マーケティングファネルとは?基本から最新の考え方まで徹底解説

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マーケティングファネルは時代遅れなのか? 答えは・・・NO! 使い方さえ間違えなければ今も有効

マーケティングファネル

(2020/10/02更新)

マーケティングファネルとは、効果的なアプローチを図るために、顧客が商品やサービスを購入するまでの過程を段階に分けて整理することです。商品やサービスを知らない顧客とある程度情報を集めて検討している顧客ではマーケティング施策が異なります。マーケティングファネルは、BtoCビジネスだけでなく、BtoBビジネスにも活用できます。本稿では、マーケティングファネルとは何か、どのような型があるかなどをご紹介します。

マーケティングファネルとは?


マーケティングファネルとは、顧客が商品やサービスを認知し、購入するまでの段階を図示化したものです。認知から購入まで、徐々に顧客の数が絞られてくるので、図はファネル(漏斗・じょうご)のような形になります。

マーケティングファネルは、「認知(Attention)」「興味(Interest)」「欲求(Desire)」「記憶(Memory)」「行動(Action)」といったAIDMAの法則や、顧客がインターネットで商品を検索し、口コミなどを確認して購入するようになってからは、「検索(Search )」「共有(Share)」が特徴であるAISASなど、さまざまな型が用いられます。

BtoBビジネスになぜ活用できるのか?

マーケティングファネルは、BtoBにおいても有効なフレームワークです。

従来のBtoBビジネスは、営業が何度も足を運び、顧客と交渉を行うことが一般的でした。しかし、近年ではマーケティングオートメーションCRMSFAなどの導入により、営業への通知やアサイン業務が自動化され、顧客の状態を共有することができるようになりました。

その結果、営業は一人で行うのではなく、チームでプロセスにおける役割を分担することも増えています。

その中で重要なことは顧客の状況を正しく把握することです。

冒頭でも紹介したように、商品やサービスについて全く知らない顧客と、情報を収集した上で検討している顧客とではアプローチの方法が大きく異なります。マーケティングファネルを利用し、顧客が現在どのようなステージにいるのかを整理することで、BtoBビジネスでも効果的な施策を実施することができます。

マーケティングファネルの種類

それでは具体的にマーケティングファネルとはどのような図式になっているかをご紹介します。

マーケティングファネルは、パーチェスファネル(購入ファネル)とインフルエンスファネル(影響ファネル)、それを合わせたダブルファネルがあります。

パーチェスファネル

パーチェスファネルとは、上述したAIDMAAISASなど、顧客が商品やサービスを認知してから購入するまでの段階をファネル化したものです。パーチェスファネルは大きく3つの段階にわかれます。

TOFU(TOP OF FUNNEL)

1段階目は、商品やサービスを認知してもらうフェーズです。最初のフェーズということからTOP OF FUNNELと呼ばれ、図の一番上にあたります。

顧客に新しいニーズが生じ、情報収集を始めた段階で、顧客はまだ商品やサービスを認知していない状況です。そのため、企業は自社の商品やサービスを認知してもらうために、プレスリリースやテレビCM、webコンテンツの公開、SEO対策などを行います。

MOFU(MIDDLE OF FUNNEL)

2段階目は商品やサービスについて興味関心を持ってもらうフェーズです。プロダクトを認知した顧客に対して、興味関心を抱いてもらうために情報を発信します。

例えば、ウェビナーやブログ、動画などで情報を提供する、資料をダウンロードしてもらうことで、氏名やメールアドレスなどの情報を得る、SNSで情報交換をするなどの手法があります。

BOFU(BOTTOM OF FUNNEL)

3段階目は、購入に最も近いフェーズです。興味関心を抱いた商品やサービスについて、金額や機能などを競合と比較している段階です。ここでは最後のひと押しとなるような施策が必要となります。

例えば、特別オファーなどの割引、導入事例の紹介などがあります。

インフルエンスファネル

インフルエンスファネルとは、購入以降の顧客の行動ファネルです。近年、商品やサービスを購入してもらうだけでなく、購入後も企業が継続して得られるライフタイムバリューが重要視されています。そこで重要となるのがインフルエンスファネルです。

インフルエンスファネルは、リピート→ファン化→拡散というステージで整理され、パーチェスファネルとは逆の型を描きます。顧客が商品やサービスをリピートし、ファン化することで他の顧客に向けて拡散し、徐々に数が増えていきます。この流れは、SNSの普及などに伴い一般化しました。

ダブルファネル

ダブルファネルとは、パーチェスファネルとインフルエンスファネルの概念を組み合わせたものです。購入までにとどまらず、顧客による拡散まで見越したマーケティング施策の検討を目的とします。

既存顧客による拡散が、新しい顧客の購入につながることを「ダブルファネル効果」ともいい、売りっぱなしではなく、いかに顧客の満足度を高められるかが重要になります。

ファネルをどのように活用するのか

マーケティングファネルは、実際どのように活用するのでしょうか。

PDCA

マーケティングファネルの活用は、PDCAを行う際に最も適しています。PDCAとは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」のサイクルによって、商品やサービスの品質を管理するものです。

