【2024年3月最新版】電気代の補助金はいつまで?法人の補助金額は?

創業手帳

電気代の補助金事業は2024年1月から5月まで継続予定


近年、電気代の高騰によって多くの家計に影響しているといったニュースが取り上げられていますが、法人にも同じことが言えます。
家計よりも消費する電力が多い分、電気代の影響をより実感している方も多いでしょう。
現在は電気代の負担を軽減する補助金事業があり、2024年1月から5月の使用分まで継続する予定です。

今回は、2024年3月の最新版として電気代の補助金についてご紹介します。
補助金事業に関する詳しい内容や電気代が高騰している理由や、補助金以外の法人向け対応策などもご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

創業手帳では、起業家・経営者によく使われている補助金に特化して解説した「補助金ガイド」を無料でお配りしております。設備投資に使える補助金や、人材採用に使える補助金などを知っておきたい人は是非あわせてお読みください。また、自治体独自で実施される補助金・助成金については「補助金AI」をご活用していただくと、登録いただいた都道府県の情報を定期的にメールにて配信させていただきます。こちらも無料でお使いいただけます。


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電気代の補助金制度「電気・ガス価格激変緩和対策事業」とは?


まずは法人が活用できる電気代の補助金制度についてご紹介します。電気代の負担が大きいと感じている方は、補助金制度の活用も検討してみてください。

「電気・ガス価格激変緩和対策事業」の概要

電気・ガス価格激変緩和対策事業とは、電気代やガス代の消費者負担を軽減することを目的とした事業で、国が電気や都市ガスの小売事業者を支援し、料金の値引きを図ります。
小売規制料金で値引きを実施するためには、認可や承認が必要です。
本来は2023年12月使用分までとされていましたが、電気・ガス事業者からの申請で2024年春まで延期されました。

なお、沖縄県の場合は県が小売電気事業者に向けて料金の値引きを実施する「沖縄電気料金高騰緊急対策事業」の期間延長を発表しています。

実施機関と補助金額

この事業の主体となっているのは経済産業省です。値引き対象となるのは電気料金(低圧契約・高圧契約)と都市ガスになります。それぞれの補助金額は以下のとおりです。

電気料金 低圧契約 3.5円/kWh
高圧契約 1.8円/kWh
都市ガス 15円/㎥

適用期間

元々は2023年1月の使用分から同年9月使用分までの期間を対象に実施されていました。
しかし、2023年9月20日に実施期間の延長を発表し、2023年12月使用分までになりました。
さらに、2023年10月24日になると政府は2024年春まで延長することを発表しています。
具体的には、値引き期間は2024年4月使用分までであり、5月は激変緩和の幅が縮小される形となります。

値引きを行っている事業者

電気・ガス価格激変緩和事業の申請手続きを実施し、許可を受けた小売電気事業者・ガス事業者が値引きを行っています。
従来の一般電気事業者・一般ガス事業者に加えて、新電力会社や都市ガス会社なども値引き対象の事業者に含まれています。

現在契約中の電力会社・都市ガス会社が対象の事業者に該当しているか確認したい場合は、各事業者のホームページまたは経済産業省の「電気・ガス価格激変緩和対策事業」サイト内にある事業者一覧にて調べることができます。

手続きは必要ない

この補助金制度が適用されるために、何か手続きが必要なのではないかと思う方もいるでしょう。
しかし、一般家庭も含め法人も特に手続きする必要はありません。なぜなら、補助金制度は小売電気・ガス事業者に向けて実施されているためです。

補助金を受け取るために小売電気・ガス事業者が申請手続きを行い、受け取った補助金の分で値下げを実施しています。
つまり、一般家庭や法人は何もしなくても値下げされた状態で電気や都市ガスの利用が可能です。

対象外の契約はある?

