ゲストハウスの開業方法から資金調達まで。ゲストハウスの経営ポイントをご紹介

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ゲストハウス経営を成功させるには?需要に合わせたサービス提供と経営の注意点

ゲストハウスの開業方法から資金調達まで。ゲストハウスの経営ポイントをご紹介

ゲストハウス経営は、成功すれば儲けも出すことができ、サービス提供者として充実感を得られるビジネスです。
ただし、ゲストハウス経営にはいくつかの注意したいポイントもあります。考えなければいけない点も多く、一筋縄で成功できるとは限りません。

ゲストハウス経営を成功させるためには、成功者が必ず押さえているポイントを知ることが大切です。
心理面や経営者としての視点など、ゲストハウス経営を成功させるために必要なこと、そして具体的な準備の手順を解説します。

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ゲストハウスとは


ゲストハウスとは、旅館やホテルとも少し異なる宿泊施設で、カジュアルな宿泊スタイルとリーズナブルな価格設定が特徴です。
ゲストハウス経営は、日本でもゲストハウスに宿泊する人が増えるにつれ、注目を浴びるようになりました。
ゲストハウス経営に興味のある人は、まずはその特徴をチェックしてみましょう。

共用リビングがある

ゲストハウスの特徴でもあり、宿泊客にとっての魅力でもあるのが、共用リビングです。
ゲストハウスでは、共用リビングを設けて宿泊している人同士が気軽にコミュニケーションを取れるようになっています。

共用リビングは、見知らぬ宿泊客同士がおしゃべりしたりゲストハウスが用意したイベントを楽しんだりして過ごす場所です。
オーナーも参加して一緒にコミュニケーションを楽しみ、その土地のニッチな情報を提供することもあります。

トイレとシャワーなどは共用も

ゲストハウスのトイレやシャワールーム、洗面所などは共有であることも多いものです。こうすることでコストダウンが可能となり、宿泊代金をリーズナブルにできます。

トイレや洗面所はともかく、シャワールームやバスルームは「利用は○○時まで」といった、使える時間帯を設定することが可能です。
ホテルほどしっかりした建物ではないゲストハウスでは、他の宿泊客に配慮したルールを作り、宿泊客一人ひとりに守ってもらう必要があります。

ドミトリー(相部屋)も可能

ゲストハウスでは、客室を個室だけでなくドミトリー(相部屋)にすることも可能です。
ゲストハウスのドミトリーは、二段ベッドを並べるタイプやふとんを並べて敷いて寝るタイプなどがあります。
また、女性が安心して過ごせるように女性専用のドミトリーを作ることもあります。

素泊まり1泊から滞在可能

ゲストハウスの宿泊は、素泊まり1泊からがメインです。
朝食もつかないことが多く、ゲストハウス内で食事をしたい場合には宿泊客が共用のキッチンで料理することもあります。
また、個人用のアメニティも最低限で、風呂や洗面所で石鹸などは利用できるものの、タオルやバスロープ、浴衣などは準備されていません。

そのため、料金はホテルや旅館、民宿に比べてもリーズナブルで、サービスよりもコストを重視する若者にうけています。

素泊まり1泊3,000〜4,000円から

ゲストハウスの素泊まり料金は、1泊3000円~4000円ほどです。
東京都内でも2,000円程度で宿泊できるゲストハウスもあります。長期間の滞在やお金のないバックパッカーにも安心です。

利用者は外国人も

ゲストハウスの利用者は日本人だけではありません。外国から来た旅行者も多く利用しており、ゲストハウスではグローバルな出会いが期待できます。
日本人宿泊客も外国人とのコミュニケーションを楽しみにする人も多くなります。

海外からの訪問客が多いエリアでは、オーナーが外国語に長けていると便利です。
また、海外の習慣や文化を知っていることで、外国人にも過ごしやすい環境を整えやすくなります。

ゲストハウスの需要


ゲストハウスは日本でも2011年頃から増え始め、近年になってその数はさらに増えてきました。
地方の空家となった古民家などを改修してゲストハウスを始める人が増えたためでもありますが、旅行の楽しみ方のひとつとしてゲストハウスが注目されたのも原因の一つです。

これからゲストハウス経営を始める場合には、ゲストハウスがうけている理由、需要の理由を知っておくことが大切です。
ゲストハウスの注目の理由、どのような人に需要があるかチェックしてみましょう。

