副業人材を有効活用して、人材不足の解決や競争力の強化を実現しよう
副業人材に任せられる仕事や活用するメリット・デメリットおよび活用ポイントを解説
少子高齢化で日本全体の働き手自体が減少するなか、人手不足は多くの企業における重要課題です。労働力や専門性を柔軟に活用する手段として、副業人材が着目されています。
働き方改革や副業解禁の中で、副業人材を積極的に活用しようとする企業も多く見られます。一方で、これまで正社員を中心に業務運営されてきたため、副業人材の活用方法がわからず、思うように導入が進まない企業も少なくありません。
そこで今回は、副業人材に任せやすい仕事や、任せるメリット・デメリット、そして副業人材を獲得しやすい便利なサービスについて紹介します。
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この記事の目次
副業人材とは?
副業人材とは、本業を別に抱えている人が勤務時間外に別の仕事を請け負っている人のことを指します。本業は正社員の会社員が多いものの、副業が禁止される公務員など一部を除いて、職種・業種に関わらずあてはまります。
さらに広く捉えれば、スモールビジネスなどの経営者、個人事業主やフリーランス、在宅ワーカーなどの活用も可能です。2018年1月に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」における「モデル就業規則」の副業禁止規定を解除したことを契機に、副業をする人は増加傾向です。
朝日新聞によると、2023年時点で副業人口は305万人(本業が農林業などを除く)いて、2018年比でおよそ50万人増えています。2000年時点で8,622万人いた生産年齢人口が、2060年には4,418万人まで減少する見込みであるなか、事業の維持・発展のために副業人材を積極的に活用する企業が増えています。
副業人材に任せやすい仕事とは?
副業人材に任せるうえで適した仕事は、大きく分けて3つあります。
- タスク型|納品物・納期が明確な業務
- プロジェクト型|特定のゴールに向けて取り組む業務
- ミッション型|長期的な課題解決のために継続的に取り組む業務
仕事の振り分けや人材配置を検討する際に、これらの視点をもとに選別すると、副業人材をうまく活用して組織の生産性を高められるでしょう。
タスク型|納品物・納期が明確な業務
タスク型の業務とは、作業期間や納期、納品物が始めから明確な作業です。他のタイプの仕事と比べると短期間で終わる仕事が多く、また「納品物の提出」という形で成果がわかりやすいのが特徴です。
納品物単位で業務を依頼できるため、外部の副業人材に任せる業務として適したタイプの一つといえます。少額・小規模で単発の依頼をするうえで適したクラウドソーシングサービスを利用して人材を募るのも容易です。
タスク型業務の実例
タスク型業務の例には次の様なものがあります。
オウンドメディアの記事作成
メディア記事の作成は、タスク型業務の代表的な事例の一つです。記事の文量にもよりますが、1記事単位での業務は比較的短期間で完結します。記事の文書が仕上がれば納品が完了するため、業務の成果が分かりやすいのも特徴です。
決算資料や提案資料の作成
土台となるデータや材料がある程度揃っている状態なら、決算資料や提案資料の作成を副業人材に依頼するのも一案です。エクセル・ワード・パワーポイントなどを扱うスキルのある副業人材を活用すれば、社内のリソースを他の業務に回せます。
満足のいくクオリティの資料完成を持って納品となるため、成果がわかりやすいのは他のタスク型業務と同様です。
小規模なWebサイト構築
Wordpressの基礎知識などがあれば完結するような小規模なWebサイト構築も、タスク型業務として副業人材に依頼しやすい仕事です。プログラミングに精通した副業人材は多数いるため、人材確保がしやすい業務といえます。
なお、Webサイトの規模があまりに大規模な場合や、構築後の継続的な保守・更新も依頼する場合には、長期・継続での作業が発生します。従って、この後紹介するミッション型業務に近くなります。
プロジェクト型|特定のゴールに向けて取り組む業務
当初定めたゴールを達成するためにプロジェクトを設定して、副業人材にはそのチームメンバーとして参画してもらう方法です。タスク型業務と比べて大規模で中長期的な取り組みが必要な業務内容となります。
企業がプロジェクトを推進する場合、基本的に完了予定の時期を定めて推進します。そこで、プロジェクトの完了予定時期を目安に、一定期間継続して副業人材と契約してプロジェクトを担ってもらうことが可能です。
チームメンバーとして作業の一部を依頼できるのはもちろんのこと、最近ではプロジェクト全体のマネジメントを依頼する企業も増えています。
プロジェクト型業務の実例
