個人事業主の専従者も定額減税(調整給付)の対象に!見直された内容や申請方法を解説

創業手帳

当初は対象外だった方も定額減税の恩恵を受けられるように


個人事業主の方は、2025年に行う確定申告を通じて減税措置を受けられます。個人事業主の専従者(事業専従者)は定額減税の対象外となる予定でしたが、一定の条件を満たす専従者も定額減税の対象者となります。

そもそも、定額減税は昨今の物価高による国民生活の負担を軽減するための施策です。定額減税の対象者が拡大されたことで、個人事業主の家計が楽になるメリットが期待されます。

今回は、定額減税の対象となる専従者の要件について解説します。「自分は定額減税の対象にならない」と悩んでいる方に役立つ内容となっているので、ぜひ参考にしてみてください。

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定額減税とは


定額減税は、物価高の影響による国民生活の負担を軽減する目的で設けられた制度です。減税額は納税者本人および扶養家族一人につき、所得税が3万円・住民税が1万円の計4万円です。

会社員や公務員の方は、6月以降の給与や賞与から減税が行われています。一方で、個人事業主の方が減税の恩恵を受けられるのは、翌年の確定申告時です。

定額減税しきれないと見込まれる方に対しては、減税に加えて「調整給付金」という給付が行われます。調整給付金の対象となる方には自治体から確認書が送られ、適宜申請する流れとなっています。

専従者への支払いが決定


定額減税は、納税者本人だけでなく扶養親族も対象です。しかし、個人事業主の専従者は扶養親族に該当しないため、定額減税の対象になりません。

「全員が定額減税の恩恵を受けられないのは不公平」という声もあり、一定の条件を満たす専従者も定額減税の対象者となることが決定しました。

専従者とは

専従者とは、事業主の元で働いている家族従業員を指します。

たとえば、自分が経営している会社で配偶者や子どもが働いている場合、専従者に該当します。また、専従者に支払う給与を「専従者給与」と呼びます。

専従者が対象外だった理由

当初の予定では、専従者は定額減税の対象外でした。税法上、青色申告者の事業専従者として給与の支払いを受ける人または白色申告者の事業専従者である人は、扶養親族にはなれないためです。

つまり、専従者がいる個人事業主は家族分の定額減税を受けられず、他の人と比べると得られるメリットが少ない問題点がありました。

専従者自身に所得税や住民税が発生する場合は本人が定額減税を受けられますが、専従者給与が年収100万円以下の場合はそもそも所得税と住民税が発生しません。

減税する税金がそもそも存在しないため、この場合も定額減税の対象外となってしまうのです。

定額減税を受ける専従者の要件

不公平感を指摘する声もあり、専従者も定額減税の対象となるように制度が変更されました。内閣官房の資料によると、以下の要件に該当する方は定額減税(調整給付金)の対象となります。

  • 所得税及び個人住民税所得割ともに定額減税前税額がゼロ(≒本人として定額減税対象外)
  • 税制度上、「扶養親族」から外れてしまう(≒扶養親族等としても定額減税対象外)
  • 低所得世帯向け給付(令和5年度非課税給付や令和6年度非課税化給付など)対象世帯の世帯主・世帯員に該当していない

つまり、「所得税、個人住民税所得割の税額がないことによって本人としての定額減税が受けられない専従者」や「扶養親族等としての定額減税の対象にも制度上含まれない専従者」が、定額減税の対象として追加されます。

以上に該当する場合、4万円(所得税で3万円・住民税で1万円)の減税を受けられます。調整給付(不足額給付)の対象となるため、厳密にいえば「減税」ではなく「給付」の対象となると言ったほうが適切かもしれません。

ただし、当初から調整給付の対象となる方や低所得世帯向け給付(住民税非課税世帯への給付等)を受給している方は対象外です。

なお、専従者の方が調整給付を申請する際には、原則として本人が自治体に申請する必要があります。自治体から確認書が送付され、本人が返送して申請する流れが想定されています。

自治体によって、給付される時期や給付までの流れが異なり、本人による申請が不要なケースもあります。具体的な申請方法については、住んでいる自治体に確認しましょう。

パート・アルバイトの一部対象外だった方への支払いも決定


専従者だけでなく、パート・アルバイトで定額減税が対象外だった方へも、調整給付が支給されることが決定しました。

パート・アルバイトで年収103万円を超える方に関しては、定額減税において扶養親族に該当せず本人が定額減税を受けられます。

しかし、各種控除を差し引いて所得税額と個人住民税所得割が0円となる場合は、そもそも減税対象となる税金がありません。当初は、このような「各種控除を差し引いて所得税額と個人住民税所得割が0円となる人」は定額減税の対象外でした。

しかし、専従者と同様に不公平感を指摘する声があり、パート・アルバイトで定額減税の対象外となる予定だった方に対しても、1人あたり4万円(所得税で3万円・住民税で1万円)の調整給付(不足額給付)が支給されることとなりました。

ただし、当初から調整給付の対象となる方や低所得世帯向け給付(住民税非課税世帯への給付等)を受給している方は給付対象外です。

また、専従者と同様に給付される時期や給付までの流れは自治体によって異なるため、詳細は住んでいる自治体に確認してみてください。

専従者の定額減税(調整給付)に関するよくある質問

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定額減税は複雑な制度なので、不明点や疑問点がある方もいるでしょう。

以下で、専従者の定額減税(調整給付)に関するよくある質問を紹介します。

Q.調整給付について、事業主が行う手続きはありますか。

調整給付については、自治体で事務が行われるため事業主が行う手続きはありません。

会社員や公務員の方のように、給与から減税する措置は不要です。自治体から対象者の方に案内が届くため、詳細は自治体に確認しましょう。

Q.調整給付の「当初給付」と「不足額給付」の違いは何ですか。

調整給付は、定額減税で税金を引ききれないと見込まれる方への給付ですが、「当初給付」と「不足額給付」には以下のような違いがあります。

  • 当初給付:個人住民税が課税される市区町村において、2023(令和5)年の所得状況(所得税・個人住民税)に基づき、定額減税で引ききれないと見込まれる方へおおむねの額が支給される
  • 不足額給付:個人住民税が課される市区町村において、2024(令和6)年分の所得税と定額減税の実績の額が確定したあと、当初給付では不足する金額があった場合に追加で給付される

不足額給付を計算するためには、2024(令和6)年分の所得税と定額減税の実績を確定する必要があるため、実際に支給されるのは2025年以降となる予定です。

Q.調整給付を受け取るために申請は必要ですか。

当初給付と不足額給付のいずれの場合も、支給対象者には自治体から確認書が送付される見込みです。

確認書の記載内容を確認し、必要事項を記入したうえで返送する流れが想定されています。ただし、自治体によって申請の流れは異なるため、詳細は自治体に確認しましょう。

まとめ

定額減税の制度が見直され、当初は対象外だった専従者や一部のパート・アルバイトの方も対象となります。

特に、個人事業主の専従者で定額減税の恩恵を受けられず、不公平感を感じていた方も多いのではないでしょうか。制度の見直しに伴って定額減税の対象となるため、忘れずに申請を行いましょう。

なお、申請の方法は自治体によって異なります。本人による申請が原則となっていますが、給付の時期や具体的な流れは自治体によって異なるため、詳細はお住まいの自治体に確認してみてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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