マル経融資(小規模事業者経営改善資金)とは?必要書類や利用条件などを徹底解説!

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商工会等サポートの融資「マル経融資」は中小企業や個人事業主必見の資金調達!


マル経融資は、中小企業や個人事業主を対象とした経営改善資金の融資が受けられる制度です。
商工会議所・商工会の経営指導を受けている事業者が利用できる融資制度となっているため、商工会議所・商工会のサポート融資とも呼ばれています。

今回は、マル経融資がどのような制度なのか、目的や利用条件、さらに申し込みをする際に必要となる書類について解説していきます。
中小企業や個人事業主で、運転資金や設備資金を調達したいと考えている方は、ぜひ最後まで目を通してみてください。

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マル経融資(小規模事業者経営改善資金)は小規模事業者の経営改善目的の制度


マル経融資は、中小企業や個人事業主の経済改善を目的とした制度です。
主に無担保・無保証で資金調達ができ、金利も低いため運転資金や設備資金に有効に活用できます。

管轄の商工会議所や商工会から経営指導を受けている小規模事業者は多いですが、原則6カ月以上受けた場合はマル経融資が利用できるようになります。
マル経融資には通常枠とは別枠の新型コロナウイルス対策枠もありますが、以下は通常枠を利用するための条件です。

マル経融資を利用するための条件(通常枠)
貸付限度額 2,000万円
返済期間(運転資金) 7年以内(据置期間1年以内)
返済期間(設備資金) 10年以内(据置期間2年以内)
担保・保証人 不要(保証協会による保証も不要)
利率 特別利率F(1.21%)
※令和元年11月1日現在
併用可能な融資制度(設備投資を行う場合) 設備資金貸付利率特例制度(全国版)
設備資金貸付利率特例制度(東日本版)

マル経融資の注意点について

中小企業や個人事業主がマル経融資を利用する際には、注意しなればならないことがあります。それは、借入額可能額や使用使途、融資を受けるまでの期間です。
ここでは、それぞれの項目における注意点を詳しくご紹介します。

無担保・無保証で2000万円までの借入可能

マル経融資は、対象の中小企業や個人事業主であれば無担保・無保証で資金調達ができます。
貸付限度額は最大2,000万円となっており、保証協会による保証を立てる必要もありません。
中小企業や個人事業主が資金調達をする際には、非常に活用しやすく設計されています。
しかし、2,000万円を超える貸付限度額を希望する場合はマル経融資では十分な借入ができません。
スモールビジネスの場合は使い勝手が良いですが、そうでない場合には注意が必要です。

運転資金・設備資金のみ

マル経融資の使用使途は、運転資金もしくは設備資金のみとなっています。
そもそも、マル経融資は中小企業や個人事業主などのスモールビジネスの経営状態を審査し、経営改善を目的に提供されている融資制度です。
そのため、事業をスタートさせたばかりで経営実績がない状態では融資を受けられません。

使用使途も限定されており、申告した資金使途以外での利用は資金使途違反として判断される可能性が高いです。
使用使途違反になると、金融機関との信頼関係も低下してしまう可能性があります。

申し込みまでに原則6カ月、申込みから融資までは1カ月以上

実際にマル経融資を利用する場合には、商工会議所や商工会の経営指導を原則6カ月以上受けている必要があります。
条件に該当する事業者は、商工会議所や商工会から推薦を受け、マル経融資の申し込みを行う流れです。

推薦を受けるためには、商工会議所や商工会の審査委員による審査会での審査を通過しなければなりません。
審査会が開催されるタイミングでの審査であれば問題ありませんが、場合によっては1カ月かかる可能性もあります。
また、申し込みは日本政策金融公庫に行いますが、審査には約1カ月以上要するため、合計で2カ月の期間がかかることになります。
現時点で商工会議所もしくは商工会の経営指導を受けていない事業者は、融資を受けるまでに最大8カ月の期間がかかるかもしれません。

マル経融資を利用する条件・対象者


小規模事業者がマル経融資を利用するには、いくつかの条件を満たす必要があります。ここでは、マル経融資を利用するための条件や対象者について解説します。

従業員が20人以下の法人または個人事業主

マル経融資は、小規模事業者経営改善資金と呼ばれることもあり、中小企業や個人事業主などの小規模事業者を対象としています。
具体的には、従業員の人数が20人以下(宿泊業・娯楽業を除く商業・サービス業は5人以下)の法人または個人事業主です。
その際、パートやアルバイトなどは常時使用する従業員として含めることができますが、会社役員や個人事業主本人は含まれないため、常時使用する従業員の人数をよく確認しておく必要があります。

