注目のスタートアップ

株式会社Closer 樋口翔太|AIロボットの開発事業が注目の企業

包装・箱詰め領域を中心に自動化を実現するAIロボット開発事業で注目なのが、樋口翔太さんが2021年11月に創業した株式会社Closerです。

近年では、工場内作業においてロボットが活躍するシーンも多くなっています。特に自動車産業や建築作業分野では、高度なロボットや機械が第一線で活躍し、高品質で安定した生産ラインを担っています。

かたや、依然人の手による作業が多く発生している業界もあります。例えば食品製造業や医薬品・化粧品製造業がそうです。普及が進まない理由として、機械を入れるスペース確保の問題や、商品の異常検知の精度問題、商品がデリケートなため機械でのピッキングが難しい、メンテナンス費用や導入費用、維持費用の課題などが挙げられています。

しかし今後ますます人手不足が加速する中、これらの業種におけるロボット普及率の向上は、商品の安定供給を確実にし、企業の成長や新たな付加価値サービスの開発にも繋がると考えられます。
また、今回のようなパンデミックな状況が発生した場合にも、ロボット化が進んでいれば工場の生産ラインを止めることなく、市場の需要に応じた製品の供給が確保できるようになります。

このようなジレンマを解消していくために、ロボット普及が進んでいない業界に適したAIロボットを開発し、普及させ、業界全体の底上げや発展を実現させようと奮闘するある起業家の取り組みに、今注目が集まっています。

株式会社Closerの樋口翔太さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。

創業手帳別冊版「創業手帳 人気インタビュー」は、注目の若手起業家から著名実業家たちの「価値あるエピソード」が無料で読めます。リアルな成功体験談が今後のビジネスのヒントになるはず。ご活用ください。

・この事業の特徴は何ですか?

食品、化粧品、医薬品(三品産業)の包装・箱詰め領域を中心に自動化を実現する、「つかんで置く」タスクの自動化をメインとしたAIロボットです。
 包装・箱詰め作業は、食品工場における作業において、食品加工についで2番目に人手に依存する作業であり、多くの生産ラインでは人の手により作業が行われていることが現状です。
 AI画像処理とロボット制御を組み合わせることで、バラ積みされたワークの認識や、移動体への設置・投入といった技術的難易度の高い作業の自動化も実現可能です。また、従来画像認識の難しかったワークの認識も可能です。コンパクトで既存の生産ラインに簡単に導入することができ、多品種・変種生産への対応可能といった特徴も合わさり、「今まであきらめていた自動化」の実現を強力に後押しします。

・どういう方にこの事業を知ってもらい、活用してもらいたいですか?

人手不足や生産能力の課題を持つ、食品、化粧品、医薬品(三品産業)を中心とした製造現場の方々にご活用いただきたいです。

・この事業の解決する社会課題はなんですか?

今まで自動化やロボット導入が進んできた、自動車や電機電子産業でのロボット・自動化技術を、食品、化粧品、医薬品(三品産業)に導入することは、技術やコスト面で大きな乖離があり、自動化が進んできませんでした。
またこれらの製造現場は、単調な繰り返し作業が多く、他産業と比較しても求人倍率や離職率が高いことも相まって、人手不足が大きな課題となっています。この結果、生産量を増やしたい企業も、十分な人材が集まらずに生産量の増加や維持が難しく、売上や利益の成長機会を逃しているのが現状です。

・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?

人に役に立つロボットのビジネスを構築することが大変でした。農業や飲食店などへターゲットを定め、ヒアリングや実証実験を行っていた時期がありましたが、なかなかビジネスとして成り立つ形にするのは困難でした。現在は、ロボットのソフトウエアを中心に開発していますが、以前はロボットのハードウエアを強みとしたロボットを開発していた時期もありました。ロボットのビジネスを成り立たせるために紆余曲折した結果、現在の形になりました。

・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?

直近の事例として、年秋頃の本導入を目指し、カップ味噌汁製造工程の開発を進めています。また同時に、大手食品メーカーの工場への導入も予定しています。導入事例を基軸として同様の作業や別産業への横展開を進め、さらなるサービス拡大を目指します。

Closer は、「ロボットを当たり前な選択肢へ。」をビジョンとし、大変な繰り返し作業や重労働はロボットに任せて、人間はより創造的な活動、コミュニケーションや余暇に注力できる世界の実現を目指しています。大変な作業はAIロボティクス技術で自動化する選択肢が当たり前にある世界を実現し、企業の売上や利益の向上競争力の強化、働きやすい環境を実現、産業の発展に貢献します。

・今の課題はなんですか?

ロボットの開発力を更に強化していくことです。
シードラウンドでDEEPCORE、epiST Ventures、個人投資家数名より、1億円の資金調達の資金調達を実施しました。
今回の資金調達をもとに、エンジニアを中心とした人材採用を強化、AIロボットパッケージの導入拡大を進めてまいります。

・読者にメッセージをお願いします。

Closerでは、エンジニアやプロジェクトマネージャーを積極採用しています。(カジュアル面談も実施しています)

開発チームは、RoboCup、RoboMaster、高専ロボコン、学生ロボコンなどの、各種ロボットコンテスト参加経験者、IPA未踏事業採択者、孫正義育英財団生など、ビジネスチームでは、海外企業での事業推進・経験のあるメンバーが在籍しております。

各種ロボットコンテスト参加経験者や若手研究者等、ものづくりが大好きなメンバーが集まる場で、ロボットや、私たちのワクワクする未来をつくりあげましょう。ご応募お待ちしております。

会社名 株式会社Closer
代表者名 樋口翔太(ひぐち しょうた)
創業年 2021年11月
社員数 15名
事業内容 ロボット等の開発、販売、導入及びコンサルタント
サービス名 PickPacker
所在地 305-0006 茨城県つくば市天王台一丁目1番地1産学リエゾン共同研究センター棟202
代表者プロフィール 1997年、新潟県生まれ。小学生の頃からロボット開発に取り組む。長岡工業高等専門学校出身、筑波大学大学院博士後期課程在学。2017年にはRoboCup世界大会優勝、Asia-Pacific大会優勝を果たす。高専機構理事長特別表彰を2度受賞したほか、孫正義育英財団の3期生認定、IPA未踏アドバンスド事業採択など。2021年11月にCloserを創業し、自動化が進んでいない食品産業をはじめとする業界へのロボット導入を進める。
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カテゴリ 有望企業
関連タグ AI Closer ロボット 樋口翔太 自動化 食品工場
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