コロナで厳しい今だからこそ!ホテル・旅館の集客法「OTA」を上手に使うコツとは

創業手帳

「楽天トラベル」「一休.com」「じゃらん」「Expedia」などOTAを使いこなす方法について、ホテル旅館業務の達人が解説します

(2020/04/09更新)

今、新型コロナウイルスで宿泊業は大きな影響を受けており、先行きの不安を感じているのではないでしょうか。しかし普段の業務が行えない状況を逆手にとり、今後の長期的な集客の仕込みを検討する企業もあります。最近の宿泊業の集客は、楽天トラベルや一休.comのようなOTAと呼ばれる予約サイトが主流です。しかし、予約サイトは複数あり、どれが良いのか迷うことも。そこで今回は、ホテル・旅館業で30以上のツールや集客サイトの利用経験があり実際の業務を知り尽くした宿泊予約業務の達人と創業手帳編集部がタッグを組み、宿泊開業者のための予約サイトの利用について解説します。

取材にご協力いただいた旅館業務の達人
ホテル旅館勤務一筋25年。フロント、予約、会計、ブライダル、レストラン、客室、などホテルの各セクションを経験し、リアルエージェント契約、オンライントラベルエージェントの在庫管理、プラン料金調整などを統括している。現場業務から30以上の予約サイトやツールでの集客、コンサルまで幅広い経験がある。

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「楽天トラベル」「一休.com」「じゃらん」「Expedia」・・・OTAは特徴に合わせて選ぶ

今や宿の予約といえば宿泊予約サイトや比較サイトから行うのが一般的ですね。この予約サイトのことを旅行業界では、オンライントラベルエージェント「OTA」と呼びます。実店舗を持たず、インターネット上だけで宿泊の取引をする旅行会社のことを指します。
宿泊業を営んでいるのであれば、OTAをうまく活用することはとても重要です。

シェアの高い予約サイトはどれ?

宿泊業で使われているシェアの多さでみると、世界規模では、①Booking.com ②Expedia ③Agoda でしょう。
国内の宿泊施設では、①Booking.com、②楽天トラベル、③じゃらん、と言えますが、宿泊施設の業種により違いがあります。例えば旅館業であれば、一休、楽天、じゃらん、るるぶ民泊業ならAirbnb、Booking.comビジネスホテル業であれば、ベストリザーブ、楽天、といった感じです。

集客力を規模でみると、Booking.comとExpediaが業界の双璧です。国内OTAの年間取扱い額を広告費として使っているので、絶大な宣伝効果があります。
しかし、観光・ホテル・旅館の業種においては、国内OTAの楽天とじゃらんの利用シェアが高いのが現状です。

宿泊予約サイト(OTA)の効果的な使い方

数ある予約サイトから掲載先を選んだとしても、ただ載せておくだけでは思うような集客にはつながりません。自社サイトとの連携や予約サイトの位置づけを意識して運営することが大切です。

宿泊施設にとって、販売先の構成比で一番シェアを高めたいのは公式の自社サイトです。
しかし現実には、自社サイトで販促プロモーションができるのは知名度の高いホテルや旅館に限られ、その他の多くの宿泊施設がOTAの販売力を頼りにしています。

OTAは集客力が魅力ですが、自社サイトに比べて手数料などの経費がかかります。OTAで販売すると、8%~15%の送客手数料、サイト内でのプロモーション費用やクーポン原資、リスティング広告などの販促費が発生します。

そこで、OTAで宿泊施設の認知度を高め、次回以降のリピート予約は自社サイトで予約をしてもらう仕組み作りが重要です。
具体的には、自社サイトはベストレート(最安値)で販売していること、自社のポイントプログラムやリピート特典などにOTA各社よりも強いロイヤリティを付けます。
また口コミ評価を管理するレピュテーションマネジメント(※)の概念も重要となります。
※企業のブランドイメージなど評判を管理すること

予約サイトを選ぶ時には2つの目線で

お客様と宿泊施設側、それぞれの目線で求めるものが違います。

例えば一休.comは、お客様目線ではタイムセールや特集を常時用意しており顧客に対するロイヤリティが充実しています。また最大のメリットとして、予約する際に即時でポイントが利用できます。他のOTAでは予約時に獲得するポイントは次回以降の予約でしか使えませんので、宿泊者からすると大きな違いでしょう。

宿泊施設側の目線でみると、一休.comの管理画面は他サイトに比べ画面遷移や画像管理、プラン登録などの基本機能が扱いやすいです。

このように2つの目線で検討すると、施設側・宿泊者の双方にメリットの高いサイトを選びやすくなります。

OTAの中でライバル施設に埋もれないようにするには

宿泊サイト(OTA)に登録されている宿泊施設の中には、登録内容が充実している宿泊施設とそうでない施設があります。
必要最低限の事しかしていないと、とたんに競争力が落ちます。

