失敗しないサウナ開業の準備!必要となる資金や手順、資格をチェックしよう

創業手帳

準備を進めてサウナ開業で成功するためのポイントをおさえよう


近年サウナブームの到来により、サウナ施設の開業を目指す人も増えています。サウナ開業で成功するためには、綿密に計画を立ててしっかりと準備を進めることが大切です。

特に資金計画は十分に検討し、必要に応じて補助金や融資を活用できるようにしておいてください。

今回は失敗しないためのサウナ開業について、気になる資金や手順、資格についてご紹介します。今後サウナ開業を目指している方は、ぜひ参考にしてみてください。

起業を検討中の皆様によく受けるご質問で、「起業を考えているけど、必要な準備って何」というお悩みを多く頂きます。そのような声から創業手帳では、起業予定日を起点に前後1年において必要なことをカレンダー形式でチェックできる「創業カレンダー」をご用意。起業の成功率は事前準備で大きく変わるという説もあるので、準備はこちらを参考に進めて頂ければと思います。


創業カレンダー

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サウナ開業のメリット


サウナ施設は、単純にブームの影響で集客を見込めることだけがメリットではありません。ほかの業態と比較してどのようなメリットがあるのか、解説していきます。

固定客がつきやすい

サウナはほかの業態に比べて固定客がつきやすいというメリットがあります。いくら集客があったとしても、リピート率が低ければ安定した売上げにはつながりません。

サウナは気に入った施設であれば週1~3回の高い頻度で通ってくれる常連客もいます。
また、サウナは専用の検索サイトなども存在しており、SNSなども通じて口コミが広まりやすい環境が整っています。
そのため、固定客がおすすめしたことで新たな見込み客を集めることも可能です。

融資を受けられれば自己資金なしでも開業可能

サウナを開業するにあたって、融資制度を活用することも可能です。日本政策金融公庫では、新たに事業をスタートさせる方に向けて「新創業融資制度」を提供しています。

新たに事業をはじめる方や事業開始から税務申告を2期終えていない方を対象に、最大3,000万円(うち運転資金が1,500万円)まで支援してもらえます。
新創業融資制度は要件として「創業時に必要な資金総額の10分の1以上の自己資金が必要」とあるため、自己資金を用意しなくては利用できないと考える方も多いです。
しかし、例外として以下の要件に該当する人は、自己資金なしでも融資を支援してもらえる可能性があります。

例えば、以下2つの要件のいずれかに当てはまると、自己資金なしで利用できます。

  • 勤務経験のある企業と同じ業種の事業をはじめる人(勤務経験通算5年以上)
  • 創業塾やセミナーなど(特定創業支援等事業)を受けてから事業をはじめる人

新創業融資制度は自己資金なしでも利用できるだけでなく、低金利で担保・保証人が原則不要となっています。創業者にとってメリットの多い融資制度です。

サウナ開業のデメリット


サウナ施設を開業するメリットはあるものの、その一方でデメリットになる点も存在します。ここでは、サウナ開業のデメリットのご紹介です。

ランニングコストが必要

サウナ開業のデメリットとして、ランニングコストの負担が挙げられます。

  • 水風呂やシャワーにかかる水道代
  • サウナ室を暖めるための燃料代
  • 施設全般の運営に欠かせない電気代や人件費 など

これらのランニングコストが毎月かかり、大きな負担になってきます。創業後すぐに集客が見込めないと赤字につながる可能性も高いです。
融資を受ける際は6カ月以上の運営費用を見積もり、余裕のある資金調達ができるよう準備することが大切です。

競合店が増えている

サウナブームから多くの新規参入・出店により、サウナを提供する店舗が続々と登場しています。
特に東京・大阪といった都市部では出店数も多く、サウナ激戦区と化している状況です。

サウナブームは今も継続しているものの、いくら需要が多くても競合店も増えているため、顧客が分散されてしまいます。
また、競合が多いエリアに出店すると価格競争が起きやすく、最終的に赤字が続いた結果、廃業せざるを得ない状況に陥るかもしれません。

これからサウナ施設を開業しようと考えた場合、競合店に負けない強みやユーザーに寄り添ったコンセプト・施設づくりが重要になってきます。

サウナ開業に向けて必要となる資金


サウナ施設の開業を考えた時、どれくらいの資金が必要となってくるのか事前に把握しておくことも大切です。
ここからは、サウナ開業に必要な資金と補助金・融資制度についてご紹介します。

初期費用

サウナ施設の開業時にかかる初期費用は、店舗の規模や立地、サウナの種類によっても異なりますが、具体的にどのような費用内訳となってくるのでしょう。
まずは、サウナ施設の初期費用についてご紹介します。

施設の建築費用

サウナ施設を新たに建てる場合、建築費用がかかってきます。
施設にはサウナ室以外にも水風呂やシャワー、外気浴ができる場所、さらに受付や休憩所、トイレなども必要です。
そのため、ある程度物件の広さを確保しなくてはならないことがわかるでしょう。
一般的なサウナ施設でも、坪単価は180万~200万円とされています。延床面積50坪でも9,000万~1億円はかかる計算です。