補助金制度の申請を行った電力会社・都市ガス会社のプランを利用していれば、値引きされた状態で使用できます。
ただし、場合によっては対象外の契約もあるので注意が必要です。

対象外となってしまうのは「特別高圧契約(特高)」です。特高とは受電電圧が20,000V以上、契約電力が2,000kW以上の契約を指します。
高圧電力は中小規模のビルや工場などに適用されていますが、特高はそれ以上の大規模工場やオフィスビル、デパートなどが対象となります。
ガスでも年間契約量1,000万㎥以上の使用が認められる場合は値引きの対象外となるので注意してください。

なお、都市ガスは対象となりますがLPガスの場合は対象外です。LPガスに関しては各自治体がそれぞれLPガス使用世帯向けに補助金事業を実施しています。

電気代の補助金が必要なほど値上がりしてしまった理由とは?


近年は補助金制度によって電気・ガス料金の値上げ幅は抑えられているものの、それでも値上がりを実感できるほど上昇しています。
なぜ補助金制度が必要になってしまうほど値上がりしているのでしょうか。ここでは、値上がりの背景についてご紹介します。

ウクライナ情勢の変化でエネルギー価格が世界的に上昇

2022年2月にロシアがウクライナ侵攻を開始したことで、世界的なエネルギー問題が発生しています。
これは、欧米諸国を中心にロシア産の天然ガス・原油の輸入を制限・禁止したことが影響しています。

欧米諸国はこれまでロシア産の天然ガスや原油を輸入していました。
しかし、ウクライナ侵攻を受けて欧米諸国を中心にロシアへ経済制裁を行った結果、エネルギーの制限・禁止によって他の産油国・産ガス国に増産が要請されました。
その結果、欧州だけでなく日本も含めた他の国でもエネルギー価格が高騰しているのです。

円安と同時に燃料価格上昇が起こっている

エネルギー価格の高騰は円安の影響も受けています。2024年2月13日現在、円相場は1ドル=150円台まで値下がりし、円安相場が続いている状態です。
日本は原油を海外からの輸入しており、その依存率は99.7%にも上っています。
日本国内で使用されている原油はほぼ輸入されたものであり、購入するための日本円が値下がりしている状態が続いているため、燃料価格が高騰しているのです。

また、先ほどもご紹介したようにウクライナ侵攻の影響も受け、円相場とは関係なく燃料価格は上昇傾向にあります。
例えば、原油価格は2022年3月に欧州の指標価格「ブレント価格」において約128ドル/バレルとなりました。
1年前の同時期には約68ドル/バレルだったため、2倍近く値上がりしていることがわかります。
天然ガス・石油・石炭など、いずれのエネルギー資源も高騰傾向にあります。

新型コロナウイルスの影響による経済活動の停滞

新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年頃は世界各地でロックダウンや渡航制限などが行われました。
その結果、人だけでなくモノの交流まで制限されてしまい、経済活動が停滞してしまいました。

世界規模で経済活動が停滞した結果、石炭など化石燃料の需要が低下し、価格は一時的に下落しています。
しかし、その後の急速な経済活動の回復によって化石燃料の需要は大きく拡大しました。
需要はそれほど拡大していないものの、供給が追い付かない状況になり、需要と供給のバランスが崩れたため価格の上昇を引き起こしています。

日本国内の電力供給不足

燃料費の高騰以外にも、国内における電力供給不足も高騰の原因となっています。
電力の需要は高いものの、供給が追い付いていないためその分価格が高騰しているのが現状です。

国内の電力供給不足に大きな影響を与えているのが、原子力発電所の停止です。
2010年度の電源別発電電力量の割合を見ると、液化天然ガス(LNG)が29%、石炭が28%であり、次いで原子力が25%となっていました。
また、石油なども含めた火力発電の割合は66%でした。
しかし、2011年に発生した東日本大震災の影響で全国の原子力発電所は順次停止していき、2020年度の割合を見ると原子力は約4%となっています。

一方、原子力が停止した分を補うために火力発電が使用され、2020年度の火力発電の割合は76%になりました。
地熱および新エネルギーの割合も増加傾向にあるものの、まだ約12%の割合であり火力発電に頼っているのが現状です。こうした影響もあり、電気代の高騰につながっています。

電気代高騰に対する補助金以外の法人向け対応策はある?


