2023年のものづくり補助金はどう変わる?16次締切以降のスケジュールも紹介
令和4年度2次補正予算でものづくり補助金が拡充されます!設備投資にぜひご活用ください
2022年12月2日に成立した令和4年度2次補正予算により、2023年からものづくり補助金が変わります。補助金額やその他要件が拡充され、多くの中小企業にとっては基本的にメリットしかないため、活用を検討してみましょう。
この記事では、2023年のものづくり補助金について、概要や具体的な変更点を解説します。スケジュールや採択を受けるコツなどもお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
ものづくり補助金とは
ものづくり補助金とは、生産性向上のためにサービス・試作品の開発や、生産プロセスの改善を行う中小企業を支援する制度です。具体的には、設備投資にかかる費用が補助されます。
通常枠の補助額は100万円〜1,250万円、補助率は1/2(小規模事業者は2/3)です。ほかにグリーン枠やデジタル枠、グローバル市場開拓枠などがあり、特別な要件を満たすことで補助上限や補助率がアップします。
ものづくり補助金2023年の概要
令和4年度2次補正予算により、ものづくり補助金にはいくつかの拡充がなされます。多くの中小企業に影響がある点は、大幅な賃上げに対してインセンティブがつくことです。
また「グリーン枠」や「グローバル市場開拓枠(旧グローバル展開型)」の要件が緩和されることも、一部の企業には魅力的でしょう。全体として使い勝手が向上するので、これまでものづくり補助金を考えてこなかった方も、ぜひ検討してみてください。
出典:経済産業省「ものづくり・商業・サービス補助金 令和4年度2次補正予算関連」
ものづくり補助金2023年の主な変更点【5つのポイント】
2023年のものづくり補助金は、従来と比較して以下5つの点が変わります。補助上限額が上がったり、要件が緩和されたりと、全体としてメリットが多いので、確認のうえ、活用を検討してみましょう。
1. 大幅賃上げに対して最大1,000万円を上乗せ
会社が成長し、従業員への分配を増やすという流れを促進すべく、大幅な賃上げに対する補助額の上乗せが実施されます。上乗せ補助額は、以下のように従業員数に応じて決まる仕組みです。
<補助上限の引上げ枠>
従業員数 | 上乗せ補助額 | 補助率 |
---|---|---|
5人以下 | 100万円 | 各申請枠の補助率とする |
6〜20人 | 100万円 | |
21人以上 | 1,000万円 |
出典:経済産業省「ものづくり・商業・サービス補助金 令和4年度2次補正予算関連」
上記の引き上げは、回復型賃上げ・雇用拡大枠を除くすべての枠組みに適用されます。
例えば、従業員数21人以上が通常枠に申し込み、大幅な賃上げを実現すれば、計2,250万円の補助を受けることが可能です。(1,250万円→2,250万円)
大幅な賃上げの定義・要件
大幅な賃上げの定義は「給与支給総額を年率6%以上引き上げ」かつ「事業場内最低賃金を毎年45円引き上げ」です。これらを満たさない場合は、上乗せ分の全額返金を求められます。
なお、ものづくり補助金では通常の事業者にも賃上げにかかる要件が課されますが、上乗せ補助を受けるには、通常の要件に加えて追加要件を満たすことが必要となります。
<現行要件との比較>
要件 | 通常の事業者 | 大幅な賃上げに取り組む事業者 |
---|---|---|
①付加価値額 | 3%以上 | 同左 |
②給与支給総額 | 年率1.5%以上 | 左記の事業者より更に年率で 4.5%以上引上げ =年率6%以上引き上げ |
③最低賃金 | 地域別最低賃金+30円以 上の水準とする |
左記に加え、事業場内最低賃金 を毎年45円以上引き上げる |
④補助金返還の要件 | ②給与支給総額、又は③賃 金の増加目標が補助事業を 完了した事業年度の翌年度 の3月末時点において未達の 場合には、補助金交付額の 全額返還を求める |
同左 |
出典:経済産業省「ものづくり・商業・サービス補助金 令和4年度2次補正予算関連」
※赤字が大幅な賃上げにかかる要件
最低賃金の要件については、以下の画像の参考にしてください。
出典:経済産業省「ものづくり・商業・サービス補助金 令和4年度2次補正予算関連」
