注目のスタートアップ

ダイヤモンド半導体を開発する「大熊ダイヤモンドデバイス」が1.4億円調達

company

2023年5月24日、大熊ダイヤモンドデバイス株式会社は、総額1億4,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。

大熊ダイヤモンドデバイスは、ダイヤモンド半導体を開発する、北海道大学および産業技術総合研究所を基とするスタートアップです。2022年3月に創業しました。

福島第一原発での事故の後、高温・高放射線環境に耐えられるダイヤモンド半導体へのニーズが高まり、大熊ダイヤモンドデバイスの取締役である金子純一氏を筆頭に国内の研究機関が研究開発に取り組んできました。

今回、10年超に及ぶ研究を経て、ダイヤモンド半導体が実用的な増幅器として動作するレベルに達したことから、大熊ダイヤモンドデバイスの創業に至っています。

今回の資金は、ダイヤモンド半導体の社会実装に向けた研究開発や人材採用の加速に充当します。


半導体とは、電気を通す導体と電気をほとんど通さない絶縁体の中間の物質です。特定の状況下では電気を通したり、通しにくくしたりする伝導特性を持っています。

ほとんどの電子部品はこの半導体を利用しています。半導体の材料にはシリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)、窒化ガリウム(GaN)などがあります。とくにシリコンは、他の素材と比べて利用されている歴史が長く、さまざまな電子部品に利用されています。

ダイヤモンドはこれらの半導体材料と比べ、絶縁体圧や熱伝導率といった物理特性において遥かに優れており、究極の半導体をつくることができると考えられています。また、ほかの半導体に比べて耐久性が高いため、宇宙などの過酷な環境にも耐えられるという特性があります。

また、日本企業は電源などの電力の制御や変換を担うパワーデバイス(パワー半導体)において世界でも一定のシェアを獲得しています。

ダイヤモンド半導体で電力の制御を行うことで、大幅な省エネルギーが達成できることから、次世代のパワー半導体として期待されています。

日本の研究グループは、1980年代に、ガス原料を用いた気相成長法によるダイヤモンド合成に成功し、そこからダイヤモンド半導体実現のための研究開発を続けてきました。

さらに福島第一原発事故によりダイヤモンド半導体へのニーズが高まったことで基礎研究が進み、大熊ダイヤモンドデバイスの設立へと至っています。

大熊ダイヤモンドデバイス株式会社のコメント

このニュースを受けまして、大熊ダイヤモンドデバイス株式会社よりコメントが届きました。

・今回の資金調達の目的は何ですか?

研究開発(特に採用)を目的としております。

・今後の展望を教えてください。

日本が半導体の新産業領域で世界で伍していくには、ダイヤモンド半導体しか残されていないと愚考しております。世界に先立ってダイヤモンド半導体の社会実装を実現できるよう、関係各社とも連携して取り組んで参ります。

・読者へのメッセージをお願いします。

日本が一丸となって再び半導体の分野で世界をリード出来るよう、事業協力等のご支援を頂けますと幸いです。

研究開発には多くの資金が必要となります。シリーズ累計発行部数200万部を突破した起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなどを詳しく解説しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ ダイヤモンド半導体 北海道大学 半導体 大熊ダイヤモンドデバイス 株式会社 産業技術総合研究所 資金調達
資金調達手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
起業するには何から始める?ゼロからできる起業のやり方【5ステップ解説】
持続化給付金の申請開始!最大200万円給付で事業を下支えー概要やポイントは?
酒類販売業免許とは?お酒の販売には免許が必要!飲食店開業のための酒販免許取得を専門家が解説
家族を従業員にする4つのメリットと注意するべきポイント
NPO法人設立サムネイル
【保存版】NPO法人の設立は難しい?メリットや設立費用、条件など徹底解説
【2025年版】補助金・助成金を活用しよう!起業・創業・開業に役立つ15選の制度

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

解体工事の一括見積りサービスの「クラッソーネ」が不動産名義変更サービスの「AGE technologies」と業務提携
2021年10月7日、株式会社クラッソーネは、株式会社AGE technologiesと業務提携契約を締結したことを発表しました。 クラッソーネは、解体工事において専門工事会社と施主をマッチングする一…
ブロックチェーンゲームプラットフォーマー「YGG Japan」が4億円調達
2023年1月30日、株式会社ForNは、パートナーシップを締結するブロックチェーンゲームプラットフォーマーであるYGG Japanが、総額4億円の資金調達を実施したことを発表しました。 引受先は、株…
生活習慣病患者/予備軍向け食事指導サービス「NPartner」開発・運営の「タウンドクター」が5,000万円調達
2022年5月25日、タウンドクター株式会社は、5,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 タウンドクターは、生活習慣病患者/予備軍向け食事指導サービス「NPartner」を開発・提供して…
青森県発ヴィーガンレザーメーカー「appcycle」が資金調達
2023年6月30日、appcycle株式会社は、資金調達を実施したことを発表しました。 引受先は、株式会社プロクレアホールディングスとスパークル株式会社が運用する「プロクレアHD地域共創ファンド」で…
微細藻類ガルディエリアの研究開発を通じ地球規模の環境課題解決を目指す「ガルデリア」が5.5億円調達
2023年10月4日、株式会社ガルデリアは、第三者割当増資等により総額約2.5億円を調達し、さらに国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のディープテック・スタートアップ支援事業…

大久保の視点

明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得はゼファーさん明治大学2年「NEUROGICA」メンタルIoT
2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2025/3/14)
日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集