起業の理由とは|経営者237名に聞いたベスト3を発表!
起業理由として「社会貢献」「アイデアの実現」などの声が多数。
起業したいと考える人は毎年一定数いますが、なぜ「起業」という選択肢を選んでいるのでしょうか。そこで今回、創業手帳では2024年3月6日から3月10日の5日間、起業家アンケート調査を行い「起業の理由」「起業の良いところ・悪いところ」をお聞きしました。
経営者237名に回答していただき起業を成功させるコツまで教えて頂きました。これから起業をお考えの方はアンケート調査をお役立てください。
この記事の目次
起業の理由ベスト3は「やりたいことがある」「働き方」「スキル」
経営者に「起業する(起業を考える)に至った理由はなんですか?」とお伺いしたところ「やりたいことがある(149名)」が半数を超えて最も多い回答となりました。
多くの経営者が「閃いたアイデアを実現したい」「社会に貢献したい」などやりたいことを見つけていることがアンケート調査結果から読み取れます。
続いて「自分に合った働き方がしたい(89名)」「経験・資格などを活かしたい(58名)」の回答者数が多いことから、職場で実現できない働き方がしたいが起業理由となっています。
「やむを得ない事由」と回答している方は少数という結果となりました。つまり、多くの経営者がやりたいことを叶えるために起業しています。
「やりたいことがある」とはどんな事?
「やりたいことがある」と回答した経営者は、さまざまな夢を持っています。
- 地元の活性化につながる事業を展開したい
- 社会福祉事業で世の中の人のためになりたい
- 得意分野を活かして多くの人を笑顔にしたい
共通点は「日本を元気にしたい」「多くの人を笑顔にしたい」など、誰かの役に立ちたいという想いです。
「革新的なサービスを利用して感動したから自分で作りたいと思った」「偶然ビジネスアイデアが閃いて叶えたいと思った」「親が経営者で小さな頃からの夢だった」など、やりたいことを見つかったタイミングは人それぞれ異なります。
「働き方」の変革
近年「自分にあった働き方がしたい」と起業する方が増えています。リモートワークや副業解禁の浸透が主な原因でしょう。
働く時間や場所を自分で決めて、仕事とプライベートの両立をするために個人事業主になったり、経営者を目指したりする方が増えてきました。
好きなことを、好きな場所で、好きな時間にやるという価値観が浸透してきています。また、人生100年時代に備えて65歳以上も働けるスキルを身に付けておくために起業する方もいます。
「スキル」を活かして起業へ
起業家は経験を財産と考えているため、「経験・知識を活かしたい」という回答も多かったです。
- ITとFPの資格を持っているため融合したコンサルティングサービスを行いたい
- ミュージシャンの経験を活かしたい
- 中小企業診断士の資格を取得できたから活かしたい
複数社の勤務経験を活かして複合的ビジネスを展開したり、普通の人が経験できないことを経験できたから活かしたりと考える方が多く見受けられました。また、中小企業診断士や行政書士など難関資格を活かすために起業したいは起業理由の王道となっています。
起業をした人が思う「良かった点」「困った点」は?
起業の理由をご紹介しましたが、起業家になれて満足しているのでしょうか?起業家の良かった点と困った点も調査しました。
良かった点
アンケート調査の結果、「自分のアイデアを仕事に反映できて楽しい」と感じている起業家が多く見受けられました。また、「これまで培ってきた知識や経験、人脈を活用して仕事を行うことで、多くの人に支えられている」と感じられているようです。
自分自身の力でお客様や社会の役に立ち、感謝の言葉をもらえたときは大きな達成感を感じられることが起業家の良かった点となっています。少数派ですが、「職場の人間関係に気を使わないで済む」という回答もありました。
困っている点
起業すると「資金調達」「事業計画」「販路拡大」「人材採用」を全て行わなければいけません。幅広い業務を行わなければいけないため、知識不足だと痛感させられることがあるようです。
- 自社サービスの周知方法がわからなくて集客が難しい
- 経理の経験がないから会計が不安
- さまざまな業務を行わなければいけないため時間に追われる
上記のようなことに困っていると回答が得られました。
また会社を経営するために必要な情報をこまめに収集しなければいけなかったり、売上が安定せず資金不足にならないか不安など、多くの障壁に直面していることがわかりました。起業の自由度や自己実現と引き換えに、いろいろと学ばなければいけないことが伺えます。
やりたいことを実現させた起業家5選
起業の自由度や自己実現は魅力的ですが、多くの障壁に直面したら乗り越えなければいけません。軌道に乗っている起業家は、どのように障壁を乗り越えたのでしょうか?ここでは、やりたいことを実現させた起業家5人のアイデアをご紹介します。
2年間で総額30憶円以上の資金調達に成功(タイミー 小川嶺)
株式会社タイミーの代表取締役の小川嶺さんは、高校時代に起業を考えはじめて、20代前半でスキマバイトサービス「タイミー」をリリースしました。
