フリーランスが法人化するときの注意点

創業手帳

法人化のタイミングとメリット・デメリット

(2018/09/19更新)

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フリーランスとしての活動が波に乗り、一定の収入が確保できるようになると、「法人化(法人成り)」をするか迷うタイミングがやってきます。法人化には、フリーランス(個人事業主)では享受できない多くのメリットがありますが、その分、法人であるがゆえに発生する費用も大きくなります。

法人化で後悔しないためには、それらのメリット・デメリットを理解して、最適なタイミングを見極めることが大切です。この記事では、フリーランスの法人成りについて詳しくご紹介しますので、検討材料としてお役立てください。

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フリーランスとは

法人成りの話の前に、「フリーランス」についての前提知識を確認しておきましょう。

フリーランスとは、会社などに所属せず(雇用関係を結ばず)、独立して仕事をする働き方のことです。単発の仕事ごとに依頼元と契約を結び、取り引きの相手は複数に及びます。働く場所や時間にとらわれず、自分の裁量で仕事をすることができるのが特徴です。

職種は多岐にわたり、デザイナー、ライター、プログラマーといったクリエイティブ系の職種から、コンサルタントや士業などの専門職までさまざまです。

雇用されずに働くという意味では、「個人事業主」もフリーランスに該当します。個人事業主とは税務上の区分用語で、事業を営む人の中で、法人を設立していない人を指します。

フリーランスが法人化を考えるタイミング

フリーランスとして活動していると、どこかで「法人化(法人成り)」を検討するようになるタイミングがあると思います。法人化すると受けられるメリットは大きいですが、その分法人を維持するためのコストや、法人ゆえに発生するコストも増えます。

ですから、法人化することによって発生する「負担」よりも「得すること」の方が大きくなるタイミングを考えるようにしましょう。具体的には、次のようなタイミングで法人化を検討するのが一般的です。

年間利益が800万円を超える

利益が安定して800万円を超えると、法人の方が納税額を少なくできる場合が多いです。これは、法人になった方が納税額が少なくてすむ場合があるためです。額だけを見れば、年間利益400万円くらいから節税メリットを得られるようになりますが、実際には、法人化にかかる費用や社会保険料等の負担も考えて判断しなくてはなりません。その結果、安定して利益が800万円を超えれば、法人化によって納税額が少なくなることが多いです。

事業規模や職種、事業以外の所得の有無によっても条件は大きく変わりますので、詳しくは税理士などに判断を相談するほうが無難です。

売上高が1,000万円を超える

売上高が1,000万円を超えると、その2年後から消費税の納税義務者になります。しかし、会社を設立した場合、一定の条件を満たせば、1年目と2年目は消費税が免除されます(個人事業主としての売上は通算されません)。消費税の負担は大きいので、納税を2年先送りできるという意味で、このタイミングで法人成りする節税メリットは大きいのです。

フリーランスから法人化をするメリット

フリーランス(個人事業主)から法人成りすることには、次のメリットがあります。

社会的信用が得られる

社会的信用度は、圧倒的に法人の方が高いでしょう。

金融機関で融資が通りやすくなったり、取引先とのやり取りがスムーズになったり、人材募集の上で有利に働いたり、という効果が考えられます。

税制上有利になる

法人成りすると、経営者自身も「給与を会社から受け取る」ということになります。すると給与所得控除を使えるので、その分納税額が減ります。また、所得税は累進課税なので、利益を経営者と法人で分けることで、所得税の総額を抑えることもできます。さらに、家族を従業員として雇用して給与を支払うことで、その分所得を減らすこともできます。

また、先にも書きましたが、法人設立すると、一定の条件を満たすことで、消費税を2年間免除されるという点も大きいです。

社会保険に加入できる

経営者自身も、家族も、社会保険に加入できます。その分会社の負担は大きくなりますが、福利厚生の面から考えると大きなメリットです。

責任が限定される

フリーランス(個人事業主)はすべての責任を自分で持つので、大きな損失が出た場合、私的財産を処分してでも補填しなくてはなりません。しかし、法人の場合、経営者の損害は出資金の範囲内にとどまります(株式会社の場合)。

退職金を支払える

法人の場合、役員に対する退職金は基本的に損金算入できます。フリーランス(個人事業主)では退職金を支払うことはできませんが、法人であれば自分や家族の役員に退職金を支払うことができ、節税にもつながります。

事業を継続できる

フリーランス(個人事業主)の場合は、その事業を次に引き継ぐというのが難しいです。その点、法人であれば、経営者が仕事をできなくても次の経営者を決めることで事業を継続できます。

フリーランスから法人化をするデメリット

法人成りには、次のデメリットがあります。

設立コストがかかる

フリーランス(個人事業主)は、税務署に開業届を提出するだけでなることができます。特別な費用はかかりません。

しかし、法人の場合は、登記手続きに手間と費用がかかります。株式会社の場合、資本金を除いて20万円~30万円は必要です。

維持費用がかかる

法人は、たとえ赤字でも税金を支払わなくてはなりません。「均等割」という地方税があり、毎年最低でも7万円程度の納税が必要です。これは、利益が出なくても会社を維持するためには支払わねばなりません。

また、法人成りすると税務まわりの書類が煩雑になります。税理士に依頼することになれば、その分の費用も別途発生します。

社会保険料の負担が増える

法人化すると、社会保険へ強制加入しなくてはなりません。社会保険料は会社が負担しなくてはならないので、その分の支払いが大きくなります。従業員を雇うごとに、必要経費が増えることになります。

毎月の給与が固定される

フリーランス(個人事業主)の場合は、稼いだお金をすべて収入として使えました。しかし、法人成りすると、会社のお金と個人のお金は分けて考えなくてはならないので、給料は「あらかじめ決めた役員報酬」になります。役員報酬を自由に変えることができないので、じっくり検討して額を決めなくてはなりません。

法人化(法人成り)の方法

法人成りには、次の3つの手続きが必要です。

1.法人を設立

フリーランスからの法人成りといっても、「法人設立」の方法が変わるわけではありません。1から会社設立するときと同じ流れで、作業を進めましょう。

株式会社設立の場合は、次の流れで進めていきます。

  • 基本事項の決定
  • 定款作成
  • 資本金の払込み
  • 登記書類作成
  • 登記申請

2.登記後の各種行政などへの手続き

具体的な手続きについては、下記を参考にしてください。

3.資産の移行

事業に関わるすべての資産を、「売買契約」「現物出資」「賃貸」いずれかの方法で、法人へと移行します。
仕事に使っていた機器などについて、すべてこの手続きを行う必要があります。

契約関係の法人名義への変更も、忘れずに行いましょう。

個人事業の廃業手続き

無事に法人設立や資産移行が完了したら、最後に個人事業の廃業手続きを行います。

具体的には、以下の書類を税務署に提出します。

  • 個人事業の開業届出・廃業等届出書
  • (青色申告をしていた場合)青色申告の取りやめ届出書
  • (消費税を支払っていた場合)事業廃止届出書
  • (従業員を雇っていた場合)給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書

廃業した年度のフリーランスとしての所得については、別途確定申告を行う必要がありますから、忘れないようにしてください。

また、都道府県税事務所にも廃止届を提出してください。

まとめ

フリーランスから法人成りすると、その分負担すべき費用も増えますが、得られるメリットは大きいものです。特に、社会的信用や社会保険への加入は、個人では得られない大きな強みです。将来的に事業を大きくしたいと考えているなら、適したタイミングで法人成りに踏み切ることは、十分な意味を持ちます。

メリット・デメリットを比較し、法人成りを検討してみてください。

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(執筆:創業手帳編集部)

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