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Arithmer株式会社 大田佳宏|3次元自動採寸システムによるオーダーメイド衣服の利用拡大の事業展開で注目の企業


3次元自動採寸システムによるオーダーメイドの利用拡大で注目なのが、大田佳宏さんが2016年に創業したArithmer株式会社です。

コロナ禍において、新しい生活様式が浸透し、テレワークやリモートワークといった出社をしない形での勤務も当たり前の時代になりました。
それに伴いビジネスシーンにおける服装にも変化が起きてきており、外向けのスーツから、俗にオフィスカジュアルと言われる機能性を重視した素材、形のものが求められるようになってきています。
いくら家で仕事をするとはいえ、寝起きそのままの恰好やあまりに砕けすぎる格好では、まず自分自身がオンとオフの切り替えをしにくいでしょうし、オンラインでの営業商談や社内ミーティングの際、相手に与える印象にも影響します。家中での仕事の際にも快適でかつ仕事モードに入ることができる服装を求める人が増えたというのも頷けます。

今ではECサイト等を通じて、直接店舗に行かずとも欲しい服が簡単に手に入る時代です。しかしそうした方法での購入の際には試着が出来ないので、一定の規格にパターン化された大量の服の中から自分にフィットした快適なものを選び出すことや、服の組み合わせをいろいろと試すのが難しい、という課題が残ったままです。実際に試着をしなくても自分に適した服選びが出来ることへのニーズがますます高まっていくと予測されます。

また、近年ではSDGsへの意識の高まりも相まって、アパレル在庫商材の破棄問題にも注目が集まっており、大量生産から自分にフィットして長く愛用できるアパレルへの需要も高まりを見せています。そうした中、『オーダーメイド』という選択に改めて注目が集まっています。

Arithmer株式会社の3次元自動採寸システムは、スマートフォン一つで自分の体形を正確に採寸できる手軽さが特徴です。また、AIが個人の嗜好に合わせた最適なコーディネート提案をしてくれるので、スピーディに自分好みの服選びが可能になります。これらにより、自分らしい服飾の楽しみ方や選択肢が広がったり、今まで敷居が高いと思われがちだったオーダーメイドを身近なものにし、ひいては環境保全にも繋がっていくことでしょう。

Arithmer株式会社の大田佳宏さんに、事業の特徴や今後の課題などについてお話をお聞きしました。

・このプロダクトを開発するに至った経緯やきっかけについて教えてください。

株式会社コナカの湖中社長とお話をさせていただいたとき、「オーダー市場が急速に伸びてきており、今後もより広がるのではないかと考えている。そこで、スマホで普段着のまま気軽に短時間で採寸できるアプリが欲しいですね」というお話になり、頑張って作ってみます、と始めたのがきっかけです。
難しい開発でしたが、株式会社コナカのトップテーラーの方々に熱心にご指導いただき、完成させることができました。

・このプロダクトの特徴は何ですか?

最大の特徴は、「スマートフォン1つで、いつでもどこでも採寸できること」です。
以前の自動採寸の技術では大型の3Dスキャナなどの専用設備で測定していたり、大きな手間と時間がかかっていました。
また、テーラーによる人手の採寸では、手間がかかる上に、お店によってバラツキがでたりしてしまいます。
このプロダクトでは、すべての人が気軽にトップテーラーの神の手の技術で、オーダー商品を購入することが可能となります。

・どういう方にこのサービスを使ってほしいですか?

顧客の身体採寸結果を事業に活用するすべての企業様にお使いいただくことが目標です。
既存のオーダー事業を拡大させたい、もしくは新しくオーダー事業を始めたいアパレルブランド様、短期間に大量の採寸業務が必要な制服・ユニフォーム事業者様、遠隔地でもサービス提供を使命とするウェディング事業者様などを想定顧客としています。
また、遠隔医療における健康管理や、フィットネスにおける体形管理などにおいても、自動採寸データを活用頂けると考えております。

・このサービスの解決する社会課題はなんですか?

現在、オンラインでの購買が爆発的に増えていますが、なかなかフィットするサイズの商品を買えない、ということが課題となっています。
このサービスでは、スマートフォン一つで、最適なサイズの商品をネットで購入できることが大きなポイントです。

また、環境負荷の問題では、在庫商品の廃棄も課題になっていますが、オーダーサービスの促進により、在庫リスクの小さい受注型ビジネスへの転換をサポートすることで、環境保全にも貢献します。

・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?

お客様から社会課題をたくさんご相談いただく中で、委託開発の案件が非常に増えてきました。
一方で、ほとんどの課題が難しく、研究開発の工数が増え、投資の額が膨らんでしまったところが大変でした。

・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?

現在は高度数学を用いて、採寸AIだけではなく、風力Al、浸水AI、農業AIなど、様々なAIエンジンの開発を進めています。
今後は、これらの最先端AIエンジンをグローバルな社会インフラとして広くご使用いただけるような、研究開発型の会社にしていきたいと考えています。

・今の課題はなんですか?

一つ一つの社会課題を解決できるようなAIエンジンを、スピード感を持って構築していくことと、それらをどうやって世界にスケールしていくか、ということが現在の課題です。

・読者にメッセージをお願いします。

社会はますます複雑化していく中で、持続させていくための課題が次々とあらわれてきています。
逆にそういう時代だからこそ、これからの若い人達、あるいは起業家精神を持った方々には、たくさんの活躍の場が待っていると思います。
好きなこと得意なことで、前に進んでみてはいかがでしょうか。

会社名 Arithmer株式会社
代表者名 大田佳宏
創業年 2016年
社員数 70名
資本金 27億7,884万円(2021年9月30日現在)(資本準備金含む)
住所 東京都文京区本郷一丁目24番1号 ONEST本郷スクエア3階
サービス名 Arithmer
事業内容 社会課題解決のためのAIエンジンの提供
代表者プロフィール Arithmer株式会社 代表取締役社長兼CEO
総務省 AIネットワーク社会推進会議 構成員
東京大学大学院数理科学研究科 特任教授
東京大学アイソトープ総合センター 客員教授
一般社団法人日本応用数理学会 代表会員
読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ Arithmer 大田佳宏
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