25歳以下にしか投資しないVC!?スカイランドベンチャーズがリスクを恐れず若手に投資する理由

資金調達手帳

「起業歴が成功のカギ」スカイランドベンチャーズ木下氏インタビュー

(2017/03/14更新)

若い誰もアクセスしていない起業家にこそ将来大きな価値があり、「誰も知らない天才に投資したい」というミッションを掲げるスカイランドベンチャーズ。設立から4年あまりで約40社に投資。自身も26歳でスカイランドベンチャーズを設立した木下慶彦さんに、起業をとりまく環境や若手起業家にかける思いを取材しました。
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木下慶彦(Max Kinoshita)氏
Skyland Ventures代表パートナー
1985年横浜生まれ、早稲田大学理工学部卒。複数のベンチャーキャピタル勤務を経て、2012年8月Skyland Ventures設立。26歳でのベンチャーキャピタル設立は当時国内最年少。

世界トップ企業の創業者は、何歳で起業している?

ーはじめに、スカイランドベンチャーズの概要を教えてください。

木下:2012年から始めて、今はベンチャーファンドを2つ立ち上げました。上場企業やその創業者の個人資金などから資金を集め、累計で14億円を運用しています。

ー投資領域や、注目している分野はありますか?

木下:投資領域はEC(電子商取引)やゲームなど、基本的にはインターネットビジネスです。直近力を入れているのはVR(仮想現実)やチャットボット、ドローン関連のスタートアップなどは新しい領域の投資先になります。

その他だと、CtoC(個人間取引)の領域と動画メディアにも注目しています。EC業界も、だいぶCtoCに置き換えられている現状があり、まだこの流れは続くでしょう。また、記事系のキュレーションのメディアも5年くらいの中でかなりホットなテーマでしたがまだまだ記事メディアの分野においてもチャンスはあるし、動画メディアはこれからホットになる領域です。

ーなるほど。このような領域は、若手起業家が多い印象ですが。

木下:まさにそうです。

スカイランドベンチャーズの投資基準の一つに「25歳以下であること」をうたっています。他には、インターネットビジネスであれば、「エンジニアといっしょに起業しているか、社長自身がエンジニア」ということも見ています。

その他で創業者にあるといいなと思っているのは、カオスの中でスタートするスタートアップの組織での経験である「起業経験」やTwitterとかブログをやっているぐらいの「情報感度のよさ」。あとは、適切な「スタートアップコミュニティーとつながる力」ですね。

ーなぜ25歳以下が基準なのでしょうか?

木下世界トップ企業の創業者の年齢をみると、25歳以下で起業している方が多いからです。スティーブ・ジョブズが20歳前後。日本では、サイバーエージェントの藤田さんは24歳で、孫さんも24歳。
最近注目されているメルカリの山田進太郎さんの1回目の起業は23歳です。

「起業のタイミングが早い人」が大きな成功をするという事実があります。

ーなぜ若い人材に投資することがリスクとされているのでしょう?

木下日本のVCが起業家を見る場合、創業期はその会社の業績以上に前職のプロフィールが評価材料として大事にされる傾向があります。

でも、25歳以下の人にはあまりキャリアがないので評価が低く、比較的不遇になりがちです。
ただ、最近は学生起業から大きく資金調達をする会社やM&Aが行われるようになってきた。
僕らとしては投資チャンスだと思っています。

「きっかけ」よりも「環境値」

ー他の投資家が目をつけない層に投資する逆張りの戦略ですね。

木下:はい。起業したい人は潜在的には相当いるはずで、何かきっかけを探していると思うんです。
「お金が入ったら」と言う人もいれば、「実績を出したら」「誰かに背中を押されたら」とか。でも僕は、きっかけはどうでもいいと思っています。圧倒的に重要なのは環境値で、きっかけは入口にすぎないです。

ーちなみに木下さんの起業のきっかけは何ですか?

