起業前にこれだけは!法人カード・法人口座・会計ソフトの選び方とポイント
経営を支える“起業の3種の神器”を完全ガイド!
「起業しよう!」と思い立ったとき、まず考えるべきなのはアイデアや事業計画だけではありません。実際に動き出すには、お金の管理や日々の経営をスムーズにするための“道具”が必要です。
その中でも、法人カード・法人口座・会計ソフトの3つは、まさに起業の三種の神器ともいえる存在。事業を始めた後に『あれ、どうしよう…』とならないよう、早めに整えておくことが安心につながります。
本記事では、それぞれの役割と選び方のポイントを初心者にもわかりやすく紹介します。
創業手帳では「起業のために何を準備したらいいのかわからない」という方向けに、『創業カレンダー』を作成しました。起業前後1年間のやることや準備すべきことが、カレンダー形式に把握することが可能です。無料でお配りしていますので、ぜひご活用ください。
※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください
この記事の目次
起業前にそろえたい「3種の神器」とは?
起業準備というと、「アイデアを練る」「資金を調達する」「ホームページを作る」など、やるべきことが多岐にわたります。その中で見落とされがちなのが、事業を始めた瞬間から必要になる“実務の土台”です。
売上が発生し、経費がかかり、取引が増えていく中で、個人と事業の境界線を明確にし、きちんとしたお金の流れをつくっておくことは、経営の信頼性にも直結します。
そこで注目したいのが、「法人カード」「法人口座」「会計ソフト」の3つ。これらは、いわば起業の三種の神器とも言える存在です。
「法人カード」:経費管理とキャッシュフローの味方
法人カードは、会社名義で発行されるクレジットカードで、ビジネスの経費支払い専用に使うものです。オフィス用品、出張費、広告費など、すべての経費を法人カードに集約すれば、会計処理が一気にスムーズになります。
また、法人カードの利用履歴は会社の信用にもつながり、後々の融資やリース契約などで評価される材料にもなります。
「法人口座」:事業用資金の“ハブ”になる存在
法人として事業を営む以上、資金の出入りは法人口座を通すのが基本です。個人口座と混在させてしまうと、税務処理や資金管理が煩雑になり、信頼性も損なわれかねません。
売上入金、経費支払い、給与振込、税金納付――これらすべての基盤となるのが法人口座です。
金融機関によって口座開設のしやすさやサービス内容に差があるため、目的に合った選定が重要です。
「会計ソフト」:お金の流れを“見える化”するツール
起業当初は「まだ売上も少ないし、帳簿はあとで…」と思いがちですが、それこそが落とし穴です。事業のスタート時点から正しく記帳し、収支の流れを把握しておくことで、ムダな支出の発見や経営判断のスピードが格段に上がります。
最近は初心者でも使いやすいクラウド型の会計ソフトが充実しており、自動連携機能により日々の業務負担も大幅に軽減できます。
なぜ「三種の神器」なのか?
この3つに共通するのは、「お金の流れを整え、見える化し、信頼性をつくる」という役割です。いずれも、事業運営に欠かせない要素でありながら、v後回しにすると手間やトラブルになりやすい部分でもあります。
たとえば、法人カードを後から申し込んだら審査に時間がかかり、支払いが間に合わなかった…
あるいは、法人口座を後回しにしたせいで補助金の受け取りができなかった…
そんな“あるあるトラブル”を避けるためにも、起業のタイミングでしっかり整えておくことが大切です。
法人カードの選び方とポイント
法人カードとは、会社名義で発行されるクレジットカードで、事業に関する支払いに特化したカードのことです。個人カードでも経費支払いはできますが、事業の信頼性や会計処理の面から、法人カードの利用をおすすめします。
とくに起業初期は、経費の支出が多く、経理体制が整っていないことも少なくありません。法人カードをうまく活用すれば、支出の「見える化」とキャッシュフローの安定化を同時に実現できます。
なぜ法人カードが必要なのか?
