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2022年4月6日株式会社CROSS SYNC 髙木 俊介|重症患者管理アプリケーション開発の事業が注目の企業
重症患者さんたちの状態を管理し、関係者全員で共有できるアプリケーション開発事業で注目なのが、髙木俊介さんが2019年10月に創業した株式会社CROSS SYNCです。
医療従事者の皆さんは今この瞬間にも、入院中の患者さんのケアに最新の注意と配慮をして下さっています。
24時間365日体制で常に患者さんに寄り添い、その体調のわずかな変化や異変を観察、記録、把握することは症状の重篤化、急変の予兆を見つけることにも繋がり、患者さんの命を守る上で大変重要なポイントとなります。重症患者さんの場合であればなおのことです。
しかし近年、医療界においても人手不足問題や働き方改革の波が押し寄せており、かたや高齢化、生活習慣病羅漢者や新型感染症羅漢者の増加等も相まって、入院者数および重篤患者数は増加傾向にあります
医療従事者たちは限られた人員総動員で、骨身を削り日夜それぞれの業務にあたり、最大限の努力と配慮をもって奮闘していますが、それでも全てに対応しつくすことが難しい状況になってきているのです。
また、一人の患者さんに関わる医療従事者は多数いる為、その関係者全員が常にリアルタイムに患者さんの状況を同じように把握できるようにしておくことが難しかったりもします。
患者さんの側も、自分の体調の変化に何となく気付きながらも、それを声に出来なかったりうまく伝えきれなかったりすることもあるでしょう。
これから先も一人一人の大切な命を守るため、医療従事者の負担を極力軽減しつつ、関係者全員で患者さん一人一人の状況を把握・共有し、患者さんからのSOSを見逃さない体制を整えていくことが求められています。
こうした課題に対処すべく、特に重症患者さんや急性期患者さんの症状度合いを自動で判定し、必要なタイミングで必要な処置を的確に行えるようにするアプリケーション開発に、今注目が集まっています。
株式会社CROSS SYNCの事業の特長は、創業者でもある、現場経験豊富な医師が自ら研究し、独自開発したアルゴリズムによって、患者さんの重症度を自動で判定し、関係者全員で共有できる仕組みを提供している、という点です。
株式会社CROSS SYNCの髙木俊介さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。
・このプロダクトを開発するに至った経緯について教えてください。
研修医時代に担当した患者さんの急変に立ち会ったエピソードが事業開発のきっかけとなっています。
患者さんは手術を受ける前日から不安を訴えていたのですが、医療従事者は急変の予兆には気づいていませんでした。手術を終えた患者さんが病棟に帰室した際に、心筋梗塞による心肺停止となってしまい、蘇生行為を行いましたが、1週間後に亡くなりました。手術前に不安を訴えていたのは、心筋梗塞の前兆を感じていたのかもしれなかったのですが、医療従事者は察知することができませんでした。その時に患者さんを救えなかった経験から、同様の状況が起きた際に患者さんを救えるような医師になりたいと強く思い、そこから救急、集中治療の道を目指すことにしました。
現在まで20年ほど急性期の医療現場にいますが、同様の急変事例は現在も起きています。そこには医療現場のリソース、モニタリング、予兆アラートの仕組みなどの不足が挙げられます。
こうした課題を解決する目的で、患者さん情報を用いた重症度を判定するアルゴリズムの構築を研究として行っていました。
・このプロダクトの特徴は何ですか?
複数患者の病態を把握するために、複数の医療情報を集約して、患者さんの重症度を自動で判定する仕組みとなります。
従来、患者さんの医療情報は電子カルテを確認して、患者さんの重症度を把握をしていました。弊社で作っているプロダクトは、血圧、心拍、体温などのバイタルサインと患者さんの画像情報を収集して、自動的に重症度判定を行い、医療従事者間で共有することを目的として作られています。
従来までは、医療従事者がマニュアルで評価していた全身状態の重症度評価を、弊社のプロダクトにより自動的に繰り返し判定し続けることが可能となり、更に患者さん
の側にいない状況でも重症度評価の把握が可能になることです。
・どのような方にこのサービスを使ってほしいですか?
重症患者を管理する医療従事者に使っていただきたいと思います。重症患者さんの管理には、医師、看護師、臨床工学技士、理学療法士、薬剤師、栄養士、医師事務作
業補助者など多職種が関わります。これらの職種のすべてのメンバーに活用して欲しいと考えています。
また将来的には、患者さんや患者さんのご家族にも自分達の病態のステータスが把握できるような仕組みに繋げていきたいと考えております。
・このサービスが解決する社会課題はなんですか?
