NPOの資金調達にはクラウドファンディングがおすすめ!メリットや注意点を解説

資金調達手帳

NPO法人の資金調達方法は寄付金や会費だけではない!


NPO法人(特定非営利活動法人)は、株式会社や合同会社と同じく法人団体に含まれるものの、利益を追求しない活動を行っています。
ただし、いくら非営利活動が中心といえども、活動には資金が必要です。
NPO法人の主な資金源には正・賛助会員からの会費や寄付金、助成金などが挙げられますが、近年は「クラウドファンディング」の活用もみられるようになりました。

そこで今回は、NPO法人の資金調達方法として、クラウドファンディングを活用するメリットや注意点を紹介します。
クラウドファンディングで資金調達を行うことのメリットや、クラウドファンディングの活用方法をまとめて解説しているので、ぜひ参考にしてください。

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クラウドファンディングの特徴


まずはクラウドファンディングの特徴や仕組み、種類について説明します。

不特定多数からWeb上で資金調達できる

クラウドファンディングとは、不特定多数の人からWeb上で資金調達を行う活動を指します。
特定の人や組織からの大口寄付を募るのではなく、多数の人から小口での資金を募るのが基本です。
クラウドファンディングを行う際には、支援を受けたい資金調達者がクラウドファンディングサイトを活用し、活動内容や資金用途などを紹介します。
その内容に賛同した支援者はサイトを通じて資金調達を行います。サイトから一定の手数料は差し引かれてしまうものの、多くの人から資金を集めることが可能です。

5種類に分類される

クラウドファンディングは主に5種類に分類することが可能です。

  • 購入型(非投資)
  • 寄付型
  • 融資型
  • 投資型
  • ファンド型

購入型はクラウドファンディングの中でも一般的なもので、出資者はリターンを購入して出資を行います。
一方、融資型のリターンは分配金や株式です。他方の投資型は企業が実施するもので、非公開株の提供をリターン代わりとしています。
また、ファンド型も投資型と同様に企業が実施し、特定の事業に対して投資家から出資を募ります。
NPO法人が利用できるクラウドファンディングは寄付型のみです。寄付型は商品やサービスなどをリターンに設定することはできません。

NPO法人が寄付型クラウドファンディングで資金調達するメリット


ここからは、寄付型クラウドファンディングで資金調達するメリットを紹介します。

通常の寄付より多くの人に認識してもらいやすい

従来、寄付金を集める場合には、街頭に出て募金活動をするケースも多くみられました。
一方、寄付型クラウドファンディングであればプラットフォーム上で寄付を募れるため、街頭などで募金活動をしなくても多くの人に認識してもらえます。
いくら社会に貢献する魅力的な活動内容だったとしても、認識されなければ資金調達はできません。多くの人に認識してもらえれば、寄付金も集まりやすくなります。

オンラインで気軽に寄付を募れる

インターネット上で寄付の手続きがすべて完了することから、誰でも気軽に寄付ができるメリットもあります。
国や活動団体に寄付をしたいと考える人の中には、寄付のハードルが高いと感じている人もいます。
しかし、クラウドファンディングサイトを利用した寄付では、オンライン上ですべて手続きが完了するため、街頭に立っているよりも気軽に寄付してもらえる可能性が高いです。
なお、プラットフォームの中には、住所や氏名などを一切明かさずに匿名で寄付できるものもあります。

担保なしで利用できる

NPO法人の資金調達方法として、銀行からの借入れ(融資)もあります。銀行からの借入れする場合には、一定の自己資金や担保が必要です。
一方、クラウドファンディングの場合、担保を用意しなくても資金調達を行えます。
また、クラウドファンディングなら返済が不要で、調達できる資金の上限もありません。
担保の用意が難しい場合は、銀行からの借入れよりも寄付型クラウドファンディングで資金調達を行うのがおすすめです。

目標金額以上の資金が集まることもある

寄付型クラウドファンディングでは調達できる資金の上限がありません。
そのため、多くの人から活動に共感してもらえれば、目標額以上の資金が集まることもあります。
目標金額を超えた状態でも、さらに寄付金を募れる「ネクストゴール」という機能もあり、うまく活用することによって目標金額以上の資金を手に入れることも可能です。

