注目のスタートアップ

未利用排熱で電力を生み出すシステムの社会実装を目指す「elleThermo」が5,000万円調達

company

2023年4月14日、株式会社elleThermoは、5,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。

elleThermoは、半導体増感型熱利用電池(Semiconductor-Sensitized Thermal Cell:STC)の社会実装を目指しています。

STCは東京工業大学発の発明です。室温以上の熱源で直接発電することができる電池です。

地熱や工場排熱などの熱源に置く、あるいは埋めるだけで発電できるため、幅広い活用法が期待されています。

今後、STCの産業上実用可能なサイズへの大型化、耐久性の検証、ユースケースの開発、仮説検証などに取り組みます。


国連によりSDGs(持続可能な開発目標)が採択されたことにより、世界的にクリーンなエネルギーである再生可能エネルギーの普及に向けた取り組みが推進されています。

また、日本はエネルギーの供給のうち、石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料が8割以上を占めており、そのほとんどを海外に頼っています。そのため、海外で何らかのトラブルがあったりした場合、エネルギー価格やその供給において大きな影響を受けることになります。そのためエネルギー自給率を改善するためにも再生可能エネルギーの開発が重要です。

再生可能エネルギーとは、太陽光・風力・水力・地熱など、枯渇しないエネルギーのことです。

2021年時点での国内の発電電力量に占める再エネの割合は22.4%となっており、そのうちもっとも発電量が多いのが太陽光発電です。

また、今後は風力発電設備の研究開発の進展に伴い、風力発電のシェアも伸びてくることが予測されています。

さらに近年は事業所などにおいて省エネルギー化を目指すコージェネレーションシステムの導入なども推進されています。

コージェネレーションシステムとは、原動機などにより電力と熱を供給するシステムです。熱併給発電とも呼ばれています。

というのも、熱を利用した発電や産業における熱の利用時には、利用されない熱が排出されます。これを未利用熱(未利用排熱)といいます。

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によると、国内で使われる化石燃料などの一次エネルギーのうち、約6割は有効利用されずに排熱として排出されています。

もしこの熱を有効利用できるようになれば、大幅な省エネ化を実現できると考えられています。

こうした排熱は、工場、清掃工場のゴミ焼却、地中送電線、変電所、業務・家庭用エアコン、自動車などのエンジン、などさまざまであり、広く薄く分布して発生することが特徴的です。

この排熱を有効利用する技術としては、現在実用化されているもので、コージェネレーション技術、ヒートポンプ技術、蓄熱搬送技術、雪氷熱利用技術などがあります。

一方でこれらの技術は熱をそのまま利用する技術であることから、エネルギーの使い道が限られることが課題となっています。

そのためより汎用的に利用できるよう、熱エネルギーを電力へと変換する技術が求められています。

elleThermoは、半導体増感型熱利用電池(STC)の社会実装により、排熱を利用した省エネルギー化の実現、それに伴うエネルギー問題・資源問題の解決を目指しています。

研究開発型のビジネスでは資金調達が非常に重要です。起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど、資金調達に関するノウハウを詳しく解説しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ elleThermo Semiconductor-Sensitized Thermal Cell STC アンビエント発電 エネルギー 再生可能エネルギー 半導体増感型熱利用電池 排熱 未利用排熱 未利用熱 東京工業大学 発電 資金調達 電力 電気
資金調達手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
企業組合とは?設立方法とメリット・デメリットを紹介
【2025年版】補助金・助成金を活用しよう!起業・創業・開業に役立つ14選の制度
【2025年最新】クラウドファンディングのやり方とは?仕組み・種類・始め方の手順ガイド
酒類販売業免許とは?お酒の販売には免許が必要!飲食店開業のための酒販免許取得を専門家が解説
【起業準備】会社設立前に絶対にやるべき10のアクションリスト
法人成りとは?個人事業主が「法人化」をするメリット・デメリットや手続きなどを解説!

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

在庫処分サービスの「Shoichi」が4億円調達
2019年10月10日、株式会社Shoichiは、4億円の資金調達を実施したことを発表しました。 法人専門の在庫処分サービスを提供しています。 買い取った在庫品を、自社運営のWebや実店舗(アパレル・…
ARを使ったシューティング・バトル・ゲーム開発の「Graffity」が1億円調達
2020年1月21日、Graffity株式会社は、総額約1億円の資金調達を実施したことを発表しました。 ARシューティング・バトル「ペチャバト」を開発・提供しています。 現在は、チーム戦を行うことが可…
オリジナルパッケージ作成プラットフォーム運営の「shizai」が5億円調達
2022年6月8日、株式会社shizaiは、総額5億円の資金調達を実施したことを発表しました。 shizaiは、オリジナルパッケージ作成プラットフォーム「shizai」を運営しています。 アパレル・サ…
衣服生産プラットフォーム展開の「シタテル」が資金調達
2019年7月16日、シタテル株式会社は、資金調達を実施したことを発表しました。 2019年5月に行った資金調達をあわせると、累計約20億円となります。 シタテルは、衣服生産プラットフォーム「sita…
産業用ドローンを開発・提供する「プロドローン」が「ジェイテクト」から資金調達
2023年4月20日、株式会社プロドローンは、資金調達を実施したことを発表しました。 引受先は、株式会社ジェイテクト(JTEKT)です。 プロドローンは、推奨ペイロード20kgの量産マルチコプター「P…

大久保の視点

日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
「JX Live! 2024」JX Awards大賞はNYでイチゴが大ヒットの古賀大貴さん(Oishii Farm 代表)
2024年10月9日、虎ノ門ヒルズフォーラムにて、「JX Live! 2024」が新経済連盟主催で行われました。 「JX Live!」は、「JX(Japan…
(2024/10/9)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集