小川さんはインターネットサーフィンをして過ごすときに「隙間時間を有効に活用できるアプリを開発したい」と閃きました。そして、人手不足に悩む企業とスキマ時間を有効活用したい人をマッチングするスキマバイトサービス「タイミー」の事業構想が完成させたのです。
自分がやりたいことをサービスに落とし込むことで、賛同する仲間を集めたり、資金調達に成功しています。初めて3億円の資金調達に成功した秘訣は、創業直後から多くの企業にプレゼンをしてきたからです。タイミーの未来を見てほしいと熱意を持って語ることで、多くの人を巻き込み、素晴らしいサービスを作り上げています。
2年間で1,000店舗以上にAIカメラを導入(Opt Fit 渡邉昂希)
株式会社Opt Fitの代表取締役の渡邉さんは、大学生時代にメルカリを使用して「僕も人を感動させられるようなITサービスを作りたい」とやりたいことが明確になりました。
渡邉さんは2回起業しています。
1回目の起業はスモールスタートで、自分が「できること」「やりたいこと」を洗い出していき、大好きなスイミングを広めるメディア事業を展開しました。スイミングスクールから広告掲載を募り事業を拡大、その後メディアを売却し経営に関する知識を習得しました。
2回目の起業では経営知識を活かしながら「お客様が抱えている未解決の課題を解決したい」と想いを大切にし、AIカメラを活用したフィットネスジム運営の効率化、省人化サービスを開発しました。株式会社Opt FitのAIカメラ「GYM DX」は、2年間で1,000店舗以上のフィットネスジムに導入されています。
渡邉さんが志を高く働ける理由は「メリカリのような人を感動させるようなITサービスを作りたい」という夢に挑戦できていることだと教えてくれました。
コネなし実績なしからSNSを駆使して起業(漫画家 あんじゅ先生)
漫画家あんじゅ先生は、フリーランスで活躍されています。漫画家あんじゅ先生は「漫画家で活躍するなんてハードルが高く絶対に無理」だと思っており、大学卒業後は大学職員に就職しました。
大学職員5年目に「そろそろ結婚するだろう、働かなくていいか」という想いかた退職を決意。そして、大好きな漫画のアルバイトを気軽に始めてみたところ、Web記事に差し込む漫画の需要がたくさんあることに気づいたのです。
彼女は「Web記事に差し込む漫画の需要はたくさんあるに違いない」「私の漫画を面白いと思ってくれる人はいる」と思い始め、SNSやブログで描いた漫画を発信しました。その結果、4.1万人フォロワーが付き、好きな場所で好きな時間に、好きなことをやるという働き方改革に成功しています。
女子アナの独自の経験を活かして起業(トークナビ 樋田かおり)
株式会社トークナビの樋田かおりさんは、ご自身の声のコンプレックスが話し方レッスンで解消できたことに感動し、声のプロであるアナウンサーを目指すようになりました。
高校時代は放送部に所属したり大学時代はキャラクターのイベント司会のアルバイトをしたりと努力することで、狭き門であるアナウンサーの夢を掴み取りました。
アナウンサーの仕事で培った知識や経験、人脈は誰もが手に入れられるものではないと感じ、これらを活用したPRサービス「女子アナ広報室」を立ち上げています。
アナウンサーで活躍してきた同士とネットワークや独自の経験を最大限に生かした事業を展開されています。
国内初のりんごのヴィーガンレザーを開発(appcycle 重野由佳)
appcycle株式会社の代表取締役の重野さんは青森県出身です。青森県の名産品のりんごのフードロスの問題を解消したいと思っていたところ、りんごのヴィーガンレザーの開発に辿り着きました。
傷や色むらがついていたり、サイズや形が規格外で販売することができずに廃棄されてしまうりんごを活用してレザーを開発しています。
SDGsが注目され、宗教的背景や動物愛護の観点から自然に近いヴィーガンレザーのニーズが高まりを見せてきました。ヴィーガンレザーを使用した車内シート、靴やバッグ、時計のベルトなどの普及を目指しています。
重野さんはヴィーガンレザーを世界に向けて販売しており、青森の人の雇用場所を作ったり、青森のりんご農家の人の売上を伸ばしたりなど社会貢献しています。
まとめ
創業手帳の経営者アンケート調査では、以下のような理由で起業していることがわかりました。
- やりたいことがある(149名)
- 自分に合った働き方がしたい(89名)
- 経験・資格などを活かしたい(58名)
起業の自由度や自己実現などは魅力的ですが、資金調達や会計、人材採用など幅広い業務を行わなければいけず、壁にぶち当たることも珍しいことではありません。創業者は事前準備をしたり、ネットワークを活用して壁を乗り超えています。
創業者のアイデアなど話を聞きながら、起業をするヒントが得られます。そのため、起業に興味がある方は起業家の話を聞いてみましょう。創業手帳は創業時に役立つ情報が掲載されているハンドブックです。ぜひ、これから創業したいと考えている方は、創業手帳をお読みになってください。
(編集:創業手帳編集部)