Indeed 水島剛|採用に悩む起業家必見!オウンドメディアリクルーティングとは?

創業手帳

自社にマッチした人材と出会い、選ばれるための採用の新手法。オウンドメディアリクルーティングとは?


多くの起業家を日々悩ませている採用の問題。「いい人材を採用しようとしても採用できない」「でも打ち手がない」と嘆かれている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、Indeedが推進するオウンドメディアリクルーティングという新しい採用手法をご紹介します。同社は今年6月に、『オウンドメディアリクルーティングの教科書』(クロスメディア・パブリッシング)を出版されました。マーケティングディレクターの水島剛氏によれば、オウンドメディアリクルーティングは「求職者・企業ともに幸せになる採用手法」とのこと。

一体、オウンドメディアリクルーティングとはどのような手法なのか。その手法を取り入れることで、企業の採用活動にどのような成果を期待できるのか。創業手帳の大久保が聞きました。

水島 剛(みずしま ごう)Indeed Japan 株式会社 マーケティングディレクター
2004年米国ボストン大学学士号取得。2005年博報堂入社。戦略プランナーとして、家電、車、ゲーム、流通、コスメ、飲料、教育、インフラ、動画コンテンツ等、様々な企業やサービスの マーケティング課題の解決業務に携わる。2015年LINE 株式会社に入社。『LINE バイト』『LINE Pay』のマーケティング責任者として、戦略立案から施策実行まで全プロセスをリード。2018年 2月より現職。Indeed Japanの求職者向け、及び採用担当者向けのマーケティングコミュニケーションを統括する。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計200万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

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Indeedが展開するサービス

大久保:簡単に水島さんの経歴を教えてください。

水島:新卒で博報堂に入社して、大企業から中小企業までマーケティングのサポートをした後に、LINEに転職しました。LINEでは、LINE PayやLINEバイトなどの自社サービスのマーケティングに従事しました。現職のIndeed Japanではマーケティングチームの立ち上げをした後に、チーム全体のマネジメントをしています。マス、デジタル、フィールド、PR、ソーシャルメディアとあらゆるマーケティング手法を使ってIndeedというサービスを広めています。

大久保:ありがとうございます。あらためて、Indeedとはどのようなサービスなのでしょうか。

水島Indeedは月間で2億5千万以上のユーザーが利用している世界No.1求人検索エンジンです。 ”We help people get jobs.”というミッションのもと、常に求職者視点での事業を展開しています。Indeedは2004年の11月にアメリカで創業しました。当初のコンセプトは“One Search, All Jobs.”(1度の検索で、全ての仕事を)というものでした。当時のアメリカのインターネットでは、求人サイトが何十とあり、求職者は仕事探しのためにそれら複数のサイトに目を通さなければならず、不便だったんです。そこを1回検索するだけで、求職者が求めている求人にたどり着けるようになれば、便利だろう、というアイデアから始まりました。

大久保:求職者向けGoogleのようなイメージですね。

水島:そうですね。創業当初のコンセプトが受け入れられ、現在では60カ国以上、28言語でサービスを展開しています。

大久保:人材業界のなかでは、どういった立ち位置なのでしょうか。

水島求人サービスには大きく分けて、人材紹介、求人媒体(メディア)、アグリゲーターの3種類のビジネスがありますが、Indeedはアグリゲーターに該当します。

Indeedはネット上のさまざまな求人情報をクローリングして表示させているので、求職者が関心のあるキーワードで検索すると、企業の求人票そのものにたどり着くのが特徴です。また、ホームページを持っていない企業であっても、求人情報をIndeedに直接投稿して無料で求人票を掲載できます。求人を表示されやすくするためのクリック課金型の有料オプションもありますが、完全無料で掲載することも可能です。

Indeed Japanの利用企業数は14万社以上、毎月新規で掲載される求人情報数は520万件/月です。

大久保:それはすごいですね。

水島:Indeed Japanは2013年にスタートしました。日本事務所開設当初は認知度も低く営業も大変でしたが、現在では企業の採用担当者の方には「Indeedを利用すれば安価にほしい人材を採用できる」と認知いただいているようで、営業活動も比較的スムーズになりました。

