個人塾の経営とは?開業の流れや成功へと導くポイントなどを徹底解説!
個人塾は開業コストが低いためおすすめ!
塾は特に資格がなくても開業でき、特に小規模の個人塾であれば少ないコストで経営をはじめられます。
しかし、開業しやすい個人塾でも経営に失敗しないためには、成功のためのノウハウが必要です。
今回は個人塾の開業をおすすめする理由や開業の流れ、成功するためのポイントなどについて解説します。塾経営をはじめたい方はぜひ参考にしてください。
起業を検討中の皆様によく受けるご質問で、「起業を考えているけど、必要な準備って何」というお悩みを多く頂きます。そのような声から創業手帳では、起業予定日を起点に前後1年において必要なことをカレンダー形式でチェックできる「創業カレンダー」をご用意。起業の成功率は事前準備で大きく変わるという説もあるので、準備はこちらを参考に進めて頂ければと思います。
この記事の目次
個人塾の開業がおすすめな理由とは?
塾経営をはじめるのであれば、個人塾がおすすめです。個人塾の開業をおすすめするのは、以下の理由が挙げられます。
大手塾と差別化できる
個人塾は大手塾と比べると資本や人材の多さから勝てないという印象がありますが、実は差別化が図りやすいメリットがあります。
大手塾の場合、どの教室も均一な経営が行えるように、指導方針やルールが細かく決まっています。
しかし、個人塾なら独自に指導方針やルールを定められるので、生徒や保護者に寄り添った学習サービスを提供できることが強みです。
具体的には、大手塾の不満を解消した個人塾にするのが望ましいです。
担当の講師がよく変わる、講師に質問がしづらい、やたらオプションが多くてプランが選びにくいなど、このような不満があれば退塾される可能性が高まります。
個人塾なら地域に合った戦略で学習サービスを展開しやすく、地元で人気の塾を目指すことが可能です。
運営コストを抑えられる
個人塾は運営コストを抑えやすいこともメリットです。生徒に授業を行うためには、教室が必要になります。
一度に数十人集めて授業を行う場合は、それなりの広さがある教室となる部屋を借りなければならず、契約後は毎月家賃が発生します。
しかし、生徒が数人程度で自宅の一部を塾として使えるようであれば、わざわざ教室を賃貸する必要がなく、家賃が発生しません。
黒板やホワイトボード、机・椅子など授業をするための備品や設備があれば、塾として開業できます。
特に大がかりな工事を必要としないため、自宅でも開業しやすいです。
また、講師が塾長ひとりであれば、人件費もかかりません。正社員やアルバイトの講師や事務員などを雇うとしても、生徒数が少なめの個人塾なら少ない人数の雇用で済みます。
スケジュールが組みやすい
個人塾の学習スタイルが個別指導であれば、講師のスケジュールが組みやすいというメリットがあります。
個人指導の場合、生徒の生活に合わせて時間割を設定するのが一般的です。
そのため、生徒ごとに授業のスケジュールがある程度決まっているので、講師のスケジュールに合わせてコマを埋めることが可能です。
集団授業の場合、生徒の学年にバラつきがあると、空席が埋まらず授業がない時間帯が生じる可能性があります。
その間、講師は無駄に時間をロスすることになるかもしれません。
しかし、個人塾であれば、時間のロスが発生しにくいため、効率良く塾の経営が可能です。
授業の質で戦える
質の高い授業を提供できるのが個人塾の強みです。例えば、価格で勝負しようと思っても、大手塾にはかないません。
大手塾は生徒の数が多く安定した経営を実現でき、資本力も高いので授業料を安くできます。
資本力が劣る個人塾は生徒の数が少ないので、無理に授業料を下げれば利益を上げられない状態になってしまう可能性が高いです。
そのため、大手塾と差別化を図るには、授業の質が重要となります。
質の高い授業を提供できれば、その個人塾に通わせる価値があるので、多少単価が高くても選んでくれる人は多いでしょう。
個人塾は生徒数が限られるので、個人指導がやりやすいといえます。生徒ごとに合わせたカリキュラムを組んで指導できるので、集団授業よりも手厚い指導が可能です。
個人塾の経営者の年収はどれくらい?