労働基準法では、第20条で常時使用する従業員のことを「解雇の予告を必要とする者」としています。
該当するのは、パート・アルバイト・派遣社員・契約社員・非正規社員なども同様です。

6カ月以上にわたり、商工会議所の経営指導を受けている

マル経融資は、商工会議所や商工会の経営指導を6カ月以上受けている小規模事業者が対象となる融資制度です。
商工会議所は主に地元の中小企業の発展を目的に経営指導や支援を行っている団体であり、事業者のもとを2カ月おきに1度訪問して経営指導を行っています。
事業状況の相談に乗ってもらうこともできるため、利用している事業者も多いです。

商工会議所の経営指導を受けてから既に6カ月以上経過しているのであれば、マル経融資の申し込みが可能です。
その際には、商工会議所からの推薦を得るために審査を通過しなければなりません。
経営指導は、商工会議所の会員として入会していないからといって対象外となるわけではなく、会員でなくても受けられます。

1年以上事業を継続している

マル経融資は、商工会議所の経営指導を受けているといった条件に加え、事業開始から1年以上経過している必要があります。
事業をスタートさせたばかりで、運転資金としてマル経融資を利用したくても、事業開始から1年未満の場合は利用できません。
事業の立ち上げにより、創業資金の借り入れと同様に利用できるわけではないため注意してください。

マル経融資は、管轄の商工会議所のエリア内において1年以上事業を行っていれば、事業を遂行する上で資金調達が必要な場合に利用できます。

税金を滞納していない

マル経融資は、無担保・無保証での借り入れが可能ですが、基本的に資金の返済を前提としています。
そのため、マル経融資に申し込む際には法人税や事業税、法人住民税の領収書や納税証明書の提出が求められます。
個人事業主の場合は、所得税・事業税・住民税の領収書・納税証明書
が必要です。

事業を進める中で運転資金を賄うのが困難なほど経営状態が悪いと、納税できないほどにまで発展してしまう可能性もあります。
しかし、納税が困難なほど経営状態が悪化している場合は、他の条件がクリアできていたとしてもマル経融資を利用できません。

日本政策金融公庫の融資対象外ではない

マル経融資の申し込みは、日本政策金融公庫に行うことになるため、商工業者であっても日本政策金融公庫が融資対象外としている業種の場合は融資が受けられません。
日本政策金融公庫が融資対象外としているのは以下のとおりです。

  • 郵便局
  • 銀行業
  • 賃金業
  • 金融商品取引業
  • 商品先物取引業
  • クレジットカード業
  • 保険業
  • 競輪・競馬
  • 場外馬券売場・場外車券売場
  • パチンコ業
  • ソープランド業
  • 集金業
  • 取り立て業
  • 福祉事業所
  • 社会保険事業団体
  • 更生保護事業
  • 政治・経済・文化団体
  • 農業・林業・漁業

 
このほか、風俗や娯楽を提供している業種も日本政策金融公庫の融資対象外となっています。

マル経融資で必要な書類について


マル経融資の申し込みをする場合には、いくつかの書類の提出が求められます。
ここからは、マル経融資の申し込みの際に必要な書類について、中小企業をはじめとする法人と個人事業主に分けてご紹介します。

法人の場合

法人の場合、マル経融資の申し込み時に以下の書類が必要です。

  • 事業概要申告書
  • 個人情報利用に関する同意書
  • 事業計画書(1,500万円以上の場合のみ)
  • 決算書・確定申告書(前期分、前々期分)
  • 残高試算表(決算後6カ月以上経過している場合のみ)
  • 税金の納税証明書もしくは領収書(法人税・事業税・法人住民税)
  • 商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • 見積もり書・カタログ等(使用使途が設備資金の場合のみ)

この他に、不動産登記簿謄本や固定資産評価証明書、賃貸借契約書、許認可業務の許認可書のコピーが必要になる場合もあります。

個人事業主の場合

個人事業主の場合は、マル経融資の申し込みで以下の書類を用意しなければなりません。

  • 事業概要申告書
  • 個人情報利用に関する同意書
  • 事業計画書(1,500万円以上の場合のみ)
  • 決算書・確定申告書(前年、前々年分)
  • 税金の納税証明書もしくは領収書(所得税・事業税・住民税)
  • 見積もり書・カタログ等(使用使途が設備資金の場合のみ)

