの送受信を行っている人だけでなく、他の従業員の業務にも支障が生じます。
負荷が大きくなると、パフォーマンスが落ちるだけでなく、トラブルの発生頻度も高まるため、システムのトラブル回避の面からもファイル転送サービスの利用は合理的です。

運用・マネジメントのための行動の管理・記録

法人向けのファイル転送サービスの多くは、ファイルの送受信のための機能に加えて、運用やマネジメントに必要な情報の管理や記録を助けてくれます。

利用状況の確認ができる

ファイル転送サービスの多くが、利用状況の確認ができるようになっています。アカウントごとの利用頻度や受け渡しファイルの容量を記録してくれます。部署情報などと紐付ければ、利用率の高い部署・個人や、不要と思われる部署・個人も把握可能です。

監査用のログを記録できる

不正な利用や、システム上のエラー、ファイルの送受信の有無などを確認するためにはログを参照しますが、一般的なメールサーバーの場合、非常に多くのログからファイルの送受信のログを探す必要があります。
ファイル転送サービスでは、ファイルの送受信に関するログを記録し、万が一のトラブルの際にも情報の検索や活用がしやすくなっています。

情報セキュリティの強化をサポート

ファイル転送サービスでは、納品物などの重要なデータの受け渡しが行われることもあります。そのため、情報セキュリティにも配慮されたサービスが多く、利用の大きなメリットになっています。

通信の暗号化による安全な情報の受け渡し

ファイル転送サービスでは、通信を暗号化することで不正アクセスや盗聴を防ぐことができます。
基本的に通信の暗号化は自動で行われるため、ユーザーは意識することなく、強固なセキュリティの下でファイルの送受信を行うことができます。また、ファイルのダウンロードにパスワードを設定し、第三者によるダウンロードを防ぐことも可能です。

共有先・アクセス権限の設定

ファイル転送サービスの中には、共有先やアクセス権限を設定できるサービスも多くなっています。共有する範囲やファイルへのアクセス権限を定めることにより、重要ファイルの持ち出しや改ざんを防ぐことができます。

自動的にファイルを削除、アクセス不可にできる

ファイルの転送が終わった後、そのファイルを削除するのは面倒で、忘れてしまいがちなタスクです。ファイルが残っていれば、サーバーの容量を圧迫するだけでなく、貴重な情報が危険にさらされてしまいます。
ファイル転送サービスではこうしたリスクを軽減するため、一定期間の後、自動的にファイルを削除したり、アクセス不可にしたりする機能を備えているものが多数あります。

ファイル転送サービスは会社で管理すべきもの

現場では、社員が必要に応じ、個人でファイル転送サービスを利用している様子も多く見られます。しかし、個人でのサービス利用は責任の追及が難しく、また多くの懸念点があります。そのため、できるだけファイル転送サービスは会社で指定し、適切に管理することが望ましいと言えます。

従業員に使用サービスを一任するデメリット

従業員にファイル転送サービスの使用を一任する場合、主なデメリットには「責任の追及が難しい」点と「情報セキュリティ上のリスク」があります。

「責任の追及が難しい」とは、「誰が」「どのファイルを」「誰に対して」「いつ」送付したのかがわからないということです。不正利用や送信ミスなどを確認できないことは企業にとってリスクになる可能性があります。

「情報セキュリティ上のリスク」は、盗聴や不正アクセスだけではありません。サービスの利用にメールアドレスなどの個人情報を求めるケースも多く、個人で利用している他サービスなどで個人情報の流出があれば、そこから企業の情報資産もリスクにさらされてしまいます。
また、無料サービスには広告表示が外せないものも多く、時にはマルウェア(*)を侵入させることを目的とした悪質な広告が表示されることもあるため危険です。

