定時株主総会と臨時株主総会の違い〜株主総会のキホン〜
「定時株主総会」と「臨時株主総会」、どうやって使い分ける?
(2017/05/11更新)
定時株主総会は、決算日の3カ月以内に開催しなければなりません。5〜6月に株主総会の開催が集中されているのは、3月決算の会社が多いためです。また、定時株主総会の他に、臨時株主総会というものもあります。
そもそも、株式総会とはいったい誰が出て、何を決めるものなのか。そして、定時と臨時は何が違うのかについて、説明していきます。
株主総会の前には決算があります。決算期に行う業務は、決算報告書の作成と、確定申告があります。起業1年目の決算は、わからないことや、予想外のことがあったりして、忙しくなるかもしれません。冊子版の創業手帳(無料)では、決算など、創業期の税金イベントをカレンダーにまとめています。スケジュールを把握し、専門家に相談するなど、事前準備をするとよいでしょう。
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この記事の目次
そもそも「株主総会」って?
株主総会とは、その会社の株主を構成員として、定款の変更や、取締役、監査役の選任。果ては会社の解散や合併などを取り決める機関のことです。言わば、株主総会は、株式会社において、方針や役職を決め、会社の舵取りをする役割を持っているのです。
株主について
まず、「株主」について説明しましょう。株主とは、株式会社が発行した株式を保有する人のことを指し、「株式会社に対する出資者」とも呼ばれます。
株式会社が出資を受け、株式を発行すると、出資した人は株主となりますが、株主は、保有した株式を他人に譲渡することも可能です。その場合、譲り受けた人の方が株主となります。つまり、「現時点で会社にお金を出している会社の所有者」を株主と呼ぶのです。
株主は、「自益権」と「共益権」、2つの権利を持っています。
自益権は、株式会社から剰余金の配当など、経済的な利益を受けることができる権利のこと。共益権は、株式会社の重要な意思決定に参加する権利を指します。
特に、株式総会の話について、この共益権が重要です。
株主総会で決めること
株主総会で決めることはいくつかあります。まず、定款の変更や事業譲渡などの、会社の根本にかかわる事項。また、役員の人事に関する事項の決定も株主総会で決定します。
特に、株式会社は、所有と経営が制度的に分離しています。すなわち、株式会社を実質的に所有する株主は、経営にはあたらず、取締役を株主総会でお願いすることになるのです。「経営陣」なんて言われる人たちは、株主総会で決められた人たちだということですね。
さらに、会社の利害に大きな影響を与える事項を決定するのも株主総会です。例えば、剰余金の配当や、役員報酬などの事項がこれに該当します。剰余金の配当に関する事項は、株主に直接の影響が出る部分。また、役員報酬を自分たちで決めさせてしまうと、不当に高額な報酬が決定されてしまう恐れがあります。そのため、こういった事項も株主が決めることになっているのです。
これらの決定は、基本的に多数決です。しかし、株主総会における多数決は少し特殊。原則として、1株につき、1議決権が与えられます。これを、「1株1議決権の原則」と呼び、株式を多く所有している人ほど強い影響力を持つことになるのです。会社に対して多く出資している人ほど、発言力が強くなるわけですね。
他にも、複数社の株式を持っていて、両方に参加できない場合の議決権行使の方法として、代理人の出席や、書面投票・電子投票制度も認められています。
このように、株主総会は会社や経営陣にとっても非常に重要なものとなります。しかし株主総会には専門的な部分が多いので、どのようにするのが正解なのかわからない方はいると思います。創業手帳では、無料会員向けに専門家の紹介や、創業コンサルティングを行っています。これらのサービスを利用する際、料金は一切無料です。
関連記事:株主総会の準備をしよう!決議の方法と決議事項のキホン
「定時株主総会」と「臨時株主総会」の違い
定時株主総会と臨時株主総会のもっとも大きな違いとしては、定時株主総会は一年に一回必ず行うものと会社法で定められていることに対して、臨時株主総会は、定時株主総会の他に、必要な時に開催するものであるということです。
定時株主総会とは?
通常は決算後3カ月以内に開催される株主総会のことで、年に一度行われます。開かれる前は、大体2週間前くらいまでに招集決定を発送します。大抵は、当期事業年度の決算報告・承認や、事業報告の内容報告、役員報酬の金額や剰余金の配当等を決めるものです。
定時株主総会は必ず開かなければならない?
実質的に社長1人で持ち株100%の会社や、ワンマン経営の会社は、株主総会を簡略した方が手間やコストがかからないという考え方もあります。実際、「議事録だけ作っておけばいいんでしょ?」という考え方の経営者も多く見受けられますが、これは「株主総会決議不存在確認の訴え」の対象になります。
株主総会において「一部の株主にだけ招集通知をする」「代表取締役以外が招集する」など招集手続きがひどい場合、「株主総会決議自体をなかったことにする」ことができてしまうのです。さらに、この訴えは提訴権者や提訴期間に制限がなく、理が通っていれば少数株式保有の株主であっても起こせるので、株主総会を行わないこと自体が大きなリスクになる可能性があります。
たとえば、省略した株主総会において役員報酬の変更が行われた場合、その5年後に当時の株主が「株主総会決議不存在確認の訴え」を以って、当時の役員報酬が不当に高かったことを取り消すための訴えを起こすこともできるということです。
後々の禍根を残さないためにも、定時株主総会はきちんと開くようにしましょう。
臨時株主総会とは?
主に、補充取締役の選任や、非公開会社の第三者割当の商人、新株予約権の発行などを決定するもので、必要がある時に、いつでも臨時に開催をすることができる株主総会のことです。会を開く前の1週間前までに招集決定を発送します。
臨時株主総会は、定時株主総会を行ったうえで開くもので、招集が行われるかも任意なので、定時株主総会に比べ、必要性は低い印象です。
定時株主総会は必ず、臨時は必要な時に
事業が大きくなるにつれ、ワンマンでのトップダウンだけでは判断が難しくなるのが会社経営の常です。株主総会は、そんな会社の行く末を客観的に判断するための期間だととることもできます。いざ、株式総会を開く際に慌てないように、今からしっかりと知識をつけ、準備をしておきましょう。
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(執筆:創業手帳編集部)
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