インボイス開始後の消費税は延納できるの?納付期限はいつ?支払わないとどうなる?
インボイス制度に登録した個人事業主の方は消費税を支払う必要がある!期限はいつまで?待ってくれる?
2023年度にインボイス制度に登録した個人事業主の方の多くが、2024年に初めて消費税を納めることになるのではないでしょうか。初めての消費税納税で、わからないこともたくさんあるでしょう。
なかでも気になるのが、いつまでに消費税を納税しなければならないのか、ということです。
本記事では、インボイス制度の消費税を納税しなければならない期限や、期限を延ばせるのかどうか、期限を過ぎてしまったらどうなるのかなどについてまとめてご紹介します。
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この記事の目次
インボイス制度に登録している個人事業主の消費税の納付期限はいつまで?
インボイス制度に登録した人の多くが、2024年に初めて消費税を納税することになるでしょう。
まず、消費税を納税するためには、自分自身で2023年度にかかった消費税を確定し、申告しなければなりません。つまり、先に確定申告しなければなりません。
インボイス制度に登録するために消費税の課税事業者になった方の多くは、消費税の計算については「2割特例」を利用できます。つまり、本来納税すべき消費税額を10割としたときに、その2割の納税額だけで良い、とする一時的な措置です。
消費税を含めて、自分の1年間の所得を計算し、確定申告の期限である2024年3月15日までに申告書類を提出します。
この確定申告のタイミングで、まず同時に納税しなければならないのが、所得税です。
その次に、消費税を納税します。所得税と消費税の納税のタイミングは、別でも問題ありません。消費税の納税期限は、実は所得税の納付期限である3月15日よりも少し遅いです。消費税の納付期限は2024年4月1日までです。また、振替納税の場合であれば、振替日は2024年4月30日まで延ばせます。この期日までに消費税を納税するようにしましょう。
インボイス制度に登録している個人事業主はどうやって消費税を納税する?
消費税の納税方法には、以下の5つの方法があります。ご自身が納付しやすい方法で、期限までに消費税を納税しましょう。
・電子納税(e-Tax)
・振替納税
・クレジットカード納付
・スマホアプリ納付・コンビニ納付
・窓口納付
インボイス制度に登録している個人事業主は消費税を延納できる?
消費税の納税期限までに消費税の金額をどうしても用意できない、という方もいるかもしれません。
実は、所得税の場合、期限を延長できる「延納」制度があります。所得税の納付期限は2024年3月15日ですが、その期限までに納付すべき所得税額の半額を納税できれば、2ヶ月半先の5月末まで全額の納税を猶予してくれる制度です。ただし、延納の場合、「特例基準割合」か年7.3%かのいずれかの低い割合で、残りの半額に利子税がさらにかかります。とはいえ、何も言わずに後から納付すると、後述する「延滞税」などがかかってきますので、それよりは税金が格段に安いです。
では、消費税にはそうした延納制度があるのかというと、実は消費税には延納制度はありません。期限までに消費税を納税するしかないのです。
消費税の納付期限は、2024年4月1日までです。ただし、振替納税を選択すれば、4月30日までは期限を引き延ばすことができます。
まだ消費税を正確に計算していない方は不安に思われているかもしれませんが、実は消費税の金額は、個人事業主の場合は所得税ほど高くないので、「あれ、これだけで良いの?」と思えるような金額です。特に、インボイス制度に登録するために消費税の課税事業者になった方の場合は2割特例を利用できるので、消費税額を用意できないことはあまりないでしょう。
インボイス制度の消費税納付期限に間に合わなかったらどうなる?
消費税の納付期限までに、納付すべき消費税額を用意できなかった場合、どうなってしまうのでしょうか。その場合、ペナルティとして余計な税金(延滞税)がかかってしまいます。
延滞税は、納付期限日の翌日から2ヶ月以内に納付できる場合と、その後で税率が変わります。
延滞税の金額は、「納付すべき消費税額 × 延滞税の割合 × 滞納日数 ÷ 365」で算出できます。
納付期限日の翌日から2ヶ月以内に納付できる場合、延滞税の割合については、年率7.3%か、特例基準割合+1%のいずれか低い割合を適用します。
納付期限日の翌日から2ヶ月を過ぎて納付する場合、延滞税の割合については、年率14.6%か、特例基準割合+7.3%のいずれか低い割合を適用します。
ちなみに、「特例基準割合」とは、各年の前々年の9月から前年の8月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の11月30日までに財務大臣が告示する割合に、年1パーセントの割合を加算した割合のことです。よくわからない場合は、税務署に相談してみてください。
インボイス制度の消費税をいつまでも払わないでいるとどうなる?
