小規模事業者持続化補助金とはー前編ー 一般型・コロナ特別対応型、どちらに申請すべきか

創業手帳

一般型かコロナ特別対応型どちらを選ぶべきかを解説。わかりやすいフローチャート付き。

(2020/08/27更新)

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路拡大などの取り組みを支援する補助金制度です。

通称「持続化補助金」と呼ばれているため、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)緊急経済対策の「持続化給付金」と混同してしまう方も。

この記事では、小規模事業者持続化補助金と持続化給付金の違いをはじめ、以前からある「一般型」と、新設された「コロナ特別対応型」について解説していきます。

記事の最後には、「一般型」「コロナ特別対応型」のどちらに当てはまっているのかを知ることができるフローチャートも用意しています。

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小規模事業者持続化補助金と持続化給付金の違い

電卓とお札
「小規模事業者持続化補助金」と「持続化給付金」の大きな違いは、条件に該当すれば必ず受給できるのか、必ずしも受給できるわけではないのかといった点にあります。

もっといえば、受給にあたって審査があるか、ないかという点で異なります。

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者に経営計画の作成を促し、自社の経営を見つめ直す機会として用意された補助金です。

そのため、受給するには経営計画の審査が必要で、審査に通った小規模事業者のみ受給することができます。

一方、持続化給付金の場合は、新型コロナの影響による緊急措置として設けられた給付金で、一定の要件を満たしていれば必ず受給することができます。

持続化給付金に経営計画の審査はありません。

このほかにも、対象となる事業者や使途が限定的か、限定的ではないかといった点などが異なります。

小規模事業者持続化補助金と持続化給付金の違い
小規模事業者持続化補助金 持続化給付金
対象 小規模事業者 新型コロナの影響による営業自粛等で、売上が大きく低迷した事業者
使途 販路開拓、生産性向上の取組みのみと限定的 事業全般と限定的ではない
経営計画の審査 自妥当性や実現可能社の経営計画の提出が必要。その事業計画の妥当性について事務局にて審査され、あらかじめ決められた予算の範囲内で総合的な評価が高いものから順に採択。
必ず受給できるというものではない
売上の減少など一定の要件に該当する事業者は必ず支給
申請受付 補助事業実施期間ごとに募集時期が限定 2021年1月15日まで
申請方法 管轄の商工会・商工会議所において事前に「様式4-事業支援計画書」の作成・交付を受ける。
定められた場所で相談員と面談を受ける必要がある
書類を申請

小規模事業者持続化補助金の対象となる小規模事業者とは

小さなオフィス
小規模事業者持続化補助金の対象となる「小規模事業者」は、業種別に従業員数によって定義されています。

商業・サービス業は5人以下、宿泊・娯楽業、製造業やその他の業種は20人以下であれば、小規模事業者となります。

業種 商業・サービス業 宿泊・娯楽業 製造業その他
常時使用する従業員の数 5 人以下 20人以下 20人以下

ただし、「会社役員」や正社員よりも勤務時間の短い「パートタイマー」、同居している「親族従業員」などは従業員として数えません。

たとえば、サービス業を営んでおり、従業員の中に通常の正社員が3人、パートが1人、親族従業員が2人いるとします。

その場合、従業員数は計6人となり、対象の「5人以下」よりも1人多くなってしまいます。しかし、パートと親族従業員が計3人いるので除外となり、従業員数は3人として認められるのです

<常時使用する従業員数に含めないもの>
・会社役員
・個人事業主本人や同居の親族従業員
・申請時点で育児休暇や介護休暇等を取得している従業員
・1カ月の所定労働日数が正社員の4分の3以下であるパートタイム労働者

小規模事業者持続化補助金の「一般型」と「コロナ特別対応型」とは?