ただし、この費用はあくまで目安であり1億円以上かかることもあれば、安く抑えることも可能です。
例えば、都心部だと立地の影響で土地の取得費などが高くなってしまいますが、湖や川沿いで行うサウナなら水風呂を設置する費用が浮きます。

サウナ設備で費用がかかりやすい部分

サウナ施設に導入する設備の中でも費用がかかりやすいのは、サウナ室内の造作や水風呂です。
サウナ室のベンチや壁に用いられている木材は様々な種類が用いられていますが、より良いものを選ぼうとするとその分費用がかかってしまいます。
また、水風呂でも循環ろ過機や冷却水循環装置といった設備を導入する必要があり、サイズや仕様によっては水風呂だけでも1,000万円を超えてしまう可能性が高いです。

ランニングコスト

サウナ施設を開業した場合、毎月ランニングコストがかかってきます。主な項目は以下のとおりです。

  • 家賃
  • 人件費
  • 水道光熱費
  • 消耗品費(タオル、シャンプー・リンス、石鹸など)
  • 雑費(事務の消耗品、広告費、修繕費、メンテナンス費など)

特にサウナ施設ということもあり、水道光熱費はかなり多くかかることになります。
一般的に温浴施設だとひとりあたりにかかる水道光熱費は300円が目安とされているため、例えば1日50人が利用した場合、水道光熱費は月45万円かかることになるのです。

サウナ施設は、初期費用もランニングコストも高額になりやすい業態といえます。
これらの費用がかかることを念頭に置きつつ、収益を見込めるような事業計画を立てる必要があります。

資金調達時には補助金や融資を活用できる

サウナ施設を開業したくても、初期費用からランニングコストまで多額の資金を必要とするため、自己資金だけだと予算が足りなくなる可能性もあります。
そこで開業資金を準備するために補助金制度や融資制度を活用してみてください。

銀行からの融資

資金調達の方法として一般的なのは、銀行から事業用資金を融資してもらう方法です。
銀行からの融資は金利が低めで限度額も大きく、多額の資金が必要なサウナ施設の開業では大きなメリットとなります。

ただし、貸し倒れのリスクを防ぐために審査が厳しく、また時間をかけて審査を行うため融資を受けられるまで2週間~1カ月半前後はかかるとされています。
さらに、担保や保証を求められることもある点はデメリットです。

銀行から融資を受けるためには事業計画書の作成と返済能力の証明が必要です。将来の見通しも含めて細かく事業計画を策定し、返済計画に無理がないかを示します。
また、融資を受けすぎてしまうと返済が苦しくなる可能性が高いため、財務状況なども考慮した上で適切な借入れ金額を設定してください。

事業再構築補助金

事業再構築補助金とは、新型コロナウイルスの影響で売上げや需要の回復が難しい中で、これからの経済社会の変化に対応できるよう、中小企業などの事業再構築をサポートするための補助金制度です。
対象の業態が幅広く、サウナ施設にも適用できる場合があります。事業再構築補助金を受けるためには、2つの必須要件をクリアしなくてはなりません。

・事業計画で認定経営革新等支援機関から確認を受けている
事業者が再構築指針に沿って作成した事業計画を、認定経営革新等支援機関から確認してもらいます。
認定経営革新等支援機関に該当するのは、国から認定を受けた税理士法人や公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関などです。
さらに、補助金額3,000万円以上の場合、金融機関からも確認を受けることになります。ただし、認定経営革新等支援機関に属する金融機関に確認してもらった場合は1回の確認で問題ありません。

・付加価値額を向上させる
補助事業が終わってから3~5年で付加価値額(営業利益・人件費・減価償却費を足した金額)の年率平均3.0~5.0%以上の増加、または従業員ひとりあたり付加価値額の年率平均3.0%(同5.0%)以上の増加が達成できる見込みがある場合、要件をクリアできます。

自治体による補助金制度

地方自治体の中には独自の補助金制度を設けているところもあります。出店を予定している地域には補助金制度があるか確認してみてください。

補助金制度の中にはサウナ施設に関連するものもあります。
例えば、大分県の豊後大野市では「アウトドア・サウナ施設等整備事業補助金」です。
サウナ施設を実施する事業者に対して施設などの導入に必要な費用の一部を補助してもらえます。

また、鳥取県ではサウナを活用したイベントの開催や観光メニューの造成などに対する支援として「とっとりサウナツーリズム促進イベント開催等支援事業補助金」を用意しています。
開業資金を補助する目的ではないものの、サウナイベントを開催して集客率アップを目指している方はぜひ活用を検討してみてください。

サウナ開業に資格は必要?