法人カードを持つメリットは多くあります。主なものを以下に整理します。
-
- 経費の分類が明確になる:プライベートの支出と分けて管理できる
- 記帳・経理がラクになる:利用明細をクラウド会計ソフトと連携できる
- キャッシュフローを調整できる:最大60日程度の支払い猶予を確保可能
- 法人の信用力を高められる:カードの利用実績が将来の融資審査に有利
- ポイント還元や特典がある:出張や広告費などの支出が多いほどお得
特に「現金主義」から脱却して資金管理を整えることは、起業後の安定運営に欠かせません。
法人カードの選び方:5つのチェックポイント
法人カードと一口にいっても、その種類はさまざま。以下のポイントを押さえて選ぶと、自社に最適な1枚が見つかりやすくなります。
チェックポイント | 内容と選び方のコツ |
---|---|
① 年会費・発行コスト | 起業初期は無料or低コストのカードが安心。年会費無料でも十分使えるものあり。 |
② 審査のハードル | 起業直後でも申し込みやすい“代表者の信用”をもとに審査されるカードを選ぶ。 |
③ ポイント還元・特典 | 出張・広告・仕入れなど、自社の支出傾向に合った特典があるとお得。 |
④ 利用明細の管理機能 | 会計ソフト連携がスムーズか、Web明細が見やすいかをチェック。 |
⑤ 支払サイトの長さ | 支払いまでの猶予日数が長いほどキャッシュフローに余裕が出る。 |
起業直後でも作りやすい法人カード3選(比較表)
カード名 | 年会費 | 審査のしやすさ | 特徴・おすすめポイント |
---|---|---|---|
freeeカード Unlimited | 無料 | ◎(新設・小規模法人OK) | freee会計と自動連携。何枚でもカードをWEBから即時発行可能。 |
セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カード | 永年無料 | ◎(個人の信用ベース) | クラウドサービス利用でポイント4倍。中小向け。 |
三井住友ビジネスカード for Owners(クラシック) | 1,375円(税込) | ○(設立直後OK) | 安心のVISAブランド。個人の与信で申し込み可能。 |
よくある質問:法人カードに関する不安を解消!
Q. 起業直後でも作れるの?
→ はい。多くの法人カードは「代表者個人の信用情報」で審査するため、設立間もない法人や個人事業主でも申し込み可能です。
Q. 個人カードと何が違う?
→ 法人名義での契約となり、明細も事業専用にまとまります。会計処理の効率化や法人の信用形成にもつながります。
Q. どのタイミングで作ればいい?
→ 可能であれば、法人設立直後や開業届提出後、すぐに申し込むのがおすすめ。支払いの履歴が早く積み上がるほど後々有利です。
法人口座の選び方とポイント
起業すると、売上の入金、仕入れや経費の支払い、さらには補助金の受取や税金の納付など、あらゆるお金の出入りが発生します。
こうした取引をすべて個人口座で管理するのは大きなリスク。税務上のトラブルや信用の低下につながるだけでなく、事業の成長にもブレーキをかけかねません。
だからこそ、法人口座の開設は起業初期に必ず整えておきたい“お金のハブ”です。
法人口座が必要な理由
-
- 事業資金の出入りを明確に分けられる
→ 税務処理や経理業務がスムーズに - ビジネスの信頼性が高まる
→ 取引先からの信頼・補助金受給・融資審査で有利に - 現金管理の透明性が上がる
→ 口座の履歴が「事業の記録」になる
- 事業資金の出入りを明確に分けられる
個人口座と兼用していると、税務調査で疑念をもたれたり、取引先に不信感を与えたりする可能性があります。「信用」を資本にするスタートアップだからこそ、最初から正しいお金の流れを設計しておきましょう。
法人口座の種類と特徴
大きく分けて、法人口座は「メガバンク」と「ネット銀行」の2つに分類できます。それぞれにメリット・デメリットがあるため、用途や優先順位に合わせて選ぶのがポイントです。
種類 | 特徴 | 向いている人 |
---|---|---|
メガバンク(三菱UFJ・三井住友・みずほなど) | 社会的信用が高く、取引先によっては指定されることもある。融資や各種サービスが充実。 | 信用力を重視する人、将来の融資を視野に入れる人 |
ネット銀行(GMOあおぞら、住信SBIネットなど) | 開設が早く、手数料が安く、ネット完結でスムーズ。起業直後に人気。 | スピード・コスト重視の人、資金を効率よく回したい人 |
法人口座を選ぶ際のチェックポイント
法人口座は1つ作ればOK、というわけではありません。運用方針や規模によっては複数口座を使い分けることも視野に入れ、以下のようなポイントを意識して選ぶと失敗しにくくなります。
チェックポイント | 内容と選び方のコツ |
---|---|
① 開設しやすさ | 起業直後でも口座開設できるか。ネット銀行は比較的審査がスムーズ。 |
② 手数料の有無 | 振込手数料・月額維持費・ATM利用料など、運用コストを確認。 |