様々な職業の人
小規模事業者持続化補助金には、大きく「一般型」「コロナ特別対応型」の2種類があります。

どちらも小規模事業者が対象で、補助対象となる経費(販路開拓、生産性向上の取組みにかかる経費)に違いはありません。

しかし、補助金の上限額や補助率が異なり、コロナ特別対応型においては3つの要件の内いずれかに当てはまる投資を行っている必要があります。

一般型とコロナ特別対応型について、それぞれ解説していきます。

一般型とは?

小規模事業者持続化補助金の一般型は、従来から設定されているもので、小規模事業者の販路開拓や生産性向上の取組みにかかる経費の2/3を補助するものです。

消費者向け・企業向け取引のいずれも対象となり、日本市場だけではなく海外市場も含んでいます。

小規模事業者の販路開拓や生産性向上の取組みにどういったものがあるのかについては、下記の例をご覧ください。

<販路開拓の取組み例>

新商品を陳列するための棚の購入
新たな販促用チラシの作成、送付
新商品の開発
新商品の開発にあたって必要な図書の購入
店舗改装(小売店の陳列レイアウト改良、飲食店の店舗改修を含む。) etc…

<生産性向上の取組み例>

業務改善の専門家からの指導、助言による長時間労働の削減
従業員の作業導線の確保や整理スペースの導入のための店舗改装
新たに倉庫管理システムのソフトウェアを購入し、配送業務を効率化する
新たにPOSレジソフトウェアを購入し、売上管理業務を効率化する
新たに経理・会計ソフトウェアを購入し、決算業務を効率化する etc…

小規模事業者持続化補助金は、経済産業省による「中小企業生産性革命推進事業」の中で実施されています。

そのため、事業完了後、おおむね1年以内に売上につながることが見込まれる事業活動を対象としています。

コロナ特別対応型とは

小規模事業者持続化補助金のコロナ特別対応型は、新型コロナによる影響を乗り越えていくために新設されたものです。

小規模事業者の販路開拓や生産性向上の取組みにかかる経費の2/3~3/4が補助されます。

下記の3要件のいずれかに該当する投資を補助対象経費の1/6以上行っている小規模事業者が対象となります。

<コロナ特別対応型の3要件>

1.サプライチェーンの毀損への対応
2.非対面型ビジネスモデルへの転換
3.テレワーク環境の整備

上記3要件の複数に該当している場合は、投資の合計額が補助対象経費の6分の1以上であれば補助を受けることができます。

一般型とは異なり、一定の売上げが減少している事業者については、事業の確定を待たずに一部の支払いを受けることも可能です。

プラスで申請できる事業再開枠とは

仕事をする男性
小規模事業者持続化補助金には、一般型とコロナ特別対応型に採択された事業者が申請できる「事業再開枠」があります。

事業再開枠は、事業者の事業再開を後押しするもので、一般型やコロナ特別対応型とは別に、補助上限50万円までの定額補助を受けることができます。

業種別ガイドラインにもとづいて行う感染防止対策にかかる経費が補助対象となります。

特例事業者とは

そびえ立つビル
小規模事業者持続化補助金では、下記の「特例事業者」に該当する事業者の場合、さらに上限50万円の補助を受けることができます。

<特例事業者一覧>

・屋内運動施設
・バー
・カラオケ
・ライブハウス
・接待をともなう飲食店

特例事業者に該当する場合は、一般型およびコロナ特別対応型、事業再開枠に加えて補助を受けることができるのです。

あなたはどの申請にあてはまる?フローチャートでわかりやすく解説

ここまで、一般型とコロナ特別対応型などについて解説してきました。

実際にご自分がどの申請に当てはまっているのか、フローチャートを用意したので活用してみてください。

まとめ

小規模事業者持続化補助金は、持続化給付金とは全く異なります。

混同しやすいですが、間違えることのないようにしておきましょう。

一般型とコロナ特別対応型に分かれるため、フローチャートを使って、ご自分に合った方を選択してみてください。

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(監修: 税理士・中小企業診断士 税理士法人ハガックス/代表 芳賀保則
(編集: 創業手帳編集部)

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