節税効果が期待できる

寄付型クラウドファンディングで得た寄付金に対しては税金が発生しますが、金額や支援者によって控除を受けることも可能です。
個人から寄付を受けた場合には贈与税の対象になる恐れがありますが、年間110万円までなら基礎控除を受けられます。
例えば、50人から4万円ずつ寄付してもらい、合計で200万円の資金を調達できたとします。
ここから基礎控除の110万円を差し引いた90万円が課税対象です。

また、法人から受け取った金額は一時所得になって課税対象となりますが、50万円以下なら控除を受けることも可能です。
50万円以下だと控除だけでなく確定申告も不要になります。

寄付型クラウドファンディングで資金調達する際の流れ


寄付型クラウドファンディングで資金調達するためには、大まかな流れを把握しておくことが大切です。
ここでは、寄付型クラウドファンディングによる資金調達の流れを紹介します。

1.プロジェクトの目的・目標を決める

まずはプロジェクトの目的と目標を決定するところから始めます。
プロジェクトの目的や目標が曖昧であれば、寄付を考えている人に対して活動の理念やメリットをうまく伝えきれずに終わってしまいます。
特に、寄付型クラウドファンディングは購入型とは異なり、具体的なリターンがありません。
支援者にアピールできるよう、目的や目標を明確にしておくことが大切です。

2.どの寄付型クラウドファンディングサイトを利用するか選ぶ

プロジェクトの詳細な内容が決まれば、利用する寄付型クラウドファンディングサイトを選びます。
クラウドファンディングサイトには様々なものがありますが、NPO法人の活動に共感する支援者が多いサイトを選ばなくてはなりません。
なお、寄付型クラウドファンディングサイトを選ぶ時は、以下のポイントを押さえてください。

  • 多くのユーザー数が利用しているか
  • サイトのユーザー属性とプロジェクトが合っているか
  • プロジェクトや活動内容、理念が似ている成功事例はあるか など

 

3.プロジェクトページを制作する

利用するクラウドファンディングサイトが決定して審査に通過すれば、会員登録を行いプロジェクトページを制作します。
プロジェクトページに掲載する主な情報は、以下のとおりです。

  • プロジェクトのタイトル・概要
  • 目的
  • 目標金額
  • 寄付金の用途
  • お礼について
  • 問い合わせ先

プロジェクトページを制作する際は、テキストのみであれば読みにくいため、画像や動画などを駆使して視覚で訴えることがおすすめです。
専門用語をなるべく使わないように配慮し、専門用語に対する説明を加えるなどしてわかりやすいページに仕上げていきます。

4.プロモーション戦略を実施する

プロジェクトページの制作と同時に進めておきたいのが、プロモーション戦略です。
いくら共感しやすいプロジェクトページを作ったとしても、多くの人から認識してもらえなければ意味がありません。
クラウドファンディングサイトに掲載されれば認知度が上がりますが、より多くの人に情報を届けて資金を募りたい場合には、プロモーション戦略を実施する必要があります。

例えば、YouTubeなどの動画プラットフォームや、拡散力が高いSNSなどを活用することで、より多くの人に情報を届けられます。
クラウドファンディングサイトの中にはSNSによる配信をサポートしているところもあるので、事前に確認してみましょう。

5.プロジェクトを開始する

プロジェクトページが完成し、プロモーションの準備ができたらプロジェクトを開始します。
プロジェクトページを公開したら、プロモーション戦略で計画を立てたとおりに支援者を募ります。活動の様子を見て積極性が伝われば、自然と支援者も増えていくでしょう。
なお、プロジェクト開始後は進捗状況を把握し、支援者や支援金額がどれくらいになっているか確認するようにしてください。

6.定期的な報告と支援の促しを図る

プロジェクト期間中は何もしなければ支援者の数を増やすことができません。支援者を増やすためには、定期的な報告と支援の促しを図ることが大切です。
例として、プロジェクトの進捗報告を定期的に行うようにします。
支援者は寄付したプロジェクトが確実に成功するかどうかを気にかけています。あまり進捗状況が良くなかったとしても、正直に報告を行ってください。