③ 入金確認のスピード | 売上の入金確認が早い銀行は、キャッシュフロー改善に直結。 |
④ ネットバンキングの使いやすさ | UIや操作性、セキュリティの充実度で選ぶと日々の業務が楽に。 |
⑤ 融資やサービスの充実度 | 将来的に融資・補助金利用を考えるなら、メガバンクも候補に。 |
起業直後でも開設しやすい法人口座3選(比較表)
法人口座の開設は、銀行ごとに審査の基準や必要書類、対応スピードが異なります。とくに起業直後は、実績や取引履歴が少ないため、「開設しやすさ」や「ネット完結型」かどうかは非常に重要なポイントです。
ここでは、起業直後でもスムーズに口座開設しやすく、かつ多くの起業家に選ばれているおすすめの銀行を3つご紹介します。
銀行名 | 口座開設のしやすさ | 特徴・おすすめポイント |
---|---|---|
GMOあおぞらネット銀行 | ◎(ネット完結、最短即日) | freeeやマネーフォワードとの連携も◎。手数料が安い。 |
住信SBIネット銀行 | ◎(ネット申込OK) | スマホ完結の開設手続き、法人口座でもキャッシュカード利用可能。 |
三井住友銀行 | ○(実店舗あり、信用力高) | 創業期のフォローが充実。社会的信用も高く、取引先に強い印象。 |
よくある質問:法人口座に関する不安を解消!
Q. 起業したばかりでも口座開設できる?
→ できます。ただし、事業実態が不透明だと審査に時間がかかることもあるため、「事業内容がわかる資料(HP、登記簿、請求書など)」を準備しておくとスムーズです。
Q. ネット銀行とメガバンク、どちらが良いの?
→ 初期はネット銀行がおすすめ。手数料が安くてスピーディ。将来的に融資や信用が必要なら、補助的にメガバンクを併用するのもアリです。
Q. 口座は複数持ってもいいの?
→ 問題ありません。用途ごとに使い分けることで、資金管理がしやすくなります(例:売上用・経費支払い用など)。「スピード重視でネット銀行をひとつ」「信頼重視でメガバンクをもうひとつ」など、戦略的な口座選びで、あなたの事業を一歩先へ進めましょう。
会計ソフトの選び方とポイント
起業すると、売上や経費、給与、税金など、あらゆるお金の動きが発生します。これらを手作業で帳簿に記録するのは、時間も労力もかかるうえ、ミスや漏れの原因にもなります。
そこで力を発揮するのが会計ソフトです。経費の記録、請求書の作成、確定申告の準備など、事業に必要な会計業務を自動化・効率化し、お金の流れの「見える化」と「整理整頓」を支えてくれます。
なぜ会計ソフトが必要なのか?
-
- 記帳の自動化・効率化ができる:銀行口座やクレカと連携し、自動で仕訳可能
- 正確なデータをもとに経営判断ができる:月次の損益やキャッシュフローが一目瞭然
- 確定申告・決算に対応できる:税務署対応のフォーマットやレポートも簡単に出力
- 税理士との連携もスムーズ:クラウド上で会計データの共有が可能
特に、起業初期は「経理担当がいない」「税金の知識がない」というケースが多いため、誰でも直感的に使えるクラウド会計ソフトが強い味方になります。
会計ソフトの種類と選び方のチェックポイント
現在、会計ソフトは「クラウド型」「インストール型」「スマホアプリ型」など、さまざまな形式があります。どれを選ぶべきかは、事業規模や使い方のスタイルによって異なります。
ここでは、特に起業初期の段階で押さえておきたい会計ソフト選びのポイントを、5つの視点から解説します。
チェックポイント | 内容と選び方のコツ |
---|---|
①クラウド型かインストール型か | 多くの起業家には「クラウド型」がおすすめ。ブラウザやスマホで操作可能。 |
② 対応している税制 | 個人事業主・法人どちらにも対応しているか、青色申告に対応しているか。 |
③ 自動連携機能の充実度 | 銀行・法人カード・レジアプリなどとの連携で業務をさらに効率化できる。 |
④ 操作のしやすさ・UI | 会計知識がなくても操作できるか。デモ画面などもチェック。 |
⑤ 料金体系 | 月額制/年額制/プランの違いに注意。無料体験期間も活用を。 |
起業初期におすすめのクラウド会計ソフト3選(比較表)
数ある会計ソフトの中から「どれを選べばいいのか分からない」という方も多いでしょう。
そこでここでは、起業初期の経営者に特に支持されているクラウド型会計ソフトを3つピックアップし、それぞれの特徴や選ばれる理由を比較できるようにまとめました。
導入時の参考に、ぜひチェックしてみてください。
ソフト名 | 料金(税込) | 特徴・おすすめポイント |
---|---|---|
freee会計 | 月額3,278〜(法人向け) | スマホ対応◎、銀行・カード自動連携、請求書や給与計算も一元管理可。 |
マネーフォワード クラウド会計 | 月額3,278円〜(法人向け) | 高機能で中長期の成長にも対応、税理士との連携も強力。 |
弥生会計 Next | 年額3,190円〜(法人向け) | 会計の王道、最大3カ月無料。サポートも充実。 |
よくある質問:会計ソフトに関する不安を解消!