(*)マルウェア:不正で有害な動作を行うことを目的とした悪意のあるソフトウェアやコードなど

会社で管理することによるメリット

会社でファイル転送サービスを管理すれば、利用状況の監視が可能になるだけでなく、社内インフラへの負荷や情報セキュリティリスクの軽減といったメリットを享受できます。
法人向けのサービスではコストを気にすることも多いですが、取引上の安心や業務効率化を考えた場合にはコストパフォーマンスの高い投資のひとつです。積極的に採用を検討してみましょう。

スタートアップのファイル転送サービス導入で考えるべきこと

ファイル転送サービスには多くの種類があり、サービスの特性もさまざまです。一般的なスタートアップがファイル転送サービスを導入する際に、検討しておくべきことについて解説します。

ファイル転送サービスに求めるべき機能は何か?

ファイル転送サービスにはさまざまな機能がありますが、必要な希望を絞り込めば無料のサービスでも十分に目的を達成できる場合もあります。逆に、多機能なサービスを導入しても、実際に使われない機能が多ければムダなコストが発生してしまいます。
組織としてファイル転送サービスに何を期待しているのか、現場の様子や管理者の視点から考えることが大切です。

想定されるリスクにはどんなものがあるか?

組織としてファイル転送サービスを利用しないことで、どのようなリスクがあるのかを考えてみましょう。
リスクは「リスク発生時の損害の大きさ×発生可能性」と期待値で考えるのが基本です。想定されるリスクの大きいものから優先順位をつけて必要な機能を絞り込んでいくとよいでしょう。

サービス導入と運用にかけられるコストはいくらか?

有料のファイル転送サービスのコストは、初期費用と維持費用に分けられます。一定の期間を設けて、トータルでどの程度のコストがかけられるかをよく検討しましょう。費用の算出基準はサービスによって異なりますが、利用者(アカウント)数が元になるケースが一般的です。

必要に応じ、アカウントは個人単位ではなく部署単位にする、必要な部署・個人にのみ発行するなど範囲を狭めるとコストダウンになります。柔軟にアカウントの追加や削除ができるクラウドでのサービスも多いため、アカウントの調整をこまめに行うこともコストダウンに効果的です。

ファイル転送サービスは無料でも大丈夫か?

ファイル転送サービスの中には無料のサービスも数多くあるため、無料のファイル転送サービスで十分と考える組織も多いのではないでしょうか。
無料・有料のサービスは、どのような観点から判断すればよいのか解説します。

業種・業態によっては無料でも大丈夫

利用頻度がそれほど高くない場合や、重要な情報の送付が少ない場合には無料サービスでも十分です。
やりとりされる情報の頻度や特性は、業種や業態によって差があります。デザイン業やソフトウェア開発業など、インターネット上で納品物や制作物のやりとりが発生するような業種の場合はできるだけ有料サービスにしておいた方が安心です。

従業員数が多い場合は有料サービスを検討した方がよい

ファイル転送サービスを企業で導入するメリットは、利用状況をしっかり管理できることです。
無料サービスでは、保存できるログの件数や日数が心許ない場合も多いため、利用する従業員が多い場合は有料サービスを検討した方がよいでしょう。
有料サービスであれば、トラブル時の追跡が可能となり内部統制の仕組みが強化されるため、将来的に上場審査やPマークなどの企業資格の取得を考えている企業にも効果的です。

不特定多数から利用される場合は有料サービスを検討した方がよい

不特定多数の人が、ファイルの取得などで利用する場合は有料サービスが望ましいです。
例えば、「SNSを通してデータやチラシなどを送る」場合や「店頭の掲示物のQRコードからプレゼント用のデータをダウンロードできる」などが該当するでしょう。

無料のファイル転送サービスは、広告の表示や、処理の遅延が発生する場合もあるため、利用者にとって不快になってしまう場合もあります。
また、不特定多数にオープンにする場合は、情報の改ざんやDoS攻撃などにも注意しなければならないため、セキュリティがしっかりしたサービスを利用するべきです。これらを考慮すると、有料サービスを利用した方が安心と言えるでしょう。

