契約書がネットで簡単に結べる「電子契約」のメリットと導入の注意点

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(2019/03/15更新)

契約を結ぶときに、従来は紙での契約が当たり前でした。しかし近年、電子署名法、e-文書法、電子帳簿保存法などの法整備が進むとともに、電子証明書が急速に普及し、電子契約の導入を考える企業が増えています。

電子契約を導入することで、コスト削減や事務作業の効率化、契約作業の期間短縮など様々なメリットがあります。

その一方で、電子契約の導入にあたっては「セキュリティーに問題はないのか」「改ざんされる心配はないのか」と不安がよぎる方も少なくないでしょう。

そこでこの記事では、電子契約の導入を考えている方に向けて、書面契約とは違う電子契約の仕組みや導入メリット、導入の注意点などをわかりやすく解説します。

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電子契約とは

電子契約とは、企業間などで行われる契約行為を、紙ではなく電子上で行うことです。具体的には、作成した契約書をPDF化する際に「電子署名」と「タイムスタンプ」(※詳しくは後述)の埋め込みを行い、それをインターネット上で取り交わすことで契約を行います。

ファイルのやり取りはメールでも可能ですが、電子契約の手続き全体をクラウド管理できるサービスも登場しており、導入する企業が増えています。

以下、電子契約と書面契約の違いや、電子契約の保管場所・保管期間について詳しく紹介していきます。

電子契約と書面契約の違い

これまで一般的に行われていた書面契約は、紙に印刷された書面に、押印またはサインを行い、郵送や持参で直接やり取りする必要がありました。契約書は課税文書になるため、作成したものには印紙の貼付も求められます。

一方、電子契約書の場合は、電子署名を付与した電子データで契約書を作成し、インターネットで送信すれば契約を完結できます。本人の電子署名があれば、法的証拠力も有します。自社サーバー内や、外部のデータセンターなどで保管されるため、紙で保管する必要もありませんし、印紙を準備する必要もありません。契約にかかる手間や時間が削減できるため、導入する企業が増えています。

電子契約と書面契約の違いを表でまとめると、以下のとおりです。


電子契約 書面契約
契約書の形式 電子ファイル
押印 電子署名 押印またはサイン
印紙 不要 必要
受け渡し インターネットを通じて 郵送または持参
保管先 自社サーバー内、外部のデータセンターなど 倉庫、書庫など

電子署名とは

電子署名とは、電子化された文書に行われる電子的な署名のことです。紙の契約書における「押印またはサイン」の役割を果たすものです(電子署名法により、押印または署名と同等の法的効力を持つと定められています)。

電子署名を行うことで、「その文書が改ざんされていないこと」「本人がその文書に署名をしたと確認できること」の2点が証明されます。

タイムスタンプとは

タイムスタンプとは、電子署名だけではわからない「その契約書に署名されたのはいつなのか」という情報を把握するためのものです。ある時刻にその電子データがあって、それ意向に改ざんされていないことを証明するという役割があります。

電子署名では署名の時刻も記録されますが、それはPC上で設定された時刻に過ぎず、設定を変えれば改ざんが可能です。そのため署名された時間が正しいということを証明することが必要なのです。

タイムスタンプを埋め込むには、タイムスタンプ発行を行うサービスを利用する必要があります。e-文書法においては、一般財団法人日本データ通信協会による「タイムビジネス信頼・安心認定制度」の認定を受けた業者によることがタイムスタンプの要件となっています。

電子契約書の保管場所と期間について

紙の契約書と違い、電子契約書はサーバー内に保存されていれば問題ありません。サーバーの保管場所は特に限定されておらず、社内から接続可能であれば、他国のデータセンターに保管されていても大丈夫です。