宿泊コストをかけたくない人に人気

ゲストハウスの最大の魅力は宿泊費用の安さです。ホテルや旅館に泊まる半分以下の価格で宿泊することができ、それ以外の楽しみにお金をかけることができます。
食事の提供や充実したアメニティといった、ホテルにあるのにゲストハウスにはないものも多いですが、そうしたサービスが必要ない人にとっては合理的な施設です。

特にお金のない学生や若者を中心に、ゲストハウスを選ぶことでコストを抑えて旅行を楽しむ人が増えています。

宿泊者同士の交流を楽しみたい人に人気

ゲストハウスは宿泊者同士の一期一会の出会いを楽しみたい人が訪れる場所になっています。
ゲストハウスでは、共用のリビングを用いて宿泊者同士のコミュニケーションが盛んです。オーナーも会話に参加して、積極的に交流できるように働きかけも行います。
そのため、見知らぬ人同士でも仲良くなれて、時には外国人との交流が図れることもあります。

旅行の楽しみとして見知らぬ土地の風物に触れることもありますが、人との出会いも楽しみにする人も多いです。
ゲストハウスを利用することで、旅先の出会いのチャンスが広がります。

多国籍の交流を楽しみたい人に人気

ゲストハウスは海外からの旅行客も多いため、多国籍なコミュニケーションを楽しみたい人にも人気です。
英語を話せない人でも、カジュアルなスペースで一緒に過ごすうちに意思の疎通ができるようになったりと、無理のない範囲で楽しみます。

旅先のニッチな情報を知りたい人に人気

ゲストハウスはオーナーや他の宿泊客との距離が近いため、情報交換も盛んに行われます。
そのため、旅行先でのニッチな情報を知るチャンスも多く、おいしい飲食店や穴場スポットを知りたい人にも人気となっています。

特にゲストハウスのオーナーになる人は、その土地に愛着を持っている人も多く、地域に深く溶け込んでいることも多いです。
また、旅慣れた旅行者から情報をもらったり助けられたりと見知らぬ土地での過ごし方が充実します。

ゲストハウス経営を成功させるポイント


ゲストハウスには、旅行者にとって様々な魅力があり、コストをかけたくない人や宿泊自体を積極的に楽しみたい人など、いろいろな人が集まります。
そんなゲストハウスを開業し、経営していくためには、綿密な計画と準備が必要です。
魅力的なゲストハウスを作り、経営を成功させるために抑えておきたい計画と準備のポイントを紹介します。

客層のターゲティングを行う

ゲストハウスの経営では、客層のターゲットを設定し、それに合わせて設備やサービスを考えていくことが大切です。
ターゲットを絞り込むことで客層が狭くなり、集客できないのではないかと不安になることもありますが、ターゲットが定まらないと強くアピールしたい魅力もバラついてしまいます。
それよりも、ターゲットを絞って、強みを作るほうが集客しやすくなるでしょう。

客層に合わせた企画やサービスを実施する

客層のターゲットが定まったら、それに合わせて企画やサービスの作り、実施していくことが必要です。
ターゲットとなった人たちが楽しく快適に過ごせるように建物の内装や設備を考え、泊まりたくなるようなイベントを用意します。

例えば子連れでも使えるゲストハウスなら、チャイルドロックや防音、個室を多くする、子ども用の椅子やテーブルを用意するなどの工夫ができます。
女性向けや外国人向け、国際交流したい人向けなど、想定した宿泊客に必要とされる設備や嬉しいサービスを導入することで、その層の人に「泊まってみたい」と思わせることが大切です。

愛着のある土地で開業する

ゲストハウスの経営を始めるにあたっては、その土地に愛着を持っていることも大切なポイントとなります。
ゲストハウスを始めたら、オーナー自らもその土地で暮らすことになりますし、地域の情報にも詳しくなっておくことは大切です。
しかし、愛着のない場所では興味も沸きにくく、楽しんで暮らせなかったり情報に疎くなったりします。

そのため、ゲストハウスを経営したいのであれば、自分にとって大切な場所、思い入れや愛着のある場所を選ぶことが必要です。

価格設定を適正に行う

ゲストハウス経営は楽しいことも多いですが、遊びではないのでしっかりと利益を出すことも考えなければいけません。
しかし、リーズナブルな価格が魅力のゲストハウスでは、集客が難しくなります。
そのため、ゲストハウス経営では、価格設定が難しく、価格設定のミスが原因の失敗も多いものです。