消費税の納付期限を過ぎても、いつまでも税金を払わずにいるとどうなってしまうのでしょうか。以下で、それぞれの段階ごとにご紹介します。
督促状がくる
消費税を納税せずにいると、納期限から50日以内に督促状が送られてきます。督促状が送られてきたときに納税額が用意できるなら、すぐにでも納税してしまいましょう。
催告がくる
督促状を送られても納付しないままでいると、催告書(差押事前通知書)が送られてきます。また、電話で催告がくることもあります。
ただし、催告の段階を経ないで、一気に差押さえまでいってしまうこともあるのでご注意ください。
財産調査
滞納を続けていると、取引先や勤務先、官公庁や金融機関などに財産調査が入ります。
財産調査は、裁判所の令状や事前の予告なども不要で、滞納者の意思に関わらず実施されます。
差押え
最終的には、生活や営業に必要なもの以外、預金や現金、土地や家屋などの財産が差押えられます。差押えになるまでに、消費税は必ず納税しましょう。
インボイス制度の消費税の計算方法
インボイス制度に登録することで初めて消費税の課税事業者になった個人事業主の方を対象に、消費税の計算方法について最後にご説明します。
2割特例
2023年9月30日までに、「適格請求書発行事業者の登録申請書」のみを提出して消費税の課税事業者になるとともにインボイス登録をした方の場合、2割特例方式が利用できます。
2割特例とは、納付すべき消費税を10割とすると、その2割のみの納税で良い、とする計算方式です。
例えば、330円(消費税10%税込)の商品を売ったとします。このとき、消費税額は30円ですが、納付すべき消費税額は30円の2割である6円だけ、ということになります。
2割特例を利用する方の場合、納付すべき消費税の計算は、2023年10月から12月までの3ヶ月分でOKです。なぜなら、インボイス制度が始まったのが10月なので、それ以降の期間のみ消費税を納付すれば良いからです。
原則課税
「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出する前に、「消費税課税事業者選択届出書」をあえて提出して、その後に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出してしまった方で、「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出していない場合、「原則課税」となります。
個人事業主の方で、2023年にインボイス制度に登録するために消費税課税事業者になった方の場合、あまり該当する方は多くないパターンです。
このパターンが一番計算が面倒です。「原則課税」なので、それぞれの取引ごとに、消費税額を正確に計算しなければなりません。
例えば、110円(消費税10%税込)の商品を売ったとします。このとき、消費税額は10円ですが、仕入れがある場合には、この10円からその仕入れにかかった消費税額を控除できる場合は控除します。
簡易課税
「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出する前に、「消費税課税事業者選択届出書」をあえて提出して、その後に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出してしまった方で、「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した場合、「簡易課税」となります。
個人事業主の方で、2023年にインボイス制度に登録するために消費税課税事業者になった方の場合、あまり該当する方は多くないパターンです。
簡易課税はその名の通り、「簡易」な方法なので、原則課税よりも消費税の計算は簡単です。
簡易課税方式での消費税の計算式は、「納めるべき消費税額=受け取った消費税額-(受け取った消費税額×業種ごとのみなし仕入率)」です。「みなし仕入率」はそれぞれの業種によって異なります。
例えば、一部のサービス業のみなし仕入率は5割です。販売した商品の金額が220円(消費税10%税込)だとすれば、このとき納付すべき消費税額は、「20円 – 20円×0.5」で10円になります。
期限までに確定申告、納税しないと他にも納税が必要になるかもしれない税金
期限までに確定申告、納税しないと他にも納税が必要になるかもしれない税金についてご紹介します。
無申告加算税
確定申告書を期限内に提出しなかった場合、または納税額が未納の場合、無申告加算税が適用されることになります。
ペナルティとしては、納税額が50万円までの部分には15%、50万円を超える部分には20%の加算税が課されます。しかし、税務署の指摘を受ける前に自発的に納税した場合は、加算税率が5%に減少します。これにより、納税者は適切な申告と納税を行うことで、ペナルティを最小限に抑えることができます。
申告期限後1ヵ月以内に自ら申告し、納税額を法定納期内に全額支払っていて、過去5年間で無申告加算税や重加算税の課税歴がなく、または期限内に申告する意向があったと認められる場合は、加算税は免除されます。
不納付加算税
雇用者などから源泉徴収した所得税が納付期限までに支払われていない場合、不納付加算税が課されます。通常、未納税金には10%のペナルティが適用されますが、税務署による指摘前に自ら納付を行った場合は、この率が5%に減少します。この規定は、納税者が期限内に適切な納税を行うことを促すためのものです。
インボイスの消費税はきちんと支払いましょう
以上、インボイス制度の消費税は延納できるかどうかなどについてご紹介しました。
結論としては、消費税は延納できませんので、期日までにきちんと納税しましょう。
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(編集:創業手帳編集部)