おすすめファイル転送サービス5選


以下では、おすすめのファイル転送サービスを5つ紹介します。各サービスごとに、利用に適した組織やシチュエーションについても簡単に解説します。

GigaFile便

<プランと料金>
個人・法人とも無料

<主な機能>
ファイル転送(1ファイルは最大200GBまで)、メール機能、DL用パスワード設定、削除キー設定、DL通知、ファイル自動削除、など

「GigaFile便」は、ファイル転送サービスの中で、最もポピュラーなサービスのひとつです。高機能でありながら、すべてのサービスが無料で利用できます。1ファイルあたり最大200GBまでですが、利用回数に制限がないため実質的に容量無制限とも言えるファイル転送サービスです。個人情報の入力やアカウントが不要なため手軽に利用できます。

組織での利用を考えた場合、アカウントを必要としないために利用記録を取れない点や、利用における全責任をユーザーが負わなければならない点に注意が必要です。また、広告表示が多いため、相手によっては悪い印象を持たれてしまう点にも気をつけてください。誰でもすぐに使えるため、運用ルールをしっかり定めておくことが肝心です。

基本的にはファイル転送サービスの利用機会が多くない場合や、利用中のサービスで送信できる容量が不足している場合に利用するとよいでしょう。

おくりん坊BIZ

<プランと料金>

プラン名 料金 備考
無料(会員登録なし) 無料 ※500MBまで。「おくりん坊」のサービス
無料(会員登録あり) 無料 ※2GBまで。「おくりん坊」のサービス
100ユーザー 30,000円 初期費用10万円
500ユーザー 45,000円 初期費用10万円
501ユーザー 問い合わせ

<主な機能>
ファイル転送、送信履歴確認、メール送信、アドレス帳機能、DL通知、ファイル自動削除、など

「おくりん坊BIZ」は、無料で使える「おくりん坊」の有料サービス版です。無料でも2GBまでのファイルを送信したり、登録した連絡先を指定して送信先の設定ができるアドレス帳など使い勝手の良いサービスを提供しています。
有料版ではディスクスペースをユーザーごとに割り振ることができ、各ユーザーに最適化した使用環境を作ることができます。オプションで独自ドメインや独自バナーなども利用可能です。

ファイル転送サービスの中としては、転送できる最大データ量が控えめになっているため、動画やCADデータのような、データ量の大きいファイルの受け渡しには不向きです。

セキュリティや使い勝手の良という点では非常に優れており、スマホでも利用できるのは大きなメリットです。規模の小さな組織や、外部とのファイルのやりとりをしっかり管理したい組織で利用するとよいでしょう。最大のデータ量に問題がなければ、低価格で使い勝手の良いサービスです。

tenpu

<プランと料金>

プラン名 料金 備考
tenpu Free 無料 ※1GBまで送信可能
tenpu Pro 980円/月 ※20GBまで送信可。年間契約割引あり
tenpu Business 3万円/月 ※20GBまで送信可。年間契約割引、無料体験あり

<主な機能>
ファイル転送、DLパスワード、ファイル保存期間指定、背景・サブドメイン変更、DL通知、など

「tenpu」は、ビジネスにもフィットするスタイリッシュな画面デザインと、ビジネス向けの充実した機能が人気のファイル転送サービスです。
有料版では最大20GBまで(1ファイルでは10GBまで)のファイルを送信することができる他、ファイルの保存期間を指定でき、「無期限」に保存することでストレージとしても活用できます。背景やサブドメインを変更することで、ダウンロードページを顧客への情報発信ページとして使うことも可能です。

無料版は機能制限が多いため、ビジネス用途では使いづらいですが、有料版では欠点らしい欠点がありません。企業向けのtenpu Businessでは、コストはかかりますが、複数のアカウントにストレージの容量を割り振って全機能を利用可能です。

