「知恵とお金を起業家へ!」エンジェル投資家 木嶋豊 氏直伝 エンジェル投資家の口説き方(インタビュー後編)

創業手帳

常識にとらわれない市場想像力に、投資家は惹かれる

(2017/08/18更新)

前編では、自身の投資家として行っている活動や、成功する企業の傾向について話して頂いた木嶋氏。後編では、木嶋氏が投資する際のポイントや、起業家にオススメの制度「エンジェル税制」について、お話を伺いました。

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木嶋 豊(きじま ゆたか)
株式会社アイピーアライアンス代表取締役社長。亜細亜大学都市創造学部・亜細亜大学大学院MBA教授。
1986年東京大学法学部卒業後、 日本開発銀行(現日本政策投資銀行)入行。ハーバード大学に留学。テクノロジー系VCの取締役、投資総括常務執行役員を務め、 現在、ベンチャー投資、成長戦略支援、IPO支援を行う。20社以上を上場させたベンチャーキャピタリスト。20社のエンジェル投資家、4社の会社オーナー、15社以上の成長企業の社外役員・アドバイザー。サンフランシスコ州立大学客員教授を兼職。 行政府や企業などでの講演多数。

伸びる会社に必要なのは「市場創造力」

ー木嶋さんはキャリアで言うと日本政策投資銀行が長いんですか?

木嶋:そうですね。25年ぐらいいました。そのうちの半分ぐらいは、ベンチャー支援で、ベンチャーキャピタルに出向して、そこの常務をやっていました。

あとは僕が企画して作った知財開発投資株式会社という、いわゆる知財の評価会社と一緒に作ったベンチャーキャピタルにもいました。会社ができる前に知財を評価して投資するという、日本で初めてというくらいの画期的な形のベンチャーキャピタルです。

ー木嶋さんは、いろいろなベンチャー企業を見てきたわけですが、伸びる起業家の共通点ってあると思いますか?

木嶋人について言えば、めげないということと、世間の常識にとらわれない市場創造力だと思います。伸びる企業って何らかの市場創造が必要だと思っていて、常識にとらわれない構想力、ビジョンを持っていて、それが揺るがないというのが結構重要かもしれないですね。

例えば、「ビッグデータ」という言葉が最近使われていて、起業家が持ってくる事業計画には、「ビッグデータ関連のこういうデータ集めてこういう事業をやります」と言う方たちも増えています。最近のトレンドを把握しておくのも大事ですが、あまり流行に流されすぎてもダメなんじゃないかと思います。

ー今は公的融資もいろいろ整備されていますし、エンジェル投資も充実させなきゃいけない領域なのかなと思います。

木嶋:そう思いますね。ベンチャー企業に投資した個人投資家に税制上の優遇をするエンジェル税制というのがありますが、経産省が認定した「適格ベンチャーキャピタル」が投資するベンチャーだと、自動的にエンジェル税制が受けられる制度があるんです。
個人投資家の方はこういう制度もチェックしておいたほうが良いですね。

ーベンチャーキャピタルで儲かった人が、エンジェル投資して、節税しながら投資してくれるといいですね。

木嶋:そうやって循環していけばいいと思います。皆さんもっと活用すればいいと思います。僕もこれを作る時に経済産業省にアドバイスをした関係で、なるべくベンチャー企業にはエンジェル税制の要件を満たすように手続きをするようアドバイスしていますし、僕の投資先にもエンジェル税制を受けるように指導しています。

ー初回要件がもうちょっと整備されるといいのですが。

木嶋:おっしゃる通りですね。起業から3年以内とか、営業キャッシュフローが赤字であるとか、多少要件が厳しいんで、その部分がもう少し要件が緩和されたら良いですね。

個人で投資している企業に、僕以外にもエンジェル投資家が何人もいる場合には、その人たちにも「ぜひエンジェル税制を使ってください」と言っています。投資を受けるベンチャー企業のほうがエンジェル税制の存在を知って、「税金が安くなるから投資してくれませんか」と提案するような資金調達の方法もあると思うんです。

手続きはそんな大変でもなくて、会社の概況だとかで適格性があるという根拠を出せばいいだけです。ただ手続きに1か月ぐらいかかったりするから早めにやったほうがいいですけどね。それをやれば、エンジェルなどの投資家から資金を集めるのも、楽になると思います。

投資の判断基準は「面白そうだ」

木嶋:世間では、「これに投資すればすごい儲かるよ!」って言ってくる未上場株詐欺みたいな話があるじゃないですか。そういう話は全部嘘なのですが、初心者だとそういう電話勧誘に乗って失敗してしまうことがあります。そういうのは気を付けたいところですね。

ーそういうものに引っかからない見分け方ってありますか?

木嶋まずは、既存の出資者の顔ぶれを判断材料にされるのがいいのではないでしょうか。それに、出資者リストの提示を拒むような企業とは付き合わないほうがいいと思います。ベンチャーキャピタルが投資しているとか、ちゃんとしたエンジェルの方たちが投資してる先であることを判断基準にするべきです。また、「この事業面白そうだ、支援したい」と思える基準で投資するのがいいですね。

エンジェル投資家の存在が起業家を一流に育てる

ーベテランの方の知恵とお金が、より若い人、起業する人に行くようになるといいですね。

木嶋:そう思いますね。僕もクラウドファンディングの会社のアドバイザーをやっているんですけども、株式投資型のクラウドファンディングみたいなものがもう少し増えてきてもいいんじゃないかと思います。

ー弊社もエンジェル投資家に業務の報告をする時があるのですが、そのたびに助言をいただいています。経済的なリターンが見合ってない気もするんですけど、はたから見ていると楽しくてしょうがないみたいなんですよね。

木嶋エンジェル投資家は、そのように起業家と連絡を取って、一流に育てていくことが楽しいんだと思います。引退して家でゆっくり盆栽を育てていくのも良いですが、会社を育てたほうが成長が激しくて面白いんじゃないでしょうか。

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「泥だらけのダイヤ投資したい」スーパーエンジェル 木嶋 豊氏が投資したいベンチャーの条件(インタビュー前編)

(取材協力:株式会社アイピーアライアンス/木嶋豊
(編集:創業手帳編集部)

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