注目のスタートアップ

島根大学発の細胞医薬ベンチャー「PuREC」が7億円調達

company

2022年3月29日、PuREC株式会社は、総額7億円の資金調達を実施したことを発表しました。

PuRECは、独自に開発した手法により得られた高純度間葉系幹細胞REC(Rapidly Expanding Cells)の臨床応用を進めています。

間葉系幹細胞が持つ細胞機能を利用して、安全かつ効果的な幹細胞治療を実現することを目指しています。2022年3月現在、研究機関・民間企業と連携し、低ホスファターゼ症、関節疾患、脊椎関連疾患など様々な疾患を対象とした細胞医薬品開発を進めています。

今回の資金は、製品開発のさらなる加速に充当されます。

身体には様々な種類の細胞に分化する能力が高い幹細胞が存在することが研究によって判明しています。その中でも、増殖する能力が高く、神経・筋肉・脂肪・骨など様々な系統の細胞に分化する間葉系幹細胞は骨髄や脂肪組織から発見されています。

この間葉系幹細胞は様々な細胞に分化できるため、研究が進めば再生医療に大きく役立つことになるだろうと考えられています。

再生医療と細胞といえば、iPS細胞やES細胞が有名です。iPS細胞・ES細胞・間葉系幹細胞はそれぞれ別の細胞で、それぞれメリット・デメリットを持っています。

iPS細胞とES細胞は1つの細胞からすべての組織・臓器を作ることができます。一方で、間葉系幹細胞はそれほど強い増殖能力や分化能力はありません。しかし間葉系幹細胞を研究する意味がないのかと言えばそうではありません。

ES細胞は初期の受精卵の一部からしか得ることができず、倫理的な課題を背負っています。iPS細胞は体細胞から直接作るため倫理的な問題はありませんが、移植後に腫瘍を形成してしまうというリスクがあることが課題となっています。

間葉系幹細胞は骨髄や脂肪から採取できるため倫理的な課題はなく、ES細胞やiPS細胞などの人工的に作られた細胞ではなく、生物がもともと持つ細胞のため腫瘍ができてしまうリスクもありません。このような理由から間葉系幹細胞は研究・臨床応用が進んでいるのです。

間葉系幹細胞は再生医療において万能というわけではありませんが、PuRECによると、「骨・軟骨・脂肪の再生(骨軟骨形成不全・乳房再建など」、「免疫調節(GVHD・クローン病・多発性硬化症など)」、「傷を治す(脳卒中・心筋梗塞・肝硬変など)」において有効な治療となることが期待されています。

研究開発型のビジネスは、資金調達が非常に重要です。「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど詳しく解説しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ PuREC 幹細胞 幹細胞治療 株式会社 細胞 細胞医薬品 資金調達 間葉系幹細胞
資金調達手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
小規模企業共済サムネイル
小規模企業共済とは?危ない?潰れる?加入手続きから解約方法、メリット・デメリットまで徹底解説!
NPO法人設立サムネイル
【保存版】NPO法人の設立は難しい?メリットや設立費用、条件など徹底解説
法人成りとは?個人事業主が「法人化」をするメリット・デメリットや手続きなどを解説!
事業計画書の書き方とは?18ステップごとにわかりやすく解説!
酒類販売業免許とは?お酒の販売には免許が必要!飲食店開業のための酒販免許取得を専門家が解説
【起業準備】会社設立前に絶対にやるべき10のアクションリスト

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

トレーディングカードのマーケットプレイス「clove」を運営する「トラストハブ」が収集品の共同保有プラットフォームを提供する「alty」の株式を取得
2023年2月1日、株式会社トラストハブは、alty株式会社の株式を取得したことを発表しました。 altyは、収集品の共同保有プラットフォーム「alty(オルティ)」を提供しています。 スニーカー・ト…
運送企業向け業務支援SaaSや車両売買プラットフォームを提供する「Azoop」が13.8億円調達
2022年6月9日、株式会社Azoopは、総額13億8,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 Azoopは、「トラッカーズ」というサービスブランドで、運送企業向け業務支援SaaS「トラッ…
空港送迎マーケットプレイス運営の「SmartRyde」が1.8億円調達
2021年10月6日、株式会社SmartRydeは、総額約1億8,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 空港送迎マーケットプレイス「SmartRyde(スマートライド)」を運営しています…
会場を持たない中古車オークションサービス「QCA」を発表 事前登録を開始
2022年6月14日、カーベース株式会社は、「QCA」の事前登録を開始することを発表しました。 「QCA」は、会場を持たない、新たな業者向け中古車オークションサービスです。 出品・競り・落札すべてがオ…
獣医療域での再生医療等製品を開発する「Vetanic」が5億円調達
2022年8月24日、株式会社Vetanicは、総額5億円の資金調達を実施したことを発表しました。 Vetanicは、独自の基盤技術によって動物iPS細胞を構築し、獣医療域での再生医療等製品を開発して…

大久保の視点

明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得はゼファーさん明治大学2年「NEUROGICA」メンタルIoT
2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2025/3/14)
日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集