2024年2月現在、電気・ガス価格激変緩和事業によって電気・ガスの料金は抑えられているものの、5月使用分以降は延期も決まっていないため料金が大幅に値上がりする可能性も考えられます。
こうした補助金以外で電気料金を抑える方法はあるのでしょうか。ここからは、法人向けの対応策についてご紹介します。

節電に関する取り組みを行う

簡単に電気料金を抑えられる方法として「節電に関する取り組み」が挙げられます。
オフィスのエネルギー割合は主に照明・コンセント・空調によって構成されているため、ここから節電に取り組めば電気料金の節約も期待できます。
例えば、一時的でもオフィスに人がいなくなる場合は最後の人が電気を消す、照明設備を蛍光灯・白熱電球からLEDに変更するなどの取り組みにより、電気料金を抑えられるでしょう。
また、空調ではフィルターの清掃を2週間に1回程度実施することで、冷房時に約4%、暖房時だと約6%もの省エネにつながります。

こうした節電対策は企業全体で取り組む必要があり、従業員の協力も欠かせません。
全員が協力して行えるように考慮することが大切です。例えば、退出時には消灯することを貼り紙などを使って周知させることで、全員が取り組めるようにします。
ただし、節電を強要しすぎるとオフィス環境の悪化や仕事のパフォーマンス低下などにもつながりかねません。従業員に配慮しつつ節電に取り組むことが重要です。

省エネ効果が期待できる設備を取り入れる

法人向けの対応策として、省エネ効果が期待できる設備の導入もおすすめです。省エネ効果が期待できる設備にも様々な種類があります。
特に導入を検討したいのが電力消費量の多い空調設備です。

現在、各空調機メーカーでは省エネ性能の高い空調機器を開発・販売しています。
省エネ性能の高い空調設備に更新することで使用電力量も下がり、電気代の削減につながります。
他にも、エネルギーマネジメントシステムを取り入れることで外気温なども考慮しつつ、空調を自動的に制御することが可能です。

また、製造業であれば生産設備で省エネにつながらないかも検討してみてください。
例えば電気炉や電気加熱装置などの加熱設備を取り入れている場合、断熱が十分でないと熱が逃げてしまい、その分エネルギー消費が激しくなります。
そこで、ヒーターに断熱材を取り入れて放熱ロスを低減させることで、省エネ効果が期待できます。

省エネ関連のその他補助金を利用する

電気・ガス価格激変緩和対策事業以外にも、省エネ関連の補助金制度はあります。
例えば以下4つの事業区分に該当する事業者の省エネ設備入替えを促進する補助金制度があります。

  • 先進事業
  • オーダーメイド型事業
  • 指定設備導入事業
  • エネルギー需要最適化対策事業

 
省エネ設備への更新支援に関しても、今後3年間で7,000億円規模にまで予算規模を拡充する予定であり、また既存の業務用建築物で効率的な省エネ改修を行う支援策も新設されます。
実際に補助金を活用した事例として、老舗の菓子メーカーでは消費エネルギー割合の大きかった照明設備・ボイラーの入替えを実施しました。
その結果、エネルギー使用量は1,004kl/年だったのが124kl/年まで低下させることに成功しています。

また、衣料事業を手掛けるメーカーでは新たなニット素材の加工に取り組むために既存設備を更新し、課題となっていたエネルギー効率やコスト競争力などの解決を目指しました。
設備を更新したことで生産量は3,103トンから3,329トンへ増加し、なおかつエネルギー消費量は元々3,377klだったのが2,989klまで低下しています。
結果的にエネルギー消費原単位の改善率は17.5%となりました。
このように、実際に省エネ関連の補助金を活用することでエネルギー使用量の低下や効率化を実現できた企業も多くあります。
省エネ設備への更新を検討されている方は、ぜひ補助金も活用してみてください。

まとめ・電気代の補助金を利用して負担を減らそう

電気・ガス価格激変緩和対策事業は2024年2月時点で5月使用分までとなっており、延期についてはまだ発表されていません。
もし延期されなかった場合、さらなる電気代・ガス代の値上げも考えられます。
電気代の値上げに向けて、節電への取り組みや省エネ設備の導入・更新を検討する企業も多いです。しかし、省エネ設備を取り入れるには多額の費用がかかってしまいます。
少しでも負担を軽減させたいのであれば補助金の活用がおすすめです。


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(編集:創業手帳編集部)

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