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2023年7月7日レーザー核融合商用炉の実現を目指す「EX-Fusion」が18億円調達

2023年7月6日、株式会社EX-Fusionは、総額18億円の資金調達を実施したことを発表しました。
EX-Fusionは、高出力・高繰り返しレーザー技術と連続ターゲット供給装置や最先端の光制御技術を組み合わせることで、世界初のレーザー核融合商用炉の実現を目指しています。
今回の資金は、レーザー制御のためのコンポーネントの統合試験ができる施設の設立などに充当します。
また、将来的な核融合エネルギー科学のグローバルリーダーになるため、専用レーザーシステムと高度な製造技術の内製化や、レーザー核融合を中心とした多種多様な光産業の確立を目指します。
原子力発電は莫大なエネルギーを生み出せる発電方法であり、また二酸化炭素の排出もないのですが、放射性物質の排出や被曝のリスクという大きなデメリットを抱えています。
ほかにも、原子力発電は核分裂によって高レベルの放射性廃棄物を排出してしまうのですが、この放射性廃棄物の放射能が天然ウラン並のレベルに減衰するまでには約8000年かかります。現状の技術では物質の放射能をなくすことは不可能であるため、人間が近づかない場所に保管するしかありません。国際的には地下深くの安定した岩盤に閉じ込める、地層処分が安全であるという考え方が主流になっています。
このように原子力発電はメルトダウンの危険性と放射性廃棄物の処分・管理の課題を抱えていることから、核融合を利用した、高レベル放射性廃棄物を排出しない発電方法である核融合炉の開発が進められています。
核融合とは軽い原子核が融合し、重い原子核に変わる反応のことです。たとえば、太陽では重力で圧縮された水素が高温になり、4つの水素原子から1つのヘリウム4原子ができる核融合反応が起き、その際に莫大なエネルギーが放出されています。
しかし、地球上で核融合反応を再現するには、摂氏1億度という高温と非常に高い密度を必要とするため技術的な難度が非常に高く、実現には長い時間がかかるとみられていました。しかし国際プロジェクトであるITER計画では、2035年には実際の核融合発電と同様の運転の実験が行われ、2050年頃には発電実証を行うことが想定されており、実現はすぐそこまで来ているといえます。
また、高温と高密度のために大出力のレーザーを用いるレーザー核融合という方法も研究されています。レーザー核融合は、いくつかある核融合の方式のなかでも実用化に近い技術のひとつといわれています。
近年は、大学で研究されてきた技術・知見などを活用した核融合スタートアップが登場しており、世界的にも投資家の注目が高まってきている領域となっています。
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