採用の成果を高めるオウンドメディアリクルーティング

大久保:日本の採用市場の現状について、どのように見られていますか。

水島:従来の働き方としては、新卒一括採用で入社した企業に定年まで働くというのが一般的でした。いわゆる、終身雇用、「就社」の時代です。

しかし現在では若い方を中心に転職意向が増え、転職先の探し方も多様になりました。会社ではなく、職種にこだわるようになり、「就社」から「就職」の時代に変化してきたように感じます。漠然と「こういう会社で働きたい」という思いよりも、具体的に「こういう仕事がしたい」という思いのほうが重要になってきたんですね。

大久保:そうした時代変化を受けて、採用する企業側にはどんな変化が求められているのでしょう。

水島:これまでは、採用にかけられる予算が大きい企業が、採用媒体の広告枠を買えば採用できるという時代でした。しかし今では、予算があってもなくても、きちんと自社の魅力を伝えることができない企業は、ほしい人材を採用できません。

自社がほしい人材を採用するためには、「ジョブディスクリプション(職務記述書)」をきっちり書いた上で、自社の価値や魅力を「シェアードバリューコンテンツ」を通して求職者に能動的に伝えなければならない時代です。弊社は、そういった新たな採用手法を広げていくために、「オウンドメディアリクルーティング」を推進しています。

大久保:「ジョブディスクリプション(職務記述書)」と「シェアードバリューコンテンツ」とはそれぞれどのようなものなのでしょうか。

水島「ジョブディスクリプション(職務記述書)」はその名の通り、職務を定義する情報です。職務内容や目的、責任や必要とされるスキルなどをまとめたものですね。求人票や自社サイトなどに記載します。

一方で「シェアードバリューコンテンツ」とは企業理念(ミッション・ビジョン・バリュー)のようなコンテンツや、SNSやブログなどを通して発信されることも多い企業カルチャーに関わるコンテンツのことを指しています。

この2つの情報をオウンドメディアを通して発信していくことで、自社が求める人材から選ばれることにつながります。採用のミスマッチからくる無用な採用コストを削減し、自社にマッチした人材を採用しやすくなるのです。

大久保:「オウンドメディアリクルーティング」においては、求人情報サイトなどは利用しないのでしょうか。

水島:もちろん、必要に応じて利用することも有効でしょう。しかし、自社サイトやSNSなどのオウンドメディアを中心に採用するほうが、より採用活動の成果は出やすくなると考えています。

副次的な効果として、社員のミッション・ビジョン・バリューに対する理解が深まる結果、リファラル(紹介)での採用につながったり、社員の会社に対するエンゲージメントが向上したりすることも期待できます。

SNSでどのような情報発信をすれば採用につながるのか?

大久保:SNSで発信する際のポイントを教えてください。

水島:例えばYouTubeなどで発信するにしても、動画のプロに頼むよりも、社員が手作りで想いを伝える動画のほうが社内の雰囲気やカルチャーがわかって採用にプラスに働くこともあるでしょう。

人事の採用広報担当の方がSNSで日々の業務や社内の様子を発信していくことも有効でしょうね。ほかのSNSユーザーに親しみを持たれる結果、求職者に共感されやすくなるはずです。地道に発信を続けていけば、「今度Meetup(交流会)をやるからオフィスに来てください」とSNSで呼びかけるだけで、自社の探したい求職者がイベントに参加してくれることもあります。

大久保:それは、予算が少ないスタートアップなどでもできそうなことですね。

水島:おっしゃる通りで、スタートアップのように社員同士が家族のような近さで仕事をしている企業では、SNSでの発信も採用に有効に働くはずです。

「オウンドメディア」という言葉を聞くと、「自社のWebサイト(ホームページ)を作らないといけないのか」と感じる方もいらっしゃるかと思いますが、発信するオウンドメディアはTwitterなどのSNSやnoteでも構わないんです。企業規模によって、最適なオウンドメディアは異なります。

大久保:なるほど。

水島:逆にスタートアップの段階で多くの人に情報を届けても、自社が求める要件とは異なる自社と合わない求職者が求人に応募してくることも増えてしまいます。

スタートアップの場合には、創業者を「オウンドメディア」「オウンドコンテンツ」として捉えて、創業者の経験をシェアすることが採用にもつながります。

今までの採用市場はどちらかというと企業のほうに主導権があるイメージがありました。しかしこれからの採用においては、あくまで求職者ファーストで考えることが重要です。求職者に自社の魅力が伝わるように、採用サイトだけではなくSNSや社員なども含めたオウンドメディアで最適な仕方で発信しなければなりません。