基本要件の「地域別最低賃金+30円」については、地域別最低賃金の改定がゆるやかだと賃上げもゆるやかになります。地域別最低賃金は年30円ほど上がることもありますが、社会情勢に合わせて微増や据え置きになることも多いです。
一方、追加要件の「事業場内最低賃金+45円」では、経済状況によらず、毎年一律45円の賃上げが必要となります。よって、負担は比較的大きいといえるでしょう。
2. グリーン枠が3段階になって使いやすくなる
温室効果ガスの排出削減に関わる設備・システム投資を支援するグリーン枠は、2023年から3つに分化します。エントリー・スタンダード・アドバンスの3段階です。
初歩的な取り組みでも補助が受けられるほか、発展的な取り組みに対しては従来より高い補助がなされるようになります。温室効果ガスの削減に取り組むすべての事業者にとって、使い勝手が向上するといえるでしょう。
新しいグリーン枠の要件や補助額、補助率等は以下の通りです。
<グリーン枠における申請要件・補助上限額の見直し>
出典:経済産業省「ものづくり・商業・サービス補助金 令和4年度2次補正予算関連」
3. 海外展開支援の内容が拡充・強化される
海外事業の拡大・強化を支援するグローバル展開型は、「グローバル市場開拓枠」に名を変えるとともに、支援内容が拡充されます。
具体的には、補助下限が1,000万円から100万円に下がり、小規模の設備・システム投資でも補助の対象になれます。また補助対象経費にブランディングやプロモーション等にかかる費用も追加されるため、今後はより幅広い用途で利用可能です。
<グローバル市場開拓枠における申請要件について>
類型 | 補助率 | 補助額 | 補助対象経費 |
---|---|---|---|
①海外直接投資 ②海外市場開拓 (JAPANブランド) ③インバウンド市場開拓 ④海外事業者との共同事業 |
1/2 小規模事業者 ・再生事業者の場合 2/3以内 |
100万円 ~3,000万円 |
①機械装置・システム構築費、②技術導入費、③専門家経費、 ④運搬費、⑤クラウドサービス利用費、⑥原材料費、⑦外注費、 ⑧知的財産権等関連経費、⑨ 海外旅費、⑩広告宣伝・販売 促進費(海外市場開拓 (JAPANブランド)類型のみ) |
出典:経済産業省「ものづくり・商業・サービス補助金 令和4年度2次補正予算関連」
4. 認定機器・システム導入型の新設に向けて【2024年以降に創設】
2024年(令和5年度予算)以降、「認定機器・システム導入型」が新設されます。それぞれの業種・業態の課題および解決のためのツールを認定し、同ツールの導入にかかる補助が強化される予定です。
認定機器・システム導入型の創設は、以下3つのステップで進みます。
- 業界団体・川下企業等からの提案を踏まえ、各業種・業態の課題を認定
- 認定された課題の解決に資する機械装置やシステムをメーカーが自主的に開発する
- 機械装置・システムを認定し、中小企業の導入を重点的に支援する
以上の3ステップのうち、1つ目の「課題の認定」が2023年(令和4年度2次補正予算)から始まります。なお、補助額および補助率は次のようになる見通しです。
従業員数 | 補助額 | 補助率 |
---|---|---|
5人 以下 |
1,000万円 | 1/2 (小規模事業 者及び再生事 業者は2/3) |
6~ 20人 |
1,500万円 | |
21人 以上 |
2,000万円 |
出典:経済産業省「ものづくり・商業・サービス補助金 令和4年度2次補正予算関連」
上記の通り、認定機器・システム導入型は通常枠よりも補助上限額が高くなります。優先採択も実施される見通しなので、認定機器・システムの発表に注視しつつ、使えそうであればぜひご活用ください。
5. ビジネスモデル構築型は廃止される
中小企業の革新的な事業計画作成を支援するサービスを補助する「ビジネスモデル構築型」は廃止されます。すでに最終公募が実施されました。
ちなみにビジネスモデル構築型の対象は、第一に30者以上の中小企業を支援する大企業でした。そのため、廃止されたからといって、多くの中小企業には直接的な影響がありません。
ものづくり補助金2023年16次締切の追加事項
16次締切の公募要領では、一部追加事項がありました。以下で説明します。
補助対象者に関するものなど、大切な記載もありますので、必ず確認するようにしましょう。
※出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(16次締切分)
補助金交付候補者以外が交付決定を受けられない