価格設定の際には、周辺エリアの相場を調査し、適正な価格を決めることが大切です。
繁忙期と閑散期で価格に差をつけたり、安価な基本価格に有料オプションを設けたりすることもできます。

運転資金を準備・計画的に使う

ゲストハウス経営では、比較的高額な初期費用と運営資金が必要となります。
開業前に、十分な資金を準備しておき、経営が軌道に乗るまでは、特に運営資金をシビアに計画性を持って使わなければいけません。

初期費用の目安

ゲストハウスの初期費用で大きいのは、物件の取得費用や内装・設備の導入費用です。
さらに、ゲストハウスを経営するために必要な許認可の取得費用や、備品の費用がかかります。

小規模なゲストハウスを想定しても、物件と内装のリフォーム代などで500万円以上はかかることが予想されます。
コストは開業したい土地の地価や物件の状態にもよりますが、自分の希望に沿った物件を取得したい場合には、余裕を持った資金準備が必要です。

運営資金の目安

ゲストハウスの運営資金には、固定費と変動費があります。固定費としては賃貸物件の地代家賃や人件費が比較的大きな出費です。
変動費には水道光熱費や消耗品費などがあります。また、広告を打ったりホームページを作成したりといった費用がかかることもあります。

軌道に乗るまでは売上げが安定しないことも多いため、開業から3カ月分の費用くらいは準備しておきましょう
規模や従業員数によっても異なりますが、目安は100~150万円程度です。また、軌道に乗ってからも閑散期を乗り越えるために運営資金をプールしておく必要があります。

ゲストハウス経営に向けての準備


ゲストハウスを開業し、経営するまでの具体的な準備の手順を確認しましょう。
ゲストハウス成功のポイントを押さえながら、以下の手順に沿って慎重に進めていくことが必要です。

コンセプト決定

ゲストハウスを始めるにあたっては、まずはコンセプトを決定する必要があります。ターゲットとした客層に合った魅力的なコンセプトを考えてください。
競合との差異化、集客のポイントになり、建物や内装を左右するため、慎重に決定し、後々でブレないようにしてください。

資金調達

ゲストハウスの資金は全体で1,000万円程度かかることがあります。そのため、自己資金だけで十分用意できない人もいるでしょう。
自己資金で足りない部分を補うために使えるのが、金融機関の融資や補助金制度、公的融資です。

補助金制度としては「小規模事業者持続化補助金」、公的融資では日本政策金融公庫「新創業融資制度」があります。

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物件探し

物件探しは資金の準備と並行して進めていきます。物件探しで重視したいのはコンセプトに合っていること、取得費用の範囲内であること、そして集客しやすいことです。
利便性の悪い立地の場合には利用者が集まりませんが、競合が多すぎると利用客の奪い合いになります。
また、魅力的な観光スポットが近くにあるのも強みとなるため、周辺環境のチェックも欠かせません。

許認可申請

ゲストハウスの開業にはいくつかの許認可を取る必要があります。ゲストハウス規模に関わらず必要なのが、消防と旅館業営業の許可です。
まずは消防署に対して消防法令適合通知書交付申請を行い、次に旅館業営業許可申請を行います。

ゲストハウスに使う物件が宿泊用ではない場合には、用途変更申請も必要です。また、100平米以上の物件では検査確認済証も必要となります。

集客

ゲストハウスを成功させるためには、集客活動が欠かせません。
開業時からのスタートダッシュを成功させることで、運営資金を目減りさせないだけでなく、口コミ評価で注目されやすくなり次の集客につながります。
お金をかけて広告を出すことも必要ですが、SNSの運用で知名度を広げていくことも大切です。

また、オープンから幸先の良い滑り出しをするためには、繁忙期にオープンの時期を合わせるのもおすすめです。

まとめ

ゲストハウス経営を成功させるには、顧客に合わせたサービスと十分な運転資金が必要です。
顧客のターゲティングと顧客に合わせたもてなしを考えつつも、経営破綻しないよう資金計画を綿密に練りましょう。

旅行者がゲストハウスに求めることを理解した上で、独自のコンセプトを打ち出すことも大切です。
自分が長く愛着を持って過ごせる土地を探し、オーナー自らが宿泊客との交流を楽しみながら経営できるゲストハウスを作りましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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