個人事業主の場合、法人とは必要書類が異なり、残高試算表や商業登記簿謄本は必要ありません。決算書に関しては、収支内訳書でも代用可能です。
また、法人と同様、不動産登記簿謄本や固定資産評価証明書、賃貸借契約書、許認可業務の許認可書のコピーが必要になる場合もあります。

マル経融資の審査実行までの流れ


以下は、マル経融資を受けるまでの流れです。

1.商工会議所・商工会の経営指導員へ相談
2.審査会の審査を受ける
3.商工会議所・商工会の推薦を受ける
4.必要書類を準備して申し込みをする
5.日本政策金融公庫の審査を受ける
6.融資の決定・実行

マル経融資を受けるには、商工会議所・商工会の審査会による審査に加え、日本政策金融公庫の審査の2つに通過する必要があります。
仮に商工会議所・商工会による経営指導を受けていない場合は、経営指導員による指導を6カ月以上受けてからの申し込みとなり、最大で8カ月の期間を要する場合もあります。
審査に通過できれば融資契約を交わす段階に入り、融資が実行される流れです。

マル経融資の審査に落ちてしまった時の対処法はある?


マル経融資は、商工会議所・商工会と日本政策金融公庫、計2回の審査を通過しなければ利用できません。
審査に落ちてしまった場合は、ビジネスローンや制度融資、ベンチャーキャピタルの利用を検討してみてください。ここでは、詳しい対処法をご紹介します。

ビジネスローンを利用する

ビジネスローンは、法人経営者や個人事業主が申し込みできる事業資金専用のローン商品のことです。
使用使途としては運転資金や設備資金のほか、新規事業の立ち上げ、取引先への支払い資金などにも利用可能です。
主に銀行や信販会社、クレジットカード会社、消費者金融などが取り扱っており、借入先によって融資基準・金利・貸付限度額が変動します。

マル経融資は日本政策金融公庫の融資制度であり、審査には1カ月程度かかる場合があります。
一方、ビジネスローンはこうした公的融資や銀行融資とは異なり、1週間~10日ほどで融資実行となるため、融資までのスピードが非常に速いことが魅力です。
ビジネスローンに関しても、無担保・無保証での申し込みができます。

制度融資を利用する

制度融資は、中小企業や小規模事業者への資金調達サポートを目的とした融資制度で、地方自治体や金融機関、信用保証組合が連携して提供しています。
各自治体によって融資基準や内容に違いがありますが、金利が低く長期間の借り入れが可能なことが特徴です。

例えば、埼玉県が提供している制度融資の場合、運転資金は最長10年、設備資金は最長15年まで借り入れが可能です。
また、自治体と保証協会が連携しているため審査のハードルが低く、担保や保証人が不要なケースも少なくありません。
現在の経営状況が厳しい場合でも、将来的に回復・成長する可能性が高いと判断されれば審査に通過する可能性も高いです。

ただし、自治体と金融機関、そして信用保証組合と関わる組織が多くなるため、手続きや審査には時間がかかります。
制度融資の相談から審査、融資実行までには3カ月ほどかかります。

ベンチャーキャピタルを利用する

ベンチャーキャピタルは、今後高い成長が見込まれる未上場のベンチャー企業に対して出資を行う専門会社やファンドのことです。
ベンチャーキャピタルは、成長が期待される企業の株式を取得し、その後出資した企業が成長した際に株式や事業を売却することで利益を得ています。
出資により運転資金を得るため、銀行融資と違って利息を含む返済義務が発生しませんが、その分出資を受けた時よりも多くの利益を生み出すことが前提です。

将来の成長性や収益力が判断材料となるため、事業を開始したばかりの新興企業にとっては資金調達しやすく設計されています。
また、ベンチャーキャピタルの支配下に置かれるため、ベンチャーキャピタルに蓄積されている経営資源やノウハウを活用でき、企業価値向上を図ることができるという点も特徴です。

まとめ・条件を確認してマル経融資を利用しよう

マル経融資は、中小企業や個人事業主など、小規模事業者を対象とした融資制度です。
無担保・無保証で最大2,000万円の借り入れができるため、スモールビジネスを行う企業にとっては使い勝手の良い制度となっています。
しかし、申し込みにはいくつかの条件を満たす必要があり、融資までには時間がかかる可能性もあります。


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(編集:創業手帳編集部)

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