プロジェクト型業務の実例は次の通りです。
企業のDX推進
典型的なDXでは、既存の業務における課題を洗い出し、そのうえで業務プロセスや事業モデルの改革とデジタル化を、システムやツールの導入、従業員の教育などを行います。
DXの一連のプロセスが完了するまでをプロジェクトとして、副業人材を活用するケースは珍しくありません。特にSierやITコンサルタントなどIT関連の専門性をもつ副業人材は、DX関連のプロジェクト案件を推進するうえで、企業にとって心強い味方となるでしょう。
新商品の販売までのプロモーション
新商品の販売までのマーケティング活動を、副業人材を活用して増強するケースがしばしばあります。
新商品をうまく事業として軌道に乗せるために、しばしば既存商品より積極的なプロモーションを行います。その際のリソース不足を防ぐために、新商品の販売プロモーションを一つのプロジェクトとして、この間だけマーケティングなどに精通した副業人材を活用するのが有効です。
ミッション型|長期的な課題解決のために継続的に取り組む業務
ミッション型は、特に雇用期間や最終的なゴールを明確にせず、与えられた役割を果たすべく継続的に取り組んでもらう形式です。
最も通常の社員と近い働き方となりますが、役割を明確に定義し見合った報酬体系を設定すれば、副業人材を活用して仕事を進めることは可能です。副業にしては月あたりの作業工数が多く契約期間も長くなりがちなため、ある程度まとまった報酬を用意する必要があります。
そのため、単純にリソース不足を補うというよりも、士業系、経営、IT、マーケティングなど自社にノウハウの乏しい専門領域のスペシャリストを副業人材として雇うケースがしばしばみられます。
ミッション型業務の実例
たとえば、次のような業務はミッション型として副業人材に任せられます。
Webメディアの継続的な運営
アクセス数の増加や集客拡大などを目標として、副業人材に継続的にWebメディアを運営してもらう方法があります。たとえば、自社がITやWebマーケティングと関連性のない事業を営んでいる場合、Webメディアの業務は丸ごと専門性のある副業人材に依頼したほうが、業務効率が良くなるでしょう。
Webメディア運営では、アクセス状況や顧客ターゲット、競合分析などをしながら継続的にWebサイトを改善しなければならないため、Web記事単発の依頼と異なり「ミッション型業務」となります
経営課題の洗い出しと経営・財務戦略策定
コンサルファームに依頼するような内容ですが、戦略コンサルファームの高額なフィーを賄えない場合には、フリーコンサルや副業人材に依頼するケースがしばしばあります。副業人材の中にも経営企画や財務部などにいる方、コンサルファーム在籍者など経営・財務戦略に精通した人材は多数いるので、外注を検討するのも一案です。
1期分のコンサルティングを依頼するだけでも半年~1年程度のプロジェクトとなる場合がありますし、事業成長を加速させるために継続的に支援を依頼するケースもみられます。中小企業などで、経営層以外に経営・財務の専門性を持つ人材が乏しい場合などには、副業人材の活用が特に有効です。
副業型人材を採用するメリット
副業型人材を採用するメリットは、大きく分けて次の3点です。
- 人材不足の改善につながる
- 人材を柔軟に調整してコストの圧縮が可能
- 社外の専門家を活用できる
それぞれのメリットについて、詳しく解説していきます。
人材不足の改善につながる
人材不足の改善は、多くの企業にとって副業人材を活用する主要な目的の一つです。自社の事業経営を維持するうえで充分な人材を確保できていない企業は多く存在します。中小企業やスタートアップでは、人材不足がしばしば成長の阻害要因となる場合もあります。日本全体の労働人口が減少するなか、正社員人材を雇うのには苦労しがちです。
副業人材を有効活用することで、人手不足の作業を外注し正社員など組織内の人的リソースを本業に集中させられます。小さな組織のままでも、事業経営を維持可能です。
人材を柔軟に調整してコストの圧縮が可能
副業人材を有効活用すれば、事業の状況に応じて柔軟にリソースをコントロールして人件費などのコストを抑制できます。
たとえば繁忙期だけ急激に作業量が増える業務を、正社員など長期雇用の人材だけで回していく場合、繁忙期の業務が回るだけの人材を確保しておかなければなりません。閑散期には余剰が発生しますが、そのたびに解雇するわけにはいかないため、過剰な人件費がかかってしまいます。
そこで、繁忙期の業務の一部に副業人材を活用すれば、正社員の人数を抑えても業務を回せるようになります。閑散期には副業人材との契約を休止すればよいので、人件費の圧縮が可能です。
社外の専門家を活用できる
社内にノウハウが乏しい領域の専門家を柔軟に活用できるのも、副業人材を活用する大きなメリットです。