情報をストーリーで伝えることで、魅力を高める

大久保:ご著書のなかで、ストーリーテリングの重要性についても述べられています。

水島:例えば、給料やオフィスの場所などのデータをそのまま伝えるだけでは、求職者には魅力的に映りません。

どういう思いでビジネスをやっていて、どういった未来を目指すのか。そのために今何をしているのか。そうしたストーリーに共感してもらうことが大切です。給与やオフィスの場所、福利厚生の情報もそのストーリーに沿って伝えると、求職者により響きます。

例えば給与であれば、「なぜこの報酬体系にしているのか」という背景を伝えてみるとか。また、「ここで働くことでどのように社会に貢献できるのか」という「意味報酬」を提示することも大切です。1年のなかで1日だけ休暇を増やすとしても、それを「誕生日休暇」という見せ方にするだけで、「この会社は社員のプライベートを重視してくれる会社なんだな」と求職者は捉えてくれるかもしれません。

大久保:ストーリーのなかで伝える、ということの意味が理解できました。

水島:同じ情報でも、そういう工夫をして伝えるだけで採用の成果は全然変わってきます。

そのためには、キャンディデートジャーニーマップ(※1)を作成して、求職者のペルソナ(※2)を明確にするところから始めます。そして求職者の心の動きを整理した上で、求職者に伝えるべき自社の魅力を洗い出し、シェアードバリューコンテンツとして戦略的に求職者に発信するのです。そのように、採用のプロセス全体をきちんと設計すれば、社員全員が同じ価値観を持って採用をみれるようになるので、リファラル(紹介)での採用につながりやすくなります。適切な人が入社してくれるようにもなります。

(※1)キャンディデートジャーニーマップ…求職者の行動を時間軸に沿って見える化し、情報収集から入社までのプロセスを設計するために参照する見取り図。

(※2)ペルソナ…自社の求める典型的な求職者像。

オウンドメディアリクルーティングが普及する未来

大久保:ご著書のタイトルには「教科書」とありますが、この本はどのように作成されたのでしょうか。

水島:アカデミックな人事の専門家や現場の人事の方、人事コンサルタントの方など、さまざまな立場の方からご意見いただきつくりました。決してIndeed Japan単体で作れたものではありません。みなさまのご協力あってのものでした。

それぞれの企業の事例からヒントを得て、そこから逆算してフレームワーク化し、「オウンドメディアリクルーティングの教科書」というパッケージにさせていただきました。これからもさまざまな方のご協力を得ながら、「オウンドメディアリクルーティング」という採用手法の実践方法やノウハウ、考え方をより各企業が取り入れやすいようにしていきたいと考えています。

大久保:大きな話になりますが、オウンドメディアリクルーティングが広まると、日本社会はどうなっていくのでしょう。

水島求職者はより自分に合った仕事に出会えるようになり、企業も自社に合った人材を採用しやすくなると考えています。

さらに、人材の流動性が上がって日本全体の生産性が向上することにもつながるのではないか、と考えています。

大久保:コロナ禍を経てオンライン面接が普及しましたが、それもオウンドメディアリクルーティングにプラスになりましたか。

水島:面接のハードルを下げたことで、より自社に合った人材を見つけやすくなったのではないでしょうか。求職者のプールが全国に広まったわけですから。

採用のデジタル化が進むことで、これからの採用は、企業と求職者お互いにとってのスクリーニングはAIが担い、オンライン面接を経て、最後のオフライン面接はカルチャーマッチを確認するだけとか、そういった形態になっていくと思います。

大久保:最後に、採用に悩む起業家にメッセージをお願いします。

水島:自社の魅力を信じて、戦略的に情報発信し、多くの人に届ける努力をし続けることが重要です。必ずあなたの会社の魅力を理解してくれる求職者の方は見つかるはずですから。

会社の中心はやはり人です。いい人がいなければ事業は成長しません。いい人を採用するためにも、ぜひオウンドメディアリクルーティングを取り入れてみてください。

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(取材協力: Indeed Japan 株式会社 マーケティングディレクター 水島 剛
(編集: 創業手帳編集部)

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