個人塾経営者の平均年収は500万円程といわれています。国税庁が公表する2022年度の「民間給与実態統計調査」によれば、役員報酬の平均年収は647万円でした。
この平均に比べると塾経営者の年収はやや劣りますが、役員報酬には手当や賞与も含まれるので、それらを考慮しなければ大差はないと考えられます。
ただし、個人塾を開業した時点で年収500万円を稼ぐのは厳しいでしょう。1年目はあまり生徒が集まらず、利益が出ない可能性があります。
しかし、経営が軌道に乗れば年収500万円以上を稼げるかもしれません。
個人塾の経営では、売上に関係なく運営コストが発生します。
運営コストが高いと利益を圧迫するので、安定した売上げが出るまで一定の利益を確保できる体制を整えることが大切です。
個人塾の開業に必要な資金
個人塾を開業するためには、ある程度まとまった資金を準備しておかなければなりません。開業時に必要となる主な資金は以下のとおりです。
物件の取得費 | 店舗用物件を賃貸する場合、借りるための費用が必要です。契約時に必要な初期費用や賃料は物件やエリアなどによって異なります。 |
内装・改装費 | 個人塾として利用するために店舗用物件や自宅の一部の内装を改装する工事が必要になります。内装工事や改装工事の内容によって費用は変動します。 |
什器・備品の購入費 | 机・椅子・ホワイトボード・空調設備・教材など塾で必要なものを揃えるための費用です。PCやタブレットを通じて学習する場合、必要に応じて端末も用意しなければなりません。 |
採用・育成費 | 事務員や講師などのスタッフを雇う場合、求人の出稿など採用にコストがかかります。また、採用後は教育も必要となるため、教育費も必要です。 |
広告宣伝費 | 開業の準備が整えば、生徒を募集するために宣伝活動が必要です。その際、チラシの制作やインターネット広告への出稿などでコストがかかります。自らチラシを配布する、SNSやWebサイトでPRするなどあまりお金をかけずに宣伝する方法もあります。 |
開業にどのくらいの費用がかかるのかは状況によって異なりますが、少なくとも300万円は必要といわれています。
また、開業後は家賃や光熱水費、スタッフへの給料など様々な必要経費が発生することも念頭に置いておかなければなりません。
さらに、開業したばかりの時点では利益がなかなか出ないため、必要経費を支払うと経営者の生活費が不足する可能性があります。
それを防ぐためにも、半年から1年分の運転資金を確保しておくのが望ましいです。
個人塾開業の流れ
個人塾の経営を成功させるためには、事前の準備が重要です。ここからは個人塾を開業するまでの流れをご紹介します。
コンセプトや事業計画を考える
まずは、個人塾のコンセプトや事業計画を立てることからはじめます。塾を経営する目的やビジョンなどが決まることで、経営方針を明確にすることが可能です。
塾の場合、生徒の対象年齢や指導方法、得られる成果といったコンセプトの策定が必要です。
指導方法は集団指導と個人指導の2つに大きく分けられるので、それぞれの特徴を理解して自分の経営方針に合ったほうを選んでください。
また、対応する授業科目と科目ごとのコマ数も決めなければなりません。
ほかにも年間の指導プログラム・授業時間・授業料・リモート学習に対応するかどうかなど、どのような塾にしたいのかシミュレーションしながら決めていきます。
開業するエリアを絞り込む
立地は集客のしやすさに大きく関わるため、慎重に開業するエリアを決める必要があります。
自宅の一部を塾として利用する場合、近所の子どもを対象にするのであれば立地に関して難しく考える必要はありません。
しかし、対象の生徒がいなかったり、自宅にスペースがなかったりする場合は、学校の近くや通学に使われる駅の周辺など通いやすいエリアに店舗用物件を借りるのがおすすめです。
開業を検討しているエリアがあれば、まずは人口・人口動態・小中学校や高校の生徒数、他塾の数・タイプなどを把握します。
そして、その情報から予想される学習ニーズを推定し、自分の塾のコンセプトにマッチしているか照らし合わせてみてください。
学習ニーズとコンセプトが合っていれば、開業に適したエリアといえます。また、多少のズレがあれば、ニーズを満たせるようにコンセプトの修正してください。
物件を契約する
エリアの絞込みが済んだら、そのエリアを対象にしている不動産会社の紹介やインターネットを活用して店舗用物件を探します。
塾の物件選びでは、できる限り以下のポイントを押さえて探すのがおすすめです。
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- 学校やターミナル駅から徒歩15分以下(1.2kmの範囲)の立地
- 一目でわかる目立ちやすい場所
- 通学路や大通りに面した物件
- 送迎で利用できる駐車スペースが付近にある
学校やターミナル駅の周辺であれば、学校帰りや休日に通いやすいメリットがあります。また、子どもも親も熟知している場所であれば、安心して通うことができます。
ほかにも視認性を重視して、目立ちやすい場所や通学路や大通りに面した物件が望ましいです。
保護者が車で送迎して通塾するケースもあるので、近くに駐車スペースがあるかどうかも確認してください。
理想の物件が見つかったら内見で物件を確認し、納得できたら賃貸借契約を締結します。
開業・集客をする
物件の契約が完了したら、内外装工事や什器・設備の配置を行って教室を完成させ、教材も揃えば本格的に個人塾をはじめることが可能です。
個人事業の開業・廃業等届出書 | 原則開業日から1カ月以内に所轄の税務署に提出 |
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所得税の青色申告承認申請書 | 青色申告をする際は所轄の税務署に提出(開業届の提出が必要) |
事業開始等申告書 | 都道府県税に提出(提出期限は都道府県によって異なる) |
開業したら、同時に生徒の集客も必要です。
最近はオンラインから塾の情報を集めるケースが増えているので、チラシやポスターによるリアルの広告だけではなく、オンライン広告の活用もおすすめです。
それなりの宣伝広告費がかかるので、コストの負担も考慮してやりやすい方法で集客を行ってください。
個人塾経営は儲かるの?成功させるには?