高齢化が進む日本において、様々な疾患を抱えた重症患者さんは増加傾向にあります。
一方で、医師の働き方改革の流れなどもあり、医療提供体制の充実に関しては効果的な改善策がありません。
医療提供体制が不足している現状の中で、情報共有不足により多くのインシデントや急変が生じてしまっています。
これらの諸問題を解決に導くプロダクトが「iBSEN」です。
・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?
医療現場での勤務を続けている中で創業をしたため、創業に必要な業務に十分に時間を割くことができませんでした。
そのため、会社を運営する上で必要な業務整理や組織設計に時間がかりました。
運営するメンバーを勧誘をすることから始めましたが、実績がないベンチャーに入ってくれる人を探すのには労力がかかりました。しかし、粘り強く、繰り返し事業や将来のビジョンを伝え続けることで人が徐々に集まってきました。
何事も障壁を乗り越えるには、『ビジョン』と『熱意』が重要だと再確認しました。
・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?
医療に関わる患者さん、医療従事者が笑顔で支え合いながら病気を克服していくような世界を作っていく支援をする会社にしたいと思っています。
そのために、医療現場における情報共有を推進することで、医療従事者と患者さん、医療従事者間のコミュニケーション、団結力が増えていくことをサポートしていきたいです。
・今の課題はなんですか?
多様な職種が集まって事業を行っている為、メンバー間でビジョンの共通認識を持つのに時間がかかると感じています。
また、サービスを導入する現場のスタッフや患者さんへの認知向上も必要であり、これらを粘り強く伝えていくことが必要と考えています。
・読者にメッセージをお願いします。
新しい取り組みをしていく際には、事前に立てた戦略や計画の一部は上手くいかないことがあると感じています。
取り組みを始めた中で出てきた課題を元に、新たに戦略を立てる事を創発的戦略といいます。
起業するということは失敗や壁に当たることの連続だと思います。そこでの課題を如何に乗り越えていくか、逆境をポジティブに捉えて成長のための糧だと考えられるかというマインドが重要だと思っています。
困難を乗り越えて事業や人が成長していくのはやり甲斐のあることなので、是非新たな取り組みに挑戦してみていただければと思います。
会社名 | 株式会社CROSS SYNC |
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代表者名 | 髙木 俊介 / 植村 文彦 |
創業年 | 2019年10月 |
社員数 | 10名 |
資本金 | 7833万円 |
事業内容 | 重症患者管理アプリケーション開発 医療現場の調査、システム販売、運用保守含め、コンセプト設計から導入、運用保守含むトータルコンサルティングサービス提供 |
サービス名 | 重症患者管理システム「iBSEN」 |
所在地 | 本社:〒236-0004 神奈川県横浜市金沢区福浦3-9 横浜市立大学 福浦キャンパス臨床研究棟 A507室 オフィス:〒220-8107 神奈川県横浜市西区みなとみらい2-2-1 横浜ランドマークタワー7階 NANA Lv.内 PS-004 |
代表者プロフィール | 【略歴】 高木 俊介(たかき しゅんすけ) 2002年 横浜市立大学卒 2002〜10年 麻酔・救急・集中治療に従事 2010年 Institut Jantung Negara in KL 2011年 Prince Of Wales Hospital in Sydney 2012年 横浜市立大学附属病院 集中治療部 助教 2015年 同部講師 2018年 同部部長・准教授 2019年 株式会社 CROSS SYNC創業 2021年 横浜市立大学大学院国際マネジメント ソーシャル・イノベーション修士(経営学) 【委員会活動】 AMED 医療機器開発の重点化に関する検討委員会 WG5 ワーキングメンバー 総務省医師対医師(DtoD)の遠隔医療の取組状況等にかかる調査研究 委員 日本集中治療医学会 評議員 / 遠隔ICUワーキング 委員長 / ad hoc 遠隔ICU委員会 委員長 日本呼吸療法医学会 評議員 / 遠隔医療WG 委員 日本遠隔医療学会 運営委員 遠隔集中治療分科会 分科会長 等 |
カテゴリ | 有望企業 |
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関連タグ | CROSSSYNC ヘルステック 医療AI 植村文彦 髙木俊介 |
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