「交付決定前に、事業譲渡、会社分割等を行うことにより、補助金交付候補者の採択により生じる交付申請を行う権利を他者に承継することはいかなる理由においても認められません。」と記載されています。
補助金交付候補者以外の事業譲渡を受けた者等が交付決定を受けることはできません。
補助金等指定停止措置または指名停止措置が講じられている事業者は補助対象外
「経済産業省又は中小企業庁から補助金等指定停止措置または指名停止措置が講じられている事業者は補助対象となりません」と記載されています。
その他、補助対象外となる事業者
以下の記載が追加されていました。
・「申請内容から判断します。また、該当することが判明した時点で補助対象外となります。事前に十分に確認してください。」
・「これまでに交付を受けた補助金及び委託費の実績については、必ず応募申請書に記載してください。申請する事業が、これらとの重複を含んでいないか事前によく確認してください。」
・「事業の遂行(事業化状況報告を含む)に主体的でないと判断される事業者。(GビズIDを他者に貸し出す、他者が取得したGビズIDを使用する、事務局との窓口担当者を外部に任せる等の行為は主体的でないとみなします。)」
・「申請内容から判断します。また、該当することが判明した時点で補助対象外となります。事前に十分に確認してください。」
・「主として従業員の解雇を通じて、要件や目標の達成のために付加価値額等を操作させるような事業」
・「 法令に違反する及び法令に違反する恐れがある事業並びに消費者保護の観点から不適切であると認められる事業」
<グリーン枠>基本要件に加えた追加要件
<グリーン枠>にて、GXリーグに参画していることが追加要件として追加されました。
<グローバル市場開拓枠>基本要件に加えた追加要件
<グローバル市場開拓枠>の②海外市場開拓(JAPANブランド)類型にて、「・応募申請時に、事前のマーケティング調査に基づく、具体的な想定顧客が分かる海外市場調査報告書、実績報告時に、想定顧客による試作品等の性能評価報告書を追加提出すること。」が追加されました。
JAPANブランドに関する内容がより具体的に
「『JAPANブランド』とは、海外展開を見据え、新商品・サービスの開発改良、ブランディングや、新規販路開拓等の取組を目的とする事業であり、事前にマーケティング調査を実施し、その結果に基づく開発改良、ブランディング等を行うことが基本要件となります。」と、より具体的な要件が追加されました。
補助対象経費全般にわたる留意事項
以下の記載が追加されていました。
・「システム構築費については、補助金交付候補者として採択後、見積書に加え仕様書等の価格妥当性を検証できる書類の提出を求めることがあります。」
・「申請内容から判断します。また、該当することが判明した時点で補助対象外となります。事前に十分に確認してください。」
ものづくり補助金2023年のスケジュール
16次締切のスケジュールは以下となります。
公募開始:令和5年7月28日(金)
申請受付:令和5年8月18日(金)
応募締切:令和5年11月7日(火) 17時
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ものづくり補助金2023年で採択を受けるためのコツ
2023年のものづくり補助金で採択を受けるには、以下2つのことを実践するのがおすすめです。実践することで申請にかかる準備がスムーズに進むことに加え、審査に通る確率も高まるでしょう。
1. 専門家に相談して事業計画書等を作る
肝心なことは、専門家のサポートを受けて申請資料を作成することです。ものづくり補助金では、事業計画書をはじめとする申請資料のクオリティが、採択の可否に大きく影響します。
実際、ものづくり補助金で採択を受けた経営者の多くが、専門家の協力を得て事業計画書や賃上げ計画などを作成しています。専門家がいれば事務的な手続きもスムーズに進み、申請にかかる時間や労力も減らせるので、積極的に相談するのがおすすめです。
創業手帳でも無料の「補助金・資金調達相談窓口」を用意しているので、ぜひご活用ください。
また、ものづくり補助金の採択に成功した事例については、以下に掲載しています。
策定すべき事業計画の要件
ちなみにものづくり補助金に応募するには、以下の基本要件を全て満たす3〜5年の事業計画を策定する必要があります。
- 給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