デザイン業やWeb制作業など、大きなデータを扱う機会の多い業種・業態で使いやすいサービスです。また、セキュリティ面に配慮しているサービスですので、機密データの受け渡しを行う場合にも向いています。

FileMail

<プランと料金>

プラン名 料金 備考
FILEMAIL FREE 無料 ※100GBまで。
FILEMAIL PRO 10米ドル/月 ※100GBまで。ストレージ100GB
FILEMAIL BUSINESS 12米ドル/月 ※100GBまで。ストレージ1TB/ユーザー
FILEMAIL ENTERPRISE 40米ドル/月 ※100GBまで。ストレージ5TB/ユーザー

<主な機能>
ファイル転送(100GBまで)、ウイルスチェック機能、アドレス帳(PRO~)、DLパスワード(PRO~)、複数アカウント(BUSINESS~)、カスタム背景(BUSINESS~)、2段階認証(ENTERPRISE~)など

「FileMail」は非常に高性能なファイル転送サービスです。無料でも100GBまでのファイル転送が可能で、ファイルへのウイルスチェック機能も提供しています。
有料版では、送信先を保存できるアドレス帳機能や、カスタム背景などへも対応し、大容量のストレージも提供します。特筆すべきは、Webサイトへの統合や、利用しやすいアプリ、APIがあることで、便利な機能をスピーディーに呼び出して利用できる点です。

海外のサービスですので、情報が英語になってしまう点がデメリットです。また、高機能な分、利用コストは他サービスよりも高い点にも注意が必要です。

FileMailはソフトウェア開発やゲーム開発、動画作成サービスなど、大容量データを扱う機会が多い業種に特におすすめしたいサービスです。
また、無料プランはアカウント登録なしでも使うことができ、セキュリティも強固なため、重要なデータの受け渡しが必要な場合に一時的に利用するのもよいでしょう。

活文 Accelerated File Transfer

<プランと料金>
プランや料金は要問い合わせ。無料評価版あり

<主な機能>
ファイル転送(50GBまで)、多言語対応、通信記録、送信先制御、アクセス制御、上長承認、など

「活文 Accelerated File Transfer」は日立ソリューションズが提供するファイル転送サービスです。
スーパーコンピュータの開発や大規模施設のデータ移行なども手がける、日立グループの高度なデータ転送技術により、高速・安定した大容量ファイル転送が可能です。国内はもちろん、通信インフラの脆弱な海外への大容量データ送信も高速で行うことができます。管理面が非常に優れたサービスで、重要なデータの送受信をしっかりマネジメントできるのが特徴です。

データ通信、セキュリティ、管理機能とも高い品質を持つサービスですが、基本的にはやや大きめの企業での導入が想定されています。
今回紹介している他サービスよりも導入にあたってのコストが大きいため、利用を必要とするスタートアップはそれほど多くないかもしれません。しかし、海外を主な顧客としている場合や、海外に支店・支社を持つ場合、大量のデータなどをやりとりする機会が多い場合に検討したいサービスです。

ファイル転送サービスは目的をもって選び、業務改善・効率化に役立てよう

ファイル転送サービスは、大容量のファイルを送ったり、複数ファイルをまとめて送ったりするためのサービスです。ファイル転送サービスを利用することで、高速かつ安全に、また確実にデータを相手に送ることができます。

ビジネス用途のファイル転送サービスでは、ファイルの送信ができるだけでなく、セキュリティや管理のための機能も求められます。自社で想定される利用シーンやリスクを踏まえ、サービス利用の目的を明確にしてから、必要な機能を取捨選択することが導入時には大切です。組織によっては無料のサービスでも十分に目的を達成できることもあります。

自社に合ったファイル転送サービスを利用することで、業務効率化やコストダウン、セキュリティや内部統制の強化など、さまざまなメリットを受けられますので、何となく選んでしまわずに目的をもって選びましょう。

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