無事に個人塾を開業できても、必ずしも成功するとは限りません。大きな利益を得るためには、安定した経営の実現を目指す必要があります。
最後に、個人塾の経営を成功させるポイントのご紹介です。
経営者としてのスキルを習得する
経営が成功するかどうかは、経営者の手腕にかかっています。そのため、経営者としてのスキルが必要です。
講師として優れていても、経営者として知識やスキルが不足していれば、安定した経営の実現は難しくなります。具体的には必要となるスキルは以下のとおりです。
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- ビジネス全般の知識・スキル:マーケティング、経理・財務、法務、営業など
- 経営に関する知識・スキル:事業計画、経営の仕組み、リスク管理など
- 自分の塾に関する知識・スキル:塾の強み・弱み、指導方法、経営資質の調達など
一般的なビジネス全般の知識・スキルから経営に関わる知識・スキルはしっかり習得し、磨き続けていくことが大切です。
また、戦略的な経営の実現や経営課題の解決には、塾の強みや弱みなど自塾についても理解を深め、客観的なデータをもとに分析することも欠かせません。
コスト感覚を身に付ける
赤字経営を避けるためには、コスト感覚を身に付けることが大切です。
特に開業時の初期費用は、必要以上に広い物件の契約や現状不要な什器・備品の購入などを行い、費用を浪費するケースがあります。
それが開業後の運営資金を圧迫する原因となる可能性があるので、初期費用は必要最低限の支出に留めることが大切です。
また、経営者の年収をアップしたいのであれば、利益を多く残せるように細かくコストを管理しなければなりません。
必要経費の支出はなるべく抑えたいところですが、塾の質に影響を与えるコストを削ってしまうと集客が難しくなります。
節約できるところ、節約しないほうがいいところを見極めながらコスト管理をしましょう。
ターゲットを絞る
個人塾を開業するにあたって、ターゲットの絞込みは集客において重要です。
すべての生徒を対象にしてしまうと、学習ニーズを満たせず、不満を抱かせてしまう可能性があります。
質の良いサービスを提供するためにも、ターゲットを絞り込まなければなりません。
ターゲットの設定は、塾のコンセプトに合わせて具体的に設定することがポイントです。具体的なターゲット設定例は以下のとおりです。
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- 小学生向け:私立中学校の受験合格を目指す生徒
- 中学校向け:学力アップのための補修や高校受験を目指す生徒
- 高校向け:学校推薦・総合型選抜での入試合格を目指す生徒
自塾のコンセプトに合わない生徒が入塾すると、ギャップが生じて早々に退塾してしまう可能性があります。
しかし、上記のように具体的なターゲット設定を行えば、自塾の学習サービスを求める生徒を集めやすくなるでしょう。
リサーチし、他塾との差別化を図る
少子化によって子どもが減っている一方で、塾の数は増えています。そのため、リサーチを行い、ほかの塾との差別化を図ることも大切です。
付近の塾を調査し、学習スタイルやコース・サービス内容など差別化できるポイントを探してみてください。
個人塾を開業した時点では、入試合格実績を売りにすることができません。そのため、初期から行える差別化戦略を検討する必要があります。
例えば、学生講師の採用に注力している塾であれば、現役大学生講師による指導を売りに宣伝ができます。
そのため、講師が通う大学を志望する生徒の集客につながりやすいです。
まとめ・強みがあれば個人塾開業で成功できる!
個人塾は、比較的少ないコストで開業が可能であり、事業が軌道に乗れば経営者の年収アップにも期待できます。
ただし、塾は規模を問わずたくさんあり、生徒の奪い合いが起きやすいです。
競合に負けないためにも、独自の強みを持って差別化を図るという工夫が求められます。
リサーチは徹底して行い、また強みを活かした経営戦略を立てて個人塾の経営を成功させてください。
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(編集:創業手帳編集部)