- 事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする
- 事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加
※給与支給総額は、非常勤を含む全従業員および役員に支払った給与等(給料、賃金、賞与、役員報酬を含む。福利厚生費、法定福利費、退職金は除く)
※付加価値額とは、営業利益+人件費+減価償却費
そのほか、通常枠でない枠組みを利用する場合は、それぞれの追加要件を満たすことも求められます。事業計画を作った経験に乏しければ難しいはずなので、専門家の協力を得て策定するのがおすすめです。
2. 「GビズIDプライムアカウント」を取得しておく
ものづくり補助金の申請時には、電子申請システムを利用するための「GビズIDプライムアカウント」が必要です。まだ同アカウントを持っていない場合は、前もって取得しておきましょう。
GビズIDプライムアカウントの取得は、GビズID公式サイトのフォームに必要事項を入力し、書類を送付することで行います。アカウント発行に最大3〜4週間ほどを要することがあるので、余裕を持って申請するのがおすすめです。
まとめ
2023年の「ものづくり補助金」は、大幅賃上げにインセンティブがつくほか、各種要件の緩和もあり、全体として使い勝手が向上します。これまで目を向けてこなかった方も、これを機会にぜひ活用をご検討ください。
2023年において2回目となる16次締切は、同年7月28日から公募が始まっています。審査に通る確率を高めるには、専門家と一緒に申請準備を進めるのがおすすめです。
創業手帳の創業者・大久保のコメント
(編集:創業手帳編集部)
創業手帳別冊版「補助金ガイド」は、数多くの起業家にコンサルティングを行ってきた創業アドバイザーが収集・蓄積した情報をもとに補助金・助成金のノウハウを1冊にまとめたものになっています。無料でお届けしますのでご活用ください。また創業手帳では、気づいた頃には期限切れになっている補助金・助成金情報について、ご自身にマッチした情報を隔週メールでお届けする「補助金AI」をリリースしました。登録無料ですので、あわせてご活用ください。
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日本では常時3000もの補助金が募集されています。
なぜ分かるかですって?
それは、創業手帳では補助金AI・補助金ガイド作成のために、日本で公開されている分かる限り全ての補助金データを収集しているから分かるのです。
(ロボットとスタッフがフル稼働してデータを整理していますが、めちゃくちゃ大変です)
さて、そんなたくさんある補助金ですが、本当のことをいうと、ユーザーからみて自分にあった意味のある採算がとれる補助金というのはごく一部なのです。
それはあまりにも数が多すぎてマッチしていなかったり、金額が低くて手間のほうがかかるというものも多いわけです。
そんな中で、ものづくり補助金は、金額も大きく採択件数も多い、最も押さえるべき補助金といえます。
確実性が高く金額が大きいものというと、他にキャリアアップ助成金や事業再構築補助金などがありますが、そういったものと並んで基幹になる検討するべき補助金といえます。
ものづくり補助金のポイントですが金額が大きいということですが、その分、生産性や給与のアップも見られるようになってきているので、事業計画書を早い段階で作っていくことが重要になります。
変更のポイントですが、やはり2つのG、グリーンとグローバルといえます。
グローバルの方は、海外市場が拡大し円安なので海外需要の開拓はチャンスといえます。
また、CO2排出量削減など持続可能性に対する投資は世界的な流れで日本政府も取り組んでいますが、そういった対策はなかなかやりにくいもの。そういったグリーン系の対策に補助金がつけられるようになってきます。
こうした環境系の対策は特殊なように思われがちですが、ムダや廃棄を無くすなどは日常的に取り組むべき利益を上げる課題です。
これを日常的な小さい改善から思い切った政策転換や投資でお金を使いやすくしているのがものづくり補助金ですので、通常できないようなチャレンジも可能になるかと思います。
ぜひ、今がチャンスのものづくり補助金を検討してみましょう。
創業手帳では補助金ガイドや補助金AIも無料提供しているのでこちらも参考にしてみてくださいね。