Google Bardとは?日本での一般公開や使い方について解説!

創業手帳

Googleが開発した会話型AI「Bard」。ChatGPTに追随するものとなるか。

昨年11月にOpenAIが発表したChatGPTを皮切りに、AI市場は急激な盛り上がりを見せています。

Googleは、ChatGPTに対抗するように、2023年2月6日(現地時間)に会話型のAIサービス「Bard」を発表しました。

直接の競合となる2つのサービスの背景には、世界最大手の「Microsoft」VS「Google」という二項対立があります。

先手を取られてしまったGoogleが発表したBardは、世界にどのようなインパクトを与えていくのでしょうか。

本記事では、Bardの使い方や今後の可能性、日本での一般公開日などについて解説します。

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Google Bardとは

Google Bardとは、Googleが開発した会話型のAIサービスです。
※Bardは「詩人」を表す言葉

蓄積された情報から、AI自らが答えを導き出す「ジェネレーティブAI」に分類されるもので、ユーザーはBardに質問をすることで、回答を得ることができます。

Googleは「世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにする」というミッションに対し、AIを最も重要な方法であると位置付けており、6年前からAIを中心として、方向性の再編を進めてきました。

その集大成と思われるのが、今回発表された「Bard」です。

Bardに用いられている言語モデル

Bardには、Googleが開発したLaMDA(ラムダ)と呼ばれる大規模言語モデル(LLM)の軽量版が用いられています。

LaMDAは、会話を重視する特性を持っており、対話形式で回答が生成されます。
そのため、従来の検索エンジンが、検索結果として複数のページを返すのに対し、Bardでは質問に対していくつかの答えが生成される形となっています。

また、LaMDAと並ぶ、Googleが開発したLLMに「PaLM(パーム)」と呼ばれる言語モデルがあり、PaLMの一部の機能もBardに用いられています。

会話に特化したLaMDAとは異なり、PaLMは汎用性の高い言語モデルで、組み込んだことにより、Bardの数学・論理的思考力が向上したことが発表されています。


引用元:Jack Krawczyk氏(Google社員)Twitter

LaMDAとPaLMを中心とした言語モデルを用い、Bardは今後も進化していくことが期待できるでしょう。

GoogleがBardを早期発表した背景


前述の通り、Googleは2023年の2月6日にBardを発表しましたが、この発表は急ぎすぎたとの声が上がっています。

Google社内からも同様の声が上がっており、「急いでいる」、「Google らしくない」と批判する意見も少なくなかったといいます。

なぜGoogleは、急いでBardを発表することになってしまったのか。

それは、ChatGPTによって、Google検索が代替されてしまう可能性があるからです。

Googleの親会社であるAlphabetの2022年第3四半期(7~9月)の決算によると、Google検索や広告などを含めた「Google Services」部門が唯一の黒字となっていることがわかります。
参考:https://gigazine.net/news/20221026-alphabet-google-2022-q3/

ChatGPTの登場によって、収益の基盤ともいえる部分が脅かされる可能性があるため、Googleは焦り、Bardを早期に発表したのではと推察できます。

Bardはいつから日本で使える?


Googleは2023年の3月21日(現地時間)に、Bardをアメリカとイギリスで一般公開したことを発表し、日本においても5/11(木)から対応可能となりました。

画像:Bardのトップ画面

ただし、Chat-GPT同様に、Bardもまだ開発段階であることから「Bard で生成される情報は不正確または不適切な場合がありますが、Google の見解を述べるものではありません。」とトップ画面に表記されています。

Google Bardではどんなことができる?使い方や現状について


会話型AIとして発表されたBardでは、どのようなことができるのでしょうか。

Bardの使い方や現状のスペックについて紹介します。

対話形式での質問・検索ができる

Bardは会話型AIのため、対話形式で質問に対しての回答を得ることができます。

質問の内容によっては、複数の回答を得ることもできるようで、回答の中から自分の欲しい情報のみを選択して活用するということができそうです。

また、回答の下部にある「Google it」というボタンから、同じ質問内容をGoogleで検索することができます。

出典:Google公式サイト

ChatGPTを用いた、「BingAI」でも検索結果とチャットの両方を表示することができますが、検索結果を得たい場合には、再度検索窓に入力する必要があります。

一方、Bardの場合には会話の途中でも検索結果を得ることができるため、対話形式・検索をより快適に併用できるでしょう。

回答には誤りがある状態|回答スピードもやや遅め

現在、Bardは実験段階であるため、回答の精度やスピードは、ChatGPTやBingAIに比べて劣る状態にあります。

Googleの公式発表でも認められている点で、実際に「室内で簡単に育てられる植物を提案してほしい」と質問したところ、植物名に誤りがありました。

In this response, Bard got some things wrong, like the scientific name for the ZZ plant — actually Zamioculcas zamiifolia, not Zamioculcas zamioculcas.(ZZの学名はZamioculcas zamiifoliaであり、Zamioculcas zamioculcasではない。)
引用元:Google公式サイト

また、回答スピードについては、30秒以内に答えが生成されるものの、現時点ではChatGPTやBingAIに劣っているようです。

しかし、BardはLaMDAの軽量版を用いていることや実験段階であることから、正式にリリースされるタイミングでは、ChatGPTなどのように素早く、正確な答えを導けるようになることが期待できるでしょう。