サウナ施設を開業するにあたり、取得すべき資格はあるのか気になる方もいるかもしれません。ここではサウナ開業における資格について解説します。

必須の資格はない

結論からいえば、サウナ開業で必要な資格は特にありません。ただし、競合店との差別化を図りたい場合は専門資格を取得しておくとアピール部分につながります。

例えば日本サウナ・スパ協会が運営する「サウナ・スパ健康アドバイザー」「サウナ・スパプロフェッショナル」は、厚生労働省も後援している資格です。
特にサウナ・スパプロフェッショナルは健康アドバイザーの上位資格であり、サウナ・スパ施設に関する専門的な知識を身に付けられます。

営業許可申請は必要

資格はいらないものの営業許可の申請は行う必要があります。サウナ施設の場合、以下2つの許可申請が必要です。

  • 公衆浴場法に基づく設備基準に関しての許認可申請
  • 火を使用する設備等の設置(変更)届

公衆浴場法に基づく許認可申請は保健所へ、火を使用する設備等の設置届は設置する7日前までに消防署へ申請します。
営業許可を取得する際には立地の規定や構造基準、衛生管理基準などがきちんと適用されているかも重要となってきます。

そのため、計画の時点で施設の平面図を持参し、一度保健所へ相談してください。

サウナ開業の手順


サウナ施設を開業したいものの、具体的にどのような流れで準備を行えば良いのかわからない方もいます。そこで、サウナ開業の流れと手順についての解説です。

開業するサウナの種類を決める

まずはどのようなサウナ施設を開業するのか、コンセプトやサウナの種類を決めます。まずはコンセプトを明確にして、ターゲットのニーズに合うサウナを決めてください。

サウナは種類ごとにそれぞれ特徴が異なります。

  • ドライサウナ
  • スチームサウナ
  • ミストサウナ
  • 個室サウナ など

ドライサウナは銭湯などでよく見られる種類であり、たくさんの汗をかけるのが魅力です。
スチームサウナやミストサウナのような湿式サウナは、ドライサウナよりも低温高湿なので、肌や髪が乾燥して傷むこともありません。
個室サウナは一般的なサウナとは異なり、個人利用はもちろん家族や友達同士で利用することが可能です。

物件を決める

次に物件選びに入ります。アクセスしやすいかどうかで集客にも影響が出てきやすいでしょう。
ただし、駅近物件や繁華街にある物件はその分土地の取得費や家賃も高額になってしまうので注意が必要です。

また、サウナ施設として利用できる物件は少なく、オーナーと交渉しなくてはならない場合もあります。
避難路の設置や室外機・ろ過器の設置なども必要となるため、物件探しと同時にサウナ施設を建築した実績のある施工会社も探してください。

事業計画書を立てる

融資や補助金を受けるために、事業計画書の作成が必要です。
出店を予定している地域周辺にサウナ施設・温浴施設がどれくらいあるのかを確認し、新規で出店する需要はあるのかを分析します。
さらに競合店と比較した場合の強み・弱みも分析し、どうすれば勝てるのか考えなければなりません。

また、サウナ施設を開業するにあたってどれほどの資金が必要になってくるかも算出しておくことが大切です。
売上高や経費、返済額なども試算し、収益がどれくらい見込めるのか割り出しましょう。

書類を準備する

サウナ施設を開業する1カ月前までには、必要な書類を準備して保健所に提出する必要があります。保健所への提出が必要な書類は以下のとおりです。

  • 公衆浴場営業許可申請書
  • 構造設備の概要書
  • 建物の平面図およびその諸施設の配置図
  • 付近見取り図
  • 建築基準法に基づく検査済証の写し
  • サウナ室の展開図
  • 消防法令適合通知書

これらの書類は2部ずつ用意しておきます。

申請の手続きを行う

保健所に必要書類を提出したら、消防法・建築基準法の申請手続きも進めてください。消防機関などと連携を取りつつ、サウナ施設の設計・施工が行われます。
地域によって異なりますが、施工中に中間検査が行われることもあります。

サウナ施設の検査にクリアする

サウナ施設の施工がすべて完了すると、設備の基準をクリアしているかどうか保健所が調査します。この時、建築基準法に基づく検査済証の写しも必要なので準備しておいてください。
万が一設備に不備があった場合、指摘を受けた箇所は速やかに修繕し、報告するようにしてください。

営業許可を取得する

施設の検査をクリアし、提出書類にも不備が見られなければ約2週間で営業許可書を取得できます。
営業許可を取得してからは、経営者の名前や法人名の変更などを行う場合、変更後10日以内に管轄の保健所へ届け出の提出が必要となります。

まとめ・資金や手順を理解してスムーズなサウナ開業を目指そう

サウナ開業は営業許可申請が必要となるものの、特別な資格を取得する必要はありません。
サウナ人気は年々高まっていることから、開業することで多くの集客も見込めるでしょう。
ただし、サウナ施設を開業するには多額の初期費用とランニングコストが必要です。そのため、資金調達が行えるよう準備を進めてください。


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(編集:創業手帳編集部)

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