木下:きっかけと言うと、僕の場合「その瞬間の判断」としか言えません。
むしろ環境値として「ここで戦い続けられる環境」「起業家が多い環境だから僕らの投資ニーズがずっとある」といったことが重要だと考えていました。

インターネット産業は伸び続けている

ーVCに適した環境値があった、ということですね。

木下:あと、スタートアップ全体の環境値として、インターネット産業とVCの環境が重要です。

世界の企業の時価総額ランキングの2011年と16年を見比べると、2011年はオイルカンパニーばかりで、トップ10の中にネット企業は2社だけでした。

一方、2016年はどうかというと、Apple、Google(Alphabet)、Microsoft、Amazon、Facebookの5社がトップ10に入っています。エクソン・モービル以外のオイルカンパニーは消えました。逆にこの5年間思いきり成長したのはインターネット産業である、ということがポイントです。

中でも注目してほしいのはAmazonです。Amazonは2011年には圏外でしたが、今は6位で40兆円弱の時価総額がついています。流通額も世界で10兆円、そのうち日本では1兆円です。これほどの規模で世界の人の購買行動に非常に寄与していることを思うと、Amazonは世界のインターネット産業の指標のようなものだと思っているのですが、これが20%ぐらいずつずっと伸びているんです。

Amazonはここ2、3年ではなく、ずっと、今でも、流通額10兆円になってもなお、20%ぐらい伸びている。Amazonがやっているのはインターネットにおける小売業なので、インターネットでの消費行動は伸び続けているといえるでしょう。
なかでも伸びているCtoCやVRは今なら30%、40%成長するかもしれないので、極端な話、インターネットセクターで起業すれば全員成功すると思ってます。僕らもそういうマーケットの中で勝負をしたいと思っています。

億単位の資金調達も可能な環境

ーもう一つの、VC環境というのは?

木下:VC環境で言うと、日本では毎年1,000億円ぐらいの投資がされていて、2015年は約2,000億円のVCファンドが組成されました。2016年も2,000億レベルだと思います。2,000億円あれば、例えば400社が数億円ずつ資金調達できる計算になります。平均5億円ですよ。つまり、適切にやっていれば、5億円のファイナンスができるはずだと思うんです。

VCファンドとスタートアップは違えども、僕らも4年で10億円ぐらい集めているので、そこにリソースを割いていけば資金は集まるということで、違和感のない数字です。

早く成長することが大事

ー環境値は揃っているということですね。

木下僕は「起業したい人は全員起業したほうがいい」と明確に思っています。スタートアップは磨けば光るダイヤだし、起業してくれれば投資できますしね。

大切なのは「成長すること」です。Y Combinator(シリコンバレーの有名VC)は、スタートアップは「早く成長することを意図して作った会社」と言っています。すごくぴったりな話で、僕らもそういう会社に投資すべきだと思っています。

コワーキングスペース ハイブ渋谷

ースカイランドベンチャーズが展開しているハイブ渋谷はどんな施設なのでしょうか?

木下:コワーキングスペースで、今は10社ぐらいの投資先ないし投資予定の会社が入っています。ここで会社を設立したり、成長するベンチャー企業を応援する施設です。

「ここ(ハイブ渋谷)でなんとか事業を軌道に乗せる。できなかったら追い出される」ぐらいの環境値は必要だと思って作った場所です。

ー確かに、頑張っている人がいると刺激になりそうですね。

木下:そうですね。ここから出世してくれるのが一番いいと思っています。

起業家全員と会う15分ミーティング「BEATS」

ーイベントなどの開催状況を教えていただけますか?

木下:毎週水曜日に「BEATS」と名付けた、15分のミーティングを10本設定しています。僕とのスピードミーティングスロットです。VCをやっていると、そのタイミングで会えないという機会損失が大きいことに気づきました。MTGを2週間後で設定するなどしていると起業家のファイナンスが終わってしまうことがあります。なので、基本、初めての起業家には全員に会っています。ただベテランの人は、断るケースはあるのですが、「僕らのメインターゲットは25歳以下で難しいかもしれません。それでもよろしければいらしてください。」と返してもいらしていただける方には全員会うようにしています。

ー毎週開催なら最短で数日後にはVCに会える、と。

木下:そうです。なので、毎週水曜日の午前中はもう他の予定は入れないようにしています。そこで初めてのミーティングをして、その場で「投資する方向でもう1回議論しよう」となることもあります。

ー起業家の選別はしていますか?

木下:いや、選ばず、全員会う形でやっています。エントリーぺージから申し込みを常時受け付けています。

>>BEATSエントリーページはこちら

フェノックスジャパン代表・名雲氏インタビュー
VCは投資先をどう見つけている?3つの経路とアプローチのコツ

(取材協力:スカイランドベンチャーズ株式会社/木下慶彦)
(編集:創業手帳編集部)

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