Google BardとChatGPTの違い


直接の競合として、今後争っていくこととなる、Google BardとChatGPTですが、現状において、大きく3つの違いがあります。

  • 利用するデータ情報
  • 回答の精度やスピード
  • 検索エンジン

利用するデータ情報

ChatGPTとGoogle Bardの違いとして、利用するデータ情報が異なる点が挙げられます。

Google Bardが、Web上のコンテンツ情報をリアルタイムで利用できるのに対し、ChatGPTは、2021年9月までの情報しか学習していません。

そのため、「2023年のWBC優勝国」・「2022年のワールドカップ優勝国」など、蓄積された情報以降の質問については回答ができない状態です。

利用できる情報の違いから、生成される回答は全く異なるため、最新の質問に対するアンサーは、Google Bardが優っています。

回答の精度やスピード

2つ目として、回答の精度やスピードの違いが挙げられます。

前述のように、Google BardはChatGPTに比べ、回答の生成スピードや精度において劣っている状態です。

しかし、PaLMの一部を組み込むなどの改善により、少しずつ、論理的かつ数学的な性能が向上していることが発表されています。

現時点では劣っていますが、今後ChatGPTを上回る可能性も十分にあるでしょう。

検索エンジン

3つ目の違いは、組み込まれる検索エンジンです。

ChatGPTは、Microsoft社のBingに組み込まれ、BingAIとしてすでに利用できる状態にあります。

一方、Google BardはまだGoogle検索には組み込まれていませんが、今後実装されていくことは明らかでしょう。

GoogleがBardを本格的にGoogle検索に組み込んだ際に、どのような変化が起きるのか。

Google検索一強の時代が終わる可能性もあり、今後の動向からは目が離せないでしょう。

世界の反応や将来の活用可能性


Google Bardが発表されたことで、世界ではどんな反応があったのでしょうか。

Googleの社員からは、「早すぎた」、「失敗だ」との声が上がっていますが、世界の反応も同様のようで、Bardの発表後、Alphabetの株価は一時9%(約1,000億ドル)も下落してしまいました。

Bard発表のPVにおいて誤回答をしてしまったことや、ライブ配信においてスマホがなく、デモを実施できなかったことなどが起因となったようです。


引用元:Google公式Twitter

将来的にはGoogle Workspaceなどに実装

Google Bardは今後、Google検索に組み込まれることはもちろん、Google Workspaceにも実装されていく可能性があります。

実際に、Gmail・ドキュメントへの実装が試されており、Bardの導入によって、Google Workspaceがより便利になっていく可能性は高いでしょう。

Googleが提示している利用可能性は下記の通り。

  • Gmail の下書き、返信、要約、および優先順位付け
  • ドキュメントでのブレインストーミング、校正、執筆、書き直し
  • スライドで自動生成された画像、音声、動画を使用して、創造的なビジョンを実現します
  • スプレッドシートでのオートコンプリート、式の生成、文脈に応じた分類により、生データから洞察と分析に至る
  • Meet で新しい背景を生成し、メモをキャプチャする
  • チャットで物事を成し遂げるためのワークフローを有効にする

引用元:Google公式サイト

日本での一般公開・精度の向上が楽しみな会話型AIサービス

Google BardはChatGPTの対抗馬として、注目されている会話型のジェネレーティブAIで、さまざまな利用可能性が示唆できる、非常に楽しみなサービスです。

Google検索への組み込みはもちろんのこと、Workspaceの利便性の向上など、Bardの性能が進化していくにつれ、さまざまなツールに変化が起こることはまず間違いないでしょう。

アメリカ・イギリスでは既に提供が開始されているため、日本での利用開始もそう遠くない未来に実現される可能性が高いです。

Google検索という私たちにとって今は当たり前のものが代替される可能性もあるため、最新の情報を見逃さないようにしましょう。



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(編集:創業手帳編集部)

大久保写真大久保の視点

創業手帳の代表の大久保です。
ChatGPT 生成AIガイドの作成やChatGPTセミナーなどをしていますが、個人的にはGoogle系のサービスを使うことが多いので、ChatGPTの対抗馬の本命が出てきたので期待感が高いのがgoogleBardです。
Microsoft系のサービスには今後、ChatGPT系のAIが組み込まれて利便性が向上されていくでしょう。
一方でBardはGoogleの検索エンジン、ドキュメントやスプレッドシートのようなGoogleWorkspace系のサービスに組み込まれていきそうです。

NotionAIなども出てきており、各社サービスとAIの融合が進んできています。
ツール系のサービスで各社の競争が進むことで、ますますユーザーにとっては便利で使いやすくなることが予想されます。

また、Googleの検索エンジンとBingでは、現段階のシェアは比べ物にならないです。ChatGPTでBingが大逆転をする可能性もありますが、検索精度で勝るGoogleとBardの組み合わせは強力です。
過去20年はGoogleの検索エンジンのSEOを中心にネットの世界は回っていました。「Googleの20年」だったと言えます。
その秩序、ゲームをひっくり返す可能性が出てきたのがChatGPTであり、Bardです。

WindowsのMicrosoftがChatGPTで急激にプロダクトを強化することに成功しました。
GoogleはBardを軸にAIで製品を再構築・強化し、今後もネットの覇権を維持するのでしょうか。

いずれにしても今後、社会やビジネス、仕事に影響する分野で、ありがたいことに基本的に無料もしくは低価格のサービスであることが多いのでユーザーとしてはどう今の仕事に応用できるか、活用できるか考えていきましょう。
創業手帳ではChatGPT 生成AIガイドなども発行しているのであわせて読んでみて下さい。

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