ファネルを活用し、各ステージでの顧客数を整理します。どのステージで顧客が減ったかを把握することで、マーケティング施策のどの部分に課題があるのかが把握できます。

例えば、パーチェスファネルで、認知フェーズ100人、興味関心フェーズ90人、検討フェーズ30人、購入20人と整理した場合、興味関心フェーズから検討フェーズで多くの顧客が離脱していることがわかります。その場合、商品やサービス自体には興味関心を抱いたが、競合商品と比べて何かが劣っていると考えられます。

このようにファネルを分析することで、商品やサービスの問題点、マーケティング施策の問題点を明らかにすることができます。

ファネル分析をより効果的にするためには、顧客の人数と実施している施策を合わせて整理することが必要となるでしょう。

情報共有

BtoBマーケティングでは、組織づくりが重要視され、チームが複数の部署にまたがることもあります。

そのため、顧客情報を整理し、共有することが重要になります。このような場合にもファネル分析は有効です。

どのような顧客が次のステージへと進むのかを明確にすることで、具体的な施策を打つことができるのです。

例えば、ウェブサイトから資料請求してきた人は興味関心フェーズであり、企業の商品やサービスの詳細を案内し課題のヒアリングなどが必要です。見積もりの問い合わせをしてきた人は検討フェーズであり、競合との比較や割引など、最後のひと押しとなるようなアプローチが必要です。

そのような規定を設けておくことで、担当者を移行しても問題なく顧客にコンタクトすることができます。

このように整理されていれば、ステージごとに担当部署が変わっても、軸として活用することができるでしょう。

ファネルは死んだのか?

一方で、「マーケティングファネルはもう時代遅れ」との声もあります。

2009年マッキンゼーが発表した「The consumer decision journey」では、マーケティングファネルは機能していないと言われています。なぜマーケティングファネルは死んだと言われるのでしょうか。

マーケティングファネルが死んだと言われる理由

マーケティングファネルが死んだと言われる理由は、大きく3点あります。

1点目は、消費者の価値観が多様化したことです。SNSの普及に伴い、従来の大量生産、大量販売の時代から、個人の時代に移行しています。そのような中で、公約数的に顧客を捉えるマーケティングファネルは限界があると言われているのです。

2点目は、メディアが多様化したことです。従来TV、雑誌、新聞などのマスメディアがコミュニケーションの中心でした。

しかし、インターネットやSNSの影響で、企業からの一方通行のコミュニケーションだけでなく、口コミなど顧客発信でのコミュニケーションやSNSなど双方向のコミュニケーションが増えてきました。その結果、企業側からのコミュニケーションを前提としたマーケティングファネルでは、捉えきれなくなってきたと言われています。

3点目は、シェアリングサービス、サブスクリプションサービスの流行です。商品やサービスを都度購入するのではなく、一定期間利用するという概念が増えてきています。

このように、価値をモノではなくコトにおき、顧客体験価値を重要視するサービスは、登録後も継続して顧客と接点を持つこととなるため、マーケティングファネルでは整理しきれない領域であると言われています。

このような時代変化から、マーケティングファネルは現代では機能しないという声もあります。しかし、このような変化をしっかりと理解しておけば、マーケティングファネルはまだまだ機能します。

例えば、顧客の多様化に対しては、ファネルのベースを「30代男性」などのように、より具体的に設定することで有効活用できます。そのためにもセグメンテーションは重要です。

また、マーケティング施策に関しては、口コミなど企業側発信以外の施策の効果も整理することで、企業発信にとらわれないコミュニケーションプランを練ることができます。重要な施策の整理をすることが可能です。

マーケティングファネルは時代遅れと言われていますが、戦略を規定することで有効に活用できます。

ファネルとカスタマージャーニーの違い


マーケティングファネルと混同されるフレームワークとして、カスタマージャーニーがあります。ともに顧客の購買行動を整理するという意味合いですが、それぞれ用途が異なります。

カスタマージャーニーとは

カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスを購入するまでの行動を整理したものです。

顧客の購買行動の整理という意味合いでは、マーケティングファネルも同様です。カスタマージャーニーはファネルなどの顧客行動以外に、その時の顧客がどのような意識でいるのか、どのようなメディアに接触するのかを整理します。

カスタマージャーニーはマーケティングファネルよりも情報量が多いという特徴があります。また、ファネルは顧客全体を整理するという特徴があるのに対して、カスタマージャーニーはペルソナを対象として作成し、より具体的にしていくという特徴があります。

ファネルとカスタマージャーニーの使い分け

マーケティングファネルとカスタマージャーニーは顧客の購買行動を図示化する点は同様です。そのため、目的によって使い分けることが重要でしょう。

マーケティングファネルはマーケティング施策全体の問題点、ボトルネックを割り出す際に有効です。一方カスタマージャーニーは、それぞれの行動フェーズにおいて、顧客がどのようなことを考えているかに着目するため、個々にどのような施策が有効かを検討する際に役立ちます。

より効果的なマーケティング施策を検討するためには、ファネルとカスタマージャーニーを有効に使い分けましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。マーケティングファネルは、顧客行動を整理するものであり、マーケティング戦略の問題点を把握し、情報を共有するために有効です。顧客の行動分析というとBtoCのイメージがあるかもしれませんが、BtoB企業でも活用できるフレームワークです。時代遅れという意見もありますが、戦略次第で有効に使えるため、まずは自社の顧客状況を整理するために一度マーケティングファネルを作ってみてはいかがでしょうか。

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(編集:創業手帳編集部)

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