また、支援の促しを図るために情報発信を行うことも大切です。SNSや自社サイトなどから情報を発信し続ければ、新規の支援者を獲得できる可能性が高まります。

7.目標額に達したら支援者にアフターフォローを行う

設定した目標額に達した場合、プロジェクト完了となります。プロジェクト完了後は、支援者に寄付の使用用途を報告し、プロジェクト成功に対する感謝の気持ちを伝えましょう。
寄付型クラウドファンディングは、購入型と異なり商品やサービスなどのリターンはないものの、その後の活動報告やお礼の手紙などを提供するなどして、支援者にアフターフォローを行うケースも少なくありません。
支援者と信頼関係を構築することによって今後の活動にも良い影響をもたらす可能性があるため、アフターフォローは十分に行うようにしてください。

NPO法人がクラウドファンディングを活用する際の注意点


NPO法人がクラウドファンディングを活用する場合、以下の注意点に気を付ける必要があります。

使途の透明性を強く求められる

寄付型クラウドファンディングにはリターンがありません。
支援者はプロジェクトの内容や進捗状況を重視していることもあり、支援金の用途の透明性が強く求められる傾向にあります。
被災者に対する支援活動のために資金を募るプロジェクトであれば、支援者は被災者の助けになりたいという想いから支援を行います。
支援したお金がどのように被災者に対して役立てられるのか不透明であれば、SNSなどで炎上するリスクもあるので注意が必要です。

なお、使途の透明性を保つには、資金使用報告書を作成して支援者に定期的に公開するのがおすすめです。
また、支援金の用途に対して詳しい説明や実績報告などを行うことで、支援者からの信頼を得やすくなります。

目標金額達成まで時間がかかる場合がある

寄付型クラウドファンディングは支援者に経済的なリターンがないため、購入型よりも支援者が集まりにくい傾向にあります。
いくらプロジェクトに対して共感していても、リターンがなければ支援を受けられないことも少なくありません。
また、支援者が少なければ、目標金額に達成するまで時間がかかってしまう場合もあります。
クラウドファンディングで資金調達を行う場合は、早めに準備を進めておくことが大切です。

対価性・任意性に注意する

受け取った支援金が寄付金として認められるためには、対価性と任意性という2つの条件を満たしている必要があります。
対価性とは、支援者に対するリターンに市場価値があった場合、「対価性があるため寄付にはならない」と判断されてしまいます。
一方、支援金を出さなければリターンが得られない場合、「任意性がないため寄付ではない」と判断されるでしょう。
もし寄付金ではないと判断されてしまうと、受け取った支援金に対して法人税や消費税が課されます。

法人税の課税対象になり得るケース

寄付型クラウドファンディングによって得た支援金は、通常であれば「受取寄付金」となり、収益事業には当てはまらず、法人税の課税対象外となります。
ただし、リターンの性質によっては商品・サービスの販売と捉えられてしまう可能性があります。
例えば、NPO法人の活動が地域活性化を目的とするものであり、普段から特産品の販売を行っている場合には、収益事業に当てはまる可能性が高いです。
その事業にリターン品が類似している場合は、法人税の課税対象になります。

ただし、日常的に物品販売を行っていない場合、リターン品があっても収益事業として該当しない可能性もあります。
リターン品が礼状やサイトに支援者の名前を掲載する程度なら寄付になりますが、商品価値のあるものをリターンで提供してしまうと、法人税の課税対象になることに注意してください。

消費税の課税対象になり得るケース

リターンに対価性がなければ消費税課税の対象外ですが、対象になってしまうケースもあります。
例えば、リターン品の商品価値がわずかだった場合には寄付金として扱われ、消費税課税の対象外です。
一方、商品価値があって物品販売に該当した場合には消費税が課税されます。商品と支援が区別できていなければ、消費税の課税対象となることに注意してください。
なお、継続して物品販売を行っていない場合は、法人税の課税対象になっていなくても、消費税に関しては課税される可能性があります。

まとめ・NPO法人の資金調達方法として寄付型クラウドファンディングも活用しよう

寄付型クラウドファンディングは、非営利組織として活動するNPO法人の資金調達方法としてメリットを多く受けられる方法です。
ただし、リターン品の対価性に気を付けなければ、法人税や消費税の課税対象となってしまうことに注意してください。
リターンがなくても支援したくなるようなプロジェクトの見せ方や活動報告を徹底しましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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