税法では、契約書等の取引情報に係る書類は、紙の書面で7年間保存することが定められています。電子契約の場合も、紙の文書と同様に7年間の保存が必要です。

税法上の保存義務に置いては、1つ注意しなくてはならない点があります。それは、タイムスタンプが付与されていない電子契約の場合は、締結したPDF書面をダウンロードし、印刷して保存する必要があるという点です。電子契約サービスによっては、タイムスタンプ付与まで行わないものもあるので、利用にあたっては注意しましょう。

ちなみに、秘密保持契約書(NDA)などの契約書はそもそも税法上の保存義務はありません。

電子契約をするメリット


電子契約を導入することで、コスト削減、事務作業の効率化、コンプライアンス強化、スピーディな契約締結などのメリットを享受できます。

印紙税の削減につながる

紙で作成した契約書は、課税文書として印紙の貼付が必要でした。しかし、電子文書で契約を進める場合は課税対象とならないので、印紙税を削減できます。また、紙の契約の場合に必要な郵送費(郵送でやり取りする場合)や人件費(訪問でやり取りする場合)も削減できるため、大幅なコストカットが見込めます。

事務作業を効率化することができる

電子契約であれば、作成した契約書をPDF化し、インターネット上にアップロードしてやり取りするだけで作業が完了します。印刷、確認、捺印、郵送などでのやり取り、返送…というフローが短縮できるので、事務作業が効率的に進みます。

また、要件を満たせばサーバー内に保管でき、物理的なスペースも節約できます。サーバー内に保管して検索条件を指定しておけば、後に契約書を探す際もスムーズに事が進みます。

コンプライアンス強化できる

紙の契約書であれば、原本が1通しかない状態なので、紛失や劣化のリスクを伴います。その点、サーバー内に保管されている電子契約であれば、バックアップをとることができます。また、電子署名とタイムスタンプにより、改ざんのリスクがほぼなくなります。

契約締結までの期間を短縮できる

書面のやり取りがなくなるため、契約締結のために何度も訪問したり、郵送でやり取りしたりという手間がなくなります。その分、契約締結までの時間が短くなります。

実際に電子契約サービスを導入するには?

ここまで電子契約のメリットや仕組みについて説明してきました。実際に電子契約を導入する際には、専門の業者などが提供している電子契約サービスを利用するのがスムーズです。ただ、導入にあたっては一定の費用が必要となるので、事前にどのくらいの費用対効果が見込めるのかを慎重に検討する必要があります。

また、電子契約サービスといってもサービスによってカバーできる範囲がさまざまです。例えば電子署名・タイムスタンプに対応しているサービスもあれば、対応していない場合もあります。さらに契約締結のためには、自社だけでなく契約の相手方も同じ電子契約サービスに登録している必要があるサービスもあります(後ほど解説します)。

複数のサービスを比較し、自社にあったものを選ぶようにしましょう。

電子契約の注意点

メリットの多い電子契約ですが、導入にあたっては注意すべきポイントもあります。導入検討前に、以下の注意点について把握しておきましょう。

書面で契約する必要があるものもある

機密保持契約、雇用契約など、さまざまな契約において電子契約を使うことができます。しかし、一部の契約については書面での契約が義務付けられています。

例えば、宅建契約における重要事項の説明書や、投資信託契約の約款、労働条件通知書の交付などは法令により書面での交付が必要です。

自社が電子契約を締結したいのはどのような内容かをあらかじめ想定しておきましょう。

相手にも同様の電子契約サービスを利用してもらう必要もある

先程電子契約サービス導入についての部分でも触れましたが、自社が電子契約を導入したとしても、契約の相手方もそれを共用することはできません。利用するサービスによっては、自社が利用しているサービスに相手方の登録が必要になる場合があります。

取引先に負担が少なくなるようなシステムを選びながら、相手方への理解を得る努力も必要です。

まとめ

電子契約導入には注意点もありますが、モノのインターネット化が進む中でさらに一般的なサービスとなる可能性を秘めています。コスト削減や業務効率化の観点からも魅力的な仕組みなので、自社の競争力強化のためにも導入を検討されてはいかがでしょうか。

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(編集:創業手帳編集部)

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