高度な専門性をもつ人材は市場価値が高く、雇用するとなると人件費の増大要因となります。状況によっては専門性を一時的にしか活用しないケースも考えられ、無駄なコストを払うことになりかねません。専門性をもつ副業人材と契約して特定の業務に従事してもらえば、専門外の業務でもコストを抑えて円滑に推進できます。
副業型人材を採用するデメリット
副業型人材を採用するうえでは、次のようなデメリットが存在します。
- コミュニケーションや仕事の質に懸念が残る
- 依頼できる仕事が限定的になる可能性も
副業人材を活用する際には、以上のデメリットに留意してあらかじめ対策を講じておきましょう。
コミュニケーションや仕事の質に懸念が残る
副業人材は、長期雇用が約束されているわけではないため、企業に対する帰属意識が弱いおそれがあります。その結果、コミュニケーションがおろそかになったり、仕事において能力を最大限発揮してくれなかったりといった弊害が発生する可能性が否定できません。
外注した結果として仕事の質が下がっては本末転倒なので、社員と連携しながら仕事の質を維持する工夫をしましょう。
まず、採用の時点で必要なスキルが身についていて、コミュニケーションが丁寧な人材を選別します。さらに、チャットなどのコミュニケーションツールを整備して、円滑に連絡が取れる状態を整備しましょう。
仕事内容については、要求される品質をできるだけ具体的にしてください。組織外の人材に安易に「言わなくてもくみ取ってやってくれるだろう」と期待するのはリスクが高いといえます。また、業務は過度に丸投げせず、しかるべき社員が監督・管理を行いましょう。
依頼できる仕事が限定的になる可能性も
副業人材に依頼できる仕事が見つからず、有効活用できない企業は多く見られます。
たとえば、金融業などで顧客関連など機密情報があまりに多く外注できる業務がみつからない場合、業務が過度に属人化していて外注する業務をまとめられない場合などがあります。また、本質的には外注可能なのに、担当社員が自分の仕事がなくなるのを恐れて外注に消極的な場合もあるでしょう。
まず、今回紹介した3つのタイプを中心に社内の業務を仕分けしてみてください。あらためて整理すると、外注しやすい業務が見えてくるでしょう。また、正社員が仕事をなくして手持ち無沙汰になっては本末転倒なので、リソースが空いた分で重要なタスクを振り分けてください。
副業人材をうまく活用するための5つのコツ
メリットを最大化し、デメリットを抑制する上での5つのコツを紹介します。これから副業人材を活用しようとしている企業の人事担当者は、次のポイントを踏まえて社内体制やツールの整備などを進めてください。
副業人材の活用目的を明確にする
副業人材の目的を明確にしておくことで、最適な人材を合理的なコストで雇えるようになります。たとえば、一般的には以下の様な目的が想定されます。
- 人材不足の調整
- 人件費の過剰な支払いの抑制
- 組織体制の柔軟性の向上
- 社外の専門性やノウハウの活用
一つに絞り込むことはありませんが、少なくとも副業人材の活用に期待する効果に優先順位をつけてから、採用の準備を進めましょう。
自社の課題解決に役立つ人材をあらかじめイメージしておく
副業人材の活用目的をもとに、どのような人材と契約すれば自社の課題解決に役立つかイメージしておきましょう。
たとえば、人材不足を解消したいなら、即戦力で担当業務を素早く進められる人材が有効です。マーケティングやDXなど専門性が必要な仕事なら、その領域に精通した経験者が望ましいでしょう。業務推進を通じて自社の社員の育成も期待するなら、専門性に加えて教育・管理能力のある人材が適任です。
システムやコミュニケーションツールなどを整備する
副業人材は、しばしばリモートワークを積極的に活用して業務にあたります。あらかじめ社内の担当者と副業人材の間のデータ・ファイル共有やチャットなどのコミュニケーションツールを整備して、円滑に作業に当たれる状態を整えてください。
ファイル共有が出来ない、必要なツールが使えない、コミュニケーションも取れないといった状況は、特に不慣れな状態から業務にあたる副業人材にとってストレスになるので、事前に準備を完了させておいてください。
副業人材獲得の方法を整理する
人材獲得の方法をあらかじめ整理して、求める人材を効率的に獲得できるチャネルをうまく活用してください。
いまでは、副業人材を探すマッチングサービスは複数存在します。まず、Wantedlyのように正社員・副業問わず人材を募集できる転職・就職情報サービスがあります。タスク型など単発の仕事を募集するならクラウドソーシングなども便利です。
最近は、ハイクラス向けの副業マッチングサービスもあるので、専門性の高い人材を探す時には便利です。また、コンサル系の業務を依頼するならフリーコンサルサービスを活用するのもよいでしょう。