基本情報のテキスト・画像・スペックなどは細かく丁寧に書きましょう。それらが出来たら次は、宿泊プランや部屋タイプごとの情報を分かりやすく適切に登録します。宿泊のプランも数種類取り揃えておく必要があります。
じつはこれらの細かい情報が不足している宿泊施設が意外と多いので、ここを埋めるだけでも競合他社との差別化を図れます。さらにリスティング広告の購入や、無料特集への参画、プラン追加などで露出を強化していきます。

また、OTAの中で上位に掲載されるために、各OTAの掲載ロジックを知るのも重要です。
売上実績、口コミ評価、在庫の充足率などさまざまな要素が複雑に絡み合い掲載順位が決まります。
ポイントを熟知した上で適切なタイミング、適切な対応を迅速に行う事がサイトの中でより有利に集客する方法のひとつです。

リピーターを増やすための情報管理術

宿泊予約サイトで集客したあとのフォローはどうすれば良いのでしょうか。
最も大事なのは、チェックイン時や滞在中に出来るだけ多くの顧客情報を集め、管理することです。それには、管理システムやツールを導入し駆使する必要があります。
OTAがきっかけで予約した顧客の情報は、氏名や人数などだけですが、チェックアウトまでにはもっと細かい情報が蓄積されるはずです。それらを管理する仕組みを導入することを検討しましょう。

DMの配信では、よりパーソナライズされたものを送りコンバージョンを高めるために、やはり顧客情報の管理・収集はとても大切です。

管理の手間を減らすツール

OTAで集客力がアップし、顧客が増えると情報の管理が大変になります。
効率的に情報を管理できるツールの代表に、サイトコントローラーが挙げられます。
OTAの在庫・宿泊プラン料金の更新作業などが一元管理出来るツールです。

TLリンカーン、TEMAIRAZU、ねっぱん++、が国内でシェアの高いサイトコントローラーです。

宿泊施設がOTAに情報を掲載するには、部屋タイプと宿泊プランを作成し、客室在庫の管理と宿泊プランの日ごとの宿泊料金を登録します。じつはこの登録作業が非常に大変です。そして、その大変な業務が販売先のOTAの数の分だけ発生します。

仮に楽天トラベル、じゃらん、一休.com、るるぶトラベル、Booking.com、Expediaの6社で販売する場合、客室タイプが3タイプ、宿泊プランが10種類あれば単純に180個分の料金を登録しなくてはなりません。
旅館の場合は、利用人数別の料金設定もあるので5名定員の部屋であればさらに5倍の料金帯が発生します。この作業を一元管理するシステムが、サイトコントローラーです。

サイトコントローラーは、客室在庫も各販売先と連携して自動で更新してくれるので、客室を共有在庫として販売することが可能です。
宿泊予約サイトを利用する宿泊施設にとって非常に重要なツールと言えます。
また自社のWEBサイトからの集客についても、管理が簡略化できてないといけません。宿泊施設内各部署のIoT化や顧客や収益、在庫管理を行うPMS(プロパティマネジメントシステム)の導入が必須となるでしょう。

今後、ホテル・旅館など宿泊施設を開業したいなら

これから開業を目指すなら、確実な集客のために、まずは情報収集から始めます。開業するエリアの競合施設の数やエリアの平均稼働率、平均客単価、近い将来にそのエリアに宿泊施設が増える可能生が高いかなどの事前調査が必要です。

宿泊業は人とのかかわりが非常に重要なポイントとなります。
他のサービス業との大きな違いとして、顧客と共有する時間が長いことが挙げられます。飲食店では長くても2~3時間の接客時間ですが、ホテル・旅館ではチェックインをしてからチェックアウトするまで、連泊も加味すると48時間を越えるケースもあります。小規模の宿泊施設であれば予約受付から見送りまで一気通貫でお客様に携わることも少なくありません。

宿泊施設には多くの業種や人が集まり、地域社会や取引先とも密接な関係を構築しています。人として成長する機会に恵まれ、お金で買うことの出来ない貴重な体験が出来るのは宿泊業の大きな魅力と言えるでしょう。
そして無事開業となったら、ここで紹介しているOTAやツールを使い、お客様の獲得につなげていってください。

「冊子版 創業手帳」では、宿泊業はもちろん、さまざまな業種の創業期を支援する情報が満載です。お困りごとの解決にぜひお役立てください。

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(編集:創業手帳編集部)

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