Q. 起業初期でも会計ソフトは必要?
→ はい。むしろ起業初期から導入することで、帳簿を後回しにせず、正しい経営の土台が築けます。
Q. 会計の知識がなくても使えますか?
→ 最近のクラウド会計ソフトは初心者でも使いやすく設計されており、自動仕訳やガイド付き入力で安心です。
Q. 税理士とソフトの相性はありますか?
→ はい。freeeやマネーフォワードは提携している税理士が多く、データ連携もスムーズです。事前に相談すると◎。
よくある質問(FAQ)
起業前に準備したい「法人カード・法人口座・会計ソフト」に関して、多くの方が感じる疑問をQ&A形式でまとめました。これから起業を考えている方、準備を進めている方はぜひ参考にしてみてください。
Q1. 3つのうち、どれを一番先に準備すべきですか?
A. 原則として、法人登記または開業届の提出後に、同時並行で進めるのがベストです。順番をつけるなら、法人口座 → 会計ソフト → 法人カードの流れが多いですが、サービスによっては連携して一括で進めることも可能です。
Q2. 個人事業主でも法人カードや法人口座は必要ですか?
A. はい、必要です。個人事業主でも屋号付き口座を開設することで、事業用の資金とプライベートを分けて管理できるようになります。また、個人事業主向けのビジネスカードも多数あるので、経費管理のために導入をおすすめします。
Q3. まだ売上がない状態でも会計ソフトは必要?
A. 必要です。むしろ売上が少ないうちに導入しておくと、帳簿の習慣づけができ、後の税務処理が格段にラクになります。無料体験期間を使って、操作感を試すのもおすすめです。
Q4. 銀行やカード会社の審査に落ちたらどうすれば?
A. 起業直後は、審査基準がやや厳しいこともあります。その場合は、審査が比較的柔軟なネット銀行や、個人の信用情報を重視する法人カードを検討するとよいでしょう。事業内容が伝わる資料を整えることも重要です。
Q5. これらの3つは起業後にでも大丈夫ですか?
A. 「後でも大丈夫」ではなく、「早い段階で整えることが大きなメリットになる」と考えるのがポイントです。開業から時間が経つほど、お金の流れや帳簿が煩雑になり、後から整理する手間が増します。起業と同時、あるいは直後に整えるのがベストです。
まとめ:3つの神器で「経営の地盤」をつくろう
起業をする際には、事業アイデアや資金の準備だけでなく、日々の運営を支える“道具”を整えることが欠かせません。法人カード・法人口座・会計ソフトの3つは、事業運営における「土台づくり」と言える存在です。
-
- 法人カードで支出の見える化と信用形成を
- 法人口座で信頼性の高い資金管理体制を
- 会計ソフトでお金の流れを“見える経営”に転換
この3つを早期にそろえておくことで、経営者としての視点が整い、資金面・業務面の不安がぐっと軽くなります。また、今後の融資申請や助成金受給、パートナーとの信頼関係にも良い影響を与えてくれるでしょう。
「事業の中身はこれからでも、道具だけは先に揃えておく」——それが、長く続く経営の第一歩です。
起業時には、法人カードや法人口座、会計ソフト以外にも準備することは様々。そのため「起業のために何をいつまでに準備したらいいのかわからない」という声が多く聞かれます。
そこで創業手帳ではそのような準備に迷われている方向けに、『創業カレンダー』を作成しました。起業前後1年間のやることや準備すべきことが、カレンダー形式に把握することが可能です。無料でお配りしていますので、ぜひご活用ください。