契約・情報漏洩などトラブルの予防策を万全に
副業人材においてしばしばトラブルとなる契約の不備や情報漏洩については、充分な予防策を講じて仕事を依頼しましょう。まず業務契約書を正式に締結し、禁止行為や守秘義務、報酬や求められる作業品質などについて合意してください。
情報漏洩は、本人も意図しないうちに誤って行ってしまうケースがほとんどです。まず、業務に必要のない情報は閲覧させない、渡さないようにしましょう。
また、外部へファイルを添付する際にはパスワード付与をルール付けする、そもそも必要性がない限りファイルのやりとりは決められた社員とだけ行うなど、業務プロセスを少し工夫するだけでもトラブルのリスクは低減します。
副業人材が採用できるサービス5選
最後に、副業人材を採用する上で便利なサービスを5選紹介します。
- クラウドワークス
- ランサーズ
- ココナラ
- タイミー
- クラウンドリンクス
人材探しを進める際に参考にしてください。
クラウドワークス
クラウドワークスは、小口で単発の仕事を多数の人から募る「クラウドソーシング」を実行するためのマッチングサイトです。約470万人のフリーランスが登録しているため、豊富な人材の中から自社のタスクにあった副業人材を見つけられます。
案件は成果物を納品して検収すると報酬が発生する「プロジェクト」、作品の採用者だけに報酬が支払われる「コンペ形式」、短時間で作業し、設定したガイドラインを満たしていればすぐに報酬が払われる「タスク」に分かれています。
これらをうまく使い分けて、WebライティングやWebサイト構築、画像・動画制作など多様な業務の募集に活用できます。
ランサーズ
ランサーズもクラウドワークスにならんで大規模なクラウドソーシングサービスで、プロジェクト形式、コンペ形式、タスク形式での発注ができます。クラウドワークスと近い感覚で利用できるため、両方のクラウドソーシングを並行利用しているフリーランス・副業人材側も少なくありません。
一方で、「初心者のトラブル回避対策」や「フリーランストータルサポート」による福利厚生など、副業人材・フリーランスに寄り添った独自サービスもあるため、ランサーズ中心で活動している方もいます。副業人材を取りこぼさずに獲得する上では、ランサーズも活用して募集を行うのがおすすめです。
ココナラ
ココナラは「スキルを売り買いする」のがコンセプトのサービスで、副業人材のほかフリーランス、個人事業主も盛んに活用しています。
仕事を探している側(出品者)が、自分のスキルや経験を基に対応可能な業務について単価と共に掲載しているのが特徴で、企業側は出品者情報を見て業務を依頼可能です。依頼内容や単価などについては、サービス内のメッセージ機能などで調整ができます。
Webコンテンツ制作やWebサイト制作などクラウドソーシングでも見かける業務のほか、税理士、コンサル、会計士など士業や専門職向けの業務を依頼する上でも有効です。なお、企業側が依頼した業務内容を予算と共に公開して、副業人材を募ることもできます。
タイミー
タイミーは隙間時間を有効活用するために生まれた、仕事のマッチングサービスです。20代~40代を中心に500万人超のワーカーが登録されています。企業が働いてほしい時間帯と業務内容、求めるスキルや条件などを登録しておくと自動で条件に合ったワーカーをマッチングしてくれます。
スキルや資格のあるワーカーを優先的にマッチングする機能があり、さらに直前キャンセルや無断欠勤をしたワーカーにはペナルティもあるなど、質の高いワーカーを確保しやすい仕組みが整っています。
クラウンドリンクス
クラウドリンクスは、ハイクラス向け副業人材むけのマッチングサービスです。より専門性が高く、高単価な案件が多く登録されています。2020年に始まった比較的新しいサービスながら、すでに10万人以上のワーカーが加入しています。
大手企業在籍者や専門職につく方などのハイクラスな人材が多いため、より高度で難易度の高い案件を依頼する副業人材を探す上で有効です。なお、他の副業人材向けサービスと比べると単発なタスク型の仕事よりも長期・継続的な案件が多い傾向にあります。
副業人材を有効活用することが課題解決や事業成長の加速につながる
少子高齢化のなか、今後はさらに多くの企業で人材不足が深刻化する恐れがあります。一方で、企業が副業に対して寛容になるなか、今後副業を積極的に検討する人材はさらに増えるでしょう。
人的リソースが限られた中小企業の人材不足の改善や、高度な専門スキルを事業に活用するうえでは、副業人材の積極的な活用が有効です。今回の記事を参考に、外注できる業務を整理して、副業人材の活用を積極化させましょう。
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